残雪の白馬岳を24年後に登る【入山編】2018年3月26日

栂池パノラマウェイ

よもや雪山テント泊の装備を背負って、この栂池ゴンドラリフト「イヴ」に再び乗り込む日が訪れようとは考えもしませんでした。

前回訪れたのは24年前です。

残雪の白馬岳で僕の心はもう街に向かっていた
私は湿った寝袋の中でぐったりとしていた。「下山しよう。そして列車の中でゆったりと眠るのだ」明け方、最後のコーヒーのためにお湯を沸かしているとき、とうとう火が消えた。私の心はもう街に向かっていた。こうして決断を引き延ばしているのは、一抹の不甲斐なさを感じているからだ。

ゴンドラの中から、白馬岳、小蓮華山、乗鞍岳を望むことができます。

今回驚いたのは、「栂池ロープウェイ」に乗り継いで、さらに高度を稼ぐことができるということです。

乗車券を買った時点で、私の頭は「???」に占領されました。うーん、昔は乗った記憶がありません。

古い「山と高原地図 白馬岳」を持ってきました。昭和62年(1987年)発行です。「ゴンドラリフト イブ」から上には「栂池ロープウェイ」なんてありません。

ここからは小蓮華山や乗鞍岳を望むことができます。

「栂池ロープウェイ」にはスタッフの方が1人、同乗します。私が乗ったときには二十代らしい若い男性でした。ここで働きながら、休みの日にはスノースポーツに熱中しているそうです。

「このロープウェイは最近できたのですか?」ときいてみました。もちろんご存知ない。ひょっとすると、その方が生まれる前に営業開始したかもしれないのです。古い地図を見せると、「昔の地図なのにきれいですね」と感心されました。たしかに。物持ちがいいなぁ、自分。

降車するとき、「最終便は15時ですのでお気を付けください」と言われました。

「いえ、天狗原にテント泊して、明日、白馬岳を往復します」

自然園駅にはガイドさんが常駐しており、入山者に注意点などレクチャーしてくれます。おそらく場違いな観光客とか装備不十分な登山者のチェックなどもされているのでしょう。「3月3日から行方不明になっている方がいます。何か見つけたら教えてください」と言われました。

栂池山荘付近から乗鞍岳や天狗原への斜面を望むことができます。

適当にトレースをたどって、天狗原に登り詰めていきます。気温は0℃前後の予報ですが、雪面からの照り返しで暑いくらいでした。

天狗原

なつかしい祠と再会です。

天狗原の雪原のどこかにテントを設営するつもりでしたが、祠のすぐ東側が良さそうです。岩が多少は風を防いでくれそうですし、テントの張り綱を固定できるハイマツも生えています。

ほぼ無風で、テント設営は楽勝でした。実にのどかで、景観が素晴らしく、「ホテル天狗原」と呼びたくなりました。と言いながら、組み立てたポールを雪面に置いたら、目を離したすきに、緩い斜面を10メートルくらい滑り落ちていたのには焦りました。

スノーシュー初体験

天狗原の雪原でスノーシューを初体験しました。最初に思ったのは、「えっ、こんなに軽いの?」でした。私が買ったのは、TUBBSのFLEX TRK 24は両足で1.72kgと標準的な重量です。

スノーシューがどれくらい有効な装備なのか未知数だったので、安価な製品を買いました。TUBBSは下降能力が優れている、なんて噂を聞きましたが、実物が届いてみると、この機種はかかと側にツメがありません。WEB掲載の写真ではそこまでわかりませんでした。うーむ、失敗したかな。でも、登りやトラバースでは十分なトラクションを発揮してくれます。

テント泊の準備

雪を溶かして水を作ります。ポリ袋にどっさり入れて、テント内に持ち込みます。粉雪だと水分含有量が少ないので効率が悪い。できるだけクラストしたブロックを集めます。

登山靴の底の雪をブラシで丹念に落として、テント内に持ち込みます。春の湿雪だとヌバック革が濡れやすい。これでも保革油(ナノクリーム)を塗ってあるのですが……。

登山靴の保温性をアップするだけでなく、濡れを防ぐためにも、簡易オーバーシューズ(ブーツカバー)は有効です。雪山では泥汚れがないので、テント内にそのまま持ち込むことができます。ちょっと用足しに出るなんときには、そのまま履きます。靴底に雪が付着しないので、ブラシで払う手間がかかりません。

シュラフカバーとして、モンベルの「ポルカテックス スリーピングバックカバー」を新調しました。雪山では過度な防水性は結露につながるだけですので、いっそナイロン生地だけでよいのではないかと考えました。ただし、この製品、スペック表を見ると「表・ポルカテックス加工/裏・アクリル透湿コーティング」とあります。コーティングは余計な気がします。実際、そこそこ結露しました。

クローズドセルのマットレスは熱を蓄える働きがあるので、シュラフカバーの内側に入れたほうが良いのではないかと実験しました。保温効率という点では優れているはずですが、シュラフカバーの結露が、地面側のデコボコに溜まります。テントを撤収するときには、マットレスをバタバタして水滴を振り落とす必要があります。

雪山ではそもそもシュラフカバーを使わないほうがいいのではないか、という今更な結論に到達しつつあります。防水透湿素材をシェルにした気の利いたシュラフを見かけますが、もしかしたらその内側で結露しているのではないでしょうか。目に見えないので気づかないだけで、よけい羽毛を湿らす結果になってはいないでしょうか。いや、防水透湿素材でなくても、シェルの内側は常に結露しているのかもしれません。

その対策は……。アイデアがひとつあります。また実験します。

テントに居ながらにして、後立山の峰々で目を愉しませることができます。こんな平穏な、絶景のテント泊は初めてです。隣のテントに気を使いながら、テントのファスナーをそっと開け閉めする必要はありません。

白馬駅方面の夜景をながめました。

FM長野をバッチリ受信できます。ドコモの電波も入ります。

明日も好天が続くことを願います。

次の記事はこちらです。

残雪の白馬岳を24年後に登る【登頂編】2018年3月27日
葛藤は続いています。風が強い、とか、ガスってきた、とかネガティブな要素があれば、ここで折り返していたと思います。が、しかし、今日の一日は、晴天が約束されています。引き返す理由が見つかりません。
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