アイゼン、ピッケルの研ぎ方【準備編】

アイゼン、ピッケルを研ぎたい。

昔持っていた棒やすりは断捨離してしまいました。そもそも正式なやり方を知りません。いくつかの登山用品店に立ち寄り、必要な道具や研ぎ方をたずねてみました。

「アイゼンを研ぐ専用の道具みたいなモノはあるのですか」
「ホームセンターで売っている棒やすりでOKです」
「曲線部分を研ぐために丸みのあるやすりがいいですか」
「そこまで緻密にやる必要はないと思います。私は平やすりを使っています」
「これくらいの番手が適しているとかいう目安はありますか」
「細かすぎず粗すぎず、中目くらいがいいです」
「具体的にどこの製品がいいとかありますか」
「ニコルソンというメーカーがオススメです。100均のやすりは全然研げません。三千円くらいの良いやすりを買ったほうがいいです」

近くの大きなホームセンターに行ってみましたが、棒やすりが見当たりませんでした。

あちこち探しまわるよりは、東急ハンズ新宿店へ。ここに行けばたいていのモノが見つかります。

目指すは6Fの「DIYツール&マテリアル クラフト」のコーナーです。

棒やすりと柄を購入しました。

ニコルソン 万能やすり

いちばんコンパクトな長さ150mmを選びました。

パッケージにこう記載されています。

世界中の技能五輪の選手が使用するニコルソンヤスリ。最高の切れ味と耐久性をお試しください。

万能ヤスリ(マジカット)

ヤスリの最高傑作

1本のヤスリで粗削りから仕上げまでできる。

軟金属(アルミ等)~難削材(ステンレス等)対応

東急ハンズの売り場スタッフさんに「粗削りから仕上げまでできる」仕組みをたずねましたが、はかばかしい回答は得られませんでした。

輸入代理店のカタログを見たところ、複目(DOUBLE-CUT)と単目(SINGLE-CUT)の性格をあわせもっており、それゆえにマジカット(magic-cut=magicut)と命名されたそうです。

ニコルソンが開発したヤスリの傑作。高い切れ味で、ステンレス等の難削材を苦もなくこなします。また、荒いピッチにかかわらずきれいな仕上がり面を得られるところが、magic-cut=magicutのゆえんです。目のポケットが大きいため、目詰まりを起こしにくい構造です。

「NICHOLSON」と刻印された面

「MAGICUT」と刻印された面

穂先(先端)とコバ(側面)

ヤスリ柄 小

「柄は大きいほうが疲れにくいですか」とスタッフさんにたずねたら、「いちばん小さいので十分ですよ」と言われました。

棒やすりのコミを差し込む穴は粗削りです。

棒やすりを柄に差し込む

素手でぐいぐい押し込みましたが、あまり奥まで入ってくれません。やすりを指でつまんで揺さぶると、簡単にぐらぐら動きます。

インターネットで「ヤスリ 柄 取り付け」を検索したら、こんな恐ろしい動画が見つかりました。

ヤスリを柄にはめ込む

良い子は真似しないほうがいいと思います。

トンカチで叩いて押し込んではいけないのでしょうか。調べてみたところ、やすりを金属のハンマーで叩くと割れる危険があるとのこと。叩くならゴムのハンマーですが、それもやり過ぎると今度は木の柄が割れるらしい。

柄の末端をコンクリート等固いモノに叩きつけて、慣性でやすりのコミを押し込むと良いそうです。そんなバカな、と思いましたが、実際やってみると、素手で押し込むよりしっかり入りました。

やはり甲丸が良かったかもしれない

道具にしろ研ぎ方にしろ、書籍化されたノウハウがなかなか見つかりません。

教科書になかった登山術」という本の「アイゼンやアイスギアの研ぎの用具と注意すべきこと」(p.66)で、山岸 尚将さんは甲丸のやすりを推奨しています。

縁の鋭い部分で奥まった部分も削れますし、平らな面も使えます。

ですよね。縦走向きのアイゼンはカーブが外向きに膨らんだシンプルなツメで構成されていることが多いですが、私が所有するグリベルのアイゼン(エアーテック・ニュークラシック)は内向きのカーブや細かいギザギザが多くあります。まぁ、刃物のように鋭く研ぐわけではないので、平たいやすりでもコバ(側面)を利用すれば対応可能でしょう。

山岸さんは研ぐことの重要性をこう説きます。

アプローチの一見なんでもない場所や低山の枯れ葉の下にも、スリップしたら間違いなく大けがをするツルツルの氷の斜面がひそんでいます。

アイスクライミングをするなら、さらに研ぎが重要です。切り立った氷の柱を登るために必要なのは、1=研ぎ、2=技、3=力、4、5がなくて、6=道具、といったところでしょうか。

ひとまず手持ちのニコルソン万能やすりで実際に研いでみます。

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