登山マットレス比較~銀マットはテント床のベースレイヤーである

山岳雑誌のマットレス特集で銀マットがエントリーすることはありませんが、ウェアにたとえるなら「テント床のベースレイヤー」とも言える重要な装備です。多目的シートとして、1枚携行することをおすすめします。

銀マットとは、発泡ポリエチレンの片面にアルミニウムを蒸着したシートです。分厚い製品もありますが、この記事では厚さ2ミリ程度を想定して書いています。

【基本】テントマットとして敷き詰める

エアマットを冬季対応させる

ダウンマットの思わぬ弱点をカバーする

私はダウンマット(EXPED DOWNMAT UL 7 S)を持っています。ダウンが空気の対流を防ぐため雪の上でも冷たさをシャットアウトし、かつエアマットのクッション性を享受できるというスグレモノです。

ところが、冬の八ヶ岳(赤岳鉱泉)でテント泊しているとき、思わぬ弱点に気づきました。上ですわって一箇所に体重が集中し、いわゆる「底付き」した瞬間、冷たかったのです。ダウンマットの下に銀マット(150×90cm)を敷いていたのですが、冷たいと感じた場所には銀マットがありませんでした。

厚さ2mm程度の銀マットのR値(熱抵抗値)はさして高くありませんが、あるとなしでは体感が全然ちがいます。これは床に直接手をついてみればわかることです。銀マットなしだと冷たくてたまりませんが、銀マットありならずっと手をついていられます。

いかに断熱性が高いダウンマットであっても、直接床に敷くと、盛大に熱を奪われます。ぜひとも銀マットを併用しましょう。

反射材や断熱材が入ったエアマットを無理して買わなくてよい

高価なダウンマットを買わなくても、普通のエアマットに銀マットを足せば、大幅に断熱性を高めることができます。

ダウン以外にも、サーマレストの「ネオエアーXライト」やニーモの「テンサー20R」など、熱反射板や断熱材(プリマロフト)をラミネートして断熱性能を高めた製品があります。これらは、普通のエアマットに銀マットを足したのとさほど変わらない、といったら言い過ぎでしょうか。銀マットのアルミ層は熱反射板に相当し、発砲ポリエチレン層は断熱材に相当します。エアマットの内側にあるか、外側にあるかのちがいです。

ただし、エアマットの側面からの放熱を銀マットで防ぐことはできません。重量あたりの断熱性能を極限まで追求したい方は高価な製品に投資しましょう。

熱い鍋を置く敷物として

「炊事は原則テントの外で」と教科書には書いてあります。雪山ではそんな余裕はありません。酸欠になったり、テント生地へ引火したりしないよう注意しながら、テント内で炊事します。コンロを安定して置いたり、コンロからおろした熱い鍋を置いたりできるように、A4版くらいの薄いベニア板を携行する人が多いですが、銀マットのアルミ面を上にして床に敷き詰めれば、どこでも鍋置きになります。汁物を入れた食器を直置きした場合も中身が冷めにくいです。銀マットの耐熱温度は70℃くらいとされていますが、よほどグツグツ煮えたぎった鍋でも置かない限りは大丈夫です。

雪山のテント泊で水や鍋の中身をこぼしたら、あわてず騒がずそのまま放置して、凍るのを待ちましょう。うっかりティッシュやタオルで吸い取ると、ティッシュやタオルごと凍ってしまい、始末に負えなくなります。床で凍ったら、つまんでポイと外に捨てるもよし、鍋で再加熱してリサイクルするもよし。胃袋におさめるのであれば、いつも床を清潔に保っておきたいものです。テントの床はそうそう頻繁にクリーニングできませんが、銀マットなら下山後に自宅でさっと水洗いすれば簡単にきれいになります。

【応用】エマージェンシーシート、多目的シートとして利用する

雪山のピストン行動で

雪山でベースキャンプから軽荷で山頂を往復するようなシチュエーションでは、テントの床に敷いていた銀マットをザックに放り込むとよいでしょう。薄い生地のサブザックなら、背中のクッションとして好適です。いざビバークする羽目におちいったら、ツェルト(これ必須)の中で銀マットにくるまりましょう。

「エマージェンシーシート」と呼ばれる手のひらサイズの軽量コンパクトな製品(ほぼアルミシート)が存在します。私も携行した時期がありますが、幸いにも利用した経験はありません。いったん広げると元の大きさに畳むのは至難の業であるという定説があり、再利用しにくいのがマイナスポイントです。実際にそうなのか確認することなく断捨離しました。銀マットなら広げたり畳んだりは楽勝です。

日帰りのハイキングや、フリークライミングのお供として

荷物を広げるときの床になるのはもちろん、背中の荷物ごと頭から羽織って簡易ポンチョとして利用できます。フリークライミングの岩場は車を降りて数十分以内の距離が多いので、悪路でなければその恰好のまま下山できます。

ある夏、小川山(長野県)のマラ岩で突然の雨に見舞われたとき、銀色のミノムシとなって駐車場まで駆け下ったことがあります。銀マットはコシがあるので風でバタつきにくく、身体にまとわりつかないので垂れた雨粒が体を濡らしにくい。保温性が高いぶん、ムワッと温かいのが不快でしたが、もし冷たい雨ならこれほど心強いものはありません。

防暑シートとして

アルミニウム面が熱を反射します。寒い時期は銀面を上にして、コンロや身体の熱を反射させます。暑い時期は逆に、銀面を下にして、地面の熱を防ぐ……と言われますが、私はいつも銀面を上にしています。テント泊と言えば標高の高い山ばかりなので、地面の熱を防ぎたくなる状況はほぼありませんし、何と言っても熱い鍋をどこにでも置けるメリットが大きいです。

中房温泉(長野県・北アルプス)のキャンプ指定地などは地熱が高い(厳冬期でも地面が露出している)ので、夏は銀面を下にするとよいでしょう。

晴れ沈(好天時にあえて「沈殿=停滞」してのんびり過ごす)の日には、テントが温室化するのを防ぐため、テントの上にかぶせて太陽熱を遮りましょう。

レフ板として

写真や動画の撮影時にレフ板として利用できます。

  • 逆光の条件で自然な光を顔に当ててポートレイトを撮る。
  • ボルダリングの薄暗い岩陰で、離れた位置から太陽の光を反射させたり、ヘッドランプの光を反射させたりして動画を撮る。

おすすめ銀マット

私は雪山縦走でも日帰りのフリークライミングでも、キャンドゥで買った150cm×90cm×厚さ2mmの銀マット(重量は55グラム程度)を携行します。安価なので破れたら気軽に買い替えることができます。

まとまった面積が欲しいのであれば、ホームセンターやアウトドア用品店を探すことになります。

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変更履歴

  • 初公開(2017年3月8日
  • 「おすすめ銀マット」を追加しました。(2018年8月6日)
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