EXPED Ultra 7Rはどれを選ぶ? 名前・形状・サイズ・重量の違いを整理する

記事内に広告が含まれています。

雪山用のスリーピングマットを探していると、しばしば目にするのがEXPED(エクスペド)のダウンマット「Ultra 7R」です。

R値7.1、対応下限温度-30℃。

厳冬期の雪上泊まで視野に入る断熱性能を備えながら、マミー型なら500gを切るモデルもある。スペックだけ眺めても、山岳用マットとしてかなり魅力的です。

ところが、いざ買おうとすると少々わかりにくい。

M、MW、LW。長方形とMummy。

同じ「Ultra 7R」なのに、495gのものもあれば855gのものもある。

「結局、何種類あるのか?」
「MとMWは何が違うのか?」
「Mummyにすると、どこが小さくなって、何グラム軽くなるのか?」

先に結論を言えば、Ultra 7Rは複雑ではありません。「形」と「長さ」と「幅」の組み合わせが6種類あるだけです。重量は、その結果にすぎません。

まず一覧:Ultra 7Rは全部で6パターン

Ultra 7Rを理解するなら、最初に6種類を一枚の表で見てしまうのが早道です。

以下はEXPED本国公式に掲載されているスペックをもとに整理したものです。

モデル 形状 使用時サイズ 最小重量 収納サイズ
Ultra 7R M 長方形 183 × 52 × 9cm 650g 23 × 14cm
Ultra 7R MW 長方形 183 × 65 × 9cm 790g 27 × 14cm
Ultra 7R LW 長方形 197 × 65 × 9cm 855g 27 × 15cm
Ultra 7R Mummy M マミー 183 × 52 / 35 × 9cm 495g 23 × 12.5cm
Ultra 7R Mummy MW マミー 183 × 65 / 42 × 9cm 655g 23 × 13.5cm
Ultra 7R Mummy LW マミー 197 × 65 / 42 × 9cm 690g 27 × 14cm

※Mummyの幅は「最大幅/足元幅」です。

※重量はEXPED本国公式の「Minimum Weight(最小重量)」を使用しています。ポンプサックなど付属品を含めた携行重量とは異なります。

全モデル共通で、

  • 厚さ:9cm
  • R値:7.1
  • 対応下限温度:-30℃

です。

つまり断熱性能が違う6モデルではありません。同じ断熱性能を、6種類の寝床サイズと形状から選ぶシリーズなのです。

ここを最初に理解しておくと、ラインナップが一気にわかりやすくなります。

Ultra 7Rという名前を分解する

まず「Ultra 7R」という名称そのものから整理してみましょう。

大雑把には、

  • Ultra=EXPEDの軽量志向のスリーピングマットシリーズ
  • 7R=R値7クラスの高断熱モデル

と考えれば十分です。

実際のR値は7.1。対応下限温度は-30℃とされています。その後ろに、M・MW・LWというサイズが付き、さらにマミー型なら、Mummyという形状名が加わります。

たとえば、Ultra 7R Mummy MWなら、

「Ultraシリーズ」+「R値7クラス」+「マミー型」+「Medium Wide」

です。

商品名を暗号のように覚える必要はありません。断熱性能 → 形状 → 大きさに分けて読めばよいのです。

最初の分岐は「長方形」か「Mummy」か

Ultra 7Rを選ぶとき、まず決めるべきなのはサイズではありません。

長方形にするか、Mummyにするか。

この選択によって、マットの使い勝手と重量が大きく変わります。

長方形――寝床そのものを広く使う

通常のUltra 7Rは、ほぼ長方形です。

たとえばMなら、183 × 52 × 9cmという長方形を、頭から足元までそのまま使えます。

長所は明快です。寝返りしやすい。腕や足を多少広げられる。シュラフがマットの外へ落ちにくい。とくに雪山では、この「余白」が侮れません。

無雪期なら、腕一本がマットから外れたところでそれほど気にならないことがあります。しかし、その下が雪なら話は別です。マットの外へ落ちた部分は、断熱層を一枚失います。しかも厳冬期用シュラフは大きくロフトします。

マットを選ぶときには、「裸の自分が載るか」ではなく、「冬用シュラフに入った自分がどう載るか」まで考える必要があります。その余裕を確保しやすいのが長方形です。

Mummy――寝ない場所を切り落とす

一方のMummyは、肩まわりに幅を残しながら足元へ向かって細くなっています。マミー型シュラフと同じ発想です。

たとえばMサイズを比較してみましょう。長方形Mは、183 × 52cm、650g。Mummy Mも、長さ183cm、最大幅52cm。

ところが足元は、35cmまで絞られています。その結果、重量は、495g。同じ長さ、同じ最大幅、同じ厚さ、同じR値で、155g軽い。なかなか大きな差です。

つまりMummyは、断熱性能を削って軽くしているわけではありません。寝ている人間があまり使わない左右の面積を削って軽くしています。

なんとも登山用品らしい軽量化です。もちろん代償もあります。寝返りが多い。横向きになる。膝を曲げる。足を開いて寝る。そんな人にとっては、長方形の余白が快適性につながります。

Mummyは「上級モデル」ではありません。長方形も「重い旧式」ではありません。面積を残すか、重量を削るか。その違いです。

MとMW――13cmの幅に何グラム払うか

Ultra 7R選びで、個人的にもっとも悩ましいのはMとMWだと思います。どちらも長さは183cm。違うのは幅です。

  • M:52cm
  • MW:65cm

差は13cm。片側にすれば6.5cmです。

数字だけなら、「たった13cm」にも見えます。しかし、実際に横になれば印象はかなり違います。

幅52cmというのは、身体を載せること自体には十分でも、仰向けに寝たときの腕の置き場所まで考えると余裕がありません。さらに冬山では、大きくロフトしたシュラフの中に入っています。

つまり本当に比較すべきなのは、身体の肩幅ではありません。シュラフに入った状態での寝床の占有幅です。では、この13cmに対して重量はどれだけ増えるのでしょうか。

長方形では、

  • M:650g
  • MW:790g

なので、140g増。

Mummyでは、

  • M:495g
  • MW:655g

なので、160g増。

です。

つまりMとMWで迷ったら、「MWは140~160gも重い」と考えるだけではなく、「140~160gで、幅13cmを買う」と考えると判断しやすくなります。

山の上で一晩寝るために、その13cmへ重量を払うか。ここは完全に人それぞれでしょう。

MWとLW――今度は14cmの長さを買う

MWとLWの違いは、さらに単純です。幅はどちらも65cm。違うのは長さです。

  • MW:183cm
  • LW:197cm

つまり、14cm長い。

長方形では、

  • MW:790g
  • LW:855g

なので、14cm延長するための重量差は、65g。

Mummyなら、

  • MW:655g
  • LW:690g

なので、35g。

しか増えません。

こうして見ると面白いものです。MからMWへ「横に13cm広げる」には140~160g必要なのに対して、MWからLWへ「縦に14cm伸ばす」のは35~65gです。

これは形状と面積の増え方が違うためですが、選ぶ側からすれば、MWとLWで迷うなら、重量差そのものはそれほど大きくないとも言えます。

長身の人はもちろん、枕までマット上に置きたい。冬用シュラフの足元を完全にマットへ載せたい。頭側・足元に余白が欲しい。という人なら、LWを検討する意味があります。

LWは、「大柄な人専用」というより、「長い寝床が欲しい人用」と考えたほうが実態に合っています。

タイプ別に選ぶなら

かなり単純化すると、候補は次のように整理できます。

こんな人 候補 最小重量
とにかく軽量にしたい Ultra 7R Mummy M 495g
軽くしたいが52cm幅は狭い Ultra 7R Mummy MW 655g
長身で軽量性も欲しい Ultra 7R Mummy LW 690g
長方形がよく、できるだけ軽くしたい Ultra 7R M 650g
冬山でもゆったり寝たい Ultra 7R MW 790g
長さも幅も最大限確保したい Ultra 7R LW 855g

面白いのは、長方形Mが650gなのに対して、Mummy MWが655gであることです。

わずか5g差。つまり同じ約650gでも、長方形の52cm幅を選ぶか、足元は細くなる代わりに肩まわり65cmのMummyを選ぶか、という選択ができます。

Ultra 7Rを重量順だけで見ていると、この違いにはなかなか気づきません。

シリーズを「形 × 寸法」で見る意味が、ここにもあります。

まとめ:Ultra 7Rは「6種類の別物」ではない

Ultra 7Rを選ぶとき、「何グラム軽いか」だけを見るのではなく、「その重量差で、何cmの寝床を買っているのか」と考えてみてください。

スリーピングマットは、ザックの中に入っているときだけ使う道具ではありません。山の上で、一晩ずっと身体を預ける道具です。

削るべきなのは重量であって、必要な寝床ではない。

Ultra 7Rは、その境界線を自分で選べる6種類のマットだと考えると、ずっとわかりやすくなります。

2026年現在、Ultra 7RはEXPED本国の通常ラインナップからは外れています。新たに購入するなら、EXPEDの現行ラインとの比較は必要です。一方、日本国内でUltra 7Rの在庫が販売されているなら、R値7.1という断熱性能と、495~855gまで選べるサイズ・形状展開は依然として魅力的です。
登山用品
スポンサーリンク

コメント