雪山テント泊の凍える夜、使い捨てカイロを解禁した

以前に「雪山テント泊の凍える夜、プラティパスを湯たんぽにしてみた」という記事を公開しました。

雪山テント泊の凍える夜、プラティパスを湯たんぽにしてみた
初冬の西穂高にて。雪山テント泊の凍える夜。「そんなもんオンナコドモがやることだ」という偏見を捨てて、プラティパスを湯たんぽにしてみました。これまでは水筒(プラティパス、ナルゲンボトル、ペットボトルの再利用)の中身が凍らないように、おそるおそ

プラティパスを湯たんぽにして足元に置いたものの、あまりお湯を熱くしなかったせいもあり、今一つその恩恵を感じられませんでした。結局、内腿にはさんだり、お腹にのせたりするほうが気持ちよかった。

では、肝心のいちばん冷える足元はどうしたか。

これまた「そんなもん子供だましだ」という偏見をいだいていた使い捨てカイロ解禁しました。

インターネットの評判

インターネットで「使い捨てカイロ 雪山」といったキーワードでリサーチすると、あまり評判がよろしくありません。

曰く、

  • 「酸素が薄い高所では発熱しない」
  • 「氷点下では発熱しない」

ただ、どの商品をどのような条件で使用したのか具体的な記載がないことが多い。また、ほとんどが「従来タイプ」の発熱が穏やかな商品を評価しているように見受けられます。

まだ「高温タイプ」を知らない人が多いのかもしれません。私がその存在をクライミング関係のブログで初めて目にしてから、まだ5年くらいしかたっていません。それはAmazonでベストセラー1位になっている「アイリスオーヤマ 屋外専用カイロ 熱々」です。他社からも高温タイプの使い捨てカイロが発売されていますが、私が調べた範囲では最初に発売されたのは「熱々」です。

「従来タイプ」と「高温タイプ」をいくつか挙げますので、その最高温度に注目してください。

従来タイプの使い捨てカイロ

興和新薬 ホッカイロ

  • サイズ:132mm×100mm
  • 最高温度:66度
  • 平均温度:52度
  • 持続時間:20時間

ロッテ ホカロン

  • サイズ:130mm×95mm
  • 最高温度:68度
  • 平均温度:54度
  • 持続時間:20時間

高温タイプの使い捨てカイロ

アイリスオーヤマ 屋外専用カイロ 熱々

  • サイズ:125mm×100mm
  • 最高温度:79度
  • 平均温度:60度
  • 持続時間:8時間
  • 発売開始:2013年9月1日

興和新薬 ヒートチャージャー

桐灰化学 めっちゃ熱いカイロ マグマ

オカモト 貼らないカイロ 快温くんプラス 即暖

※ 持続時間が2時間と短いですが、その最高温度に注目してください。

「オンパックス 極熱」

1回目の使用条件:初冬の西穂高岳

 

 

時期 2017年12月21日~12月22日
場所 西穂山荘のテント場 標高2367m
気温 朝方のテント内  -8℃
使い捨て
カイロ
「興和新薬 ヒートチャージャー」 重量56g/個
シュラフ ISUKAのAir 900 SL Winter Model 重量1410g
シュラフ
カバー
mont-bell ブリーズドライテック サイドジップスリーピングバッグカバー 重量405g
ダウンブーツ mont-bell ベーシック ダウン フットウォーマー 重量114g
マットレス リッジレスト ソーライトS (51×122×1.5cm/R値:2.8) 重量260g
ウールソックス FITS Expedition Boot 重量139g

使用した部位=足裏に2個

上の写真は別の機会に「貼るタイプ」を使用したときのものです。部位は同じで、土踏まずに当たるようにウールソックスとダウンブーツのあいだにはさみました。

「うおぉ、暖かい。いやぁ、なぜこれまで使わなかったんだろう。寒さにふるえる夜をいくつ越えてきたことか」

などと感激しながら、まどろみ、15分、20分。……。ん? あれ?

「熱い!!」

飛び起きました。うわさに聞く低温ヤケドの危険を感じました。「自覚症状がないまま」ではなく、はっきりと危険を自覚しました。

パッケージには「絶対に就寝時には使用しないでください」と記載されています。インターネットでは「ダウンシューズに入れたカイロは酸欠で発熱しない」という評価が見受けられましたが、「興和新薬 ヒートチャージャー」ではそんなことはありません。シュラフカバー、シュラフ、ダウンブーツで三重にカバーされていても、酸素は供給されることが確認できました。むしろ酸素が薄めなので、高温が抑制され、長もちする点が雪山テント泊に適しています。

フリースのグローブを即席のカバーにする

熱をやわらげるために、フリースのグローブをカバーにしました。が、使い捨てカイロはどうやら「熱が熱を呼ぶ」ようです。パッケージには「暖房器具の近くでは絶対に使用しないでください」と記載されているくらいです。足裏に直接感じる熱は若干緩和されましたが、フリースのグローブの内側ではより高温になっている気がしました。

毛細血管が拡張しっぱなし?

翌日、無事登山を終えて、東京へ帰る道すがら、公共交通機関を乗り換えて歩くたびに、なんだか足の裏がジンジンしました。もしかするとこれが低温ヤケドの症状なのでしょうか。ソックスを脱いで確認したところ、見た目には特に問題ありません。低温ヤケドとまではいかないものの、足裏の毛細血管が拡張しっぱなしのような気がしました。二、三日はその感覚が残りました。

次の機会にはよりカバーを厚くするか、むしろ「従来タイプ」を使うほうがよいのではないかと思いました。

2回目の使用条件:厳冬期の八ヶ岳

時期 2018年1月20日~1月21日
場所 行者小屋のテント場 標高2350m
気温 朝方のテント内  -12℃
使い捨て
カイロ
興和新薬 ホッカイロ 衣類に貼るカイロ 重量20g/個
シュラフ mont-bell / U.L.スーパー スパイラルダウンハガー #3 重量600g
シュラフ
カバー
mont-bell ブリーズドライテック サイドジップスリーピングバッグカバー 重量405g
ダウンブーツ mont-bell ベーシック ダウン フットウォーマー 重量114g
マットレス mont-bell フォームパッド 150 (151×51×1.6cm/R値:不明) 重量297g
ウールソックス FITS Expedition Boot 重量139g

「従来タイプ」の衣類に貼る用を使用しました。1個あたり約20gですので、最高温度が下がる(76℃→63℃)だけでなく、熱の総量が下がると思われます。

テントが極薄のシェルターで、シュラフを薄くした影響もありますが、寒くてほとんど眠れませんでした。足裏はほんのり暖かい気がしましたが、安眠を誘うほどではありませんでした。

「もうこの商品を雪山で使うことはないだろう」

と思ったので、10個すべてを体中に貼り付けました。

  • 足裏:左右に1個ずつ
  • 膝がしらの上あたり:左右に1個ずつ
  • 太腿の外側:左右に1個ずつ
  • 背中:縦に並べて2個
  • 肩のうしろ:僧帽筋のあたりに左右1個ずつ

これだけ貼っても暖かいとは感じません。貼ったあたりを手で押さえ付けると肌に熱が伝わってくるのですが、手を離すと熱を感じません。実際にはシュラフ全体の温度をほんのりと底上げしてくれていたにちがいありませんが、恩恵をはっきりと自覚できません。暖かいような冷えるような、ちょうど体温に近い湯船に浸かっている感覚でした。

まとめ

  • 雪山では「高温タイプ」を使うべし。行動中に凍えた手を温めるには力不足かもしれないが、就寝時の保温用には抜群の効果を発揮する。
  • 最高温度が高い「熱々」も試したい。
  • 使い捨てカイロ単体ではなく、寝具(マットレス、シュラフ、シュラフカバー)との組み合わせについても試行錯誤したい。

使い捨てじゃないカイロについては以下の記事をご参照ください。

灰式カイロを登山で使う
2012年頃、灰式カイロを購入しました。gelertブランドのその名もズバリ「ハンドウォーマー」という製品です。寒冷地でカメラを保温するために使う人が多いようです。私は岩場で自分のクライミング動画を撮影する際、デジカメにつないだモバイルバッ

変更履歴

  • 初公開(2018年1月30日)
  • 「「オンパックス 極熱」」を追加しました。(2018年12月18日)
登山装備
Kamiyama Online

コメント

  1. crossroader より:

    こんばんは。最近このブログを見つけて、興味深く拝見させていただいております。
    私もテントで寝ていて足が冷えたことがありますが、ふくらはぎ、足首、土踏まず、足指をマッサージしたら治り、その後も冷えることはありませんでした。寝る時はほぼ脚を伸ばした状態なので血流が阻害されることはなく、一旦血行が戻れば大丈夫なのではないかと思います。今度冷えた時はお試しください。

    • kamiyama より:

      crossroader様、コメントありがとうございます。
      テントに転がり込んでからの身体のメンテナンスが効果的なのですね。何時間も登山靴で締め付けられたあと、足の血行が悪くなっているのでしょうか。厳冬期に北アルプス大縦走した舟生大悟さんは寝袋に包まれながらできる筋トレ(腹筋?)で体を温めたそうです(PEAKS 2017年12月号)。今度試してみます。

  2. crossroader より:

    登山靴の締め付けもあるかもしれませんが、テント内では長時間座りっぱなしなので血行が悪くなるのだと思います。

    • kamiyama より:

      crossroader様、こんばんは。
      シュラフに下半身を入れて、雪を溶かすために片肘ついて上半身をねじった不自然な体勢を長く続けるのも血行にはよろしくないですよね。余裕のある無雪期にはテルモスを足腰の下に敷いてマッサージしたりすることがありますが、膝より下はあまりケアしていませんでした。いろいろ出来ることはありそうです。