残雪の白馬岳を24年後に登る【登頂編】2018年3月27日

前回の記事はこちらです。

残雪の白馬岳を24年後に登る【入山編】2018年3月26日
よもや雪山テント泊の装備を背負って、この栂池ゴンドラリフト「イヴ」に再び乗り込む日が訪れようとは考えもしませんでした。前回訪れたのは24年前です。

天狗原

夜明けに出発しました。

スノーシューの機動力を生かすつもりですが、気温が低い時間帯、しかも急登なので、まずはアイゼンを装着しました。

乗鞍岳

やや南寄りにルートミスした

大斜面の真ん中を登っていきました。が、最後の急登を避けてやや左に寄ったため、2456mピークの南側を巻くようなルート取りになりました。いわゆる三角形の二辺を歩いたため、すこし時間をロスしました。小蓮華山から白馬岳へと続く稜線を望むことができます。

視界が悪い時には迷いやすい地形とルート


コースタイム付き地図はこちら

乗鞍岳の広い山頂もそうですが、視界が悪い時には迷いやすい地形とルートです。

白馬大池側(北側)へ軌道修正すると、いったん白馬岳が見えなくなります。

乗鞍岳2456mピークの北側より

3枚の写真をつなげたので実際と角度がちがって見えるかもしれません。

乗鞍岳から白馬大池山荘へは、無雪期には2469mピークの西側の裾(と言うよりは、白馬大池のフチ)を歩きますが、この日は雪で埋まった白馬大池を横断するようにトレースがついていました。白馬大池山荘で左に折れて、船越ノ頭へ登っていきます。乗鞍岳から船越ノ頭に直登することも可能ですが、雪崩がこわい。

白馬大池山荘

白馬大池山荘は煙突と屋根の一部が露出していました。雪のブロックを積み上げたテント泊の跡が2箇所ありました。トレースはここで直角に折れて、雷鳥坂から船越ノ頭へと登っていきます。

気温が高くなってきました。また、しばらくはゆるやかな雪稜を登るので、スノーシューに履き替えました。

白馬大池山荘→小蓮華山

雷鳥坂

稜線近くになるとかなり急です。体力を節約するためトラバース気味に登ると、スノーシューがスリップしそうな箇所がありました。

ところどころ夏道が露出しています。

船越ノ頭

「船越の頭」に到着しました。ヤマケイオンラインの地図では何故か「船ノ頭」となっています。(※その後修正された模様)

葛藤

この時点でかなり疲労しています。
「小蓮華山まででもいいかな。もっと体力がついたら、また来て、白馬岳を往復しよう」
「おいおい。またっていつだよ。こんな好天のチャンスは二度とないかもしれない。いま頑張らなくて、いつ頑張るんだ」
と葛藤が始まりました。

小蓮華山

小蓮華山に到着しました。最低限のノルマ達成、といったところです。

葛藤は続いています。風が強い、とか、ガスってきた、とかネガティブな要素があれば、ここで折り返していたと思います。が、しかし、今日の一日は、晴天が約束されています。引き返す理由が見つかりません。

スノーシューをデポする

体力を節約するため、スノーシューをここにデポすることにしました。この先、三国境からの登りは急なので、アイゼンに履き替えました。

小蓮華山→白馬岳

自分で自分を騙す

三国境に到着しました。急傾斜の雪壁にトレースが見えます。
葛藤継続中。
「こんな中途半端な折り返し地点はないよな」
こうして、自分で自分を騙しながら先に進みました。

トレッキングポールをピッケルに持ち替える

出発からここまで、ずっとトレッキングポールを突いてきました。急な雪壁を登っている最中に不安を感じました。不安定な体勢のままザックをおろし、サイドに刺したピッケルと持ち替えました。

スケールの大きな「馬ノ背」

急登を登りきると、次のピークがドーム状に盛り上がっています。

地図上「馬ノ背」と呼ばれているのは、このピークの岩場のことでしょうか。通常「馬ノ背」と言うと、馬乗りの体勢で進みたくなるような痩せ尾根を想像しますが、ここは両側が切れ落ちているわけではありません。無雪期に通ったときの記憶も曖昧……というか、記憶に残るほどの印象がありません。

白馬岳にあっては、このたおやかな稜線全体をスケールの大きな「白き馬の背中」に見立てるほうがふさわしい気がします。

ピークを乗っ越すと、山頂は目前です。

雪庇

信州側に雪庇が張り出しています。視界が悪い時には要注意です。

白馬岳

山頂の標識

着いた~。頑張りました。頑張ってよかった。

記念撮影

晴れ晴れとした気分で、剣岳を背景に記念撮影しました。

展望

南東の剣岳方面。

北北西の雪倉岳、朝日岳方面。

北東の小蓮華山方面。

PETZLのGULLYと防寒テムレスも頑張ってくれました。

次の記事はこちらです。

残雪の白馬岳を24年後に登る【下山編】2018年3月27日~28日
まだ明けきらぬ「ホテル天狗原」。ポールが一箇所ひん曲がっています。このテントを買ってから20年以上が立ちました。「天狗原に泊まることはもうないかもしれない。このコースを登るのは最後かもしれない」またいつか来る日のために、気楽に「再見」。
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