2023年春夏シーズンに登場したサーマレストの「ネオエアー XサーモNXT」が山岳用マットレスの新次元を切り開きました。
これまではダウンマットと重量面、断熱/保温性能で拮抗していましたが、この新モデルによって頭ひとつ抜きん出ました。
- 重量はほぼ変わらない。(レギュラーモデルで9g増加)
- 厚みが6.4cmから7.6cmに増加した。
- R値が6.9から7.3に向上した。
- アルミ反射板のカサカサ・パリパリ音がほぼ気にならない程度まで抑えられた。
このたび購入にいたりましたので、詳細な写真とレビューをお届けします。
「ネオエアー XサーモNXT」開梱の儀
外箱
円筒形にたたまれた本体
「ネオエアー XサーモNXT」のマットレス本体は青みがかった灰色です。(旧モデルは黄色)
巻物をひろげると、マットレスは縦長に三つ折りにされており、内側に
- 「灰色のポンプサック」
- 「ウイングロックバルブについていの説明書(英語)」
がくるまれています。
バルブの注意書き
「ネオエアー XサーモNXT」本体のバルブには注意書きがぶら下がっています。
翻訳してみました。
窒息の危険性
- 幼児が膨張式マットレスで窒息したことがあります。15か月以下の乳児をインフレータブルマットレスの上に寝かせることは絶対にやめてください。
- 生後15か月以上のお子様が使用する場合:
- 挟み込みを避けるため、マットレスと壁、ドレッサー、またはその他の垂直な物体との間に少なくとも肩幅のスペースを設けてください。
- 使用中はマットレスを常に完全に膨らませた状態にしてください。
取扱説明書
リペアキット
ポンプサック
付属のポンプサックの作りは、
- 口はドローコードによる巾着式である。
- 薄手のナイロン素材。特に生地が極薄なわけではない。
- 内面のコーティングはされていない。
- 縫い目のシーリングはされていない。
という具合で、ごく普通のスタッフサックに「バルブ接続用の樹脂製パーツ」を付けただけの代物です。
「ネオエアー XサーモNXT」使い方、コツ
マットレスに空気を入れる
バルブを開く
ウイングロックが「楕円形の土台」に沿った位置にある(逆流防止弁が閉じている)ことを確認します。
バルブを反時計回りにまわして開きます。カチッ、カチッと2段階、引っかかるポイントがあります。
ポンプサックとウイングロックバルブを連結する
ポンプサックのキャップを開きます。
真っすぐ嵌め込もうとすると、弾かれやすいです。 「バルブの円筒」と「ポンプサックの輪」のどこか一箇所を斜めに合わせたのち、片開きのフタを閉めるように全体を押し込むと、パチッと音がして嵌まります。
取り外す時も同様。片開きのフタを開くように、斜めに引き上げると、パチッと音がして外れます。
ひとつ気になるのは、マットレスに埋め込まれたウイングロックバルブの土台が角張っていること。ポンプサックと連結するとき、裏側から強く押すと、生地に鋭角の負荷がかかります。長年繰り返すうちに穴が空きはしないでしょうか。気になる人は、土台の側面だけを指で包み込むように保持して、ポンプサックを連結すると良いでしょう。
マットレスに空気を送り込んで膨らます
ポンプサック自体に使用法が描かれています。
使い方はズバリ、公式のYouTube動画をご覧ください。
ポンプサックの口から少し離れた位置から息を吹き込みます。
NEMOのポンプサックの説明には《15cm程度離れた所から強めに息を吹くと、周囲の空気を巻き込んで口から吹いた量の10倍以上の空気がポンプ内に送り込まれます。》と記載されています。
ポンプサックの口をぐしゃっと握りつぶして押し込む大雑把なやり方でも、8~10回繰り返すとマットレスがパンパンに膨らみました。公式の動画のように丁寧に細かく巻きこみ、最後の最後まで空気を押し出せば、もっと少ない回数で済むでしょう。
バルブを閉じる
マットレスが十分に膨らんだら、バルブを時計回りにまわして閉じます。ウイングロックを閉じていれば空気が逆流しないので、慌てふためいて閉じる必要はありません。
マットレスの硬さを調整する
寝そべるとすぐに、マットレスと接している背中や腰がほんのり温かくなります。熱反射板の威力おそるべし。
マットレスをパンパンに膨らませすぎると、身体が接触する面積が少なく、浮遊感をおぼえて落ち着かないかもしれません。
そんなときは次の手順で少し空気を抜いてください。
- バルブを開く。
- ウイングロックを少し開いて空気を抜く。
- 好みの硬さになったらウイングロックを閉じる。
- バルブを閉める。
すこし身体が沈み、安定感が増します。
マットレスから空気を抜く
ウイングロックを開く
ウイングロックを反時計回り(ツマミに刻まれた矢印の方向)に回すと、逆流防止弁が開きます。
バルブを開く
さらにバルブを反時計回りにまわして開くと、空気が吹き出します。
マットレスを巻く
筆者のルーティンを紹介します。
- 足側から頭側に向けて、匍匐前進の姿勢で、前腕でしごくように空気を押し出す。
- 三つ折りにして、再度、前腕でしごくように空気を押し出す。
- 足側から頭側に向けて、小さく丸める。雪山テント泊の撤収時はマットレスがきんきんに冷え、霜にまみれているので、手にテムレスを嵌めるとよい。
- 丸め切ったら、ウイングロックを閉じ、バルブを閉じます。
マットレスとポンプサックをスタッフサックに収納する
紺色のスタッフサックはサイズにゆとりがあり、丸めたマットレスとポンプサックを容易に収納できます。
枕について
純正の枕はこちら。
マットレス本体に直接乗せるとズレ落ちやすいので、寝袋のなかに入れるほうが安定するでしょう。
筆者はこんな裏技を使います。
フルサイズのマットレスなら、マットレス頭部の下に登山靴を敷けばよろしいかと。
まとめ
筆者はダウンマットを長年愛用してきました。
サーマレストの「ネオエアー Xサーモ」シリーズを横目で見て、「カサカサ・パリパリ音が気になるなぁ。ダウンマットとR値は互角だし、わざわざ買い替えるまでもない」と考えていました。
2023年2月の雪山テント泊で、虎の子のダウンマットがついに空気漏れを起こしました。「修理しても一時しのぎだろう」と考え、クローズドセルのマットを試していた矢先、「ネオエアー XサーモNXT」が発売されました。
実際に使用して、予想外に感激したのは、空気の排出が爆速なところです。ダウンマットだと、ダウンの復元力が働くため、やや空気を抜きにくいんですよね。
と言いながら、ダウンマットにも引き続き頑張ってほしい。フィルパワーを高めて、また抜きつ抜かれつの性能合戦をくりひろげて欲しいものです。
山岳用マットレスについては、こちらの記事もご参照ください。
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