最果ての忘れ物~残雪の利尻山【下山編】2018年4月19日

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最果ての忘れ物~残雪の利尻山【登頂編】2018年4月19日
東稜の難所が気にかかるせいか寝付かれませんでした。ほとんど寝た気がしないうちに窓の外が明るくなりました。5時半に車で迎えに来てもらい、6時前にはヤムナイ川を横断する地点に到着する計画です。すでに作戦ミスしている感があります。

孤立無援、無防備

この日の登頂者は私を含めて4人(たぶん)。

ほかのお三方はスノーボードやスキーを駆使して、とっくに下山したはずです。いま利尻山で雲海の上にいるのは私ひとり。

最果ての絶頂で、孤立無援、無防備。この非日常的な感覚をしばらく味わいました。

展望


本峰に続く足跡が見えます。もし東稜を登っていたら、あそこから歩いてくることになります。


東北稜にはギョッと目を引く針峰が見えます。「三本槍」です。

利尻山のあちこちにニョキニョキと針峰が生えていますが、標高が二千メートル以下のためか灌木をまとっていることが多い。岩峰なのに有機生命体のような雰囲気があります。映画「マトリックス」に出てくる敵の偵察機を思い出します。「三本槍」は例外で、硬く無機質な鉱物のようです。


西側を見下ろしました。沓形稜だと思われます。

北峰→利尻岳避難小屋


往路を引き返します。長官山がはるか遠い。


九合目付近まで下りてきました。このあたりでピッケルをトレッキングポールに持ち替えました。


影が長くなりました。


利尻岳避難小屋まで戻ってきました。

最後の登り返しと、長い下山が待っています。残っていたオニギリを食べました。

利尻岳避難小屋→利尻北麓野営場


125?mピークへ登り返します。


125?mピークから利尻山を振り返りました。


125?mピークから長官山、第二見晴台へと続く下山路を見下ろしました。

ガスに巻かれると、迷いやすそうな地形です。長官山から直進する尾根に入らないように気を付ける必要があります。やや左折します。


逆に、第二見晴台からは左の尾根に入り込まないように注意する必要があります。


どちらかと言うと、直進するイメージです。

左の尾根は、登頂編で「第二見晴台から落ちる支尾根を登れそうな気もしますが」と書いた尾根です。


再掲


足元から「雪まくり」がコロコロ落ちました。


灌木帯を下りていきます。朝と比較して特に雪が緩くなった感じはしませんが、やはり下りの加重のせいで、ときどきズボッと潜ります。


第一見晴台は完全に地面が露出しています。


第一見晴台の下に広がるハイマツ帯は左側の締まった雪面へ迂回しました。


登りでは左側の沢をある程度詰めてから尾根に上がりました。下りでは尾根(夏道)をたどることにします。このあたりも支尾根に入り込まないように注意しました。


尾根筋は樹木がなく、雪もよく締まっていました。これなら登りで沢筋のスキー跡を追わず、早めに尾根に上がったほうが快適ではないかと思いました。


うっすらとスキーやスノーシューらしき跡が残っていましたが、ときどき見失います。ガスが湧いてくると、心細くなりました。

スマホのGPS(YAMAP)で現在位置を確認しながら進みました。ほぼ夏道沿いに歩いたと思います。

GPS利用については先鋭的な登山家や冒険家からネガティブな意見が聞かれます。角幡唯介さんが「極夜行」に出かける前、BE-PALの連載でよくGPSのことを書かれていました。私は、うんうん、まったくそのとおりだ、と思っていました。が、いざ自分が雪山に復帰してみると、次第にGPSを頼りにするようになりました。その是非はともかく、遭難原因のトップである「道迷い」を大幅に減らす強力な武器になることは間違いありません。GPS専用機でなくても、スマホのGPSでも十分に役に立ちます。


このあたりが甘露泉水かと思いましたが、ドボンしたくなかったので近づきませんでした。

利尻北麓野営場まで5分くらいの場所から、宿のご主人に電話をかけて、迎えにきてもらいました。

帰還


セイコーマートで飲み物や食べ物を買い込みました。特に飲み物。ゴクゴク飲みました。いくらでも飲めました。

計画通りに登山を完遂し、明日は丸一日予備日です。リゾートモードでのんびり過ごします。

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最果ての忘れ物~残雪の利尻山【リゾート編】2018年4月20日~21日
貧乏学生の頃、山から下りたあと観光地を訪ねることを「リゾート(resort)」と呼びました。資金が乏しいため、できることは限られています。ホテルや旅館やペンションに泊まるわけではなく、相も変わらずテントに泊まり、余った行動食で食いつなぎながら、景勝地に足を延ばしました。
活動記録

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