最果ての忘れ物~残雪の利尻山【登頂編】2018年4月19日

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最果ての忘れ物~残雪の利尻山【フェリー・旅館編】2018年4月18日
外海に出ていきます。行く手の利尻島を見たかったのですが、乗船客が出入りできるのは船の側面と背面だけ。船首側の2等室は進行方向に窓があるものの甲板の設備に遮られています。飛行機から利尻山をチラ見せしておいて、気をもたせるのは神様の粋な采配か。

作戦ミス


東稜の難所が気にかかるせいか寝付かれませんでした。ほとんど寝た気がしないうちに窓の外が明るくなりました。この時期、4時半にはヘッドランプなしで問題なく行動できるくらい明るい。

5時半に車で迎えに来てもらい、6時前にはヤムナイ川を横断する地点(標高247m)に到着する計画です。さすがに4時に迎えに来て欲しいとは頼めませんでした。が、しかし、この明るさを見ると、すでに作戦ミスしている感があります。東稜を目指すなら、徒歩で出発するべきでした。

 

「登山天気」の登山指数はAですが、西側からガスが押し寄せているのが気がかりです。

  • 睡眠不足
  • 出発の遅れ
  • 天候(ガス)の不安

これらを考え合わせて、東稜を中止。北稜からの往復に切り替えました。


朝食のかわりにオニギリ弁当を用意していただきました。

利尻北麓野営場


鴛泊登山口まで20km以上をすっ飛ばしてもらいました。駐車場のあたりまで問題なくアプローチできました。

樹林帯→沢筋の登路


キャンプ場の雪の上にゴアライトテントが設営されています。樹林帯を1時間ほど登った場所でも黄色いテントを見かけました。


夏道は雪に埋もれています。適当にスキー跡をたどっていくと偶然、乙女橋の脇を通りました。


中部山岳、たとえば甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根であれば、木に巻かれた赤布をたどれば正しいルートから外れることはありません。一時的に見失っても、ちょっと探せば、必ず次の赤布が見つかります。

しかし、利尻山の鴛泊コースでは「乙女橋の赤布」、上の写真の「黄色いテープ」、「第一見晴台付近のハイマツにちょこんと巻かれた赤テープ」しか見かけませんでした。

樹林帯で見晴らしがきかないため、正しい方向に進んでいるのか不安でした。


夏道は尾根筋に付いていますが、スキー跡をたどって、広い沢筋を詰めていきました。やっと稜線の一部が見えました。


樹林帯を抜けて、ひらけた場所に出ました。


そろそろ夏道(尾根筋)に上がったほうがよさそうです。さらに詰めて、第二見晴台から落ちる支尾根を登れそうな気もしますが、先行する足跡は途中で引き返して、左側の急斜面を上がっていました。


だいたいこのあたりです。


ダケカンバの疎林を縫うようにして、急斜面を登りました。


尾根筋に出ました。

第一見晴台


第一見晴台はとくに高台ではなく、ハイマツ帯のなかにポカリと小広く整地された場所でした。ハイマツのなかに夏道らしき切り開きがありますが、潜りやすいので、西斜面側の締まった雪面を歩くほうがよいでしょう。

第二見晴台


第二見晴台に到着しました。

かなり疲れてきました。葛藤が始まります。

「長官山で利尻山を眺めて引き返しても十分かな」

長官山の稜線に謎の標柱が見えます。三角点があるような場所ではないし、顕著なピークではないし、いったい何だろう。

長官山


長官山の稜線に登り着き、利尻山と対面しました。500mくらいの高距でそびえています。写真ではコンパクトに見えますが、肉眼では絶望的な高さに見えました。


稜線の前方に、長官山の石碑、謎の標柱、125?mピークが見えます。


長官山の石碑の近影。


謎の標柱の正体は、スキーの板でした。持ち主は山頂を往復されているようです。あとですれちがった方だと思います。

125?mピークに2人の人影が出現しました。山頂を往復して、これからスノーボードで滑走されるようです。札幌から来られたとのこと。樹林帯に設営されていた黄色いテントの主でした。

すでに正午。これから山頂を往復すると、安全登山のセオリーから外れた時間帯に行動することになります。私はなかば諦めていたのですが、アクティブなお二人と言葉を交わすうちにモチベーションが復活してきました。

「こんな最果ての地に宿題を残してなるものか」

利尻岳避難小屋(長官小屋)


利尻岳避難小屋まで降りてきました。ここは「長官小屋」とも呼ばれています。2階の扉は露出していました。オニギリを1個食べて、エネルギー補給しました。

最後の登路、2時間


単独行の男性(黒い点)が下山してくるのとすれちがいました。


登路は氷雪のマッシュルームの間へ続いています。


ここが氷雪のマッシュルーム(勝手にそう呼ぶことにしました)の間です。


氷雪のマッシュルームを抜けると、まだまだ登路は続いています。奥の丸い稜線が山頂かと思いきや、もう少し先です。


あと少し。稜線が狭くなってきました。ローソク岩の頭がちょこんと見えます。


今度こそ山頂です。写真で見た風景が近づいてきました。

登頂


利尻山の北峰(1719m)に登頂しました。手前の雪面にピントが合っているのが無念です。


念のためYAMAPの地図で現在位置を確認しました。

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最果ての忘れ物~残雪の利尻山【下山編】2018年4月19日
この日の登頂者は私を含めて4人。ほかのお三方はスノーボードやスキーを駆使して、とっくに下山したはずです。いま利尻山で雲海の上にいるのは私ひとり。最果ての絶頂で、孤立無援、無防備。この非日常的な感覚をしばらく味わいました。
活動記録

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