こちらの記事から続きます。
作戦ミス
東稜の難所が気にかかるせいか寝付かれませんでした。ほとんど寝た気がしないうちに窓の外が明るくなりました。この時期、4時半にはヘッドランプなしで問題なく行動できるくらい明るい。
5時半に車で迎えに来てもらい、6時前にはヤムナイ川を横断する地点(標高247m)に到着する計画です。さすがに4時に迎えに来て欲しいとは頼めませんでした。が、しかし、この明るさを見ると、すでに作戦ミスしている感があります。東稜を目指すなら、徒歩で出発するべきでした。
「登山天気」の登山指数はAですが、西側からガスが押し寄せているのが気がかりです。
- 睡眠不足
- 出発の遅れ
- 天候(ガス)の不安
これらを考え合わせて、東稜を中止。北稜からの往復に切り替えました。
利尻北麓野営場
鴛泊登山口まで20km以上をすっ飛ばしてもらいました。駐車場のあたりまで問題なくアプローチできました。
樹林帯→沢筋の登路
キャンプ場の雪の上にゴアライトテントが設営されています。樹林帯を1時間ほど登った場所でも黄色いテントを見かけました。
夏道は雪に埋もれています。適当にスキー跡をたどっていくと偶然、乙女橋の脇を通りました。
中部山岳、たとえば甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根であれば、木に巻かれた赤布をたどれば正しいルートから外れることはありません。一時的に見失っても、ちょっと探せば、必ず次の赤布が見つかります。
しかし、利尻山の鴛泊コースでは「乙女橋の赤布」、上の写真の「黄色いテープ」、「第一見晴台付近のハイマツにちょこんと巻かれた赤テープ」しか見かけませんでした。
樹林帯で見晴らしがきかないため、正しい方向に進んでいるのか不安でした。
夏道は尾根筋に付いていますが、スキー跡をたどって、広い沢筋を詰めていきました。やっと稜線の一部が見えました。
そろそろ夏道(尾根筋)に上がったほうがよさそうです。さらに詰めて、第二見晴台から落ちる支尾根を登れそうな気もしますが、先行する足跡は途中で引き返して、左側の急斜面を上がっていました。
第一見晴台
第一見晴台はとくに高台ではなく、ハイマツ帯のなかにポカリと小広く整地された場所でした。ハイマツのなかに夏道らしき切り開きがありますが、潜りやすいので、西斜面側の締まった雪面を歩くほうがよいでしょう。
第二見晴台
かなり疲れてきました。葛藤が始まります。
「長官山で利尻山を眺めて引き返しても十分かな」
長官山の稜線に謎の標柱が見えます。三角点があるような場所ではないし、顕著なピークではないし、いったい何だろう。
長官山
長官山の稜線に登り着き、利尻山と対面しました。500mくらいの高距でそびえています。写真ではコンパクトに見えますが、肉眼では絶望的な高さに見えました。
稜線の前方に、長官山の石碑、謎の標柱、125?mピークが見えます。
謎の標柱の正体は、スキーの板でした。持ち主は山頂を往復されているようです。あとですれちがった方だと思います。
125?mピークに2人の人影が出現しました。山頂を往復して、これからスノーボードで滑走されるようです。札幌から来られたとのこと。樹林帯に設営されていた黄色いテントの主でした。
すでに正午。これから山頂を往復すると、安全登山のセオリーから外れた時間帯に行動することになります。私はなかば諦めていたのですが、アクティブなお二人と言葉を交わすうちにモチベーションが復活してきました。
「こんな最果ての地に宿題を残してなるものか」
利尻岳避難小屋(長官小屋)
利尻岳避難小屋まで降りてきました。ここは「長官小屋」とも呼ばれています。2階の扉は露出していました。オニギリを1個食べて、エネルギー補給しました。
最後の登路、2時間
ここが氷雪のマッシュルーム(勝手にそう呼ぶことにしました)の間です。
氷雪のマッシュルームを抜けると、まだまだ登路は続いています。奥の丸い稜線が山頂かと思いきや、もう少し先です。
あと少し。稜線が狭くなってきました。ローソク岩の頭がちょこんと見えます。
登頂
利尻山の北峰(1719m)に登頂しました。手前の雪面にピントが合っているのが無念です。
こちらの記事に続きます。
コメント