
お気に入りのダウンジャケットに、後から撥水性を加えられるでしょうか。
洗濯を済ませたダウンジャケットに、ニクワックスの「ダウンプルーフ」で漬け込み式の撥水処理を行い、乾燥させた様子を紹介します。撥水剤と水の量、すすぎ・脱水、羽毛の膨らみを戻す乾燥方法、処理後の水の弾き方を、実践写真とともに整理します。
使用量を減らしたり、すすぎを省いたりする独自の方法も試しました。その結果を記録しつつ、現在すすめる手順とは区別して説明します。作業するときは、手元の撥水剤の使用説明と、ダウン製品の洗濯表示・メーカーの手入れ方法を優先してください。
ニクワックス・ダウンプルーフの使用量と水量
撥水剤は素直に洗剤と同ブランドの「NIKWAX TX.10 ダウンプルーフ」を利用します。
撥水効果を得られる最低限の濃度は150ml/18ℓ
一着当たりの温水の量が18ℓを越えないようにしてください。一着当たりキャップ3杯(150ml)のダウンプルーフを入れてください。
「18ℓを越えないように」とは、これ以上水を増やして、撥水剤が薄くなると、効果が得られないという意味に解釈できます。
300gのダウンジャケットを6ℓの水に浸す

2リットルのペットボトルで3杯の水を投入しました。
2リットルのペットボトルで測りながら水を注ぎました。4リットル注いだところで、ほぼダウンジャケット全体が水に浸かりました。もう1杯注ぎ、合計6リットルの水に浸しました。
使用説明にはお湯を使うように書かれていましたが、うっかり水を使ってしまいました。水だと効果が薄いのでしょうか。その分、長い時間、撥水剤に浸すことにします。
キャップ1杯(50ml)の撥水剤を投入する

キャップ1杯(50ml)の撥水剤を投入しました。
都合、50ml/6ℓですので、最低限の濃度である150ml/18ℓと同等です。
より高い撥水効果を得るには、撥水剤の量を増やせばよいのですが、濃すぎるとNIKWAXの主成分(白色)が表面に残って色むらに仕上がるそうです。
今回は初めてなので、最低限の濃度としました。その代わりに撥水効果を高めるための独自の手順(後述)を取り入れます。
ダウンジャケットを撥水液に浸す――自己流の漬け込み方法

ペットボトルを重石にして小一時間浸しました。
2リットルのペットボトルは水を計量するだけではなく、ダウンジャケットを撥水剤に浸すための重石としても利用できます。
撥水処理後のすすぎと脱水――省略した経験から
撥水剤に浸した後の行程として、使用説明には以下の記載があります。
水が濁らなくなるまでよくすすぎます。
ここまで撥水剤の濃度に留意してきましたが、定量的な記載がないので悩みます。あまりに念入りにすすぐと、せっかくダウンジャケットに付着した撥水剤がとれてしまうのではないでしょうか。
ここで独自の手順を取り入れます。
- まったくすすがない。
- 洗濯機で1分間脱水して、余分な水分や撥水剤を取り除く。
撥水剤の量を最低限とする代わりに、「すすぎ」を省略して、撥水剤の残留を最大限にします。最小のコストで最大のパフォーマンスを得る作戦ですが、吉と出るか凶と出るか自己責任の世界です。
ダウンジャケットを乾燥させ、ロフトを戻す

コインランドリーで20分間乾燥しました。
「風通しのよい日陰に平置きして自然乾燥を待つ」方法は試したことがありません。長時間、濡れたダウンを放置すると、虫が寄ってきたり、匂いが付いたりしそうです。雨の心配がなければ、ダウンジャケットを裏返して、日なたに干すとよいかもしれません。
テニスボールをいっしょに投入すると効果的

テニスボールはマッサージにも利用できます。
自宅に乾燥機がないのでコインランドリーに出かけました。テニスボールをいっしょに投入すると、ダウンを叩いて、ロフトの回復を促進してくれます。ただしゴンゴン音がするのがちょっと気になります。

ちなみにこのテニスボールは乾燥機のために用意したわけではありません。普段テニスを楽しんでいるわけでもありません。もっぱらマッサージに利用しています。あおむけに寝転がって、臀部のへこみに下敷きにしてグリグリすると、とても気持ちが良い。背骨の両脇に沿って転がすのも良いです。
ヘアドライヤーで仕上げに乾かす

ヘアドライヤーで仕上げに乾かしました。
20分程度乾燥機にかけたくらいでは十分に乾きません。ヘアドライヤーで仕上げに乾かします。
※生地を熱で痛めるおそれがあるので、自己責任です。
ダウンジャケットを手に乗せ、下からポンポン突き上げながら、上から温風を当てると効果的です。
ポケットに吹き込むと、行き場をなくした温風がダウンジャケットの内部によく浸透します。なので前身頃は乾きやすい。袖の中に吹き込むのも効果的です。
すすぎの行程を省略したのでどうなるのか心配しましたが、乾燥後の風合いは変わりませんでした。
セラミックファンヒーターで乾かす

ドライヤーで乾かすには根気が必要です。セラミックファンヒーターの吹出口に平置きして数時間放置するとラクチンです。
※ファンヒーターのメーカーはこうした用途を推奨していません。控えめの温度設定で、目の届く場所でおこないました。
ダマが残っても、仕上げの乾燥を急がない
室内に一昼夜置いておくと、ダマがほぐれ、気室全体に羽毛が広がっていました。内部に残っていた湿気が、その間に抜けたのかもしれません。
ある程度乾いた後は、その場で完璧に仕上げようとするよりも、風通しのよい室内で仕上げの乾燥時間を取るほうがよいと感じました。
ただし、一昼夜で必ず乾くという意味ではありません。羽毛の量や室温・湿度によって乾燥時間は変わるので、内部まで十分に乾いたことを確認してから保管します。
撥水加工の効果を確認――表面の水の弾き方

ダウンジャケットに水をこぼすと、丸い水玉になりました。

下から軽くはたくと水滴が落ちました。細かい水滴が残っています。

両肩をもってバサバサ振ると、細かい水滴も落ちました。
ダウンジャケット表面の撥水性は申し分ありません。
撥水剤の濃度を変えた結果――白い跡が残った事例
街着にしているアウトドアリサーチの「Transcendent Down Sweaters」で撥水処理を試しました。

アウトドアリサーチのダウンジャケット(撥水処理前)
撥水処理前は、水をこぼし、払い落すと、べっとり水の跡が残る状態でした。
撥水剤を濃い目(撥水剤50ml/水4ℓ)にして撥水処理しました。

乾燥後は部分的に白く粉をふいたようになりました。
濡れタオルで拭きましたが、完全に除去することはできませんでした。

アウトドアリサーチのダウンジャケット(撥水処理後その1)
撥水処理後は、水をこぼすと、よく水を弾くようになりました。が、マーモットのダウンジャケットほどはきれいに弾きません。

アウトドアリサーチのダウンジャケット(撥水処理後その2)
バサバサ振っても、細かい水滴が残ります。
アウトドアリサーチのダウンジャケットは艶消しの生地なので、もともと撥水しにくいようです。
まとめ――使用説明に沿って撥水・乾燥する
- 300g程度のダウンジャケット(830フィルパワー)
- 濃度=撥水剤50ml/水6ℓ
- すすぎを省略する
これなら撥水剤を節約しつつ、風合いを変えずに、十分な撥水効果を得ることができます。濃度を上げると、部分的に白く粉を拭くことがあります。
ダウンジャケットのボリュームや生地の性質によって変動するはずですので、あくまでひとつの事例として参考にしてください。
仕上げの撥水スプレーと、ロフトをつぶさない保管
ダウンプルーフは表地にも作用するため、追加の撥水処理が必ず必要なわけではありません。水が染み込みやすい部分が残る場合は、生地に適合するスプレー式の撥水剤で補います。
スプレーが処理するのは、基本的にシェルの表面です。内部の羽毛まで撥水加工したことにはなりません。また、濡れた状態で使う製品と、乾燥後に使う製品があるので、使用説明に従って塗布し、指定された乾燥・仕上げを行います。
保管するときは、内部の羽毛まで十分に乾かし、膨らみをつぶさないことが大切です。ジャケットはハンガーに掛けるか、通気性のよい大きめの袋にゆったり入れ、湿気の少ない場所にしまいます。寝袋も同様に、余裕のある保管袋を使います。
小さなスタッフバッグは山へ持ち運ぶためのもの。長期間ぎゅうぎゅうに詰めたままにせず、次の山行までは羽毛をふんわり休ませておきましょう。
その他、ダウンジャケット関連の記事もご参照ください。








コメント
はじめまして
寝袋は洗ったことがあるのですが、当時撥水処理剤などというものはありませんでしたので勉強になりました。
説明書にすすぎがあるのは、あまり濃度が高いままだと、ダウンの膨らみが問題となるのかもしれませんね。
すすぎ一回ぐらいで試してみたいと思います。
御茶ノ水817様、コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり、すすぎなしはやり過ぎだった気がしています。私も次の機会には1回すすぎます。