撥水処理する前に汚れをきれいに落とします。そうしないと、撥水剤が定着しにくかったり、下手をすると汚れの上に撥水処理されてしまい汚れが落ちにくくなります。
「リサーチ篇」からの続きです。
洗剤選び
NIKWAX LOFT ダウンウォッシュ
使いかけの「NIKWAX LOFT ダウンウォッシュ」が手元にあります。
この商品、現在は製造中止になっているようです。イギリスの本家NIKWAXでも輸入販売元のEVERNEWでも製品リストに見当たりません。
成分表示をみると、「純石けん分(17%脂肪酸カリウム)」となっています。あれ? これって一般の液体石鹸と同じ成分で、濃度がちがうだけではないでしょうか。「防水・撥水能力をよみがえらせ」と記載されているので、なにか撥水成分が含まれていると思い込んでいました。どうやら皮脂などの汚れを洗浄すれば、もともと製品にほどこされていた撥水性能が結果的によみがえるという意味のようです。
NIKWAX ダウンウォッシュダイレクト
後継商品とも言える「NIKWAX ダウンウォッシュダイレクト」の成分は
界面活性剤(11.4%アルキルグルコシド、5.7%純石けん分(脂肪酸ナトリウム))、水軟化剤(炭酸塩)
と表示されています。
純石けん成分の濃度が低くなっていますが、脂肪酸ナトリウムは脂肪酸カリウムより洗浄力が強いとされています。炭酸塩は洗濯液のアルカリ性を保ち、石鹸カスの発生を抑制する成分です。アルキルグルコシドは合成界面活性剤に分類される成分です。
一定の洗浄力を保ちつつ、石鹸カスの発生を抑えるコンセプトがうかがえます。
輸入販売元に問い合わせたところ、撥水効果のある成分が微量含まれているそうです。Amazonの説明画像には「”Tx.10i” -NIKWAX開発の特許成分(撥水ポリマー)」の文言が見えるので、「NIKWAX TX.10 ダウンプルーフ」(撥水剤)と同じ成分が含まれているようです。
液体石鹸
「無添加せっけん泡のボディソープ 5000ml」が手元にあり、シャンプーや台所洗剤として使い回しています。石鹸成分の濃度は約30%らしいので薄めて使えそうです。
洗濯のプロと言える方達がダウンジャケットを石鹸で洗う手順を公開されています。
- 洗濯のプロが伝授。ダウンウェアを自宅で洗う方法
生地の汚れを固形石鹸で直接こするあたりが目からウロコです。固形石鹸は液体石鹸より洗浄力が強いので、生地の汚れを落とすには効率がよい。生地は羽毛とちがって脂分を落としすぎる心配はありません。 - エスケー石鹸社長が直伝 「ダウンジャケットを家庭で洗う」
その他、有力なブランド製品「Grangersダウンウォッシュ」などがありますが、今回は素直に手持ちの「NIKWAX LOFT ダウンウォッシュ」を使います。これがなくなったら、液体石鹸を試します。
対象のダウン製品
マーモットのトランスダウンジャケット(MJD-F1013)です。2012年夏頃、前シーズンの型落ち品を購入しました。830フィルパワーの高品質ダウンを採用しています。現行モデルとちがいナポレオンポケット(胸の縦ファスナーポケット)を備えています。渋めの赤と黒のツートンカラーが珍しい。過去に2~3回、洗濯しました。撥水処理をしたことはありません。
手洗い可能か確認
オケに水をためたマークがあればOK。文字の意味は以下の通りです。
- 「手洗イ」 → 手洗い可能
- 「30」 → 30℃のぬるま湯
- 「中性」 → 中性洗剤
洗濯表示の詳細は以下のリンクを参考にしてください。
襟や袖口など黒ずんだ汚れを洗剤の原液でこする
全体を洗う前に、襟や袖口などピンポイントの汚れを洗剤の原液をこすりつけて落とします。スポンジに含ませるやり方だと、原液がすぐに垂れ落ちてしまうので、やや効率が悪い気がしました。次の機会には前出の「固形石鹸で直接こする」方法を試したいです。
浴槽で手洗いする
洗剤を節約する
ふだんの入浴時の設定温度(39℃)のお湯を浴槽にためました。通常の推奨温度(30℃)より熱いですが、その代わりに洗剤を少なめ(キャップ1杯分=50ml)にするという節約モードです。
足で押し洗いするとラクチン
浴槽に腰かけて足でじゃぶじゃぶ押し洗いすると楽です。生地の薄いダウンジャケットでは、体重をかけすぎて繊細な縫製を引きちぎらないように注意してください。
たっぷりの水でしっかりすすぐ
お湯を抜いて、ため直して、洗う。これを3回くらい繰り返します。
ダウンのふくらみがなくなると、ずいぶん小さくなります。大きさの比較用にNIKWAXのボトルをいっしょに入れました。
これで洗濯の行程は終了です。「撥水処理篇」に続きます。
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