登山で羽毛製品を圧縮・防水する画期的な方法

登山でテント泊するならシュラフ(寝袋)が必需品です。

雪山なら保温性を重視して羽毛製品を選択します。さらに下半身や足先の冷えを防止するために羽毛パンツ、羽毛ブーツを携行します。これらは行動中には使わないのでザックの底にコンパクトに収納する必要があります。

そのために私が採用していた従来の方法と、最近知った個人的には画期的な方法を紹介します。

登山で羽毛製品を圧縮・防水する従来の方法

羽毛製品を付属のスタッフバッグにまじめに詰め込むと、個々のアイテムはコンパクトになります。しかし、ザックの底に押し込もうとすると、円柱形のスタッフバッグが互いに反発し合い、おとなしく収まってくれません。

大きめのスタッフバッグを1つ用意して、羽毛製品をまとめて詰め込んでザックの底に押し込み、他の装備の重みで自然と圧縮するのが従来の方法です。

写真の上段は左から順に

です。10リットルくらいのスタッフバッグにゆったりと収納できます。スリーピングバッグカバー(シュラフカバー)は羽毛製品ではありませんが、やはり行動中には使わないので、同じように扱うことが多いです。

さて、防水はどうするか。シルナイロン製の軽量なドライサックを使うのが一般的ですが、私は45リットルくらいのポリ袋を利用します。前処理として1つのスタッフバッグにまとめたとしても、羽毛製品というやつは膨らもう膨らもうとする力が強いので、空気を抜きながら口を引き解け結びをするのが大変です。スタッフバッグを省略して、直接ポリ袋に詰めてみればわかりますが、あちらを押せばこちらが膨らみ、こちらを押せばあちらが膨らみ、もぐら叩きのように収拾がつかなくなります。

登山で羽毛製品を圧縮・防水する画期的な方法

別の記事でテントを収納するのにポリ袋が便利だと書きました。

すると、「衣類圧縮袋が便利ですよ」というコメントをいただきました。しかも100均の商品で十分に実用的らしい。100均の店舗に行っても、衣類圧縮袋が置かれているコーナーは自分に縁がないと素通りしてきました。真空掃除機を利用して布団圧縮袋の空気を抜く映像が頭に残っていたせいです。真空掃除機なんて登山に持ち込めるわけがありません。しかし衣類圧縮袋というやつは手で巻くようにして空気を抜けるらしい。

衣類圧縮袋のパッケージ

衣類圧縮袋のパッケージ

DAISOで「ミニバルブ式圧縮袋」(幅50×高さ70cm)という商品を買ってきました。

短辺が二重のファスナーになっています。「大きなジップロック」と言っていいでしょう。ジップロックと異なるのは、反対側に空気抜き用のバルブが付いていることです。

重量は50g。厚手のポリ袋として特に重くもなく、ファスナーやバルブの重量増加分はわずかです。

衣類圧縮袋の使い方

羽毛製品をファスナー側から押し込む

羽毛製品をファスナー側から押し込む

スライダーを滑らせてファスナーを閉める

スライダーを滑らせてファスナーを閉める

二重のファスナーを指でプチプチと押して閉じるのは大変です。付属の白いスライダーでぎゅっとはさんで滑らすと素早く閉じることができます。

スライダーをぎゅっとはさんで滑らす

このスライダーは袋に固定されておらず、簡単にポロリととれてしまうので紛失しないように気を付けてください。

膝で押さえて空気を抜く

膝で押さえて空気を抜く

ファスナー側から巻くようにして、膝で押さえて空気を抜きます。

バルブ付近のファスナーや硬い生地を配置すると空気が抜けやすい

バルブが閉じていると空気が抜けません。濃い青の土台と、薄い青の回転盤のポッチをずらすとバルブが開きます。

何度か試したところ、途中で空気が抜けなくなることがありました。羽毛製品の薄い生地がバルブの裏側に貼り付くのが原因です。バルブ付近にファスナーや硬い生地を配置すると回避できます。

バルブを閉める

空気を抜き終わったらバルブを閉める

空気を抜き終わったらバルブを閉めます。

こんなに小さくなる

こんなに小さくなる

こんなに小さくなりました。

羽毛製品の圧縮と防水がこれで完了。ファスナーやバルブの防水性は未知数ですが、長時間水没するような状況でもないかぎり大丈夫でしょう。

衣類圧縮袋の耐久性

登山で実際に試したところ、ひとシーズンでファスナー沿いが裂けました。なにしろ100円ですから、毎シーズン買い替えれば良いです。

エアマット型のマットレスをお使いなら、付属のポンプサックを利用すると良いでしょう。

ポンプサックは生ものです
極薄のナイロン地、極薄のコーティング、極薄のシームシーリングと切り詰めた設計となっているため、ポリウレタンの劣化にともない気密性を失いやすいです。マットレスとポンプサックを早いサイクルで使い倒すのが賢いと考えるようになりました。

【参考】空気が抜けるドライサック

登山装備にお金を惜しまない人は、eVentやネオシェルなど防水通気素材を採用したドライサックを検討すると良いでしょう。従来型のドライサックとちがい、口を閉じて体重をかけると底から空気が抜けていきます。

登山用品

コメント

  1. おとん より:

    明けましておめでとうございます。
    コメントにきちんと反応して頂くと嬉しいですね。
    更に、私の気付いていなかった空気の効率的な抜き方など、なるほどと参考になりました。
    これからもためになる情報発信を期待しています。

    • kamiyama kamiyama より:

      おとん さん、明けましておめでとうございます。
      私にとっては画期的なご教示でした。
      次のテント泊で実践させていただきます。

  2. 山岳部員A より:

    ちょうど冬山の防寒具を防水しつつコンパクトにパッキングする方法はないものかと探していたところに嬉しい記事ありがとうございます!!sea to summitのお高いコンプレッションバッグに手を出すところでした。
    こちらのサイトは情報がマニアックですし頻繁に更新されるのでいつも楽しく見ております。特にバラクラバの記事やスパッツの記事は今年冬山デビューした私にとって非常に参考になりました。

    • kamiyama kamiyama より:

      山岳部員Aさん、コメントありがとうございます。
      羽毛製品の圧縮・防水については衣類圧縮袋(100均!)が決定打となりそうですね。
      ザックの容量も余裕ができるはずです。実際に登山で利用するのが楽しみです。

  3. あまの より:

    モンベルのバキュームパック(60g/660円)で圧縮したことがありましたがダウンの痛みが気になり、今は手で押し込める範囲程度にしています。

    • kamiyama kamiyama より:

      あまの さん、コメントありがとうございます。
      長期間圧縮しっぱなしだと傷みそうですね。
      モンベルの#3くらいまでは圧縮が有効ですが、-20℃対応レベルだと元から付属している袋に収納し、ザック底の隙間はダウンパンツやダウンブーツで埋めるのが最適だと感じています。