スノーシュー vs ワカン(体験と考察)

日本の雪山でスノーシューとワカンのどちらを選ぶか。永遠の課題です。

体験談、耳寄りな話、製品のレビューを通して、考察の材料とします。

スノーシューとワカンの図解

まず基本構造と部分名称をおさえておきましょう

スノーシューの基本構造と部分名称

スノーシューの基本構造と部分名称

ワカンの基本構造と部分名称

ワカンの基本構造と部分名称

スノーシューとワカンとツボ足の浮力を検証した動画

新雪でラッセル対決! スノーシュー VS ワカン VS ツボ足

☞ 「新雪でラッセル対決! スノーシュー VS ワカン VS ツボ足」(Youtube動画)

スノーシューとワカンとツボ足による、もぐり方の違いを検証したこちらの動画がとても参考になります。動画中でこうコメントされています。

  • ツボ足
    雪上用の装備無しで歩いた場合、新雪では足が沈み上手く歩けない。踏み込んだ足が、なかなか抜けない事と、一歩一歩の沈み具合が違う為にバランスがとりにくい事が影響していると感じた。
  • ワカン(エキスパート・オブ・ジャパン)
    浮力がアップするが、ある程度は沈む。ツボ足とは違い一歩一歩に安定感が増す為、歩きやすい。
  • スノーシュー(MSR EVO 22インチ)
    沈み量はツボ足の半分以下でワカンよりもさらに浮力が高い。また、踵がフリーで足の抜けが良い為、歩行もスムースに行える。
  • スノーシュー(MSR EVO 22インチ+テイル)
    テイルにより格段に浮力が上がり沈みも少ない。小回りや、下り道では若干邪魔になるが、平地や登りでは絶大な威力を発揮。

いちばん興味深いのはツボ足とワカンのちがいです。接地面積だけで言うと、おおよそ1対1.8くらいの比率でしょうか。ツボ足だと《一歩一歩の沈み具合が違う為にバランスがとりにくい》、ワカンだと《一歩一歩に安定感が増す》あたりが重要なポイントです。

ツボ足で片足が深く潜ってバランスを崩した場合、体勢を立て直そうにも周囲の雪には掴みごたえも踏みごたえもありません。立て直す力を身体の内側から絞り出す度合いが強くなります。これが見た目以上に疲れる。ワカンを装着すると、浮力のアップ自体はわずかであっても、安定感が増すぶん体力の消耗を軽減できます。

その意味では、トレッキングポールの役割も重要です。雪山ではスノーバスケットを装着して、雪に沈みにくくします。浮力はわずかながら、バランスを保ったり立て直したりする効果が高いです。

体験談と耳寄りな話

厳冬の槍沢脱出行

1980年代、ある年の2月初旬に中房から表銀座、槍穂高を目指して入山しました。雪深い時季、しかも週末のトレースが消える平日をわざわざ選びました。合戦尾根を2人パーティーが下山してきた以外、登山者を見かけませんでした。

泳ぐようなラッセルではワカンを装着しないほうが良いこともある

厳冬期のヒュッテ西岳わきにテントを設営した

ヒュッテ西岳のわきに幕営して悪天をやり過ごしているとき、ラジオが「夜半から冬型の気圧配置が強まる」と告げました。やばい。ますます身動きがとれなくなる。急いで撤収し、槍沢へ下る急斜面に飛び込みました。「日本登山大系 槍ヶ岳・穂高岳」190頁の概念図に点線で「下降路」と示されている谷筋です。雪崩が怖い。膝から腰までもぐります。急斜面なので雪をかきわけるように足を動かし続けるかぎりは進みますが、足を留めるとその場でセメントで固められたように動けなくなります。ワカンを装着すると雪のなかでアンカーとなってしまうので装着しませんでした。

デブリは危険な兆候だけどその上は意外と歩きやすい

厳冬の槍沢脱出経路

槍沢と合流してからワカンを装着。山寄りの斜面をトラバースするように進みました。地形の関係で谷底に近づくと、頭まで没することがあり、肝を冷やしました。小さなデブリ跡の上を歩くと、あまりもぐらずにすみました。デブリと言うと、こんもりした丘のようなものを想像しますが、多方向からせめぎ合う力の影響なのか、ある地点では15メートルくらいの高さの塔となってそそり立っており壮観でした。「ここは厳冬期に人間が来る場所じゃないよ」と言われている気がしました。数時間ラッセルして、槍沢ヒュッテにたどり着き、その軒下に幕営しました。

ワカンの急所はベルトの固定力である

翌朝、「さぁ、今日は下山して,旨いものを食べて、熱い風呂にはいるぞ」と出発したものの、10時間くらいラッセルして、横尾にたどり着くのが精一杯でした。ワカンのベルトが緩んで、しょっちゅう手直ししました。「ええぃ、邪魔くさい」と外してしまう場面もありました。

ワカンで発生しがちなトラブル

ワカンの急所は一にも二にもベルトの固定力です。急斜面の登りで登山靴の爪先を蹴りこみ続けると次第にベルトが緩み、爪先がフレームの下に入り込みます。その状態で体重をかけると、「あ痛たたたッ」となります。ベルトの横ズレも厄介です。登山靴が横側のフレームに乗るとバランスを崩しやすく、横側のフレームの下に入り込むと、これまた「あ痛たたたッ」となります。

ベルトの横ズレを防ぎたい

翌日、やっと旨いものと熱い風呂にありつきました。徳沢の小屋番氏は「いま槍穂高に入山しているのは他に韓国人の4人パーティーだけだ。涸沢を上ると言うので留めたが、聞き入れてくれなかった」と語っていました。

目からウロコのラッセル技術

日本を代表するアルピニスト・山野井泰史さんはワカンを使わないそうです。理由は「かっこ悪い」から。う~ん、しびれます。裏読みするならば、ラッセルする体力に自信があって、かつ岩壁で行動しやすいように軽量化を優先しているということでしょう。

☞ 講演会聴講メモ 登山家・山野井泰史講演会「新たなる挑戦」

このワカンの話、山岳雑誌の対談でもされていたと記憶します。じゃあ、深雪のラッセルではどうするのかと言うと、腹ばいになって泳ぐ、みたいなことを発言されていました。目からウロコです。そうか、そんな手があるのか。たしかに腹ばいになれば、接地面積が大きい。教科書的なノウハウにとらわれない発想に感服しました。そして、我が「厳冬の槍沢脱出行」でその手を使えば楽ができたのではないかと悔みました。

日本の雪山でもスノーシューが有効

日本の雪山は地形が複雑で雪面のコンディションがコロコロ変わるので、アイゼンと併用しやすく、小ぶりで取り回しが良いワカンが有利だとされています。

ところが……。

舟生大悟さんの「親不知~西穂、厳冬期単独縦走」

舟生大悟さんが2016年12月24日から27日間かけて親不知~西穂、厳冬期単独縦走するという驚異的な登山を成し遂げたとき何を履いたかと言うと、ワカンではなくスノーシュー(MSR ライトニングアッセント)でした。その行程には不帰ノ嶮、大キレット、穂高といった名だたる岩稜帯が待ち構えています。日本の雪山縦走のすべてを含んでいると言っても過言ではないでしょう。

「なんだ。日本の雪山でもスノーシューが有効じゃないか」と思ったのは私だけでしょうか。

新井裕己さんの「冬季槍ヶ岳北鎌尾根縦走」

故・新井裕己さんは冬季槍ヶ岳北鎌尾根縦走でスノーシュー(MSR デナリアッセント)を履きました。曰く《デナリアセントが最高です。(中略)僕のスタイルだとスノーシュー+スキーというのは結構アリですね。 山によってはアイゼンの代わりになるので、アイゼンの代わりに持てばいいのかもしれません。スノーシューの歯でもクラスト斜面や垂直に近い木登り、さらには爪を引っ掛ける岩のクライミングもできました。》

スノーシュー製品

スノーシューは大まかに以下の3つのカテゴリーに分類されます。

  • 山岳用、バックカントリー用
  • ウォーキング用
  • ランニング用

この記事では雪山登山に向いた山岳用を中心に取り上げます。

MSR / ライトニング 3ストラップ アッセント

主要なスペック

22 25 30 女性用22 女性用25
サイズ 20×56cm 20×64cm 20×76cm 18×56cm 18×64cm
重量 1.81kg 1.88kg 2.15kg 1.68kg 1.76kg

レビュー

山岳用スノーシューのリファレンスモデル。女性用も含めて5モデルが展開されています。日本の山では22インチが取り回しが良いでしょう。どうしても浮力を高めたければ、あとからフローテーションテイルを追加することができます。

サイドのトラクションレールのみならず、踵下にトラクションレールが2本横切っているため雪面に強力に食い付きます。下りでも滑りにくい。ベルトがぺしゃんこになるので収納時に嵩張らない。このベルトは左右8本が全部同じサイズなので、山中で切れたら流用して応急処置できます。

BOAシステムなど昨今の進化したバインディングと比較すると、着脱のたびに8本のベルトを調節するのはわずらわしいと感じるかもしれません。しかし、これは収納性の高さや故障時の対応のしやすさと表裏一体なので、弱点らしい弱点はないと言っていいかもしれません。

2019-2020シーズンに3本ストラップを「パラゴンバインディング」に進化させたモデルが登場しました。頻繁にアイゼンと履き替えるような状況で威力を発揮します。今後はこちらが伝統ある「ライトニングアッセント」の名称を引き継ぐフラッグシップモデルとなり、従来モデルは「3ストラップ」と呼称されます。

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MSR / デナリ クラシック アッセント

主要なスペック

サイズ 20×56cm
重量 1.79kg

レビュー

モチヅキのホームページでは「1996年に登場した伝説的なモデルを日本限定で復刻しました」と紹介されています。樹脂製のボディなので「EVOシリーズ」に分類されています。ライトニング アッセントの22インチモデル相当のサイズで、日本の山では取り回しが良い。

ベルトのつまみが大きく、厚い手袋で扱いやすい。ベルトがぺしゃんこになるので収納時に嵩張らない。浮力を高めるフローテーションテイルがしっかり用意されている。かつ、定価はライトニング アッセントの半額で21,000円。

踵下のクランポンはありません。また、MSRの他のシリーズと異なり、デッキ先端が妙にのっぺりとしています。ホーボージュンさんは《難点は、クランポンから先のデッキ先端の「食い付き」が悪いこと。ここが滑ってトラクションがすっぽ抜ける場面が多々ある》と書かれています(山と渓谷 2017年2月号)。その点が気になるなら、EVO ASCENTにグレードアップすることになります。

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ATLAS / エイペックス BC 25

主要なスペック

22 25
サイズ 20×56cm 22×64cm
重量 1.50kg 1.70kg

レビュー

「スピンドリフト」の後継と言えるモデル。22インチモデルの「エレクトラ」は女性用という位置づけです。格上の「エイペックス MTN 25」は1.83kg、「エイペックス MTN エレクトラ 22」は1.72kgと重くなります。

アトラス社の山岳モデルの最大の特徴は、通常のスノーシューがトウクランポンとデッキを金属製のシャフトで連結するのに対し、強靭なベルトで連結する「スプリングローテッドサスペンション」にあります。斜面の横断時にフレームは雪面にフラットに接しつつ、足を垂直に踏み込むことができるため、自然な足運びがしやすい。

踵下にクランポンがあるものの、高剛性のフレームがわざわいして、下りでトラクション性能を生かしきれない傾向があります。

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ATLAS / ヘリウムBC 23

主要なスペック

22 26
サイズ 20×59cm 22×66cm
重量 1.34kg 1.45kg

レビュー

2020-2021シーズン、アトラス社がプラスチック製デッキのモデルを発売。軽量で安価。BE-PAL 2021年2月号でホーボージュンさんは《僕が驚いたのは高いフレックスだ。(中略)凹凸の地形にデッキがうまく追従してトラクションがかかるし、これまでスノーシューが苦手としていた下り斜面もガンガン踵から降りていける》と書かれています。本格的な冬シーズンに突入する前に、あっという間に品切れとなった模様です。

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TSL / サンビオス ハイパーフレックス エリート

主要なスペック

S M L
サイズ 19×52.5cm 21×59cm 22.5×69cm
重量 1.86kg 1.96kg 2.16kg

レビュー

TSL社の山岳用ハイエンドモデル。

手でぐにゃぐにゃ曲げられるほど柔軟なボディが雪面の凹凸に沿って変形することによりトラクション性能を発揮します。クランポンの爪はユーザーの足底に沿うように付いており、ワカン+アイゼンのスノーシュー版だと思えば、日本の雪山に適しています。村石太郎さんは《特に下り坂での威力は絶大で、森林限界以下での使用では最強のスノーシューといえるだろう》と書かれています(山と溪谷2018年2月号p.123)。

バインディングはBOAシステムと同様、素早く着脱可能で固定力が強いものの、収納時に嵩張るのが難点です。

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TSL / 418 438 アップダウン グリップ

主要なスペック

418 438
サイズ 21×57.5cm 22.5×64cm
重量 1.92kg 2.06kg

レビュー

TSL社の変わり種モデル。

踵が抜けているため、下りで踵を垂直に打ち込むことができます。ワカン+アイゼンの感覚により近い。トラクションレールはボディ側に付いていますが、足底のトウ先端とヒール末端にもクランポンが付いています。

バインディングはやはり嵩張ります。

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TUBBS / MEN’S FLEX VRT

主要なスペック

男性用24 女性用22
サイズ 20×61cm 20×56cm
重量 2.04kg 1.81kg

レビュー

TUBBS社のフラッグシップモデル。

BOAシステムにより着脱が容易。VRT(バーチカル)の名を体現するかのように、トウクランポンの爪が大きく、急斜面に爪先を蹴りこむような登りでは最強。柔軟なボディのおかげで下りで前のめりになりにくい。テールにトラクションレールの離れ小島?のように爪が付いている点も下りでのトラクションに寄与します。

ホーボージュンさんは《弱点があるとすると、雪質によっては雪が詰まりやすいことだろうか。鉄板の露出部分が多く、クランポンやレールが複雑な形状をしているためか、上信越などの湿雪帯で使うと雪がダマになることがあった》と書かれています(山と渓谷2017年2月号p.120)。

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TUBBS / MEN’S FLEX ALP

主要なスペック

男性用24 女性用22
サイズ 20×61cm 20×56cm
重量 2.04kg 1.81kg

レビュー

FLEX VRTのBOAシステムに一抹の不安を感じるなら、ベルト式のこちらを選ぶことになります。ボディやクランポンの形状、重量は同等です。

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mont-bell / スノーポン

主要なスペック

サイズ 長さ59cm
重量 1.57kg

レビュー

モンベル社オリジナルのスノーシューです。

クランポン(軽アイゼン)は着脱可能です。たとえば八ヶ岳のアプローチで凍った林道をクランポンで歩き、樹林帯の深雪をスノーシューで踏破する、といった使い分けが可能です。

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mont-bell / カジタックス アルパイン スノーポン

主要なスペック

サイズ 長さ56cm
重量 1.43kg

レビュー

カジタックス アイゼンと組み合わせて使用する、浮力を高めるデッキを備えたモデルです。

スノーシューの弱点は、その重さもさることながら、アイゼンと履き替えるのが面倒なところです。これならアイゼンを先に履いて、クランポンのスリットに爪を2本差し込めば、通常のスノーシューのようにしっかり固定できます。踵が抜けているので、下りで踵を垂直に打ち込むことができます。

デッキの面積が小さいため、浮力は控え目です。これにヒールリフターが付けば、ラッセル時の踵の沈み込みを防止できるかもしれません。着脱可能なデッキ(アイゼンに合わせて調節可能)も欲しい。今後の機能追加に期待したい製品です。

モンベルストア(実店舗)ではグリベルのアイゼンが販売されていますが、爪の間隔が適合しません。あくまでもカジタックス アイゼン専用です。

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CAPTAIN STAG / CS リフター付スノーシュー 25inc

主要なスペック

25 29
重量 20.5×62cm 21.5×74.5cm
サイズ 2.0kg 2.16kg

レビュー

キャンプ用品で有名なキャプテンスタッグの製品。ビーバーの尻尾のようなデッキの形状、強力なクランポンなどTUBBSの山岳用スノーシューに近いデザイン。耐久性は未知数ながら、なんと言っても実売価格が安く、ワカン+αの値段で買えてしまう。スノーシュー入門者向き。

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ワカン製品

ワカンは日本独自の装備なので、製造販売しているメーカーもモデルも限られています。

MAGIC MOUNTAIN / トレースライン & ネイジュ & ラッセル

主要なスペック

トレースライン M トレースライン L ネイジュ ラッセル
重量 19×42cm 19×45cm 19×45cm 19×45cm
サイズ 460g×2 470g×2 470g×2 480g×2

レビュー

マジックマウンテン社は3モデルのワカンを販売しています。サイズと重量は2020/2021秋冬カタログの数値を記載しました。

「トレースライン」は先端が上向きにカーブしており、歩行時の引っかかりにくさを優先しています。アイゼンと併用時に裏返して履くことを想定していません。このモデルを愛用しているバックカントリー穂高さんは「昔の木製のワカンとちがい、両脇の爪はステンレス製で頑丈なので裏返さなくても破損はしにくい」と主張されています。

「ラッセル」はポリウレタンコーティングした「雪だんご防止デッキベルト」(単独で購入可能)を採用しています。

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エキスパート・オブ・ジャパン / HSスノーシューズ

主要なスペック

M L フラット M フラット L
重量 18.2×41cm 18.2×44.1cm 18.2×41cm 18.2×44.1cm
サイズ 775g 785g 775g 785g

レビュー

エキスパート・オブ・ジャパンは長年、日本の雪山向きの製品を作っています。ワカンもその一つ。(あとは「ピッケル用ラッセルリング」と「ピッケルの石突に装着するスコップ」が真っ先に思い浮かびます)

このワカンは軽さが武器。先端が反りあがっているモデルとフラットなモデルがあります。「雑誌掲載」ページに引用された新聞記事には「シェア95%のかんじき」という見出しが踊っています。

このハイスペックモデルで《バンドと爪の間にプロテクターリングを装着して歩行時によるバンドの消耗を軽減》しました。旧モデルのユーザーは自分でテープを巻いたりして補強していました。

このハイスペックモデルの登場は2017-2018シーズンでしょうか。「EX’PERT OF JAPAN 2017 Catalog(PDF)」には掲載されていません。

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AIRMONTE / スノーシュー

主要なスペック

サイズ 19.8×42cm
重量 820g

レビュー

エアモンテ社は1991年創立で輸入販売がメインの会社です。どうして日本の雪山独自のワカンなんか製造?販売しているのか謎ですが、その心意気を応援したい。

製品は至極オーソドックス。ストレートモデルしか用意されていません。そのほうが足を上げるとき雪をすくい上げないので歩きやすいという意見さえあります。アイゼンと併用するために裏返すなら、こうしたシンプルなモデルこそ使いやすいと言えます。

ベルトと爪の間にプロテクターリングのようなモノはないので、インシュロック(結束ベルト)等を巻き付けるとよいでしょう。

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mont-bell / カジタックス ライトアルパイン スノーポン

主要なスペック

サイズ 長さ46cm
重量 1.22kg

レビュー

カジタックス アイゼンと組み合わせて使用する、「ワカン」タイプの小型・軽量モデルです。

「スノーポン」という名前が付いていますが、浮力を高めるデッキはなく、ワカンそのものです。アイゼンを先に履いて、クランポンのスリットに爪を2本差し込めば、しっかり固定できるため、登山靴の爪先がフレームと干渉するトラブルが発生しにくい。

サイドエッジ(ツメ)が、スノーシューのトラクションレールと似た形状になっています。他社のワカンがクサビ状のツメを採用しているのは、強度面や工作技術面で限界があった木製時代のデザインを踏襲しているからです。トラクションレール状にしてしまえば、アイゼンと併用するときワカンを裏返す必要がない(ツメが短いので邪魔にならない)。裏返す必要がないなら、ベルトは固定してしまえばよく、横ズレが発生しません。

モンベルストア(実店舗)ではグリベルのアイゼンが販売されていますが、爪の間隔が適合しません。あくまでもカジタックス アイゼン専用です。

参考リンク

mont-bell / ライトアルパイン スノーポン

主要なスペック

サイズ 長さ46cm
重量 900g

レビュー

「カジタックス ライトアルパイン スノーポン」と同じヒールフリーデザインでありながら、さまざまなアイゼンを取り付けできる「ワカン」タイプの小型・軽量モデルです。

「スノーポン」という名前が付いていますが、浮力を高めるデッキはなく、ワカンそのものです。調節用のベルトが底ベルトに金具で固定されており、横ズレしないため、登山靴の爪先が斜めを向いてフレームと干渉するトラブルが発生しにくい。

他社のワカンと比較すると、前後に長いものの、フレームが細めなので、浮力は五十歩百歩です。

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oxtos / アルミわかんラチェット式

主要なスペック

サイズ 19×43cm
重量 1,066g

レビュー

痒い所に手が届く製品でお馴染みのオクトス社のワカンです。

フレームの前後の継ぎ目に中芯を入れて強度を高めています。

ラチェット式ベルトは固定力が強く、さらに底ベルトに縫い付けられています。横ズレしないため、登山靴の爪先がフレームと干渉するトラブルが発生しにくい。

強度や固定力を高める工夫でやや重くなるのは仕方がありません。

ストレートな形状ですが、ラチェット式ベルトは上下が決まっているので、ワカンを裏返して使うことはできません。

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VERTEX / スーパーカンジキ

主要なスペック

サイズ 19×34.5cm
重量 660g

レビュー

ダークホース的な製品です。

樹脂製で末広がりのフレームにより、軽く、安価で、にもかかわらず、「浮力は通常のワカンより高い」という声が聞かれます。

残念ながら、靴の外寸29cmまでしか対応していません。平均的な成人男性がアルパインシューズ(US 8.0~8.5サイズ)を履くと、爪先がフレームの先端に載ってしまうため、デッキの上下動によるしなりを活用できません。

大型モデルを製造してほしいところです。

踵を載せるデッキにアイゼンの爪を差し込むスリットを付ければ、アイゼンと併用できます。モンベルあたりがカジタックス アイゼン専用として製造してくれないものでしょうか。

参考リンク

立山かんじき

主要なスペック

重量 39×26cm 36×24cm 33×22cm
サイズ 900g 850g 700g

レビュー

真打ち登場。2018年に最後の職人さんが引退しましたが、継承者があらわれたそうで誠に喜ばしい。

木製の輪っか部分は独特の粘りとしなりで衝撃を吸収。木製のジェットコースターと同様に意外な耐久性をもっています。

寡雪の近年、ワカンはザックの飾りのままで終わることがしばしばあります。ならば、こんなレトロな装備で衆目を驚かすのも一興かもしれません。

カモシカスポーツ高田馬場店で見かけた「立山かんじき」

カモシカスポーツ高田馬場店で見かけた「立山かんじき」

参考リンク

Snow Plak Approach

主要なスペック

サイズ 36×22.5cm
重量 330g×2

レビュー

前出のスーパーカンジキがアイゼンに対応してくれればなぁ……と思っていたら、フランスからそんな製品が登場していました。ワカンより小さく見えますが、なにしろ末広がりのフレーム形状ですから、なかなかの浮力を発揮してくれます。

ワカンにしろスーパーカンジキにしろ、もとは生活圏や雪遊びのフィールドから持ち込まれたモノ。しかし、コレは最初からアイゼンとの併用を考慮しています。と言うか、アイゼンの前爪をフレームに引っ掛けないと、うまく固定できません。

冬のバリエーションルートで、アプローチで深雪のラッセルがあるけれど、岩壁では荷物を軽くしたい。そんなアルパインクライマーの救世主となるかもしれません。

参考リンク

アクセサリー製品

oxtos / アルミわかん用ベルトセット

ワカン用のベルトは消耗品です。買い換えるとき検討したいのがコレ。ラチェット式で固定力が強く、デッキベルト(底ベルト)に縫い付けられているため横ズレしにくい。oxtosオリジナルのワカンのみならず、MAGIC MOUNTAIN、エキスパート・オブ・ジャパン、AIRMONTEのワカンに対応したモデルが販売されています。

oxtos / ワカンケース

ワカンを持ち運ぶとき、ザックの外側にベルトで巻き付けてぶら下げる登山者が多いです。こうしたケースをザックの正面に固定すれば、ファスナーの開閉だけで簡単に出し入れできます。多様なザックに装着できるように縦に2本、デイジーチェーン状にテープが縫い付けられています。

ワカンのためだけに重量を増やしたくないと考えがちですが、ウェアなど素早く出し入れできる汎用ポケットとして、常時取り付けておいても邪魔になりません。

メーカー不詳の「ワカンスタッフバッグ」についての記事はこちら。

oxtos / わかん用オリジナル爪カバー

ワカンをザックにぶら下げるにしても、ケースに収納するにしても、鋭い爪が生地を傷めないか気になる人は、このわずか20gの爪カバーを導入しましょう。

参考文献

山と渓谷 2016年2月号 「GTR VOL.22 スノーシュー」

以下の製品を取り上げています。

山と渓谷 2017年2月号 「GTR VOL.11 樹脂製スノーシュー」

以下の製品を取り上げています。

山と渓谷 2018年2月号 「GTR VOL.23 山岳向けラッセルギア」「山岳装備大全 第23回 スノーシュー」

2つの連載がスノーシューを扱う珍しい号でした。以下の製品を取り上げています。

GTR

山岳装備大全

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