ダイソーの【電池式】モバイルバッテリーの実力を検証しました。
リチウムイオンモバイルバッテリーが全盛ですが、
- 非常時に入手しやすい。
- 旧来の器具(ヘッドランプ、携帯ラジオ等)と相性が良い。
という点で、乾電池の便利さは健在です。
登山中にもしスマホのバッテリーが切れても、山小屋で単3、単4電池を入手して、ダイソーの【電池式】モバイルバッテリーに突っ込めば、急場をしのぐことができます。
開封の儀
パッケージ
使用電池 | アルカリ単3乾電池×2個 |
---|---|
最大出力 | DC5.0V / 500mAh |
電池は付属しません。USBケーブルは付属しません。
「iPhoneで約30%充電できます」と記載されていますが、iPhoneの世代は不明です。
【電池式】と言ったら、一般のリチウムイオンモバイルバッテリーだって「電池」です。正確には【乾電池交換式】と言うべきでしょう。
本体のUSB-A メス端子
軽い力で開閉できる
電池ボックスのカバーは軽い力でスライドして開閉できます。
プラス/マイナスを迷いやすい
電池の向きに注意。標準的な家電製品ではマイナス側がバネになっていますが、マイナス側とプラス側が混在しています。マジックで書き込むか、シールを貼るなどして迷わないようにすることをお勧めします。
奥側を取り出すのに苦労する
2本の電池の仕切りが妙に高くて、奥側を取り出すのに苦労します。私は素手で取り出すことができません。ヘラ等でこじり出す必要があります。1円玉など柔らかい硬貨を利用してもよいでしょう。
放電性能テスト
セリアの電球型LEDライトを接続して放電性能をテストします。あいだに電流電圧チェッカーをはさんで電流量を計測します。
セリアの「電球型USBライト」をつなぐと、[電圧]が5V前後、[電流]が0.5A前後で放電が始まります。[積算電流](累積電流)が加算されていき、バッテリーが尽きると[通電時間]が停止します。
エネループ単3(スタンダード)
手持ちのエネループ(ニッケル水素充電池)で検証します。
ダイソーの【電池式】モバイルバッテリーのパッケージには「アルカリ単3乾電池×2個」と指定されています。ニッケル水素充電池の利用は自己責任となります。
アルカリ電池の電圧1.5Vに対して、エネループの電圧は1.2Vと低いので、過負荷で機器をこわす危険はないでしょう。
エネループをMiBOXER C4で充電しました。公称値より大きめの電圧、電流量を表示して満充電となりました。
充電と放電の結果
充電 | 放電 | |||
---|---|---|---|---|
電流量(mAh) | 通電時間 | 電流量(mAh) | 通電時間 | |
1回目 | ①2,146 | ①3:03 | 706 | 2:04 |
②2,001 | ②4:42 | |||
2回目 | ①2,029 | ①3:34 | 689 | 1:55 |
②1,916 | ②8:07 | |||
3回目 | ①1,944 | ①8:13 | 711 | 1:54 |
②2,072 | ②3:58 | |||
平均 | 2,018 | 5:16 | 702 | 1:57 |
3回テストして平均をとります。
参考までに、左半分に充電時の個別の[電流量]と[通電時間]を記載しました。8:07、8:13とやけに時間がかかった理由は不明です。充電器との接触が悪かったのでしょうか。
放電した電流量の平均は702mAhでした。スマホを充電すると、もう少し効率が落ちるはずです。「iPhoneで約30%充電できます」と言うのは、iPhone8(バッテリー容量:1,820mAh)あたりを指しているのでしょう。平均的なAndroidスマホ(バッテリー容量:3,000mAh)を充電すると、おそらく20%くらいしか満たすことができません。
あれ? エネループ単3スタンダードの容量は1,900mAh。2個なら3,800mAhじゃないの?
残念ながらそうはなりません。一般的なリチウムイオンモバイルバッテリーとは電圧がちがいます。
モバイルバッテリーの実力を電力(電流×電圧)ではかる
モバイルバッテリーの実力をはかるときは、電流量(mAh)だけでなく、電圧(V)を考慮する必要があります。
という不滅の公式を頭に入れましょう。この「電力」こそがモバイルバッテリーの実力をあらわします。
ダイソーの【電池式】モバイルバッテリー(と言うよりはUSB)の定格電圧は5Vですので、1.2Vを5Vに昇圧するために、電流量は24%(1.2÷5)すなわち912mAh(3,800mAh×24%)に減少します。これはあくまで理論値であり、さらに回路の電気的ロスによって減少します。その結果が前記の702mAhです。
なお、2個の電池は直列に接続されているので、電圧2.4V、容量1,900mAhの1個の電池とみなすことができます。その場合も計算結果は同等です。
リチウムイオンモバイルバッテリーと同等の放電容量を得るには
ニッケル水素電池は、一般的なリチウムイオンモバイルバッテリーと比較すると、重量当たりのエネルギー密度が低いことを肝に銘じる必要があります。
機器 | 重量 | 放電容量 |
---|---|---|
500円モバイルバッテリー(T362) | 74g | 約1,970mAh |
Thrunite C2 +18650リチウムイオンバッテリー(3,500mAh) | 85g | 約2,100mAh |
本製品+エネループ単3×2個 | 75g | 約700mAh |
本製品+エネループ単3×6個 | 179g | 約2,100mAh |
ダイソーの500円モバイルバッテリー(T362)や18650リチウムイオンバッテリー(3,500mAh)と同等の放電容量を得るには、エネループ単3×6個が必要で、重量は2倍以上になります。
まとめ
リチウムイオンモバイルバッテリーとは別途、本製品をザックやカバンに忍ばせておけば、いつか救われる日が来るかもしれません。バッテリーボックスだけなら23gです。
併用するもよし、どちらかに統一するもよし。重量と使い勝手をはかりにかけて、自分に合ったモバイルバッテリーを選択しましょう。
コメント