ダイソーの500円モバイルバッテリーに新モデルが登場。旧モデルはパッケージを新装して併売されています。いちばん気になる蓄電容量は3,000mAhと同等。放電性能を電流電圧チェッカーでテストしたところ、公称値にいつわりはなく、ごく標準的な数字を叩き出しました。
新旧モバイルバッテリー揃い踏み
エントリーしたのはこの2モデル。
旧モデル本体には「Model No:TDB0510-C3A」、新モデル本体には「型番:iP3000」と記載されています。うーん、呼びにくい。
パッケージの裏面で商品の管理番号らしきものを発見しました。
旧モデルを「G200」、新モデルを「T362」と呼ぶことにします。
型番の上にある「KO-17-06」「HRM-18-10」は発売時期でしょう。
外観
G200
パッケージ
2018年に購入した「G200」のパッケージは青を基調とした落ち着いたデザインでした。
取扱説明書
モバイルバッテリー本体と付属ケーブル
本体サイズは実測で縦117mm×横69mm×厚さ10mm。重量は実測で103gです。付属ケーブルの全長は12cmです。本体にPSEマークが表記されていません(2018年購入)。新しいパッケージの左下隅に「PSE適合品」と記載されています。
ACアダプタは付属しません。
T362
パッケージ
取扱説明書
付属しません。パッケージ裏面の「特徴」「使用方法」を読みましょう。
モバイルバッテリー本体と付属ケーブル
本体サイズは実測で縦90.5mm×横52mm×厚さ12.5mm。重量は実測で74gです。付属ケーブルの全長は25cmです。本体にPSEマークが表記されています。
ACアダプタは付属しません。
使い方
G200
入力 | 5V 1A |
---|---|
出力 | 5V 1A |
入出力端子と同じ側面に蓄電量を示す「4段階LEDランプ」が付いています。左から順に①②③④と番号が振られており、点滅状態によって蓄電量を確認できます。入出力していないときは右側面の「残量確認ボタン」を押せば確認できます。
②点滅 25~50%蓄電
③点滅 約50~75%蓄電
④点滅 約75~100%蓄電
※ 100%になると点滅しなくなります。
T362
入力 | 5V 1A |
---|---|
出力 | 5V 1.3A |
最大出力時の電流が多めです。蓄電量や入出力状態を示すLEDランプが1個付いています。残量確認ボタンはありません。
- 入力(充電)時のランプ
LEDランプが赤く点滅します。充電が終了すると、点滅から点灯に切り替わります。 - 出力(放電)時のランプ
LEDランプが青く点灯します。放電が終了すると、消灯します。
躯体がピンクだと青く点灯しても視認しにくいです。
放電性能テスト(LEDライト)
放電性能をテストするために以下の機器を利用しました。
まず、「COOWOO USB電流電圧テスター チェッカー」。高性能ではありませんが、モバイルバッテリーの容量を実用的な精度で計測するには十分です。
そして、出力(放電)用の負荷として、セリアで「電球型USBライト」を買ってきました。
「COOWOO」をモバイルバッテリーとUSBケーブルのあいだにカマします。
セリアの「電球型USBライト」をつなぐと、[電圧]が5V前後、[電流]が0.5A前後で放電が始まります。[積算電流]が加算されていき、バッテリーが尽きると[通電時間]が停止します。
G200
3回テストした結果は以下の通りです。
積算電流 | 通電時間 | |
---|---|---|
1回目 | 1,771mAh | 003:06:00 |
2回目 | 1,717mAh | 003:00:00 |
3回目 | 1,750mAh | 003:04:00 |
平均 | 1,746mAh | 003:03:20 |
モバイルバッテリーの放電効率は60~70%と言われています。平均値1,746mAhは3,000mAhの約58%に相当します。2018年に購入後、それほど酷使していませんが(20~30回フルに充放電?)、経年劣化により蓄電容量がやや低下したと推測されます。
T362
3回テストした結果は以下の通りです。
積算電流 | 通電時間 | |
---|---|---|
1回目 | 1,982mAh | 003:21:00 |
2回目 | 1,966mAh | 003:20:00 |
3回目 | 1,967mAh | 003:20:00 |
平均 | 約1,972mAh | 003:20:20 |
モバイルバッテリーの放電効率は60~70%と言われています。平均値1,972mAhは3,000mAhの約66%に相当します。購入して間もないので、理論値どおりの数字を叩き出しました。
放電性能テスト(スマホ)
大半のユーザーにとって、モバイルバッテリーの主な用途は、外出先におけるモバイル機器(スマートフォン)の充電です。
現在、あまり利用していないNexus7を充電してみました。Nexus7の内蔵バッテリー容量は3,950mAhです。2013年モデルなので経年劣化が進行していますが、3,000mAh程度のモバイルバッテリーをテストするには十分な容量を保持しています。
G200
積算電流 | Nexus7のバッテリー | 通電時間 | |
---|---|---|---|
1回目 | 1,794mAh | 55% | 記録漏れ |
2回目 | 1,717mAh | 54% | 2:02 |
3回目 | 1,712mAh | 55% | 2:40 |
平均 | 1,741mAh | 54% | 2:19 |
通電時間は2時間強。Nexus7のバッテリーを54~55%まで充電できました。
平均値1,741mAhは3,000mAhの約58%に相当します。LEDライトによる放電性能テストよりも若干低めの数字です。Nexus7は充電時の電流が多め(最初は約1A)なので、ロスが発生しやすいと推測されます。
T362
積算電流 | Nexus7のバッテリー | 通電時間 | |
---|---|---|---|
1回目 | 1,872mAh | 57% | 記録漏れ |
2回目 | 1,886mAh | 57% | 2:02 |
3回目 | 1,866mAh | 記録漏れ | 2:13 |
平均 | 1,875mAh | 57% | 2:07:30 |
通電時間は2時間強。Nexus7のバッテリーを57%前後まで充電できました。
平均値1,875mAhは3,000mAhの62.5%に相当します。LEDライトによる放電性能テストよりも若干低めの数字です。Nexus7は充電時の電流が多め(最初は約1A)なので、ロスが発生しやすいと推測されます。「G200」よりもロスが大きいのは、出力が高め(5V 1.3A)だからでしょうか。
自然放電テスト
モバイルバッテリーを満充電して、ACアダプタから取り外したあと、長期間放置すると自然放電が進行します。
満充電直後(再掲)、3日後の結果は以下の通りです。
積算電流 | 通電時間 | ||
---|---|---|---|
満充電直後 | G200 | 1,746mAh | 003:03:00 |
T362 | 1,972mAh | 003:20:20 | |
3日後 | G200 | 1,737mAh | 003:50:00 |
T362 | 1,914mAh | 004:10:00 | |
30日後 | G200 | 1,639mAh | 003:34:00 |
T362 | 1,889mAh | 003:22:00 |
3日後に1回だけテストしたところ、[積算電流]が若干減りました。3日でこの程度なら、2~3泊の登山で「いざスマホを充電したら、えらく容量が減っていた」なんてことはありません。なぜか[通電時間]は長くなりました。初期電圧が下がり、スタートダッシュしなくなるからでしょうか。(要検証)
「災害に備えて保管していたのに、いざ使おうとしたらいちじるしく劣化していた」というのでは困ります。30日放置後の放電性能もテストしました。結果、放電による損失は1割もありませんでした。
市販メーカー低容量モデルと比較
モバイルバッテリーのメーカーとして定評のあるAnkerとcheeroで低容量モデルを探してみました。
Anker PowerCore+ mini 3350mAh
cheero Power Plus 3 stick 3350mAh
両者とも蓄電容量は3,350mAhとやや多く、重量は85gあるいは70gと同じくらいです。ダイソーの500円モバイルバッテリーのコストパフォーマンスは優秀です。
まとめ
あえてダイソーのモバイルバッテリーを選択するか
耐久性や信頼性を優先するなら、有名メーカーのモバイルバッテリーを選択したほうがよいでしょう。しかし、出先でスマホのバッテリーが切れそうになったり、急場をしのぎたい場面ではダイソーの500円モバイルバッテリーは強い味方になってくれます。初期性能は申し分なく、常用するためにあえて指名買いする人がいても不思議ではありません。
「G200」と「T362」のどちらを選択するか
デザイン
「G200」は白または黒い艶消しの躯体で落ち着いた風合いです。「T362」は濃いピンクや淡いピンクの光沢のある躯体で、若い女性が好みそうなデザインです。登山などアウトドア活動では別に人前でひけらかすわけでなし、きらびやかな外観は紛失防止に役立つでしょう。
放電性能
「G200」と「T362」で購入時期がちがうので、正確には比較できませんが、蓄電容量は互角です。
残量確認ボタンと残量確認ランプ
「T362」には残量確認ボタンも残量確認ランプもありません。ここは好みがわかれるところです。そもそも残量確認ランプは大雑把でアテにならず、ましてや低容量であれば満タンか空かさえ分かれば良いと割り切ることもできます。
サイズと重量
G200 | T362 | |
---|---|---|
サイズ | 縦117㎜×横69㎜×厚さ10㎜ | 縦90.5㎜×横52㎜×厚さ12.5㎜ |
重量 | 103g | 74g |
「G200」は薄型で、スマホと重ねて収納しやすいです。「T362」はずんぐりしていますが、軽量コンパクトさが光ります。
2020年に新機種登場
2020年春に4,000mAhの新商品が出ました。
コメント
計算方法が間違ってると思います。
USBテスターに表示されてるmAhはUSBの5Vに昇圧された状態での電流値のはずなので、バッテリーに表示されてる3000mAhとは意味が違います。
リチウムイオン電池は満充電電圧が4.2V、放電終止電圧が2.5V。(マージンを見て大体の機器で3.2Vとか3Vを放電終止電圧と見なしてる)
その真ん中ぐらいの電圧を公称電圧としていて3.6Vか3.7Vです。
この公称電圧に3000mAh(3Ah)を乗算したのが、そのバッテリーのワット時定格量Whになります。3.7×3=11.1Wh
USBテスターで求めた積算電流値(1900mAとしたら)は5Vを乗算しないといけません。
5×1.9=9.5Wh
つまり効率は9.5÷11.1≒85.5%ですね。
そのUSBテスターが積算電力(Wh)を計算してくれるのかわかりませんが、あると便利ですよ。
コメントありがとうございます。
バッテリーに表記されている容量に対する見かけの比率でいえば60~70%。
ワット時定格量の比率だと85.5%で、こちらが回路(昇圧/降圧等)の効率と考えればよいのですね。