ポンプサックは生ものです。
何故なら、極薄のナイロン地、極薄のコーティング、極薄のシームシーリングと切り詰めた設計となっているため、ポリウレタンの劣化にともない気密性を失いやすいからです。
実際、空気漏れするポンプサックのせいで、マットレス(スリーピングパッド)を膨らませるのに手間取り、マットレスそのものを使い辛いと評価する誤りを犯していました。
ポンプサックを買い換えたところ評価が一変。マットレスとポンプサックを早いサイクルで使い倒すのが賢いと考えるようになりました。
これまでポンプサックを使ったことがない人は一度試すことをおすすめします。
ポンプサックを利用する理由
ポンプサックとは、テント泊用のマットレス(スリーピングパッド)を効率よく膨らませるための袋です。メーカーによってはポンプバッグと呼びます。
- エアマットを膨らませるのに、人間がバルブをくわえて空気を吹き込むのは重労働です。
特に高山帯で酸素が薄かったり、疲労困憊していたりすると、その作業で消耗し、へたすると卒倒するかもしれません。 - 呼気に含まれる湿気は中綿のロフト(膨らみ)を失わせ、保温性を低下させます。
特にダウンマットの内部で羽毛が湿って縮こまると、ただのエアマットになってしまいます。羽毛ほどではありませんが、化繊の中綿でも同様です。 - マットレス内部に湿気が滞留したまま長期間保管すると、中綿のみならず生地の溶着部を劣化させ、空気漏れを招きやすくなります。
これらの理由から、ポンプサックの利用を強く推奨します。
ポンプサックの空気漏れで失敗した体験と考察
ダウンマットを購入
テント泊用にダウンマットを購入しました。
メーカーのYouTube公式チャンネルで、ポンプサックで素早くダウンマットを膨らます動画が公開されています。ポンプサックで2回空気を注入すると満タンになります。
膨らませるのが面倒くさい
ところが自分でやってみると、6回くらいかかる。
自分が不器用なだけなのか。何度試しても6回。保温性の高さは素晴らしいけれど、膨らませるのが面倒くさい。「これは厳寒のテント泊ではやってられない」と断定し、いつしかダウンマットを二軍落ちさせました。
再登板をもくろむ
数年後、ダウンマットの再登板をもくろみ、久しぶりにポンピングを練習しました。
やはり6回かかる。空気を抜いて、ビデオを見直し、また空気を入れる。安定の6回。何度目だったでしょうか、ポンプサックに膝をのせて、前のめりに体重で空気を注入していたとき、ふと顔に当たるかすかな風を感じました。
「縫い目から空気漏れしている!?」
間違いない。ポンプサックの縫い目から空気漏れしている。このせいで6回もかかるのではないか。
普通のエアマットならポンプサックを押し込む感触と膨らみ方の差ですぐに気づいたかもしれません。ダウンマットだと羽毛が入っているぶん抵抗が強くて、こんなものだろうと見過ごしていました。
ポンプサックを新調したら劇的に改善した。
Expedのポンプサックを買ってきました。(Expedではポンプバッグと呼ぶ)
わくわくしながら、ダウンマットに空気を注入してみると、2回でパンパンに膨らませることに成功しました。私のダウンマットはフルサイズではないので、むしろ空気が余ります。
これまでの苦労はいったい何だったのでしょうか。
ポンプサックは劣化しやすい
くだんのダウンマットは30%引きくらいのセール価格で購入しました。
付属のポンプサックは注意書きにあるようにポリウレタンの劣化が進んでいたのかもしれません。なにしろポンプサックというやつは極薄のナイロン地、極薄のコーティング、極薄のシームシーリングとギリギリを攻めた設計となっています。
ポンプサックの保管方法にも気を付ける
私は自宅で、ダウンマットを膨らませた状態で部屋の隅に立てて保管しています。そのほうが内部の羽毛の復元力を損なわず、溶着部の劣化が進みにくいと考えています。
同様に、ポンプサックの保管方法にも気を付ける必要があると痛感しました。内側のポリウレタンコーティングが密着しないように適当に衣類を詰めておいたほうが良いかもしれません。
まとめ
ポンプサックに使用されているポリウレタン素材や接着剤は、使っても使わなくても経年劣化が進行します。ならば温存することなく使い倒すのが賢い。どうしても不安なら予備を持てば良い。
ポンプサックはドライサック(防水サック)として利用できますから、無駄な重量にはなりません。
単機能のドライサックを携行するより、兼用できるポンプサックを携行するほうが重量的にお得で、かつ空気を抜きやすいです。
代表的なマットレスメーカーが販売しているポンプサックは以下のとおりです。
Expedのポンプバッグなら、アダプタを利用して他社のマットレスに接続できます。
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