迷走するU.L.ドームシェルター【モンベルの謎マイナーチェンジ】

2011年モデル

モンベルのU.Lドームシェルターが初登場した正確な年月はわかりません。ハイカーズデポさんは『アウトドアショップODBOXがmont-bellと共同開発した「ULドームシェルター」が2005年に発売』と書かれています。

私の手元にあるいちばん古いカタログ「2011 Gear Catalog」に掲載されています。私は同モデルを2012年に購入しました。

重量とサイズは次のとおりです。

重量 サイズ(縦×横×高さ)
1型 760g 200cm×100cm×95cm
2型 865g 210cm×130cm×95cm

重量は100gくらいしか変わらないので、居住性の高さを優先して2型を購入しました。

雪山での使い勝手

八ヶ岳の行者小屋で設営したときの写真です。雪が浅かったため、60cmのペグが刺さり切っていません。また、内部ポールをベルクロ止めする前なので、ポールの位置がずれています。

本体生地に通気性がないので、換気に気をつける必要があります。これは雪山に限ったことではありません。

甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根では悲惨な目にあいました。

雪山での使い勝手について、いずれ詳しい記事にします。

2016年モデル

軽量化された

重量とサイズが次のように変更されました。

重量 サイズ(縦×横×高さ) 変更点
1型 720g 210cm×90cm×95cm 40g軽量化。長辺が10cm長くなり、短辺が10cm短くなった。
2型 820g 210cm×130cm×95cm 45g軽量化。

旧モデルでは1型の長辺は200cmでした。さすがにそれだと寝袋が壁に密着して濡れやすかったのではないでしょうか。長辺を210cmに拡大する代わりに、短辺を90cmに短縮して重量増加を抑えたと思われます。

四隅のポール受け近くにベルクロが追加された

旧モデルは四隅のポール受けが「モノフレームシェルター」のように布地だけだったので、設営時にポールに力をかけたとき先端がズレて本体生地を突き抜けそうな不安がありました。新モデルはポール受け近くにベルクロが追加され、しっかり固定できるようになりました。

改善してほしい点

モデルチェンジするとしたら、本体生地の透湿性を向上させてほしいです。

ブラックダイヤモンドのファーストライトみたいに。まぁ、それを求めるならマイティドームを買えって話でしょうか。あるいはオクトスのULシングルウォールテントか。アライテントのライズ1か。ヘリテイジのクロスオーバードームか、エマージェンシー ドームか。

それぞれ一長一短。いずれ「ドーム型シェルターの研究」なんて記事を書きたいと思っています。

アウレット化

2018年の春先にモンベルのU.L.ドームシェルター(2016年モデル)がアウトレット価格になっていました。

おや?と思っていたら……。

2018年モデル

出入口が長辺側に変更された

この変更点について「モンベル2018年春夏カタログの見どころ」で書きました。

通常、ドーム型テント(シェルター)を設営する場合には短辺を風上側に向けて風の影響を少なくします。旧モデルは換気口が短辺側に付いており、しかも閉じることができません。強風下では風が吹き込みやすい。横殴りの雨や吹雪であれば、シェルター内部に降り注ぎます。

新モデルは長辺側に換気口があるので、横殴りの雨や吹雪がまともに降り注ぎにくいと推測されます。

ポールを外から挿入するようになった

インナーポール式ですが、片側を外から差し込むように変更されました。

一般的にインナーポール式には、

  • 同じ長さのポールでアウターポール式より広い内部空間を確保できる。
  • 悪天時などひとまず中に潜り込んで、内側から設営できる。

というメリットがあると言われます。

前者のメリットは変わりませんが、後者のメリットを打ち消す結果になってはいないでしょうか。

モンベルストアで試し張りした

「ポールを外から挿入するようになった」変更点が気になります。モンベルストアに出かけ、スタッフさんに質問してみました。

説明するより実演するほうが手っ取り早いとばかりに試し張りしてくれました。ポールを外から挿入したのち、反対側のコーナーに固定するのにずいぶん苦労されていました。

WEBの紹介ページ取扱説明書では細部がわかりにくいですが、反対側のコーナーは三辺を袋状に縫ったテープになっており、そこにポール先端を差し込む必要があります。従来のように遠くから四隅を狙って突き立てるアバウトなやり方はできず、奥まで潜り込んでポール先端をきっちり差し込む必要があります。

うーむ。しっかり固定できるのは良いですが、そのぶん手間がかかるようになりました。プラスマイナスゼロという気がしなくもありません。ここまでするなら、いっそポールスリーブ方式にしたらどうでしょうか。普通のテントのようにポールスリーブに高さをつけると内部空間が狭くなるので、生地が二重になっているだけの平べったいポールスリーブでいいと思います。

まとめ

2021年、私は軽量化(980g→880g)されたライズ1に飛びつきました。

生きた伝説、アライテントのライズ1
1984年に登場して以来のロングセラー。山岳雑誌でテントやシェルターの特集があると必ずと言っていいほどいっちょ噛みしてくる生きた伝説です。最新鋭の超軽量テントと並んでも見劣りせず、耐久性を優先するならこちらを選びたくなる質実剛健な設計。アル...

ダブルウォールで1kgを切る軽量テントも増えてきた昨今、ドームシェルターの出番はめっきり減りました。

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山と渓谷、岩と雪、都会と田園をさまよう...

モンベルの次の一手に注目しましょう。

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