MILESTONE(マイルストーン)のヘッドランプ「MS-i1 Endurance Model」(2022年7月発売)を購入しました。18650電池互換のバッテリーを搭載し、電池単体でモバイルバッテリーとして利用可能な意欲作です。
明るさは最大で1,000ルーメン。山岳地帯で早朝や夜間に行動するとき強力な味方となります。主な対象はトレイルランニングですが、一般のテント泊登山やアルパインクライミングでも魅力的な製品です。
開封の儀
同梱物
パッケージの中身は、
- ヘッドランプ本体
- 専用バッテリー
- トップベルト
- 取扱説明書
- クリップ
- 専用USB充電ケーブル
です。
本体
後頭部の電池ボックスと、ランプ部に送電するためのリールケーブルが存在を主張しています。
専用バッテリー
この専用バッテリーが本製品の肝。本家サイトにも取扱説明書にも一切記載されていませんが、「18650形リチウムイオン電池」です。
単に18650形電池互換であるだけでなく、電池自体にUSB Type-C メスの端子を備えており、充電器を介することなく、USB充電ケーブルを直接挿して充電/給電できます。(詳細は後述)
専用USB充電ケーブル
充電/給電を兼ねた専用ケーブルが付属しています。
他機器へ給電するには、端子の側面に付いているUSB Type-Aメス端子を利用します。(詳細は後述)
トップベルト
トレイルランニングなどの激しい動きでヘッドランプが縦揺れするのを防止するため頭頂部に装着します。(詳細は後述)
取扱説明書
ヘッドランプの取扱説明書
専用バッテリーの取扱説明書
クリップ
ランプ部をヘッドバンドから取り外し、このクリップに装着して、バックパックのショルダーベルトやチェストベルトに固定することができます。(詳細は後述)
実際に使ってみる
専用バッテリーをセットする
電池ボックスのキャップを開ける
バッテリーケースのキャップを外します。浸水を防ぐための黒いパッキンが二重に巻かれています。本機の防水性能はIPX4(防沫形)とされていますが、バッテリケース単体なら最高レベルのIPX7~IPX8ありそうです。
バッテリーの+側を奥にして入れる
バッテリケースの内側に電池の+-方向が記載されています。
ケースをしっかり押さえ、キャップを回して閉じます。
※押し込みながら閉めなければ、空回りしますので、ご注意ください。
(防水性を重視したダブルパッキン採用のため)
点灯する
色味
クールホワイトLED×2個、ナチュラルウォームカラー×2個が同時点灯します。色味の調節はできません。
明るさの調節
ランプ上部のボタンをワンクリックで点灯します。ワンクリックするごとに4段階の明るさを循環します。
モード | 明るさ | 持続時間 |
---|---|---|
LOW | 65ルーメン | 53時間 |
MID | 260ルーメン | 11時間 |
HIGH | 480ルーメン | 8時間 |
ULTRA HIGH | 1000ルーメン | 7.5時間 |
HIGHからULTRA HIGHへ明るさが2倍以上になるにもかかわらず、持続時間がほぼ変わらないのが不思議です。
本家サイトによれば、人間の目の慣れを利用した省電力の仕組みが導入されている模様です。
はじめに商品名を“エンデュランスモデル”と名付けたのは、字の如く長時間点灯させる為の仕様に回路設計しています。その特徴としては、点灯2分後に明るさは徐々に落ちます
壁を照らす
Black Diamond「SPOT 400」(MAX 400ルーメン)と本機(MID 260ルーメン)を並べて壁を照らしてみました。中心部が明るいのは同様ですが、本機はより広くフラットに照らします。
消灯する
消灯するにはスイッチを2秒間長押しします。
スイッチのロック
消灯時にスイッチを2秒長押しすると、スイッチがロックします。
バックパックに収納したときなど不用意にスイッチが入って点灯し電池が消耗する事態を回避できます。
ロックを解除するには、再度スイッチを2秒長押しします。
上下の角度を調整する
6段階の刻み目
ランプ部の上下角は6段階に調節できます。
真下に向ける
最大に開くと90度真下を向きます。
トップベルトを装着する
後頭部側にベルトを通す
ベルト先端を電池ボックス側の土台に通し、日型の樹脂製のパーツをくぐらせます。
前頭部側に先端のループを引っかける
ベルト先端のループをランプ側の土台のスリットに引っかけます。
トップベルト装着完成図
トップベルトを頭頂部に載せれば、激しく動いたときヘッドランプが縦揺れしにくくなります。
バッテリーケースをぶら下げる
キャップを外してすっぽ抜く
バッテリーケースのキャップを外すと、土台の輪っかからすっぽ抜くことができます。
ランプ部とバッテリーケースが分離していると、接続ケーブルぶんの重量が増し、嵩張り、取り扱いが煩雑になるというデメリットがあります。一方、寒冷地でバッテリーケースを取り外して、懐に入れて温めながら使えるというメリットがあります。
あまり長く伸ばせない
リールケーブルが太くて頑丈なせいもあって、あまり長く伸ばせません。
胸ポケットまで伸ばすくらいが快適な範囲です。無理に引き伸ばすと、ヘッドバンドの左側が引き攣れて歪み、頭が左下に引っ張られる感じがします。
ランプをクリップにセットする
ランプとバッテリーケースをベルトから分離する
さらにランプとバッテリーケースをバンドから完全に分離することができます。
クリップをランプの背後に嵌める
「クリップの2つの突起」を「ランプの土台の穴」に押し込みます。パチッと嵌ります。
クリップモード完成図
この状態でバックパックのショルダーベルトや、トレッキングパンツのベルトに装着できます。
クリップを外す
クリップを外すには、下側だけ引っ張り上げます。割れたりしないか少々心配ですが、思い切ってやればテコの力でパチッと外れます。
専用バッテリーを充電する
USB Type-C メス端子を堪能する
さて、いよいよお愉しみ。専用バッテリーのUSB Type-C メス端子を試します。
ACアダプタから充電する
専用USB充電ケーブルのUSB Type-A オス端子をACアダプタに挿し、Type-C オス端子を専用バッテリーに挿します。
充電中は赤点灯する
充電中は電池残量インジケータが赤点灯します。
充電完了すると緑点灯する
充電完了すると電池残量インジケータが緑点灯します。
専用バッテリーをモバイルバッテリー(パワーバンク)として使う
専用USB充電ケーブルのType-Cオス端子を専用バッテリに挿します。そして、USB Type-Aメス端子に一般のUSB ケーブル(Type-Aオス端子)を挿し、スマートフォンなど他機器に接続します。
給電中は電池残量インジケータが明るく緑点灯します。
他社機器との互換性
専用スマートバッテリーを他社機器で使う
汎用の充電器による充電は危険!
専用バッテリー「MS-LB3」は専用USB充電ケーブルでのみ充電できます。取扱説明書には、汎用の充電器による充電には一切触れられていません。
私が所有する汎用の充電器は電池ボックスのサイズが足りず、そもそもセットできませんでした。
ノギス(100均のプラスチック製!)を当てると、長さが71.5mmくらいあります。
他社機器での給電は大丈夫のはず
他機器への給電についても、取扱説明書には専用USB充電ケーブルによる方法しか記載されていません。
しかし、さすがにバッテリーのプラス極とマイナス極を電極に当てる方法なら、一般の18650形電池と同様に使えるでしょう。
自己責任で手持ちのパワーボックスにセットしてみました。
BLACK WOLFのパワーボックスには問題なくセットでき、スマホに給電できました。
ThruNite C2もOKでした。
他社機器をMS-i1で使う
専用バッテリー互換18650形電池
専用バッテリー「MS-LB3」と同等品と思われる18650形電池を購入しました。これまた自己責任で本機にセットしたところ、問題なく点灯しました。
サイズも電極の色も同じ。OEM製品ではないでしょうか。純正品よりかなり安価です。
一般的な18650形電池
手持ちの18650形電池を本機にセットしてみました。①の生セル(安全回路なしのセルのみ)は長さが足りず電極と十分に接触しないためか点灯しませんでした。長さがおおむね68mm以上(②③④)なら点灯しました。
専用ケーブルの互換ケーブル
専用USB充電ケーブルと互換性がありそうな製品はこちら。前述の互換バッテリーと同様、オーム電機ブランドの製品です。
OTG対応USB-C→USB-Aアダプタ
専用バッテリーへの充電には、一般のUSB Type-Cケーブルが利用可能です。
他機器への給電についても、裏技を使えば一般のUSBケーブルが利用可能。その裏技とは「OTG対応アダプタ」を介する方法です。
最近のノートPCではUSB Type-Cポートを備える機種が多く、旧来のUSB Type-Aに変換するために元々持っていました。スマートフォンを購入すると、オマケとして同梱されていることもあります。
専用バッテリーにOTGアダプタを挿し、一般のUSBケーブルを介して、他機器に給電できます。
つまり、「専用USB充電ケーブル」と「OTGアダプタと一般的なUSBケーブルの組み合わせ」は同等です。
「専用USB充電ケーブル」で給電する場合には別途ケーブルが必要になります。「OTGアダプタと一般的なUSBケーブルの組み合わせ」のほうが配線がすっきりして、応用範囲が広がると言えます。
変換アダプタが長く突き出すのがイヤな人は延長ケーブルタイプのアダプタを選ぶと良いでしょう。
まとめ(総合評価)
本機「MS-i1 Endurance」は最大1,000ルーメンのまばゆい光を放ち、その光が大容量のリチウムイオンバッテリーにより長く持続します。
広くフラットな光束はテント内で近くを照らす場合にも見やすく、主な操作は光量を4段階切り替えるだけのシンプルさ。あまり細かいことを考えずに暗闇で快適に過ごすには良い選択肢です。
1~2泊の週末登山では重量や嵩張りが気になりますが、長期の登山や、早朝・夜間の活動が多い登山では強い味方となります。
たとえば剱岳の山頂で御来光を拝むには、剱沢を2時~3時の早朝に出発する必要があります。本機のような大容量バッテリー、高輝度ランプであれば、険しく長い岩稜帯を煌々と照らし続けてくれます。
また、専用バッテリーをモバイルバッテリーとして流用できる利便性とあいまって、装備の軽量化にも貢献してくれることでしょう。
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