ジェットボイル解体新書

ジェットボイルって評判がいいけど、

  • どんな特徴があるの?
  • 長所と短所は?
  • 使いこなすうえで注意点やコツや工夫は?

従来あまり触れられてこなかった斬新な機能や、長年使い倒して気づいた使いこなしについて解説します。

ジェットボイルの特徴

長所

  • お湯が沸くのが速い
  • 燃費が良い
  • 風に強い
  • コンパクト収納
  • 一体型の安定感

お湯が沸くのが速い

人呼んで「瞬間湯沸かし器」。まあ、「瞬間」は大げさだとしても「高速」であることは間違いありません。

コーヒーを飲みたくなったら、

  1. クッカーに水を注いで、火力を全開にする。
  2. ドリップコーヒーとマグカップをごそごそと探す。
  3. ドリップコーヒーのパッケージを開け、パッケージをゴミ箱に入れる。
  4. ドリップコーヒーのフチを切ってセットする。
  5. さて、ちょっとお菓子でもつまもうか。

と手順を踏むうちに、ジェットボイルがぐつぐつ沸き出します。

燃費が良い

長期の縦走であれば、燃費の高さによりガスカートリッジの個数を削ることができ、結果的に荷物が軽くなります。

熱が漏れにくく、風に強い

燃費の良さは、クッカーの底のフラックスリングが熱を逃さず吸収するためです。

  • 手を近づけてもあまり熱を感じない。
  • と言うことは、風にも強い。

野外で少しくらい風が吹いていても風防で囲わずにすみます。つまり、風防を携行する必要がありません。

コンパクトに収納できる

全パーツを小型のガスカートリッジとともに収納できます。フラックスリング内側の空洞にもモノを入れることができます。

一体型で安定している

普通のクッカーを倒すと、水をぶちまけたり、床を焦がしたりと大惨事になります。

ジェットボイルだと、フタをしっかり閉めてあれば注ぎ口から水漏れするくらいです。

短所

  • 細い湯を注ぎにくい
  • やや重い

細い湯を注ぎにくい

個人的にはジェットボイルの本質的な欠点はこれだけだと考えています。

登山にドリップコーヒーを持ち込む人は多いでしょう。ジェットボイルの注ぎ口は大雑把な楕円形なので、コーヒー豆に細い湯を渦巻状に落とすフォーマルな淹れ方ができません。ドボドボとふりかけるような注ぎ方になります。

TPU製のフタは成型の自由度が高いはずなので、注ぎ口を改善してほしいものです。

やや重い

全パーツを驚くほど「コンパクトに収納」できますが、絶対的な重量が「やや重い」ことは否定できません。

シングルバーナーとクッカー ジェットボイルMicroMo
内訳 75g
総重量 195g 400g

コンパクトなシングルバーナーとクッカーの組み合わせと比較すると200gくらい重い。

この重量差は小型のガスカートリッジ(194g)に相当します。小型のガスカートリッジが1個あれば、夏山なら3泊、冬山で雪を溶かすのに利用したとしてもなんとか1泊くらいはしのぐことができます。

ジェットボイルはスタビライザー26g、ゴトク34g、プラスチックカバー30gを含むので、公平に比較するなら100gくらい重い。

ジェットボイルを使いこなす注意点、コツ、工夫

フタをパチッと留まるまで押し込む

万が一ジェットボイルを倒したとき水がこぼれにくい長所は、フタがしっかり閉まっていればこそです。フタに刻まれた溝の最奥までぎゅっと押し付けて閉めてください。

フタを閉めるときはバーナーから外す

クッカーをバーナーにセットしたままフタを閉めると、根元に無理な力が加わり、ガス漏れなど不具合を招くおそれがあります。バーナーから外した状態で閉めるようにしてください。

横着してバーナーにセットしたまま、だましだましフタを閉めると、しっかり嵌まりません。お湯を注ぐとき急にフタが外れてアッチッチ!となります。(経験談)

ハンドルを持ってはいけない

コジー(ネオプレン製のカバー)のハンドル(取っ手)をマグカップのように持つと、ぐにゃりと伸びて不安定です。円筒形の部分をわしづかみし、指の背にハンドルを当てるのが本来のやり方です。

圧電点火装置は低圧低温に弱い

圧電点火装置(オートイグナイター)は低圧低温の環境下では火花が飛びにくくなります。雪山や高山で使う場合には、別途フリント式ライターを携行してください。

フリント式とは歯車を回して着火するタイプのこと。電子式は圧電点火装置と同様、低圧低温の環境下では火花が飛びにくくなるのでNGです。

フリント式ライターを底に格納すべし

フリント式ライターはフラックスリングの内側に格納し、ジェットボイルと一心同体で携行することをおすすめします。

ほかにコーヒーや紅茶のパック、非常食など入れる余裕があります。

ジェットボイルは一見、図体がデカいですが、こうしてデッドスペースを余すことなく活用すれば荷物をコンパクト化できます。

ポリ袋で汚れやサビを防ぐ

全パーツをクッカーに収納する場合、小さなポリ袋で包むことを強く推奨します。

剥き出しで収納すると、

  • 地べたに置いたスタビライザーの汚れがクッカーに付着する。
  • クッカーに残った水分でガスカートリッジやパーツが錆びる。

といったデメリットがあります。

普通のクッカーも使える

付属のゴトクを利用すれば普通のクッカーをのせることができます。

ゴトクの足を90度開き、切り欠きをバーナーの円周部に嵌めてください。

「サーマルクッキング」で燃料を節約する

サーマルクッキングを利用すれば、加熱調理において燃料を節約できます。中身が煮立ったら火からおろし、底にプラスチックカバーをかぶせます。するとフラックスリングからの放熱を防ぎ、余熱で調理できます。

「えっ、プラスチックが溶けるんじゃないの?」と思いますが、プラスチックカバーが本体と接触しているのは外周だけなので大丈夫です。

手で持つと、温かくなっているのがわかります。

フラックスリングはその表面積の大きさで火の熱を高い効率で吸収します。と言うことは、火を止めたあとは逆に放熱しやすいということです。

ラーメンを作る手順
  1. 水を沸騰させる。
  2. 麺を入れて、再沸騰させる。
  3. 火からおろして「サーマルクッキング」する。

余熱調理をしないまでも、沸かして余ったお湯が冷めないようにプラスチックカバーをかぶせて放熱を防ぎましょう。

「サーマルクッキング」については取扱説明書の片隅に《調理終了後の作業について。(中略)やけどと中身の冷えを防止するため、プラスチックカバーを専用クッカーの底に装着します。》と書かれているだけなので知らない人が多いかもしれません。

「スチーム&ボイル」(蒸し料理)ができる

クッカーで湯を沸かし、フタの上に材料をのせて、プラスチックカバーをかぶせると蒸し料理ができます。

ジェットボイルの輸入販売元であるモンベルが出版している「ジェットボイル クイックレシピ55」という本に「サーマルクッキング」と「スチーム&ボイル」が紹介されています。

底のカップをエバニューのカップにすげ替える

底のカップ(プラスチックカバー)の代わりにエバニューの「チタンカップ400」をぴったり嵌めることができます。

雪を溶かすときは水に浸す

私が使っているモデル「SOL チタニウム」の場合、コジーに材料ごとの加熱方法が印刷されています。

雪を溶かすときは水に浸します。雪の塊をそのまま放り込むと、クッカーの底と接触する面積が少ないため、空焚きに近い状態になります。フラックスリングが溶け落ちた事例が報告されています。

底にフラックスリングが付いたクッカーは液状の食材の調理専用です。油で揚げたり炒めたりすると過熱して破損や火傷の原因となります。

ジェットボイルを吊り下げる

既製品のハンギングキットは嵩張り、お値段も張ります。吊り下げシステムを自作してみました。

材料はNEMOのガイラインキット(直径2mm)の余りです。コジーはあまり熱くならないので溶けることはないはず。耐熱性が高いケブラーコードを使う手もあります。

登山ギアガイド2016」で見かけた写真(p.91)を真似してみました。

まとめ

ジェットボイルの一体型モデルでは基本的な特徴(長所、短所)、注意点、コツ、工夫が共通しています。

モデル毎の細かいスペックを比較するにはこちらの記事をご参照ください。

ジェットボイルの選び方
ジェットボイルの主要なスペックと、●圧電点火装置(搭載=〇, 非搭載=×)●サーモレギュレーター(搭載=〇, 非搭載=×)●価格をギュッと圧縮して掲載します。モデルの比較と選択にお役立てください。

ジェットボイルのクッカーと固形燃料と組み合わせた爆速湯沸かしシステムについてはこちらの記事をご参照ください。

爆速ストーブ!ジェットボイル×固形燃料
熱効率が高いジェットボイルのクッカーと固形燃料を組み合わせると、予想外の爆速湯沸かしが可能となります。燃料の扱い方や周辺器具について解説します。
登山用品
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