登山地図アプリで正確なコースタイムを記録する裏技

登山地図アプリで正確なコースタイムを記録する裏技

登山地図アプリを使い始めると、活動記録のすべて(地図の確認、写真撮影、コースタイムの記録、日記)をスマホだけで完結したくなります。軌跡(GPS)ログは位置情報と日時をリンクする中核となるデータですが、休憩時間を記録できないという弱点があります。別途、紙のメモ帳に筆記すると二度手間になります。スマホで電子的にお手軽に記録する方法を考案しました。

コースタイムの記述スタイル

マイスタイル

コースタイムの記述スタイル:マイスタイル

私はコースタイムを紙のメモ帳にこのように書きます。休憩時は、分岐や山頂、山小屋などはっきり位置がわかれば「〇〇山」、よくわからなければ単に「休」と書いて、その前後に到着時刻と出発時刻を記入します。几帳面に分単位です。

13:59 休 14:07

加藤文太郎スタイル

偉大な先人はどうでしょうか。加藤文太郎の「単独行」からコースタイムの記録を引用してみます。

一月三日 快晴 温泉出発三・〇〇 夏沢峠五・〇〇 本沢温泉六・〇〇 夏沢峠八・〇〇 硫黄岳九・〇〇 横岳一〇・二〇 赤岳一一・一〇 夏沢峠一・四〇 夏沢温泉三・〇〇 上槻ノ木六・三〇

これは加藤文太郎が初めて本格的な冬山に挑んだ「八ヶ岳」のコースタイムです。《それだのに、それだのに、なぜ僕は、ただ一人で、呼吸が布団に凍るような寒さを忍び、凍った蒲鉾ばかりを食って、歌を唄う気がしないほどの淋しい生活を、自ら求めるのだろう》と記した紀行文で有名です。夏沢温泉から夏沢峠に登り、本沢温泉へ道草したあと、夏沢峠に登り返し、赤岳まで往復するという健脚ぶりです。初めての本格的な冬山とは思えない大胆なコースどりです。

どれくらい休憩時間をとったのかは明確に書かれていません。休まなかったのか、それとも休んだとしてもごく短時間なので全体のコースタイムからすれば誤差の範囲内だと意に介さなかったのでしょうか。

二月十一日 曇-雪 抜き戸岳北側のコル〇・〇〇-一・〇〇(零下二〇度) 二五八八・四メートル峰の南のコル三・三〇-四・〇〇(零下一〇度) 樅沢岳七・〇〇 槍肩二・二〇

こちらは槍の肩から32時間を超える長時間行動で笠ヶ岳を往復したときのコースタイム(後半)です。抜き戸岳北側のコルで甘納豆(トレードマーク!)をコッヘルで煮て食べたとき「〇・〇〇-一・〇〇」という具合に1時間ほど休んでいます。二五八八・四メートル峰の南のコルではレモン・ティをこさえたとき「三・三〇-四・〇〇」という具合に30分ほど休んでいます。12時間制かつ漢数字なのでわかりにくいですが、どちらも夜中の行動中です。「休憩場所」のあとに「到着時刻-出発時刻」と書くスタイルです。

休憩場所 到着時刻-出発時刻

YAMAPスタイル

コースタイムの記述スタイル:YAMAP

マイスタイルのほうが合理的だと思っていたのですが、登山地図アプリの代表格YAMAPは加藤文太郎スタイルです。

チェックポイント 到着時刻-出発時刻

登山地図アプリで正確なコースタイムを記録したい

私はここ数年、防水紙のノートに登山記録を書いてきました。

しかし、スマホの登山地図アプリを使うようになると、すべてスマホで完結したくなります。

そこで問題となるのが「登山地図アプリは休憩時間を正確に記録できない」点です。

YAMAPの場合、「チェックポイント」の100m圏内を出入りした時刻が「活動日記」に表示されます。

単に通過しただけだと3分くらい滞在したように表示されます。

稲荷山 15:22 – 15:25(3分)

もし「チェックポイント」で15分休んだら、18分休んだように表示される公算が大です。

稲荷山 15:22 – 15:40(18分)

本人は「15分休んだ」つもりなのに、YAMAPの「活動日記」では18分休んだように見えるわけです。ましてや、「チェックポイント」でない場所で長時間休憩すると、その時間は「活動日記」に表示されません

本人が意識する「到着時刻」と「出発時刻」をスマホでお手軽に電子的に記録する方法はないでしょうか。もちろん、スマホのメモアプリに入力するってのはナシです。

  • ボイスレコーダーアプリを利用して、到着時刻/出発時刻、登山の状況などを録音する。
    ➡ 未実行。周囲に人がいたら恥ずかしい。
  • 到着したとき来た方角の写真を撮り、出発するとき行く方角の写真を撮る。
    ➡ 実行してみた。どうせ撮るなら見栄えのする写真を撮ろうとして、あとで見返したとき他の写真と区別がつかなくなる。

ようやく思いついた裏技とは……。

登山地図アプリのスクリーンショットを撮る

登山地図アプリのスクリーンショットを撮る

これは高尾山で、山頂に到着したときと、山頂を出発するときにYAMAP画面のスクリーンショットを撮ったものです。

私は稲荷山コース最後の階段を登り切ったところを「到着」とみなします。高尾山大見晴園地と呼ばれているエリアで自販機のジュースを飲んだり、富士山方面の景観を楽しんだり、トイレに寄ったりしたあと、実際に山頂標識のわきを横切るのは下山を開始する直前です。東側に展望が開けた舗装道を下り始めるところを「出発」とみなします。正確な位置情報ではなく、本人の「到着」と「出発」の感覚を軸とします。

高尾山における「到着」と「出発」の感覚

要所要所で登山地図のスクリーンショットを撮っておけば、地図と現在位置、時刻が表示されているので、あとで正確なコースタイムを計算できます。GPSが正常に働き、現在地マークがしっかり追従しているかチェックする目的を兼ねます。決して余分な手間ではなく、習慣づける価値があります。

この技はもちろんYAMAP以外の登山地図アプリにおいても有効です。

YAMAPならスクリーンショットも軌跡ログに表示できる

YAMAPならスクリーンショットも軌跡ログに表示できる

YAMAPの「活動日記」では、スマホで撮影した写真を軌跡ログと重ね合わせて表示できます。スクリーンショットもいっしょにアップロードして、正しい時系列で表示できます。

活動中に撮影した写真を一括選択してアップロードできる

特別な手順は必要ありません。「活動中に撮影した写真」として、風景写真などといっしょに「一括選択」してアップロードするだけです。スクリーンショットは撮影日時をもっていませんが、作成日時をもとに正しい順序で並べてくれます。YAMAPが意図した仕様かどうかは不明ですが、ありがたく利用させていただきましょう。

写真をアップロードする手順については以下の記事をご参照ください。

他のスマホやカメラで撮った写真も「活動日記」にアップロードできます。「撮影日時」をもとに軌跡と重ねて表示できます。

スクリーンショットの撮り方

Androidなら「電源ボタン」と「音量マイナスボタン」を同時押しします。メーカーによっては、画面を指関節で2回タップするとか、「マルチタスクボタン」を長押しするとか、独自の操作法を用意しています。

iPhoneX以降では、「サイドボタン」と「音量ボタン」を同時押しします。

私はAndroidで「タッチショット」アプリを利用しています。画面上に専用ボタンがオーバーレイ表示されるので、ワンタップでスクリーンショットを撮ることができます。

タッチショットのオーバーレイ表示

タッチショット (スクリーンショット)

タッチショット (スクリーンショット)

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登山地図アプリに一時停止/再開を記録する機能をつけてほしい

YAMAPの一時停止/再開ボタン

高尾山の山頂で長時間くつろぐ場合、人によっては1号路をちょっと下った多機能トイレまで足を伸ばして、また山頂に戻るかもしれません。山頂の混雑を避けて、奧高尾縦走路方面に下った東屋やベンチで休むかもしれません。軌跡ログはさぞかし混乱することでしょう。

そんな混乱を避けるために、はたまたバッテリーを節約するために、登山地図アプリにはたいてい「一時停止」「再開」という機能があります。その機能がもしかすると、「休憩時間」を記録してくれるのではないかと期待したのですが、単に軌跡ログへの書き込みを一時休止するだけです。

YAMAPの公式サイトで要望してみました。

GPSログ(拡張子.gpx)の実体は位置情報と日時情報が並んだテキストファイルです。拡張可能なXML形式ですので、「一時停止」と「再開」を記録する独自のタグを追加できないものでしょうか。

YAMAPの軌跡ログの実体

アプリやWEBで軌跡ログを表示するとき、「一時停止/再開ポイントを表示する」オプションをONにすると、軌跡やコースタイムに反映して欲しい。もし「一時停止/再開」ポイントとチェックポイントが重複した場合には、コースタイムの色を変えて表示する。

こんなイメージです。

YAMAPがこうなったらいいなというイメージ

多くの人が同様の要望を書き込めば実現するかも……?

まとめ

登山地図アプリが「一時停止/再開」の表示に対応するまでは、要所要所でスクリーンショットを撮る技でしのごうと思います。

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