極暖の鎧「エクスペディションホットトラウザーズ」雪山登山の厚手タイツをレビュー

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寒さを知ることは、己の現在地を知ることである

本格的な雪山登山に復帰してしばらくは、厚手の裏起毛パンツにアウターシェルを重ねるだけの、いわば「最小限の武装」で過ごしてきました。行動中に支障を感じることはなく、その身軽さこそが正解だと信じていたのです。

しかし、極寒が支配する雪山の夜、私は己の限界を知ることになりました。 シュラフの中でダウンパンツを履き、ダウンブーツを重ね、カイロを忍ばせ、湯たんぽ代わりのプラティパスを抱く。過剰とも思える対策を講じてもなお、這い上がってくる冷気は情け容赦なく下半身を蝕むのでした。

かつては、これで十分だったはずだ

古い山行記録を紐解くと、若き日の私は今の私よりも「もう一枚」多く着込んでいたことに気づきました。皮肉なものです。動きやすさを求めて削ぎ落としてきたその一枚が、今の私には決定的に欠けていたのです。

防衛体力の衰えを認めることは、敗北ではない。それは、自然と対話するための新たな知恵を得るプロセスに過ぎない

足さばきが悪くなるという言い訳を捨て、私はついに、禁断の一枚をこの手に取りました。 THE NORTH FACEが贈る極暖の鎧エクスペディションホットトラウザーズ 」。

この一着が、私の雪山に再び安らぎをもたらすでしょうか。

光電子の力で、体温を賢く操る高機能アンダー。極暖の鎧
  • 光電子®による遠赤外線保温: 自らの体温(遠赤外線)を利用して肌面を温める「光電子®」繊維を採用。加温ではなく「保温」するため、自然で優しい暖かさが持続します。
  • 断熱性の高い起毛構造: 嵩高(かさだか)のある起毛地がデッドエアを大量に溜め込み、外気からの冷えを遮断。非常に厚手ながら、空気を含んでいるため軽量です。
  • 汗処理能力の高さ: 肌面に水を含まないポリプロピレンを配置。汗を素早く吸い上げて表面に拡散させるため、極寒地での汗冷えリスクを最小限に抑えます。

厳冬期の八ヶ岳やアルプス、アイスクライミングなど、「極限の寒さの中で、激しい動きと停滞が繰り返される」環境に最適です。

THE NORTH FACEの「エクスペディションホットトラウザーズ 」開封の儀

プライスタグ

「エクスペディションホットトラウザーズ 」ではロングセラーで、値引き販売されているのをあまり見たことがありません。

全体像

「エクスペディションホットトラウザーズ 」の外観は厚手のジャージといった印象です。下着っぽくないところが良い。山小屋ではギリギリこれだけで歩いていても大丈夫そうです。

SUMMITのロゴ

「エクスペディションホットトラウザーズ 」はSUMMITロゴ付き。このロゴは「ハードコアなアルパインクライミングへの挑戦を最高レベルのテクノロジー&レイヤリングでサポート」するアイテムに付与されます。

サイズタグと洗濯タグ

筆者(身長175cm、体重62~63kg)はノースフェイスのウェアと体形の相性が良いです。「エクスペディションホットトラウザーズ 」の場合、Lサイズでぴったりでした。

履き口の内側

「エクスペディションホットトラウザーズ 」の内側はもこもこと起毛しています。

裾の内側

「エクスペディションホットトラウザーズ 」の裾をクローズアップしました。太陽のコロナのように毛羽立っているのがわかります。

前開き

タイツを選ぶとき見落としてはならないのが前開きの有無。「エクスペディションホットトラウザーズ 」は前開き付きで、目立たないコンシールファスナーで開閉できます。

ファスナーの裏側

「エクスペディションホットトラウザーズ 」は、腰の締め具合をドローコードで調節するようになっています。筆者は買ったときのまま何も調整せずに使っています。

重量

「エクスペディションホットトラウザーズ 」(Lサイズ)の重量は実測で293gでした。厚手タイツのなかで最上級のボリュームです。

トレッキングパンツと重ね着

「エクスペディションホットトラウザーズ 」を「バーブパンツ」と重ね着すると、最高に暖かい雪山用トレッキングパンツとなります。

トレッキングパンツの到達点、ノースフェイスの「アルパインライトパンツ」「バーブパンツ」の違いを比較レビュー
「アルパインライトパンツ」と「バーブパンツ」のどちらを買ったら良いのか。結論を先に言うと、「両方とも買えば?」。筆者は2着ずつ所有しています。長い旅路の果てにたどり着いた両アイテムがどのような特徴をそなえているのか、どう使い分けたらよいのか、違いを比較し、レビューします。
「アルパインライトパンツ」は細身なので、重ね着するとやや窮屈に感じます。「バーブパンツ」を裏起毛した「バーブサーマルパンツ」は今一つ保温力が物足りないと感じます。

「エクスペディションホットトラウザーズ 」の使用例

高尾山

12月の冷え込んだ高尾山で「エクスペディションホットトラウザーズ 」を試し履きしました。

薄手でぴちぴちのタイツだと、ソックスの内側に履くか、外側に履くか迷います。「エクスペディションホットトラウザーズ 」はゆったり目なのでソックスの外側に履きます。

稲荷山尾根を早いペースで登りました。伸縮性が抜群で足上げを阻害しません。さすがに低山ではオーバースペックなので下半身が汗ばみました。が、下山中にすっかり乾きました。電車での移動や、マクドナルドで一息つくひと時ほっこりして快適そのものでした。

初冬の甲斐駒ヶ岳

「エクスペディションホットトラウザーズ 」を冬の高山帯で初めて使用したのは初冬の甲斐駒ヶ岳です。

レイヤリングの詳細についてはこちらの記事をご参照ください。

GWの立山

「エクスペディションホットトラウザーズ 」は快晴の春山ではちと暑かったです。

短パンと併用することをおすすめします。

冬のボルダリング

冬のボルダリングでもこのレイヤリングを採用。優れた伸縮性によりムーブを妨げません。

その他の厚手タイツ

「エクスペディションホットトラウザーズ 」以外に、私が検討した厚手タイツを紹介します。重量300gクラスで入手しやすい製品は以下のとおりです。

モンベル「トレールアクションタイツ」

驚異のストレッチ性が、冬の足運びを自由にする。
  • 抜群のストレッチ性: 「ストレッチクリマプラス®」を採用。縦横2方向への圧倒的な伸縮性があり、急な岩場や段差でも足の動きを一切妨げません。
  • 裏起毛の適度な保温力: 裏面はソフトな起毛地で、肌触りが良く保温性も十分。厚すぎないため、行動中でもオーバーヒートしにくく、幅広い気温に対応します。
  • スムーズなレイヤリング: 表面は滑らかな質感に仕上げられており、レインウェアやハードシェルを重ね履きしても摩擦が少なく、足さばきが非常にスムーズです。

秋・春の登山ではこれ1枚、冬の低山や雪山登山ではハードシェルの下のインナーとして。「常に動き続けるアクティブな登山」に最適な一着です。

なんと言っても価格がお手頃。こちらにするか迷いました。両腰にポケットがあり、裾は広めで「エクスペディションホットトラウザーズ」よりさらにアウターとして使いやすい。ただし、シルエットが太いぶん、トレッキングパンツとは重ね着しにくいはず。

ひだまり健康肌着「チョモランマタイツ」

極寒を制する、エベレスト級の温もりとドライ感。

働く男たち、闘う男たちの肌着。「ひだまり健康肌着」公式サイトに掲げられている登山隊の写真(1980年代?)がしぶすぎます。

この広告は2026年1月現在なくなった模様

  • 圧倒的な保温力: 「ダンロン®」という特殊な繊維を使用。3重構造の編地の中に大きな空気層を作ることで、魔法瓶のように体温を逃がしません。
  • 汗冷えを徹底ガード: 保水率0%の繊維が汗を外側へ放出するため、肌面は常にサラサラ。登山の天敵である「汗冷え」による急激な体温低下を防ぎます。
  • 動きやすさと快適性: 高い伸縮性に加え、消臭機能(汗臭・加齢臭)も備えており、数日間にわたる縦走やテント泊でも快適な着心地をキープします。

雪山登山、厳冬期のバックカントリー、冬の釣りなど、「動きを止めて休憩する時間が長い」あるいは「極低温下で活動する」場面で真価を発揮します。

注意点 非常に保温性が高いため、低山での激しい運動や、気温がそれほど低くない日の登りでは「暑すぎる」と感じることがあります。状況に合わせたレイヤリングが重要です。

石井スポーツの店頭で見かけたポップ。写っているのは石井スポーツ社長の荒川勉さん。「エベレストに行かせてくれるなら社長を引き受けます」と宣言したとか。(PEAKS 2018年3月号p.163)

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