灰式カイロを登山で使う

2012年頃、灰式カイロを購入しました。gelertブランドのその名もズバリ「ハンドウォーマー」という製品です。寒冷地でカメラを保温するために使う人が多いようです。私は岩場で自分のクライミング動画を撮影する際、デジカメにつないだモバイルバッテリーを温めるために使っていました。

現在流通している製品は赤色の外観で、巾着袋が付属しています。燃料スティックのパッケージも変わりました。

詳細を知りたいと思い、本家サイトをのぞいてみましたが、この商品は見つかりませんでした。輸入販売元のハイマウントで簡単に紹介されています。

ハンドウォーマー本体

gelert ハンドウォーマーの上面

ハンドウォーマー外側は毛羽立った繊維で覆われています。空気穴が透けて見えます。

gelert ハンドウォーマーの下面

「WARNING, DO NOT OPEN WHEN HOT(警告:熱いときは開けるな)」と書かれています。

側面の突起を押しながら開ける

側面の突起を押しながら開けます。

前回使用した灰が残っていた

前回使用した灰が残っていました。

灰をこそぎ落とした

灰をこそぎ落とすとこんな感じです。

グラスウールのクローズアップ

グラスウールが埋め込まれています。燃料スティックを置いた跡がくぼんでいます。

gelert ハンドウォーマーのサイズ

ハンドウォーマーのサイズは実測で長辺118mm×短辺70mm×厚さ23.5mmでした。

gelert ハンドウォーマーの重量

ハンドウォーマーの重量は実測で99gでした。

ハンドウォーマー用木炭

ハンドウォーマー用木炭の外箱上面

たしか石井スポーツで購入しました。12本入りで税込み472円でした。

ハンドウォーマー用木炭の外箱下面

「UK」の文字が見えます。gelertはイギリスの会社です。製造元は「MADE IN CHINA」(中国製)と記載されています。

ハンドウォーマー用木炭の外箱側面

ハンドウォーマー用木炭の個別包装

燃料スティックは銀紙(アルミホイル?)で1本ずつ包まれています。現在流通している燃料にはこの銀紙がありません。Amazonでは品質が劣化したというレビューが見受けられます。

ハンドウォーマー用木炭のサイズ

燃料スティック1本(銀紙付き)のサイズは実測で長さ83mm×幅15mm×厚さ9mmでした。

ハンドウォーマー用木炭の重量

燃料スティック1本(銀紙付き)の重量は実測で6gでした。

ハンドウォーマー用木炭の銀紙を開いた

銀紙を開くと、真っ黒な燃料スティックがあらわれます。商品のラベルには単に「木炭」と記載されていますが、木炭の粉を棒状に固めたものでしょう。「灰式カイロ」というくらいですから、火持ちを安定させるために灰も混ざっているはずです。

ハンドウォーマー用木炭の取扱説明書

日本語の取扱説明書が見当たりませんでした。もしかするとハンドウォーマー本体のほうに付属していたかもしれません。

以下、直訳と意訳をないまぜにした迷訳をお届けします。

instruction for use(使用法)

  1. Press the catch on the front of the warmer to open it (fig 1).
    ウォーマーの前面にある引手を押して開きます(図1)。
  2. Remove the foil wrapping of the fuel stick and light one end with a match or cigarette lighter (fig 2). Then blow gently on it and allow to burn.
    燃料スティックのホイルラッピングを外し、マッチまたはシガレットライターで一端に点火します(図2)。次にそれを静かに吹いて燃焼させます。
  3. Holding it at its unlit end, place the lighted fuel stick in the warmer case and close the lid (fig 3)- ensuring that the spring clip has fully closed the two parts on the warmer.
    火が付いていない側の端を持って、点火した燃料ステックをウォーマーのケースに置き、蓋を閉めます(図3) – ウォーマーの留め金が完全に閉じていることを確認します。
  4. To intensify the heat output, the fuel rod may be lit at both ends but this will nearly halve the burning time.
    火力を強くするために、燃料スティックの両端で点火できますが、燃焼時間がほぼ半分になります。
  5. Strech the provided elastic band around the warmer for extra security against it opening unintensionary.
    念のためウォーマーの周囲を伸縮バンドで巻いて、それが不用意に開くことを防ぎます。
  6. In the warmer gets too hot take it out of your pocket for a while to allow air temperature to cool it down – but do not open it.
    ウォーマーが過熱したときはしばらくポケットから取り出して外気で冷まします。しかし、開いてはいけません。
  7. When not in use, the lighted fuel stick inside shoud be taken out and extinguished. if you must open the warmer when hot for this purpose, exercise extreme care and do so only on a level fire proof surface.
    使わないときは、内部で燃えている燃料スティックを取り出して消火します。そのために熱いウォーマーを開けなければならない場合は、厳重な注意を払ってください。

Cautions(注意事項)

  1. The fuel rods can become very hot in use
    燃料棒は使用中に非常に熱くなることがあります。
  2. For adult use only. Do not give the handwarmer to a child to handle or use
    大人専用です。子供にハンドウォーマーを与えて扱わせないでください。
  3. To avoid unintentional combustion, do not place the warmer or fuel sticks near to flammable materials
    意図しない燃焼を避けるために、ウォーマーや燃料スティックを可燃物のそばに置かないでください。
  4. Do not use the warmer in bed or sleeping bag
    ウォーマーをベッドや寝袋で使用しないでください
  5. Open the warmer only when the outside is cooled (if the outer surface is warm this indicates that the fuel rod may still be lit) and exercise extreme care.
    外側が冷えている場合(外側が温かい場合、燃料スティックがまだ燃えているかもしれないことを示します)にのみウォーマーを開き、厳重な注意を払ってください。
  6. Open the warmer only in horizontal position – to prevent any hot ashes falling out
    熱い灰がこぼれ落ちないように、水平の状態でウォーマーを開いてください。
  7. The lighted fuel stick reaches a very high temperature and must not be handled with your fingers
    点火した燃料スティックは非常に高温になるため、指で取り扱わないでください
「寝袋で使用しないでください」と記載されています。過熱したり、不完全燃焼して一酸化炭素が発生するおそれがあります。「指で取り扱わないでください」というのは、点火時の説明と矛盾する気がします。おそらく点火してから長い時間が過ぎると全体が熱くなるということでしょう。

点火

最初の1本はハンドウォーマーに入れておく

日帰りのクライミングでは燃料スティックを1本しか使わないので、銀紙のままハンドウォーマーに入れておくのが常でした。

木炭の片方の端に火を点ける

取扱説明書には、燃料スティックを指で持って火を点ける図があります。説明文の中にもそうあります。最初に端の1cmくらいをしっかり燃やすには、指で持って一周まんべんなく焼いたほうがいいということでしょう。

※ 上の写真では、ハンドウォーマーに置いた状態で、ポケトーチで着火しています。

しばらく薄く開けた状態で火を安定させる

フタを薄く開けて、酸素供給が十分な状態で、火が安定し、ケースが温まるまでしばらく見守ります。この加減をあやまると、立ち消えしやすくなります。

その他、注意点

保管・持ち運び

こうした固形燃料の良いところは、燃料の取扱いがしやすいところです。ハクキンカイロのようにベンジンを計量しながら注入しなくて良い。得体の知れない?化学反応ではなく、「火が燃える」という直感的な原理で発熱するところが安心できます。ただし、燃料が湿気てしまわないように保管・持ち運びに注意が必要です。

匂い

粉っぽい灰の匂いが苦手な人がいるかもしれません。ベンジンの匂いよりは良いという人もいます。

使用後の手間

使用前の準備が簡単なのは良いですが、使用後は灰を始末する手間がかかります。

デッドストック?

2018年12月、好日山荘の立川店で緑色の製品を見かけました。デッドストックでしょうか。展示品の木炭はなぜか銀紙でおおわれています。

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登山用品

コメント

  1. 通りすがり より:

    「3. Holding it at its until end」のところは、untilではなくてunlitですね。
    火がついていない側の端を持って、といったところでしょうか。

    • kamiyama kamiyama より:

      通りすがり 様、ご指摘ありがとうございます。
      「それを済むまで保持し」→「火が付いていない側の端を持って」と修正しました。