登山マットレス比較~オールウェザーブランケットは登山に向いていないかもしれない

銀マットはテント床のベースレイヤーである」という記事を書きました。

「テントマットとして使える多目的シートならオールウェザーブランケットでいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。が、素材の特性を理解したうえで利用する必要があります。

パッケージ

正面

オールウェザーブランケットのパッケージ(表)

オールウェザーブランケットのパッケージ(表)

背面

オールウェザーブランケットのパッケージ(裏)

オールウェザーブランケットのパッケージ(裏)

タグ

オールウェザーブランケットのタグ

オールウェザーブランケットのタグ

素材と特性

表面は熱に弱い

オールウェザーブランケットの素材

オールウェザーブランケットの素材

オールウェザーブランケットの素材材質は「プラスティックフィルム・アルミニウム・ポリエチレン繊維・プラスティックフィルム」の4層構造とされています。

  • 銀色に見える面(プラスティックフィルム)
  • 熱反射層(アルミニウム)
  • 引き裂き強度を高めるためと思われる層(ポリエチレン繊維)
  • 赤や青の原色の面(プラスティックフィルム)

銀色に見える面はアルミニウムではありません。アルミニウムは中間にラミネートされており、透明のプラスチックフィルムで剥離を防いでいるようです。なので、熱い物を置くとプラスチックフィルムが溶けます。

冬に太刀岡山の小山ロックでクライミングしたときのこと。底冷えするエリアなので、いざとなったら防寒に使えるかなと思い、オールウェザーブランケットを携行しました。クライマーは「焼き石」と称して、小さなタマゴくらいの石をコンロで焼き、チョークバッグに忍ばせておき、登攀中に手を温めたりします。その準備中に、アッ、おろしたてのシートに落としてしまった。赤い面に一瞬にして穴があき、悲しい思いをしました。銀色の面でも同じことが起きるはずです。

保温性は銀マットに軍配が上がる

銀マットのような発泡ポリエチレン層はありません。保温性については銀マットのほうが優れていると感じます。

私がよく利用しているキャンドウの銀マットのサイズは150cm×90cm×厚さ約2mmで重量は約55グラムです。オールウェザーブランケットのサイズは152cm×213cm×厚さ約2mmで重量は約325グラムです。銀マット2枚分でおよそ同じ面積に相当しますが、それでも重量は110グラムと軽いです。重量当たりの保温性は銀マットに軍配が上がります。

登山に向かない?

こうして見ると、私の用途には合わない点が多いです。私には合わないというだけで、優れた製品であることは間違いありません。おそらく三十年以上前から安定供給されていることがそれを証明しています。

パッケージには次のように記載されています。

The All-Weather Blanket evolved from an insulation material developed for use by NASA in the Apollo program.

全天候ブランケットは、アポロ計画でNASAが使用するために開発された断熱材から進化しました。

四隅のグロメットを利用して屋根掛けするなら、迷わずオールウェザーブランケットを選ぶでしょう。

本家と類似品

Grabber / オールウェザーブランケット

主要なスペック

サイズ 152X213cm
重量 350g

レビユー

使い勝手は前述のとおり。輸入代理店はハイマウントなのかA&Fなのかよくわかりません。

参考リンク

SOL / エマージェンシーブランケット

主要なスペック

サイズ 213×142cm
重量 210g

レビュー

Grabber社製品は重すぎるという人はこちらを検討するとよいでしょう。グロメットはないので、タープとして使う場合には小石をくるみこんで張り綱で「てるてる坊主」状に締め付ける等、工夫が必要です。

参考リンク

スマイルキッズ / アルミシート

主要なスペック

サイズ 120×250cm
重量 164g

レビュー

実売価格は500円前後。銀マット(アルミ蒸着面+発砲ポリエチレン)の端を補強したダークホース的な製品。絶賛愛用中です。テントの側壁に巻き上げるように敷けば、雪中テント泊で寒気がシュラフに染み通るのを抑制できます。

参考リンク

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