「沈まぬ足枷」雪山装備の最難関・スノーシューvsワカン

記事内に広告が含まれています。

日本の雪山登山において、永遠の難問とも言える「ワカンとスノーシュー、どっちを選ぶべきか」問題。

足元を拘束し重量を増やすこれらギアは、一歩間違えればただの「重り」ですが、状況にマッチすればラッセル地獄から救ってくれる最強の「味方」となります。

本記事では、スノーシューとワカンの構造や浮力の違いを徹底比較。「日本の山にはワカンが有利」という定説は本当なのか? MSRやモンベル等の代表的な製品をレビューします。

急登、樹林帯、深雪……あなたの目指す山とスタイルにとって、真に頼れる「足枷(あしかせ)」はどちらなのか。その答えを探ります。

スノーシューとワカンの図解

まず基本構造と部分名称をおさえておきましょう

スノーシューの基本構造と部分名称

ワカンの基本構造と部分名称

スノーシューとワカンとツボ足の浮力を検証した動画

☞ 「新雪でラッセル対決! スノーシュー VS ワカン VS ツボ足」(Youtube動画)

とてもわかりやすい動画でしたが、現在閲覧できなくなっています。

スノーシューとワカンとツボ足による、もぐり方の違いを検証したこちらの動画がとても参考になります。動画中でこうコメントされています。

  • ツボ足
    雪上用の装備無しで歩いた場合、新雪では足が沈み上手く歩けない。踏み込んだ足が、なかなか抜けない事と、一歩一歩の沈み具合が違う為にバランスがとりにくい事が影響していると感じた。
  • ワカン(エキスパート・オブ・ジャパン)
    浮力がアップするが、ある程度は沈む。ツボ足とは違い一歩一歩に安定感が増す為、歩きやすい。
  • スノーシュー(MSR EVO 22インチ)
    沈み量はツボ足の半分以下でワカンよりもさらに浮力が高い。また、踵がフリーで足の抜けが良い為、歩行もスムースに行える。
  • スノーシュー(MSR EVO 22インチ+テイル)
    テイルにより格段に浮力が上がり沈みも少ない。小回りや、下り道では若干邪魔になるが、平地や登りでは絶大な威力を発揮。

いちばん興味深いのはツボ足とワカンのちがいです。接地面積だけで言うと、おおよそ1対1.8くらいの比率でしょうか。ツボ足だと《一歩一歩の沈み具合が違う為にバランスがとりにくい》、ワカンだと《一歩一歩に安定感が増す》あたりが重要なポイントです。

ツボ足で片足が深く潜ってバランスを崩した場合、体勢を立て直そうにも周囲の雪には掴みごたえも踏みごたえもありません。立て直す力を身体の内側から絞り出す度合いが強くなります。これが見た目以上に疲れる。ワカンを装着すると、浮力のアップ自体はわずかであっても、安定感が増すぶん体力の消耗を軽減できます。

その意味では、トレッキングポールの役割も重要です。雪山ではスノーバスケットを装着して、雪に沈みにくくします。浮力はわずかながら、バランスを保ったり立て直したりする効果が高いです。

ワカンの急所はベルトの固定力である

ワカンの急所は一にも二にもベルトの固定力です。急斜面の登りで登山靴の爪先を蹴りこみ続けると次第にベルトが緩み、爪先がフレームの下に入り込みます。その状態で体重をかけると、「あ痛たたたッ」となります。ベルトの横ズレも厄介です。登山靴が横側のフレームに乗るとバランスを崩しやすく、横側のフレームの下に入り込むと、これまた「あ痛たたたッ」となります。

君は胸衝くラッセルを体験したか
自分の吐く息でゴーグルが曇り、視界が真っ白になる。進まない苛立ちに叫び出しそうになり、それでも足を前に出し続ける。「映える」写真など一枚も撮れない。そんな泥臭い(雪臭い)体験を経てはじめて、スノーシューやワカンについて真に語ることができるの...

スノーシュー製品

スノーシューは大まかに以下の3つのカテゴリーに分類されます。

  • 山岳用、バックカントリー用
  • ウォーキング用
  • ランニング用

この記事では雪山登山に向いた山岳用を中心に取り上げます。

MSR / ライトニング アッセント

厳冬の縦走から急登まで。
日本の雪山を変えた
「山岳スノーシュー」の絶対王者

主要なスペック

22 25 女性用22 女性用25
サイズ 20×56cm 20×64cm 18×56cm 18×64cm
重量 1.84kg 1.91kg 1.71kg 1.78kg

レビュー

山岳用スノーシューにおいて、世界的なリファレンス(基準)として君臨し続けるフラッグシップモデルです。その性能は「日本の雪山=ワカン」という定説を覆すほどの実力を秘めています。は

  • 全方向への圧倒的なグリップ力: 最大の特徴は、フレーム全周に刻まれた鋸歯状の「トラクションレール」です。特に踵の下を横切る2本のレールが決定的な仕事をし、急登での踏ん張りはもちろん、スノーシューが苦手とする「下り」や「トラバース」でも雪面に強力に食い付きます。
  • 日本の山に最適なサイズ感と拡張性: 日本の複雑な地形や樹林帯では、小回りの効く「22インチ」モデルがベストバイ。取り回しが良いだけでなく、新雪で浮力が足りない場合は別売りの「フローテーションテイル」を装着して拡張できるシステムが秀逸です。
  • 実績が証明する信頼性: かつて親不知から西穂高岳への厳冬期単独縦走を成し遂げた舟生大悟氏が選んだのも、ワカンではなくこのモデルでした。不帰ノ嶮や大キレットといった岩稜帯を含む、日本で最も過酷なルートでその有効性が実証されています。
  • 進化したバインディング: 2019年より採用された「パラゴンバインディング」は、ブーツを面で包み込むメッシュストラップ構造。圧迫感が少なく、かつズレにくい固定力を実現しており、アイゼンとの履き替えが頻繁な雪山登山でもストレスを感じさせません。

価格は張りますが、そのグリップ力と信頼性は他を圧倒しています。地形が険しくコンディションが目まぐるしく変わる日本の雪山において、「迷ったらこれを選べば間違いない」と言える完成された一本です。

MSR / デナリ クラシック アッセント

厳冬の北鎌尾根さえも越えた、
アイゼン代わりの「最強の爪」

主要なスペック

サイズ 20×56cm
重量 1.79kg

レビュー

今なお語り継がれる伝説的な樹脂製スノーシューです。その真価は、故・新井裕己氏による「冬季槍ヶ岳北鎌尾根縦走」という極限の記録において証明されています。

  • アイゼンに匹敵する登攀能力: 新井氏は「デナリアッセントが最高です」と評し、山によってはアイゼンの代わりに使用しました。その強力な歯と剛性は、クラストした斜面はもちろん、垂直に近い木登りや、岩の角に爪を引っ掛けてのクライミングまで可能にしたと語られています。
  • 「スノーシュー+スキー」の最適解: アプローチや下山にスキーを使い、険しい登りにスノーシューを使うスタイルにおいても、その堅牢さと取り回しの良さが「結構アリ」な選択肢として評価されています。
  • 不朽の名作: 現在は「EVO」シリーズなどの後継モデルに道を譲っていますが、過酷なバリエーションルートで「アイゼンの代わり」として機能した実績は、このモデルが単なる歩行道具の枠を超えていたことを物語っています。

「樹脂製スノーシュー」のタフさを世に知らしめた名機。日本の雪山縦走のすべてが詰まった北鎌尾根で実証されたその性能は、スノーシューの可能性を極限まで広げたモデルと言えます。

モチヅキのホームページでは「1996年に登場した伝説的なモデルを日本限定で復刻しました」と紹介されていました。踵下のクランポンはありません。また、MSRの他のシリーズと異なり、デッキ先端が妙にのっぺりとしています。ホーボージュンさんは《難点は、クランポンから先のデッキ先端の「食い付き」が悪いこと。ここが滑ってトラクションがすっぽ抜ける場面が多々ある》と書かれています(山と渓谷 2017年2月号)。

ATLAS / ヘリウム BC 26

携帯性という「最強の性能」
を手に入れた、
日本の縦走登山者のための最適解

主要なスペック

23 26
サイズ 20×59cm 22×66cm
重量 1.34kg 1.45kg

レビュー

アトラスの革命的な超軽量樹脂製スノーシュー「ヘリウム」シリーズの中で、日本の雪山登山、特に稜線歩きを含む縦走において最も推奨できるモデルです。兄弟モデルである「MTN(マウンテン)」との決定的な違いは、「脱いだときの性能」にあります。

  • 「重ねてペタンコ」になるパックフラット・バインディング: 最大のおすすめ理由はこれに尽きます。上位モデルの「MTN」に採用されているBOAシステム(ダイヤル式)は脱着が早い反面、ダイヤルが出っ張るためザックに取り付ける際にどうしても嵩張ります。一方、この「BC」のゴムベルト式は完全にフラットになるため、重ねてザックの外に縛り付けても驚くほど薄く収まります。アイゼン歩行との切り替えが多い日本の山では、この携帯性が大きな武器になります。
  • 現場でのトラブルに強いシンプル構造: 長期縦走では「壊れたときに直せるか」が重要です。万が一のトラブルでも、BOAワイヤーの断裂は現場での修理が困難ですが、「BC」のシンプルなストラップ構造なら、予備バンドや細引き(ロープ)、結束バンドなどで容易に応急処置が可能です。
  • 26インチの浮力と軽快さ: BC 23よりも一回り大きい26インチは、深い新雪のラッセルや、テント泊装備を背負った重い状態でも十分な浮力を確保します。それでいて、ヘリウム特有の「しなる」樹脂デッキと、雪を排出しやすいルーバー構造により、足運びの軽快さは損なわれていません。
  • トラバースに強いトラクションレール: 軽量モデルながら、裏面には金属製のトラクションレール(ギザギザのレール)を装備しています。斜面を横切るトラバース時にもしっかりと雪面に食いつき、横ズレを防ぎます。

「履く・脱ぐ」の頻度が高いゲレンデハイキングならBOA式のMTNが便利ですが、「背負って歩く時間」も長い本格的な雪山登山においては、このBCモデルこそが真のパートナーです。シンプル・イズ・ベストを体現した、玄人好みの実力派です。

2020-2021シーズン発売。BE-PAL 2021年2月号でホーボージュンさんは《僕が驚いたのは高いフレックスだ。(中略)凹凸の地形にデッキがうまく追従してトラクションがかかるし、これまでスノーシューが苦手としていた下り斜面もガンガン踵から降りていける》と書かれています。

TSL / サンビオス ハイパーフレックス エリート

“しなる”フレームが地形を掴む。
人間本来の歩き方を呼び覚ます、
革新のヨーロピアン・モデル

主要なスペック

S M L
サイズ 19×52.5cm 21×59cm 22.5×69cm
重量 1.86kg 1.96kg 2.16kg

レビュー

北米ブランド(MSRやATLAS)が主流の日本市場において、フランスの老舗TSLが放つ異才のモデルです。ガチガチに固いフレームで雪面をプレスする従来のスノーシューとは真逆の、「柔軟性(ハイパーフレックス)」というコンセプトで設計されています。

  • 驚異の「しなり」が生む自然な歩行: 最大の特徴は、カーボン等で補強されたプラスチックフレームが、地形に合わせてぐにゃりと曲がることです。足裏の動きに合わせてフレームが反るため、ロボットのような歩き方にならず、人間本来の自然なストライドで歩くことができます。
  • 地形を「掴む」グリップ力: フレームがしなることで、裏面に配置された8本の独立したスパイク(爪)が、凹凸のある雪面に対しても常に接地し続けます。岩や氷が混じる複雑な地形でも、スノーシュー全体が地面を包み込むように捉えるため、安定感が損なわれません。
  • 精密なフィッティング: 「エリート」の名が示す通り、バインディングの調整機能も秀逸です。一度サイズと幅を合わせればメモリー機能により次回から即座に装着可能。足首とつま先を確実にホールドし、一体感を高めています。

「板を履いている」感覚が強いMSRに対し、こちらは「靴底が大きくなった」ような感覚に近いです。浮力を確保しつつも、ワカンのような足裏感覚や機動力を重視したい登山者にとって、第三の選択肢となり得る野心作です。

村石太郎さんは《特に下り坂での威力は絶大で、森林限界以下での使用では最強のスノーシューといえるだろう》と書かれています(山と溪谷2018年2月号p.123)。バインディングはBOAシステムと同様、素早く着脱可能で固定力が強いものの、収納時に嵩張るのが難点です。

TSL / 418 438 アップダウン グリップ

登りだけでなく「下り」も楽にする。
特許機能が生んだ唯一無二の歩行感覚

主要なスペック

418 438
サイズ 21×57.5cm 22.5×64cm
重量 1.92kg 2.06kg

レビュー

フランスのTSLが提案する、スノーシューの「歩きにくさ」を解消するユニークな機構を搭載したモデルです。他社にはない「アップダウン」システムが、雪山の悩みの種である下り坂のストレスを劇的に軽減します。

  • 下りで足が水平になる「アップダウン」機能: 最大の特徴は、ヒールリフター(クライミングサポート)の構造です。通常、リフターは登りでのみ使用しますが、このモデルはデバイスを操作することで、下り坂では踵がデッキ(フレーム)よりも下に沈み込むようになっています。これにより、急な下りでも足裏が水平に近い状態に保たれ、つま先がブーツの先端に当たって痛くなるトラブルを防ぎます。
  • トラバースに強い「グリップ」: モデル名にある「グリップ」は、フレームの両サイドに装備されたギザギザの刃(トラクションバー)を指します。TSL特有のくびれた「砂時計型シェイプ」は歩きやすい反面、横滑りに弱いとされてきましたが、このサイドグリップにより、クラストした斜面のトラバースでもMSRに迫る安定感を発揮します。
  • サイズ展開: 418(小さめ/体重の軽い人向け)と438(大きめ/体重の重い人・荷物が重い人向け)の2サイズ展開で、体格に合わせて選べます。

多くのスノーシューが「登りの浮力とグリップ」に注力する中、「下りの歩きやすさ」に革命を起こした一台。長い下山路で膝や爪先への負担を減らしたい登山者にとって、このギミックは一度味わうと手放せない快適さを提供します。

踵が抜けているため、下りで踵を垂直に打ち込むことができます。ワカン+アイゼンの感覚に近くなります。トラクションレールはボディ側に付いていますが、足底のトウ先端とヒール末端にもクランポンが付いています。す。

TUBBS / MEN’S FLEX VRT

BOAシステムの快適さと、
MSRに肉薄するグリップ力。
バックカントリーの新たな覇者

主要なスペック

男性用25 女性用22
サイズ 25インチ 21インチ
重量 1.98kg 1.81kg

レビュー

MSRライトニングアッセントの独壇場だった「山岳用スノーシュー」の市場に、強力なライバルとして定着したモデルです。最大の特徴は、先進的な「BOAフィットシステム」による圧倒的な装着感の良さにあります。

  • ダイヤルひとつで「極上のフィット感」: 甲全体を面で包み込む「ダイナミック・フィット」バインディングを、BOAダイヤルで締め上げる構造です。MSRのゴムバンド式のような締め付けの偏りがなく、長時間歩いても足が痛くなりにくいのが最大のメリット。脱着も一瞬で完了するため、手がかじかむ極寒の環境でもストレスフリーです。
  • トラバースに強い「3Dカーブトラクションレール」: サイドレールには曲線を描く鋭い刃が備わっており、硬い雪面や急斜面のトラバースでもMSRに匹敵する強力なグリップ力を発揮します。
  • 関節に優しい「フレックステイル」: 後部のデッキがしなる「フレックステイル」構造を採用しています。着地時の衝撃を吸収し、かかとからつま先への自然な体重移動を促すため、長時間の歩行でも関節への負担を軽減します。

「グリップ力は欲しいが、MSRのバンドは締め付けが痛い」「もっと簡単に脱ぎ履きしたい」という登山者の不満を見事に解消したモデルです。バックカントリーから雪山登山まで、快適性を最優先するならこの一本で決まりです。

トウクランポンの爪が大きく、急斜面に爪先を蹴りこむような登りでは最強。柔軟なボディのおかげで下りで前のめりになりにくい。テールにトラクションレールの離れ小島?のように爪が付いている点も下りでのトラクションに寄与します。ホーボージュンさんは《弱点があるとすると、雪質によっては雪が詰まりやすいことだろうか。鉄板の露出部分が多く、クランポンやレールが複雑な形状をしているためか、上信越などの湿雪帯で使うと雪がダマになることがあった》と書かれています(山と渓谷2017年2月号p.120)。

TUBBS / MEN’S FLEX ALP

堅牢なストラップが約束する信頼感。
急登をねじ伏せる
「アルパイン」の名を持つ実力派

主要なスペック

男性用25 女性用21
サイズ 25インチ 21インチ
重量 2.02kg 1.81kg

レビュー

フラッグシップの「VRT」がBOAシステムによる快適性を追求したモデルなら、この「ALP(アルプ)」は過酷な環境での「確実性」と「信頼性」を重視したモデルです。よりハードな雪山登山に対応するタフな仕様が魅力です。

  • 信頼の「アクティブフィット・バインディング」: VRTのBOAシステムに対し、こちらは伝統的かつ進化型のベルト式を採用しています。凍りついた状況でもバックルが凍結しにくく、グローブをした手でも確実に締め上げることができます。「機械的なギミックよりも、シンプルなベルトの方が山では信用できる」という玄人好みの仕様です。
  • 壁を登るような「バイパー2.0クランポン」: トゥ(つま先)部分に配置されたクランポンは、非常に鋭く、かつ前方に突き出すように設計されています。これにより、急な雪壁やクラストした斜面でも、キックステップのように蹴り込んで確実に足場を作ることができます。
  • 3Dカーブトラクションレール VRTと同様、サイドフレーム自体が曲線を描く刃となっており、トラバース時の横ズレを強力に防ぎます。
  • 関節を守る「トーションデッキ」: TUBBSの代名詞であるフレキシブルなデッキ構造は健在です。フレーム全体がねじれることで地形の凹凸を吸収し、膝や足首への負担を軽減します。

BOAの便利さよりも、万が一の破損リスクが少ないベルト式の安心感を選びたい。そんなストイックな登山者に最適です。その名の通り、アルパイン(高山)エリアでの使用を前提とした、質実剛健な頼れる相棒です。

mont-bell / アルパインスノーシュー 56

MSR一強時代に終止符?
驚異のコスパで迫る、
日本の「本気」スノーシュー

主要なスペック

サイズ 56cm×20cm
重量 1800g

レビュー

長らく「山岳用スノーシューといえばMSR」という常識が支配していた雪山界に、モンベルが投じた衝撃作です。MSRのライトニングアッセントを彷彿とさせる外観ですが、細部には日本メーカーらしい緻密な工夫が詰め込まれており、それでいて価格はライバルの半値以下という、破壊的なコストパフォーマンスを誇ります。

  • 全周が刃となる「T型断面フレーム」: MSRと同様、アルミフレーム全体がノコギリ状の刃(クリート)になっています。さらにフレーム断面を「T字型」にすることで剛性を高めており、硬い雪面やトラバースでのグリップ力は、本家MSRに肉薄する実力を持っています。
  • 足運びを変える「フレックスバンド」: 回転軸にバネのような反発性のある素材(フレックスバンド)を採用しています。足を上げた瞬間にデッキが適度に跳ね上がるため、スノーシュー特有の「引きずり感」が軽減され、軽快な足運びを実現しています。
  • 凍結しにくい「エラストマーハーネス」: 保水しない樹脂製のエラストマーバンドを採用しているため、日本の湿った雪でも凍りつきにくく、常に柔軟性を保ちます。さらに、バンドを外すと完全にフラット(平ら)になるため、アトラスの「ヘリウムBC」同様、重ねてザックに取り付ける際の収まりが抜群に良いです。

「MSRは欲しいけれど高すぎる」と悩んでいた登山者へのファイナルアンサー。グリップ力、登攀性能、携行性、すべてのバランスが高次元でまとまっています。浮力重視ならサイズアップした「66」も選べますが、日本の山岳地形での取り回しを考えるなら、この「56」がベストバランスでしょう。

参考リンク

mont-bell / カジタックス スノーシュー 56

ワカンの機動力に「浮力」をプラス。
日本の雪山を知り尽くしたモンベルの回答

主要なスペック

サイズ 21.6×56cm
重量 1.46kg

レビュー

「スノーシュー vs ワカン」というテーマに対する、モンベルなりの一つの答えがこの製品です。かつて「スノーポン」の名で親しまれた名機の後継であり、構造的には「デッキ(浮力体)を張ったワカン」と呼ぶのが最も適切でしょう。

  • ワカンとスノーシューのハイブリッド: 頑丈なアルミパイプフレームはワカンそのものですが、そこに強度のあるデッキ(生地)を張ることで、ワカンの弱点である「浮力」を強化しています。全長56cmというサイズは一般的な山岳スノーシュー(22インチ相当)と同じですが、ワカンのような取り回しの良さを残しています。
  • アイゼンと併用できる「ヒールフリー」: 同社のワカンと同様、アイゼンを装着したまま履くことを前提とした設計です。急登や氷化斜面が現れても、いちいち履き替えることなく、アイゼンの爪を効かせながら登ることができます。
  • メンテナンス性の高さ: フレーム、デッキ、クリート(爪)、ベルトといったパーツがすべて独立しており、万が一破損してもパーツ単位での交換や修理が容易です。長く使い続けられる、日本メーカーらしい配慮です。

「ワカンでは沈みすぎるが、海外製スノーシューは大袈裟すぎる」と感じる登山者に最適です。日本の雪山の複雑な地形(急峻な登り、狭いトラバース、深い雪)に特化した、日本ブランドらしい質実剛健な「第3の選択肢」です。

カジタックス アイゼンと組み合わせて使用します。

ATLAS / アップランド

ワカンの機動力とスノーシューの浮力
を兼備。元祖「洋風かんじき」

主要なスペック

サイズ 縦46cm x 横22cm
重量 0.92kg

レビュー

本格的な山岳用スノーシューのような派手なクランポン(爪)やヒールリフターをあえて削ぎ落とし、シンプルさを追求したロングセラーモデルです。愛好家の間では、親しみを込めて「洋風ワカン(洋風かんじき)」とも呼ばれています。

  • ワカンに近い取り回しの良さ: 一般的なスノーシューよりも構造が単純で軽量です。アルミフレームにデッキ(生地)を張っただけのシンプルな作りは、ワカンのような軽快な足運びを可能にします。
  • 必要十分な機能: 急峻な雪壁を登るような機能はありませんが、緩やかな雪原や樹林帯のハイキングであれば十分な浮力を発揮します。「日本の雪山すべてに高機能なMSRが必要なわけではない」ということを教えてくれる存在です。
  • コストパフォーマンス: 過剰な機能を省いているため、価格も手頃。雪山入門者や、スノーシューハイキングを楽しみたい層にとって非常に導入しやすいモデルです。

「スノーシューは重くて大袈裟だが、ワカンでは浮力が不安」という隙間を埋める製品です。平坦地や里山の散策、あるいはスノーシュー初心者の最初の一台として、その手軽さが長く支持されています。

パウダースノーのフィールドで必要な機能を残した上でデッキサイズを最小限にし、金属クランポンを排除し、軽量化に特化したモデル。小さいながらも必要な浮力と、つま先寄りのバインディングポジションにより登はん性も備えています。

ワカン製品

ワカンは日本独自の装備なので、製造販売しているメーカーもモデルも限られています。

MAGIC MOUNTAIN / トレースライン & ネイジュ & ラッセル

日本の雪山で最も愛される「ザ・ワカン」。
迷いなく選べる定番トリオ

主要なスペック

トレースラインEVO M トレースラインEVO L ネイジュEVO ラッセルEVO
重量 19×42cm 19×45cm 19×45cm 19×45cm
サイズ 480g×2 490g×2 490g×2 500g×2

レビュー

日本の雪山登山において、エキスパート・オブ・ジャパン製と並んで「ワカンの代名詞」として君臨するアルミわかんシリーズです。用途や体格に合わせて選べる3つのバリエーションが、多くの登山者の足元を支えています。

【3モデルの特徴と選び方】

  • トレースライン(Trace Line):ベントフレーム 最も標準的なモデルです。フレームの先端が反り上がっている(ベントしている)ため、雪面に引っかかりにくく、足をスムーズに前に出せます。サイズはMとLがあり、迷ったらこれを選べば間違いありません。
  • ネイジュ(Neige):フラットフレーム 
  • ラッセル(Russell):雪が付きにくいウレタンデッキベルト

【共通するポイント】

  • アイゼンとの併用: いずれのモデルも、アイゼンを装着したまま履くことが可能です。雪や氷、岩場などが混在する日本の雪山において、この汎用性が最大の武器です。

シンプルで壊れにくく、日本の複雑な地形にマッチした傑作です。「まずはワカンから」と考える初心者から、スノーシューを持たずに軽量化を図るベテランまで、幅広く対応する基本装備です。

標準装備のナイロンベルトには「雪で濡れると緩みやすい」「グローブをした手では締めにくい」という弱点もあります。 そこで強く推奨したいのが、別売りの「オクトス / アルミわかん用ラチェットベルトセット」への換装です。マジックマウンテンの信頼性の高いフレームに、固定力が強力で緩まないオクトスのラチェット式ベルトを組み合わせる。これぞ、現代のワカンユーザーが辿り着いた、快適さと信頼性を両立させる「最強の運用術」です。

エキスパート・オブ・ジャパン / HSスノーシューズ

銀色のフレームは信頼の証。
進化を続ける「元祖」アルミわかん

主要なスペック

M L フラット M フラット L
重量 18.2×41cm 18.2×44.1cm 18.2×41cm 18.2×44.1cm
サイズ 775g 785g 775g 785g

レビュー

マジックマウンテンと並び、日本の雪山で長年愛され続けるロングセラーモデルです。

登山者のスタイルに合わせて「反り付き(ベント)」と「フラット」の2タイプから選べるようになっています。

  • 反り付きタイプ(SN20/SN21):【歩行性能重視】 フレームの先端がグイッと上向きに反り上がっています。足を前に出した際に雪に引っかかりにくく、スムーズな足運びを助けてくれる伝統的な形状です。
  • フラットタイプ(SN22/SN23):【収納性・応用力重視】 フレームが平らな設計です。両足分を重ねた際にペタンと薄くなるため、ザックの外付けや収納が非常にコンパクト。裏返して使う(リバーシブル運用の)際も違和感がありません。

【ここがポイント】

  • 質実剛健な作り 構造は極めてシンプル。軽量で丈夫な「A6063アルミ製」パイプと、サビに強いステンレス製の爪で構成されており、現場での破損リスクが低いのが魅力です。
  • 強力な爪(クリート) 他社製に比べて爪の高さ(49mm)があり、鋭く設計されているため、硬い雪面でのグリップ力に優れています。

「ワカンと言えばこれ」と指名買いされるジャパニーズ・スタンダード。歩きやすさの「反り」か、携帯性の「フラット」か。自分のスタイルに合わせて最適な一本を選べる、頼りになる相棒です。

エキスパート・オブ・ジャパンは長年、日本の雪山向きの製品を作っています。ワカンもその一つ。(あとは「ピッケル用ラッセルリング」と「ピッケルの石突に装着するスコップ」が真っ先に思い浮かびます)「雑誌掲載」ページに引用された新聞記事には「シェア95%のかんじき」という見出しが踊っています。

mont-bell / カジタックス スノーシュー 46

名前はスノーシュー、
中身は「進化系ワカン」。
横ズレ知らずの優等生

主要なスペック

サイズ 20.4×46cm
重量 1.20kg

レビュー

製品名に「スノーシュー」と付いていますが、実態は「ワカン」です。かつて「ライトアルパイン スノーポン」と呼ばれていたモデルから、浮力を高めるデッキ(生地)を省略した構成で、アルミフレームのみのシンプルな作りになっています。

  • 「横ズレ」を許さないベルト構造: 記事内の体験談で、他社製ワカンの「ベルトが緩んで靴が横にズレる」というトラブルが紹介されていましたが、このモデルはそこが見事に解決されています。調節用のベルトが底面のベルトに金具でガッチリと固定されているため、構造的に横ズレが発生しません。急斜面のトラバースでも靴とフレームの一体感が損なわれません。
  • アイゼンと相性の良い「ヒールフリー」: 「カジタックス」の名を冠する通り、同社のアイゼンとのマッチングは完璧ですが、他社のアイゼンとも併用可能です。かかとが固定されないヒールフリーデザインなので、アイゼンの前爪を使って登るような場面でも足の動きを妨げません。
  • 浮力は標準的: 他社のワカン(マジックマウンテン等)と比較すると、形状が前後に細長いデザインになっています。長さがあるぶん浮きそうに見えますが、フレームのパイプ自体が細身であるため、トータルの浮力は一般的なワカンと「五十歩百歩」といったところです。

「スノーシュー」という名前で誤解されがちですが、これはモンベルが提案する「トラブルフリーな現代的ワカン」です。ワカン特有のベルトの緩みやズレに悩みたくない人にとって、非常に完成度の高い選択肢となります。

カジタックス アイゼンと組み合わせて使用します。

参考リンク

oxtos / アルミわかんラチェット式

「横ズレ」のストレスから解放される。
痒い所に手が届く、オクトスの快作

主要なスペック

サイズ 19×43cm
重量 1,120g

レビュー

「ワカンはベルトが緩むもの」「靴が横にズレるもの」。そんな諦めにも似た常識を覆したのが、このオクトスのワカンです。ユーザーの不満を徹底的に解消する、同社らしい工夫が凝縮されています。

  • 横ズレしない「固定式ラチェット」: 最大の特徴は、強力な固定力を持つラチェット式ベルトが、底面のベルト(デッキベルト)に縫い付けられていることです。構造的にベルトが左右に動かないため、急斜面のトラバースで体重をかけても靴が横にズレません。「爪先がフレームに干渉して歩きにくい」というワカン特有のトラブルを未然に防ぎます。
  • 見えない部分で「強度アップ」: フレームの前後の継ぎ目(ジョイント部分)に、外からは見えませんが「中芯」を入れて補強しています。ハードな使用でも破断しにくい、質実剛健な設計です。
  • 重量とのトレードオフ: ラチェット機構や補強材の分、シンプルなワカンに比べるとやや重量があります(両足で約1,120g)。しかし、現場での「緩まない・ズレない」という安心感は、その重量差を補って余りあるメリットです。

「ワカンのベルト締めが苦手」「歩いている最中に直すのが面倒」という人への特効薬です。現場でのトラブルを極限まで減らしたいと願う、堅実な登山者に選ばれているモデルです。

ラチェットベルトには上下の向きが決まっているため、マジックマウンテン製品のように「裏返して使う(リバーシブル)」ことはできません。常に爪を下に向けて使用する設計です。

2022/2023秋冬シーズン、より固定力を強化したモデルが登場しました。

参考リンク

VERTEX / スーパーカンジキ

安価で軽量、なのに浮く。
樹脂製フレームが生んだ「ダークホース」

主要なスペック

サイズ 19×34.5cm
重量 660g

レビュー

アルミ製が主流のワカン界において、異彩を放つ樹脂(プラスチック)製のモデルです。見た目はチープに見えるかもしれませんが、「通常のワカンより浮力が高い」という声も聞かれる、知る人ぞ知る実力派です。

  • 末広がり形状が生む「浮力」: フレームが後方に向かって広がる「末広がり」の形状をしています。これにより、見た目のコンパクトさ以上に雪面を捉える面積が広く、アルミワカン以上の浮力を発揮することがあります。
  • 樹脂製ならではの「軽さと安さ」: 構造がシンプルで素材が樹脂であるため、非常に軽量で、かつ安価に入手できます。「とりあえずワカンを持ってみたい」という層には魅力的な選択肢です。

「大型モデルがあれば……」「アイゼンと併用できるスリットがあれば……」と、さらなる進化を期待したくなる惜しい名品。サイズさえ合えば、コストパフォーマンス最強の秘密兵器になり得ます。

メーカー公称で「靴の外寸29cmまで」とされていますが、平均的な成人男性が冬用登山靴(US 8.0~8.5程度)を履くと、爪先がフレームの先端に乗ってしまうことがあります。 こうなると、この製品のキモである「デッキのしなり(上下動)」が阻害され、本来の性能が発揮できません。足の大きな方や、ボリュームのある厳冬期用ブーツを使用する方は注意が必要です。

参考リンク

立山かんじき

金属にはない「粘り」と「温もり」。
衝撃を“いなす”伝統の天然素材

主要なスペック

重量 39×26cm 36×24cm 33×22cm
サイズ 900g 850g 700g

レビュー

アルミ製ワカン全盛の現代において、あえてこの「真打ち」を選ぶ。それは単なる懐古趣味ではなく、木製ならではの理にかなった機能美への回帰です。

  • 「木」独特の粘りとしなり: 最大の特徴は、金属にはない柔軟性です。木製の輪っか部分が持つ独特の「粘り」と「しなり」が、雪面からの衝撃を見事に吸収してくれます。
  • 意外なほどの耐久性: 「木製ジェットコースター」と同様、その構造は驚くほど強靭です。自然素材の弾力性が、破損を防ぎ、長期間の使用に耐える耐久性を生み出しています。
  • 継承された技術: 2018年に最後の職人が引退し、一時は存続が危ぶまれましたが、幸いにも継承者が現れました。日本の雪国で培われた知恵と技術は、今も手に入れることができます。

近年の少雪傾向で、ワカンが「ザックの飾り」になってしまうこともしばしばあります。どうせ背負うなら、こんなレトロな装備で山行く人々の目を驚かせてみるのも一興です。実用性はもちろん、持つ喜びと語れる物語がある、特別な一品です。

私、木製ワカンの味方です
ハイテク素材が支配する現代の雪山において、あえて天然素材の「木製ワカン(立山かんじき等)」をザックに忍ばせる。それは単なる懐古趣味でも、ベテランの奇をてらったファッションでもありません。そこには、アルミやプラスチックが逆立ちしても敵わない、...

 

オクトス / Snow Plak Approach

アルパインクライマーの救世主。
アイゼンと一体化する「第3の選択肢」

主要なスペック

サイズ 33.5×22.5cm
重量 700g

レビュー

「ワカンはアイゼンと併用できるが浮力が弱い」「スノーシューは浮くが重くて嵩張る」。そんなジレンマを抱える登山者の前に現れた、フランス生まれの革新的なギアです。オクトスが取り扱うことで、日本の登山者にも身近な存在となりました。

  • アイゼン装着が「前提」の設計: ワカンやスーパーカンジキは元々生活用具でしたが、これは最初から「アイゼンとの併用」を考慮して設計されています。アイゼンの前爪(フロントポイント)をフレームのバーに引っ掛けて固定する構造になっており、ガタつきのない強力な一体感を生み出します。
  • 見た目以上の浮力: 一見するとワカンよりも小さく頼りなく見えるかもしれません。しかし、後方が広がる「末広がり」のフレーム形状を採用しているため、雪面を効果的に捉え、見た目からは想像できないほどの浮力を発揮します。
  • バリエーションルートの最適解: 冬のバリエーションルートでは、「取り付きまでのアプローチは深雪ラッセルだが、その後の岩壁登攀では荷物を極限まで軽くしたい」という場面が多々あります。そんな時、軽量かつアイゼンを履いたまま素早く脱着できるこのギアは、まさにアルパインクライマーの救世主となります。

「スーパーカンジキがアイゼンに対応してくれれば…」という叶わぬ願いを、フランスのメーカーが形にしてくれました。アプローチの苦労を減らし、登攀の成功率を高める、ニッチですが刺さる人には深く刺さる秘密兵器です。

オリジナルのSnow Plak Approachに対して、オクトスが独自に「六角ボルト&ナット固定式」「ストラップ耐摩耗シート」「ヒールクロスパッチ」といったカスタマイズをほどこした商品です。

参考リンク

アクセサリー製品

oxtos / アルミわかん用ベルトセット

ワカン用のベルトは消耗品です。買い換えるとき検討したいのがコレ。ラチェット式で固定力が強く、デッキベルト(底ベルト)に縫い付けられているため横ズレしにくい。oxtosオリジナルのワカンのみならず、MAGIC MOUNTAIN、エキスパート・オブ・ジャパン、AIRMONTEのワカンに対応したモデルが販売されています。

oxtos / ワカンケース

ワカンを持ち運ぶとき、ザックの外側にベルトで巻き付けてぶら下げる登山者が多いです。こうしたケースをザックの正面に固定すれば、ファスナーの開閉だけで簡単に出し入れできます。多様なザックに装着できるように縦に2本、デイジーチェーン状にテープが縫い付けられています。

ワカンのためだけに重量を増やしたくないと考えがちですが、ウェアなど素早く出し入れできる汎用ポケットとして、常時取り付けておいても邪魔になりません。

メーカー不詳の「ワカンスタッフバッグ」についての記事はこちら。

oxtos / わかん用オリジナル爪カバー

ワカンをザックにぶら下げるにしても、ケースに収納するにしても、鋭い爪が生地を傷めないか気になる人は、このわずか20gの爪カバーを導入しましょう。

参考文献

まとめ:白銀の自由を手に入れるために

結局のところ、ワカンにするか、スノーシューにするか。 その悩みは、実際に雪の上に立つその瞬間まで尽きないかもしれません。しかし、ひとつだけ確実に言えることがあります。

「沈まない」ことは、雪山においてもっとも強力な武器であり、自由であるということです。

腰まで埋まるラッセルで体力を削られ、時間を浪費し、撤退を余儀なくされる悔しさ。それを思えば、足元の数キログラムの「足枷(ギア)」は、私たちを苦境から救い出し、見たことのない景色へと連れて行ってくれる頼もしい翼となります。

  • 日本の急峻な山岳地形や、アイゼンとの併用頻度、軽量化を最優先するなら、取り回しの良いワカンを。
  • 圧倒的な浮力で雪原を闊歩し、体力を温存して長距離を踏破したいなら、信頼できるスノーシューを。

決して安い買い物ではありません。しかし、その投資は「安全性」と「時間」、そして「登頂の可能性」として、必ずあなたに返ってきます。

登山用品
スポンサーリンク

コメント