- バラクラバか目出し帽か
- バラクラバ(目出し帽)の五変化
- バラクラバ(目出し帽)の選び方
- バラクラバの使い勝手についての個人的な所感
- 理想のバラクラバ(目出し帽)
- 既製品のバラクラバ(目出し帽)
- OUTDOOR RESEARCH / ゴリラバラクラバ
- OUTDOOR RESEARCH / ソニックバラクラバ
- OUTDOOR RESEARCH / アセンダントバラクラバ
- THE NORTH FACE / エクスペディションバラクラバ
- HOT CHILLYS / エクストリーム バラクラバ
- smartwool / アクティブフリース ヒンジドバラクラバ
- HAGLOFS / WS BALACLAVA
- MAMMUT / バラクラバ アークティック
- MONTURA / バラクラバ ライト キャップ
- finetrack / メリノスピン バラクラバ
- BURTON / Joliet Clava
- AIRHOLE / エアホール バラクラバ
- KOHLA / ノーズプロテクター
- NORRONA / リンゲンパワーストレッチプロジップフーディ
- Teton Bros. / MOB WOOL HOODY
- OUTDOOR RESEARCH / ホワイトフィッシュハット
バラクラバか目出し帽か
本格的な雪山(冬山)登山から遠ざかっているあいだに断捨離したモノのひとつに「目出し帽」(めだしぼう or めでぼう)があります。
「将来、雪山登山に復帰することがあったとして、比較的安価なこのアイテムは容易に買い換えることができるだろう」と、あまり躊躇しませんでした。
スポーツクライミングやボルダリングに傾倒しているあいだ、他のウェア類(たとえばダウンジャケットやトレッキングパンツ等)はやはり必要なので新しい製品に買い換えてきました。クライミングのベースキャンプで安眠できるようにダウンシュラフやダウンマットを揃えました。
しかし「目出し帽」にかぎっては、雪山登山に特有のアイテムです。ハードシェルをゴアテックスのレインウェアで代用するくらいは許されても、目出し帽をマフラーで代用するのは大いに無理があります。
登山用品店に出かけましたが、昔使っていたようなツバ付きの目出し帽を発見できませんでした。その経緯については以下の記事で書きました。
昨今「目出し帽」ではなく、「バラクラバ」というカタカナ用語が普及しています。古い登山愛好家にとっては、ピッケルをアイスアックスと呼んだり、アイゼンをクランポンと呼ぶような違和感をいまだに払拭できません。
個人的には、ツバ付きなら「目出し帽」、ツバ無しなら「バラクラバ」と呼びたいところです。が、今風の真っ黒なフリース素材の「バラクラバ」にも申し訳程度にツバが付いている製品があったりして、その境界線はあいまいです。同義語として受け入れるしかないでしょう。
旧来の目出し帽に近いのはコチラ。申し訳程度にツバが付いています。
バラクラバ(目出し帽)の五変化
標準的なバラクラバ(目出し帽)ひとつあれば、
- 目出しモード
- 顔出しモード
- 頭出しモード
- 首巻きモード
- 帽子モード
を使い分けることができます。
バラクラバ(目出し帽)の選び方
さて、今風のバラクラバ(目出し帽)を選ぶとして、何をチェックポイントにしたら良いでしょうか。
バックカントリー穂高さんはYoutube動画「目出帽 バラクラバ 冬山登山の必需品 BC穂高(Youtube動画)」でいくつかポイントを挙げておられます。
- ほどよくフィット。
頭部を締め付けすぎると良くない。かと言って、フードやゴーグルを動かしたときいっしょに動いて目にかぶさったりすると煩わしい。 - 大きく開く。
鼻と口を出しやすいように、上半分と下半分とで生地が切り返しになっているモノが良い。 - 首の部分が長い。
首筋が露出すると体温を奪われやすい。 - 音が聞こえやすい。
ウインドストッパー等がラミネートされていると、耳の部分がふさがれて音が聞こえにくいことがある。 - あまり厚手でなくて良い。
日常生活で顔を露出して鍛えられているので、地肌に直接風が当たらなければ耐えられる。厚すぎるとかえって汗をかいて凍ったりする。
帽子は携行せず、バラクラバの下半分をくるくると巻き上げて、キャップ(ツバ無しの帽子)として利用されるとのこと。
「Patagonia パタごニア R1 バラクラバ 目出帽 Balaclava 太田のお気に入り冬山装備(Youtube動画)」によると、愛用されているのはオーソドックスなタイプで、Patagoniaの「R1 バラクラバ」(廃番?)とTHE NORTH FACEの「ミッドウェイトバラクラバ」のようです。
バラクラバの使い勝手についての個人的な所感
バラクラバを帽子にするのはあきらめた
私個人は、バラクラバを無理矢理?帽子にすると、頭の締め付けが気になりますし、見た目がショッカーかもじもじくんみたいになって嫌なので、別に毛糸の帽子や耳付きの帽子を持っていきます。
ネオプレン製のノーズカバーは良し悪し
雪山登山に復帰して最初に買ったバラクラバはモンベルの「ネオプレン フェイスバラクラバ」です。鼻と口の周囲がネオプレン素材で立体裁断されています。肌に密着せず、まるで工業製品のように換気孔が穿たれているあたり、いかにも機能的で快適そうです。が、実際に使ってみると、口元のネオプレンがまさしくダクトとして機能し、呼気を吹き上げてしまう傾向があり、サングラスやゴーグルが曇りやすい気がしました。多少換気孔があるくらいでは登高で荒くなった呼気を排出しきれません。
その意味では、生地が口元に密着するオーソドックスなタイプのほうが呼気が抜けやすいです。
フリーサイズにご用心
バラクラバ(目出し帽)は選択が難しいギア(ウェア?)です。
製品によってはワンサイズしか展開されていません。それで小顔の女性から、いかつい大男までカバーしようと言うのですから無理があります。いかにストレッチ素材を使おうと、小さい人にとってはダブつきがちで、大きい人にとってはピチピチにならざるを得ません。店頭で試着しにくいことがそれに拍車をかけます。
ジャケットやパンツなら多少緩かろうがきつかろうが、ただちに支障をきたすことはありませんが、ことバラクラバに限っては顔面にフィットしないと視界をふさいだり、呼吸がしにくかったり、身の危険に直結します。
メーカーには、最低でもS, M, Lの3サイズを展開して欲しいところです。
鼻をカバーしたまま口だけ出したい
顔全体を出しやすく、口元から呼気を排出しやすいphenixの「Conv. Balaclava」を買い足しました。鼻の下に大きな隙間があり、口元はメッシュになっています。
おおむね満足なのですが、困ったことがありました。
無限ループ
無風だけれどやけに寒い日のこと。鼻までカバーして歩くと息苦しい。顎下まで引き下げて歩くと、鼻が冷たい。また鼻までカバーする。息苦しい。顎下まで引き下げる。鼻が冷たい。鼻までカバーする。息苦しい……という無限ループに陥ったのです。
「鼻をカバーしたまま口だけ出したい」と強く思いました。
バットマンマスク
雪山を目指す岳人にはバットマンマスクこそ必要ではないでしょうか。
あの、どの俳優がかぶっても何故か同じ口元に見え、同じ声に聞こえる不思議なバットマンマスク。これで目元をゴーグル化し、頭部がヘルメットとして機能すれば完璧です(耳は不要)。どちらかと言うと、ロボコップか。口元が寒くて仕方がなかったら、ネックゲイターと併用して、必要に応じて引き上げれば良い。
……と、まあ、これは冗談です。
デストロイヤーマスク
ひと昔前、石井スポーツの総合カタログに堂々と「デストロイヤーマスク」が掲載されていたと記憶します。これなら鼻を常時カバーし、口呼吸を妨げません。機能的には申し分ありませんが、これをかぶって雪山を歩いたら、すれちがう人に笑われそうです。もう少し穏やかなデザインの製品はないものでしょうか。
サバゲーマスク
ついに見つけました。安価なので早速ポチりました。が、実物はやはりフリーサイズの呪縛を免れません。中庸のMサイズというより、Sサイズと言ったほうが正確です。小顔の人でないと快適にかぶることはできないでしょう。
mont-bell / ストレッチクリマプラス200 マルチネックゲーター
ダークホース的な製品です。通常のバラクラバの頭頂部だけ露出した形状で、ヘルメットとの相性が良い。耳付き帽子との相性も良いでしょう。
私は「この製品が想定しているポジションより少しずり下げて、目を出すスリットから口を出せば良いのではないか」と考えました。が、実際にやってみると、鼻に当たる生地が広すぎて、あまり口が露出しません。また、そんな使い方を想定した裁断ではないため、顔面の締め付けが強くて、目元が福笑いのようになります。
うーん。目論見がはずれました。しかし、予備のバラクラバとして申し分ありませんし、首までずり下げればネックゲイターとして違和感がありません。悪くない買い物でした。
理想のバラクラバ(目出し帽)
前出の「バラクラバの選び方」に「バラクラバの使い勝手についての個人的な所感」を加えるとこうなります。
口元に開閉可能なスリットを付ける
既製のバラクラバは、呼吸についての配慮がまだまだ足りないと感じます。せいぜい口元をメッシュ素材にして、空気が通りやすくするくらいです。口専用のスリットを付けた製品が存在します(MONTURAのBALACLAVA WIND CAP)が、極寒時には逆に塞ぎたくても塞げません。
人体に密着するギア(ウェア)である以上、防水・防風・防寒したい、けれども汗や蒸気は排出したい、という相反する課題が常につきまといます。特に口や鼻については、生命を維持する呼吸をにない、蒸気の量が多く、しかもその蒸気がバラクラバ内で吹き上げようものなら、たちどころにゴーグルやサングラスを曇らせてしまいます。
いっそ口専用のスリットを開閉可能にしたらどうでしょう。「口にチャックをする」という表現があるように、そのものずばりコンシールファスナーか何かを付けても良い。それだと呼気が凍り付いて役に立たなくなるでしょうか。ならばベルクロ方式? いちばんトラブルが少なそうなのは目元と同じように生地を切り返しにして、口元を塞いだり、顎まで引き下げたり、自由に調節できる方式です。
海外まで探索すると、こんな製品があります。
目元にワイヤーを内蔵してフィット感を高める
目の下に余分な膨らみがあると、下方視界を遮断しがちです。足元が見えないところまでは至らなくとも、自分のジャケットの胸元が見づらく、厚手の手袋でファスナーのタブをつまむのに苦労することがあります。
目と鼻梁のあいだの三角地帯を塞がないように、目元にワイヤーや樹脂製の芯を内蔵して、顔面の曲線にピタリとフィットさせることができると良い。ここがフィットすればするほど、呼気が吹き上げてサングラスやゴーグルが曇るトラブルも減ります。
実際にそんな製品(HOT CHILLYSの「エクストリーム バラクラバ」やザノースフェイスの「ミッドウェイトバラクラバ」、モンベル製品等)、が存在します。この方式はもっと増えてほしい。ワイヤーを着脱できたり、交換できたりすると尚よろしい。
既製品のバラクラバ(目出し帽)
OUTDOOR RESEARCH / ゴリラバラクラバ
ゴアウィンドストッパー素材により防風性が高く、かつ自在にトランスフォームする業界屈指?の製品です。ノーズカバーとマウスカバーの2段構成になっており、ノーズカバーを付けたまま、口元だけ下げて呼吸しやすくすることが可能です。
「Outdoor Research Windstopper Gorilla Balaclava」(Youtube動画)でトランスフォームの様子を見ることができます。
同社の「オプション バラクラバ」と「フェイスマスク」を組み合わせると、この製品に近くなります。
OUTDOOR RESEARCH / ソニックバラクラバ
ゴアウィンドストッパー素材により防風性が高い。「ゴリラバラクラバ」のノーズカバーを着脱する機能が不要なら、こちらを選択することになります。
OUTDOOR RESEARCH / アセンダントバラクラバ
ごくオーソドックスなバラクラバに見えますが、表側は滑らかなナイロン素材のシェルで雪がつきにくく、裏側は暖かく通気性に優れた最先端素材ポーラテックアルファです。
THE NORTH FACE / エクスペディションバラクラバ
鼻と口をおおう部分がネオプレン素材で立体裁断になっています。目元に「カットボーンワイヤー」を内蔵し、フィット感を調節できます。
HOT CHILLYS / エクストリーム バラクラバ
隠れたスグレモノ。例年、石井スポーツの店頭に並びます。鼻のあたりにワイヤーを内蔵し、鼻筋の凹凸にフィットさせることが可能です。鼻・口全体が膨らんだ立体裁断の製品よりも下方視界を塞ぎにくい。
smartwool / アクティブフリース ヒンジドバラクラバ
オーソドックスなバラクラバです。「ヒンジド(hinged)」の名の通り、上半分と下半分の生地が切り返しになっており、顔を出しやすい。
HAGLOFS / WS BALACLAVA
「WS」はWind Stopperの略。ゴアウィンドストッパー素材により防風性が高い。鼻の下のスリットが立体的かつ大きめ。口元は生地が密着するタイプで換気孔が穿たれています。防風・防寒性の高さと呼吸のしやすさを両立しています。
MAMMUT / バラクラバ アークティック
ゴアテックス ウインドストッパー素材を使用しながらリーズナブルな価格となっています。開口部は大きめ。
MONTURA / バラクラバ ライト キャップ
鼻の下だけでなく、口元にもスリットがあります。防風・防寒性能と換気性能を両立させるために、唇に沿った必要最小限のサイズです。顔のパーツの配置さえ適合すれば、これが最適解かもしれません。
finetrack / メリノスピン バラクラバ
鼻と口の周辺を露骨に?下向きのダクト「ブレスルーター」とすることによって、呼気が吹き上げにくく、サングラスやゴーグルが曇りにくくしています。
BURTON / Joliet Clava
やはりシンプルなデストロイヤーマスク型も捨て難い。BURTON社はビーニーやバラクラバを多く販売しており、やけに小ぶりな「サバゲーマスク」のような羽目にはならないでしょう。雪模様がデザインされており、ビーニーとしても見栄えが良い。
AIRHOLE / エアホール バラクラバ
「デストロイヤー型はちょっと……」とためらう人にはこんな選択肢があります。オーソドックスなバラクラバですが、口の部分に程よい大きさの穴があいています。
KOHLA / ノーズプロテクター
単体のバラクラバではありません。サングラスと併用します。鼻を常時カバーしたいのであれば、こんな選択肢もありです。
ヘッドウェアをトータルでコーディネートするなら、セット商品のこちらが有力な選択肢となります。耳から脱落しにくいツルの形状が頼もしい。サイドプロテクションやノーズプロテクションを取り外せば、通常のサングラスになります。
NORRONA / リンゲンパワーストレッチプロジップフーディ
単体のバラクラバではありません。フリースのフードにバラクラバ(鼻の穴と口の穴あり)を内蔵し、左右に胸ポケット、腰ポケットを備える「全部入り」高機能フリースです。
Teton Bros. / MOB WOOL HOODY
単体のバラクラバではありません。ベースレイヤーにバラクラバを一体化しています。素材は保温性をになうメリノウールが89% と疎水性をになうポリプロピレンが11%。肌面がポリプロピレンなのでウールのチクチク感が苦手な人にも着やすくなっています。
OUTDOOR RESEARCH / ホワイトフィッシュハット
単体のバラクラバではありません。耳当て部分にフェイスガードを内蔵しています。おだやかな雪稜歩きであれば、これで大部分をカバーすることが可能です。
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