男性は24時間、無意識にモノのフィット感にストレスを感じ続けていると言われます。
パンツのゴムがきつければ腹が下る。ゴムが緩ければズリ落ちる。生地がたるめばモノが右顧左眄する。とかくにパンツ(トランクス)選びは難しい。
フィット感がこれほど重要なウェアはないにもかかわらず、店頭で試し履きするわけにはいきません。アウトドア雑誌のアンダーウェア(ベースレイヤー)特集において、シャツやタイツはよく取り上げられるのに、パンツについては滅多に言及されません。
この記事では筆者のパンツ遍歴を披露し、読者のパンツ選びの参考に供します。
パンツ遍歴
特筆すべきノースフェイスのボクサーパンツ
1990年代前半にノースフェイスのボクサーパンツ(素材はたしかダクロンクォロフィル)をとても気に入り、同じモノを3着揃えてローテーションしました。
ノースフェイスの日本規格の製品は私にとってサイズ感が合います。 長いことタンスのこやしになっていましたが、2018年に久しぶりに履いてみたら、やはりサイズ感やら着心地やらが快適で、日常生活と低山でローテーションするようになりました。パンツのゴムの部分にはポリウレタン系の素材が使われているはずですが、とくだん劣化した印象はありません。
ワイポウアの「メリノウールトランクス」
ウールのチクチクは苦手ですが、下半身なら大丈夫です。
ローライズ気味なので、古いタイプの登山愛好家はどうも落ち着きません。ゴムがもこもこ立体的で、腰への当たりが強い感じがします。重いザックを担ぐと気になりそう。二軍落ちししました。
この記事を書いたきっかけで、久しぶりに引っ張り出してみたら……。
ファイントラックの「スキンメッシュ ボクサー」
メリノウールにこだわらず、化繊に路線変更しました。保温性はタイツにまかせればよい。サポート性能と速乾性の高さに振り切りました。
汗処理能力は謳い文句どおりだと思うのですが、腰ゴムが汗溜まりを防止するためか細く、食い込む感じが気になりました。泊りがけの登山で、自宅を出てから帰ってくるまで、ずっと着続けるとストレスになりそう。現在のところ、近所のジョギングとか近場のハイキングで思い出したように着用しています。しばらく着続ければ、快適になるかもしれません。
モンベルの「スーパーメリノウール L.W. トランクス」
ウール感度が高い私もチクチク感なく履けました。ただし製品の個体差なのか、腰の横に指をかけてズリ下ろした拍子に穴が開いてしまいました。いつも同じ個所に指をかけるので、知らぬうちに生地が裂けてきたのでしょうが、そこ以外はまだまだ大丈夫なので残念。
モンベルのメリノウールやジオラインを5~6着持っていますが……。
トランクスなんて他人様に見せるものじゃなしコスパ最強のモンベルが良さそうですが、個人的に絶妙にサイズ感が合わないのが残念。Mだと窮屈で、Lだと緩い。メリノウールやジオラインを5~6着試した結論です。 https://t.co/QIpdgD8QFt
— 神山オンライン (@kamiyama_online) July 11, 2020
フェニックスの「TRANSFER TRUNKS」
ノースフェイスのボクサーパンツが完全に逝ってしまう前に、本気で次世代の発掘に乗り出しました。 石井スポーツをぶらぶらしていたとき出会ったのがコイツです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
腰はキツ過ぎずユル過ぎず。太腿まわりはピッタリ。モノの収まり具合がよろしい。ストレスなし。そしてリーズナブルな価格。素晴らしい。はじめ1着買って、半年くらい着用してみて、日常生活でもボルダリングジムでもトレーニング登山でも本番の登山でもこれを履きたいくらい気に入ったので、2着買い足しました。
ミズノの「ドライサイエンス クイックドライインナー トランクス」
フェニックス製品が入手できなくなったので、また新天地を探す旅が始まりました。 リーズナブルな価格で機能性が申し分なく、再入手しやすい製品としてこちらに白羽の矢を立てました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
SAXXの「DAYTRIPPER BOXER BRIEF FLY」
Twitterで教えてもらって気になっていたSAXXに手を出しました。
内部にメッシュのハンモックを備え、モノをやさしく包み込み、支えるというふれこみです。「BallPark Pouch」という機能名がユーモラス。着脱が面倒くさいかと思いきや、普通に足を通して持ち上げるだけで、まるでマジンガーZの「パイルダーオン!」みたいにスポッと嵌るのには感心しました。
安定感は抜群。ただ、その安定感が裏を返せば、予想外の制限につながります。収容空間に遊びがないため、男子特有の小用ポジションでゾウさんの鼻を前開きから引き出すのに手間どります。いっそ子供のようにパンツ丸ごと引き下げたほうが手っ取り早い。
BODY WILDの「ボクサーパンツ ベーシック」
「BODY WILD」は、あの純国産「グンゼ株式会社」のアパレルブランドです。子供の頃、母親から与えられるがままに同社の白いブリーフを着用していた気がします。高校、大学と成長するにしたがって、世の流行雑誌から「ブリーフはダサい」という観念を植え付けられて、自分で色無地のボクサーパンツを買うようになりました。
このジレンマを解決する商品、ここにあります。
モノの収容部が通常のボクサーパンツよりも立体的で、先端がやや尖っています。どこかの原住民のペ×スケースを彷彿とさせます。前述のSAXXほどではないもののサポート性能が高く、かつ、ゾウさんの鼻を前開きから召喚するのに手間取りません。
- 細かいワッフル状の網目で、汗をかいても肌離れが良い。
- 化繊で乾きやすい。
- 色無地のラインナップが嬉しい。
- お値段は日用品レベル。
長い旅路の終着点となるでしょうか?
まとめ
ひとつ確信しているのは、ボクサーパンツこそが、
- 機能性(モノのサポート)
- 審美性(見た目の端正さ)
を融合すべく、下半身アンダーウェアが行き着いた姿だということ。
今後も色々な商品を試すと思いますが、ボクサーパンツ路線を崩すことはないでしょう。
「理想のボクサーパンツを探す旅はいま始まったばかりだ」
と、少年ジャンプの連載打ち切り漫画風に締めくくります。
上半身のアンダーウェアについては、こちらの記事をご覧ください。
タイツについては、こちらの記事をご覧ください。
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