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稚内フェリーターミナル→鴛泊フェリーターミナル
「ボレアース宗谷」号
バスに35分揺られて、稚内フェリーターミナルに到着しました。運賃は600円。
往復乗船券は2週間有効です。料金は2,140円×2=4,280円。
2等船室の客
2等室に陣取りました。船内には無料wifiが解放されていますが、速度が遅いので利用をあきらめました。Docomoの電波は良好でした。
行く手の利尻島を見たかったのですが、乗船客が出入りできるのは船の側面と背面だけです。船首側の2等室は進行方向に窓があるものの、甲板の設備に遮られています。
うーむ、飛行機から利尻山をチラ見せしておいて、ここで気をもたせるのは神様の粋な采配でしょうか。
もしかして1等室なら見えるとか、待遇のちがいがあったりして。
ならば、映画「タイタニック」のジャックのように、上流社会との垣根をひらりと飛び越えて……なんて妄想を膨らましました。
目には見えませんが、Google Mapの位置情報は利尻山に近づいていることを示しています。
鴛泊フェリーターミナル
鴛泊(おしどまり)港に到着しました。写真を撮り損ねましたが、ペシ岬の岩壁を背景に悠々と海鳥がとびかう光景は映画の一場面のようでした。
フェリーターミナルを出ると、ジャジャーンと利尻山がそびえています。
旅館の送迎車に乗り込みました。
ガスカートリッジを入手
港から程近いホームセンター「サニータウン」に寄り道してもらいました。コンビニエンスストア「セイコーマート」も隣接しています。
目的はコレ。ガスカートリッジです。日帰り登山ですが、もし入手できれば携行するつもりでした。
なんと寒冷地用のOD缶が揃っています。SOTOのトリプルミックス、EPIのPOWER+、PRIMUSの250T、500T。SOTOのCB缶もありました。
SOTOのトリプルミックスを購入しました。この棚は入ってすぐ右側、レジの背後にあります。レジの人に「ガスカートリッジは年中置いてありますか」ときいたら、ハイと答えてくれました。在庫が心配なら、事前に電話で問い合わせるとよいでしょう。
利尻山・東稜のアプローチを偵察する
宿泊する「旅館 富士<利尻島>」は利尻島の南寄り、鬼脇にあります。鴛泊港から車で18km走ります。当初、鴛泊港近くの宿に泊まるつもりでしたが、出発2日前に予約を入れようとしたら埋まっていました。
その一方、利尻山の一般的な登山口である「利尻北麓野営場」は反対方向に3.8kmです。
「登山口まで送迎してもらうのが、申し訳ないなぁ」と思いました。
ん? 待てよ。だったら、旅館のある鬼脇の側から登ればいいじゃないか。
「日本登山大系1:北海道・東北の山」にはこう書かれています。
利尻山の登攀史は南稜から始まる。登歩渓流会が最初に挑み、三〇日を要したが悪天候のためP2までで断念せざるを得なかった。しかし、同会の川上晃良氏が、一一日を要して東稜からの登頂に成功し、「利尻山ここにあり」と中央で話題になった。かくして「遠くてよき山」は生まれた。一九五一年二月のことである。
東稜はいちばん取り付きやすいバリエーションルートだと言えます。
飛行機や宿の予約を終えると、あとは計画をこなすのみ。はるばる利尻まで出かけて、一般ルートの「北稜」から往復するだけだと物足りないかなぁ、なんて余裕をこいていたのですが、「東稜」を思いついたとたんにワクワクが一気に高まりました。
東稜へアプローチする林道は、なんと「旅館 富士<利尻島>」の真ん前から上がっていきます。送迎車でそのまま偵察に行きました。「ヤムナイ川を横断する地点」(標高247m)まで入れました。
Google Mapだと林道がよくわかりません。地理院地図だとよくわかります。247m地点から400mほど進むと、右側に点線が分岐します。そこが東稜の登山口です。東稜の上部は崩壊が激しく廃道となっています。
「旅館 富士<利尻島> 」
山側の部屋を用意していただきました。窓際には金庫、エアコン、インターホン、ティッシュ、冷蔵庫が並んでいます。右の壁にはTVのモニターが設置されています。その下には電気ポット。
ユニットバス。写真には映っていませんが、扉の横に物干し台が折りたたんで置いてありました。ちょっとした洗濯物はエアコンの温風で乾燥できます。
sea to summit
凝り性の人は、海の水に手を浸してから利尻山に登る「sea to summit」を実行するそうです。
夕食から就寝まで
「【ビジネスに最適】控え目料理でお手頃価格【2食付】」プランを選択しました。
オフシーズンだからでしょうか。ジュース類の自動販売機は稼働していませんでした。自分で買ってきて、冷蔵庫に入れたほうがよいでしょう。
写真集「利尻山 孤峰の詩」が置いてありました。
東稜の鬼脇山付近から撮影したらしい写真があり、登路のイメージを掴むことができます。巻末の利尻山域の概念図は貴重です。東稜のピークの名前や地名がわかります。
1460mピーク | 鬼脇山(八合目) |
1132mピーク | 松ヶ峰(六合目) |
1300m付近 | 千畳敷(七合目) |
800m付近 | 五合目(ヤムナイ川最奥の砂防ダムの北側) |
東稜は鬼脇山から上部の痩せ尾根で細心の注意が必要です。昔、ベテラン登山家が雪庇を踏み抜いて死亡する事故があったそうです。南峰と本峰のコルに突き上げる雪壁は150mの高距があります。そして最後の最後、本峰への登りは雪の状態によっては最大の核心となります。
最終的には「東稜」を中止し、「北稜」から往復するにとどまりましたが、「東稜」のことを調べる過程で、利尻山への理解が深まりました。
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