ツェルトの有無が生死を分ける

そもそもツェルトとは? ツェルトでビバークするとは?

辞書的には、ツェルト(Zeltsack)は「テント」、ビバーク(bivouac)は「露営、野宿」くらいの意味です。「ツェルトでビバークする」=「テントで泊まる」です。

しかし、登山では主として「簡易テントで緊急避難的に露営する」という意味合いで使います。岩や雪のバリエーションルートでは、たとえ計画的な露営であっても、定められたキャンプ地がないため、慣習的に「ビバークする」と表現します。

ツェルトの有無が生死を分ける(体験と考察)

山の遭難事故で「低体温症」「疲労凍死」といったキーワードに接するたび、「ツェルトを携行していたのだろうか」「ツェルトがあれば1人でも多く助かったのではないか」と考える癖があります。

立山の中高年パーティ遭難

「吹雪の立山 熟年パーティー8人死亡」を報じる新聞の切り抜き
1989年10月8日、北アルプスの立山で季節外れの吹雪となり、8人の方が亡くなりました。吹きさらしで着の身着のままで過ごしたようです。その夜、私は黒部湖や裏銀座をへだてて東寄りの北鎌尾根にいました。下山後、新聞で大量遭難を知りました。

小西政継さんの「ロッククライミングの本」

私は雪山をはじめて間もないころ、小西政継さんの「ロッククライミングの本」を読んで、ツェルトの重要性を刷り込まれました。

冬の登攀で最も重要な装備の一つにツェルトがある。このツェルトの有無でビバークは天国と地獄、生き死にの差が出てしまう。常に烈風に叩かれる場合が多いので、生地の強度が優れ、かつ薄く軽いものがよい。そしてツェルト内で必ず食事にコンロを使用するので、生地に適度な通気性がなければならない。ぼくのオリジナル・デザインは背面にウレタン防水生地を使って、前面は通気性のある防水生地を使って、中の湿気を放出し、大き目のベンチレーターを二個つけたものである。色はオレンジ、赤の暖色がよく、ブルー、紺はツェルト内が寒々しく感じられる。(p.213)

滝谷の登攀は晴天と悪天では天国と地獄ほどの違いが生じるので、好天のチャンスは絶対逃がしてはだめだ。したがって、登攀用具、食糧といった準備は必ず前日にやっておくこと。食糧の一点や二点は忘れてもかまわないが、ツェルトだけは忘れちゃだめだ。一日で抜けられると思っていても、悪天に阻まれてビバークを余儀なくされる場合もあり、いざ吹雪の中でビバークとなってツェルトがなかったら、最悪の場合は凍死、よくても酷い凍傷の危険にさらされるぐらいのことは君にもわかるはずだ。(p218~219)

このくだりは岳人の多くが心に刻んだのではないでしょうか。

ツェルトをザックの底にしのばせる

そうしてツェルトを購入し、ザックの底にしのばせるようになりました。

山頂でガスが晴れるのを待つあいだ頭からかぶったり、軽快登山のお供に簡易テントとして携行したりしましたが、初めて本来の目的?で利用したのは春の白馬岳でした。

ツェルトの起源と、日本独自の進化について、山岳雑誌の記述を引用してみましょう。

起源

PEAKS 2018年2月号の「ツエルト活用術大公開」(p.64)でツェルトの起源に言及しています。

ツエルトとは、ドイツ語で「テント」のことだが、現在の日本では、薄い生地で作られた底割れ式三角テントのことを指す。その原型は、19世紀後半にアルペンスキーの創始者であるマチアス・ツダルスキーが、アルプスの氷河を滑降する際の非常用装備として使用したのが最初とされている。その後、欧米ではあまり積極的に使われることはなかったが、日本では軽量なテントとして、あるいは非常用のビバークグッズとして、独自の進化を遂げてきた。
PEAKS 2018年2月号 p.64)

日本独自の進化

PEAKS 2018年4月号で日本式ツェルトの元祖アライテントを取材した記事です。

当時、緊急時に備えて登山者たちが持っていたのは、封筒のように1枚の生地の端を縫い合わせただけのもの。高さは150~180cmあり、中で人が立てるくらいだった。現在のようなジッパーもなく、紐を使って底を絞って下に巻き込んで使っていたという。
PEAKS 2018年4月号 p.295)

「背を低くして下部は底に敷くシートにしてしまえと。それで出入口としてジッパーをつけて、木から張り綱を取ったり、ポールとかピッケルで立てることができるようにしたんです」
PEAKS 2018年4月号 p.295)

ツェルトの使い方、蘊蓄

登山用品店でアライテントのカタログを見つけたら、ぜひ一部もらってきましょう。小冊子「TENT BOOK」はテントやツェルトについての解説が充実しています。

そのほかWEBや電子書籍で読むことができるものをピックアップしてみます。

アライテントのホームページ

日本式ツェルトの元祖アライテントのホームページです。

山と溪谷 2018年 2月号

  • 山と溪谷 2018年 2月号
    「手持ちの装備で一晩を過ごす – 不時露営の技術を学ぶ」(p.52)で、さまざまな状況におけるツェルト、シェルターの利用法を臨場感のある写真で解説しています。
  • ワンダーフォーゲル 2017年 8月号
    巻末に「Tent Book」という小冊子が付いています。アライテント創業社長の福永克夫さん自らがモデルとなって、テントとツェルトの利用法を豊富な写真付きで解説しています。
  • PEAKS(ピークス)2018年2月号 No.99
    「ツエルト活用術大公開」(p.64)で、またもや福永克夫さん御登場。そもそもツエルトは“被るもの”として解説されています。
  • 山と溪谷 2017年 11月号
    村石太郎さんによる「山岳装備大全 第20回 シェルター」。ツェルトを含むシェルター全般を俯瞰した蘊蓄が素晴らしいです。

ツェルトの分類

ツェルトを3つに分類してみました。

家型

三角型、くさび型とも言います。頭からかぶるだけ、簡易テントとして利用する、広げてタープにする、など汎用性が高い。日本で「ツェルト」と言った場合、ほとんどの人がこのタイプを想像するはずです。一枚布に近いため、頭からかぶるだけの用途では隙間風を防ぐのに苦労します。

ポンチョ型

最低限の生地面積で、シェルターとしてかぶったり、ポンチョのようにかぶって行動したりできます。兼用できるので便利だと考えるか、どちらの用途にも中途半端と考えるか、悩ましいところです。軽量コンパクトなので、日帰り登山でザックの底に忍ばせるのに適しています。より厳しい条件、たとえば雪山で緊急時のシェルターとして使おうとすると、生地の面積が少ないので隙間風を塞ぐのが大変です。

半密閉型

頭からかぶるだけの用途に特化しています。雨・風・雪から身を守る密閉度や、利用法の簡便さは一番すぐれています。分類の名称に悩みます。「封筒型」と呼ぶと縦長の形状を想像してしまいます。「巾着型」と呼ぶと裾を紐で絞れないモデルに当てはまりません。「シェルター型」と呼ぶと、意味が広すぎます。ひとまず「半密閉型」と呼ぶことにします。

英国製品の名前や機能説明では「Bothy Bag」と呼ぶことが多いようです。

以下、3つのタイプごとに有力な製品をレビューします。

家型ツェルトのおすすめ

アライテント / スーパーライト・ツェルト2 ロング 2~3人用

主要なスペック

サイズ 間口130×奥行210×高さ110cm
重量 395g
素材 28dnリップストップナイロンPUコーティング(東レ「ファリーロ」中空糸)

レビュー

  • 家型ツェルトのリファレンスモデル
    アライテントは1965年に創業し、その2年後から「床付きツェルト」を製造し続けています。登山用品店に1/5模型が置かれているのをよく見かけます。アライテントの創業社長・福永克夫さんは《スーパーライトツェルト2ロングを昔から愛用》し、ツェルト内フレームも利用されているようです。(ワンダーフォーゲル2018年10月号 p.40
  • 出入口はファスナー式で片側だけ付いている。
    三角形のパネル下部と床との接合部分は連結できませんが、10cmくらい突き出したスカートに石や雪をのせれば風の吹込みをある程度塞ぐことが可能です。
  • 底割れ式の生地が10cmくらい重なるため、泥などが侵入しにくい。
  • 別売のツェルト内フレーム(140g)を利用すれば、内部空間を安定して広げることができます。
  • 時の試練をくぐり抜けてきた信頼感を重視するならコレです。
  • ひとまわり小さい「スーパーライト・ツェルト1 1~2人用」(間口90×奥行200×高さ90cm)は重量280gです。

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アライテント / ビバークツェルト1 ロング

主要なスペック

サイズ 間口80×奥行210×高さ90cm
重量 240g
素材 15dnリップストップナイロンPUコーティング

レビュー

  • 家型ツェルトの軽量モデル
    生地が15デニールと薄く、サイズを切り詰めて軽量化をはかっています。
  • 出入口はファスナー式で片側だけ付いている。
    三角形のパネル下部と床との接合部分は連結できませんが、10cmくらい突き出したスカートに石や雪をのせれば風の吹込みをある程度塞ぐことが可能です。
  • サイドリフターが無い
  • 単独行で軽量化を重視するならコレです。

別サイズ、別モデル

もともと「ビバークツェルト」という商品があったようです。「Rock&Snow」011号(2001年春号p.99)で《NEW GEAR こいつはエライ 使える新しいやつ》として紹介されています。

参考リンク

モンベル / ライトツェルト

主要なスペック

サイズ 間口90×奥行200×高さ100cm
重量 460g(470g) ※( )内はスタッフバッグを含む総重量
素材 20デニール・ポリエステル・リップストップ

レビュー

  • 家型ツェルトの進化したスタンダードモデル
    モンベルのツェルトのなかでは「スタンダード」ですが、軽量化の流行を取り入れながらも、要所要所で快適さや耐久性を高めています。
  • スクエアフォルム。
    旧モデルは「ウエッジデザイン」として天頂部を短くして台形にすることによって、軽量化と耐風性を高める設計でした。新モデルは前後のパネルが垂直近くに立ち上がり、内部空間が広くなっています。にもかかわらず、重量がほぼ変わらないのは、素材を30デニールから20デニールに軽量化したからです。
  • 支柱の地面側を差し込むエンドチップ用ループ(テープとグロメット)が付いており、安定性が高いです。
  • 出入口はファスナー式で片側だけ付いている。
    三角形のパネル下部と床との接合部分は紐で2箇所を連結できます。10cmくらい突き出したスカートに石や雪をのせれば隙間風をより塞ぐことができます。
  • 底割れ式の生地が重なり、シリコン製のトグルで連結できます。
  • インナーポールが用意されている。
    別売のツェルトインナーポール(145g)を利用すれば、内部空間を安定して広げることができます。
  • 蒸れやすい。
    透湿性についての記載は特になく、防水コーティングされています。前後2箇所のベンチレーターで換気します。酸欠防止のためベンチレーターは完全には閉まらない設計になっています。某登山用品店でツェルトを見せてもらっているとき、スタッフさんが「モンベルのツェルトは蒸れやすいので、別のメーカーに買い換えました」とおっしゃっていました。逆に、雨中のビバークでは強い味方となります。トムラウシの遭難事故のような状況(強雨下)でビバークするとき、選べるとしたらこのツェルトを選ぶでしょう。
  • ある程度軽量で、防水性を重視するならコレです。
  • より軽さを追求した「U.L.ツェルト」も販売されています。

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ファイントラック / ツエルト2ロング

主要なスペック

サイズ 奥行220(天頂部170cm)×間口100×高さ95cm
重量 340g
素材 15dリップストップナイロン100% (ポリウレタン防水透湿コーティング)

レビュー

  • 家型ツェルトの先進モデル
    各辺に超高強度ダイニーマ®テープを配備。
  • ベンチレーターは吹き流し式ではなく、メッシュ付きのスリットになっています。
  • 出入口はファスナー式で両側に付いている。
    ファスナーはダブルスライダーで利便性が高い。三角形のパネル下部と床との接合部分は連結できませんが、10cmくらい突き出したスカートに石や雪をのせれば風の吹込みをある程度塞ぐことが可能です。
  • 底割れ式の生地が10cmくらい重なるため、泥などが侵入しにくい。
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 居住性が良く、軽く、耐久性に優れ、防水性と通気性を程よく両立したければコレです。お値段は高い。
  • ひと回り小さい「ツエルト1」(奥行200×間口80×高さ90cm)は重量230gです。サイドリフター無し。底割れ式の生地は重なりません。

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ファイントラック / チューブツエルト

主要なスペック

サイズ 最大奥行320×開口部直径106cm
重量 440g
素材 15dリップストップナイロン100% (ポリウレタン防水透湿コーティング)

レビュー

  • 家型ツェルトの先祖返りモデル
    昔の登山者は緊急用のシェルターとして「封筒のように1枚の生地の端を縫い合わせただけ」「ちょっと気がきいたもので、紐で入り口絞れる」ようなモノを携行したそうです。昔のシンプルな構造に立ち帰ったモデルだと言えるでしょう。
  • 密閉度が高い
    底割れ式ではありませんが、頭からかぶるだけ(横からもぐりこむだけ)の使い方に対応しやすく、出入口を巾着式に絞ることができるので防風性が高いです。
  • ファスナーを使用していないので、凍結や故障のおそれが少ない。
    冬山に向いています。
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 家型に設営可能で、密閉度の高さを重視するならコレで

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ヘリテイジ / エマージェンシーツェルト<2G>

主要なスペック

サイズ 間口80×奥行190×高さ90cm
重量 220g
素材 本体:10dnナイロンリップストップ・透湿PUコーティング(耐水圧1,230mm/平方センチ、透湿量367g/sqm/h(JIS L 1099 A-1法)

レビュー

  • 家型ツェルトのシェルター寄りモデル
    「エマージェンシーツェルト」という名前から、計画的ビバークよりも緊急時ビバークを優先していることがわかります。
  • 出入口はファスナー式で片側だけ付いている。
    入り口側の三角形のパネル下部と床との接合部分はドットボタンで4箇所を連結できます。頻繁に出入りするなら、ドットボタンのほうが便利です。
  • 三角形のパネル下部はスカートが突き出していません
  • 奥側の三角形のパネルは床と縫い合わせてある。
    風の吹込みが少なくなります。その代わり、一枚布としての汎用性は劣ります。
  • 底割れ式で、ドットボタンで6箇所を連結します。
  • サイドリフターが無い
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 居住性を確保しつつ、軽くて、防水性と通気性を程よく両立し、防風性を優先したければコレです。

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ヘリテイジ / エマージェンシー ソロシェルター<2G>

主要なスペック

サイズ  間口(最大:80~最小:40)×奥行190×高さ(最大:90~最小:35)cm
重量 165g
素材 15dnナイロンリップストップ・透湿PUコーティング(耐水圧1,000mm/平方センチ、透湿量8,000g/㎡/24hr)

レビュー

  • 家型ツェルトのビビィ化モデル
    「エマージェンシーツェルト」という名前から、計画的ビバークよりも緊急時ビバークを優先していることがわかります。
  • 居住空間は狭いがかえって風には強い。
    「エマージェンシーツェルト」の奥側を低くした形状です。最低限の家型ツェルトとしての機能を残しつつ、軽量化しています。居住空間が狭い代わりに、低い側からの風を受け流しやすくなります。
  • 1人用シェルターに向いている。
    頭からかぶるだけの場合、無駄な生地(特に奥側の天頂部)がないぶん密閉度を高くしやすいです。
  • 出入口はファスナー式で片側だけ付いている。
    2022年モデルで出入口がサイドに移動しました。出入りするときポールが邪魔になりません。
    出入口下部と床との接合部分はドットボタンで4箇所を連結できます。
  • 底割れ式。
    入り口側の4箇所をドットボタンで連結できます。奥側は密閉されています。
  • サイドリフターが無い
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 居住性よりも軽さを重視し、防水性と通気性を程よく両立し、防風性を優先したければコレです。

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オクトス / UL透湿防水タフツェルト

主要なスペック

サイズ レギュラー / 間口100cm×奥行200cm×高さ100cm(天井部奥行145cm)
ロング / 間口100cm×奥行220cm×高さ100cm(天井部奥行165cm)
重量 レギュラー / 355g ロング / 380g
素材 15Dリップストップナイロン(耐水圧:1,000mm、透湿性:8,000/㎡/24h)

レビュー

  • 家型ツェルトの安価な先進モデル
  • 生地は薄いが、要所の生地を二重にしている。
  • 出入口はファスナー式で両側に付いている。
    ファスナーはダブルスライダーで利便性が高い。三角形のパネル下部と床との接合部分はホックで2箇所を連結できます。頻繁に出入りするなら、ホックのほうが便利です。
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 防水性と通気性を程よく両立し、耐久性と価格の安さを重視するならコレです。

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Juza Field Gear / Zelt Plus

主要なスペック

サイズ 間口100×奥行245(土間45、床・天井部200)×高さ95cm
重量 400g
素材 20Dナイロン・リップストップ(国産・特注)PUコーティング防水透湿(1700mm・7500g/㎡/24h)

レビュー

  • 家型ツェルトのウィンパー・テント化モデル
    トレッキングポール等を三角形(A型)に組めば剛性が高くて、出入りがしやすい。ファイントラックの「チューブツエルト」と同様、これもまた先祖返りモデルだと言えます。
  • 出入口はファスナー式で両側に付いている。
    三角形のパネル下部と床との接合部分は連結できませんが、10cmくらい突き出したスカートに石や雪をのせれば風の吹込みをある程度は塞ぐことが可能です。
  • 奥行きが長い。
    片側は土間スペースが張り出しています。シュラフで寝た場合、頭や足元が生地と接触しにくいです。
  • 生地に透湿性がある。
    ツェルトとしては高めの耐水圧と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 軽さと居住性、防水性と通気性を程よく両立したければコレです。

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ポンチョ型ツェルトのおすすめ

アライテント / ビバークツェルト ソロ

主要なスペック

サイズ 間口80×奥行70×高さ90cm
重量 105g
素材 15dnリップストップナイロンPUコーティング

レビュー

  • ポンチョ型ツェルトのリファレンスモデル
    キャッチフレーズは「かぶって使うことだけを考えて作られた重量105gの究極のパーソナルシェルター」です。
  • 家型に設営できなくもない。
    裾を内側に折り込めば、床付きの家型に設営できる形状に裁断されています。トレッキングポールと張り綱で吊り上げ、四隅をペグダウンするためのループが要所に付いています。成人男性がぎりぎり座っていられる空間しかありません。出入口用のファスナー等はないため、裾を跳ね上げて出入りする必要があります。三角形のパネル下部と床との接合部分を連結できないため、隙間風が吹込み放題です。
  • 頭からかぶるだけでも隙間風を防ぐのに苦労する。
    裾全体を身体や荷物の下に巻き込もうとすると、三角形のパネル側の生地の面積が微妙に足りないため、隙間風を防ぐのに苦労します。
  • ポンチョとしては左右の裾が長い。
    余分な裾を内側に折って固定する仕組みはありません。前述した「隙間風」と関連しますが、いっそのこと三角形のパネルと床の接合部分を縫い付けてしまえば、隙間風を防ぎやすくて、かつ裾がぶらぶらしにくくなります。
  • 最低限の生地の面積で多目的に使うように設計したため、どの用途にも中途半端な感がなきにしもあらずです。もちろん「ないよりはマシ」なのは確実で、105gという圧倒的な軽さは日帰りのデイパックの底に気軽に忍ばせるのに向いています。軽さ重視ならコレです。

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ファイントラック / ピコシェルター

主要なスペック

サイズ 奥行75(天長部90cm)×間口120×高さ95cm
重量 120g
素材 15dリップストップナイロン100% (ポリウレタン防水透湿コーティング)

レビュー

  • ポンチョ型ツェルトの先進モデル
    キャッチフレーズは「おにぎりサイズのお守りギア」です。
  • 家型に設営できなくもない。
    床無しの家型に設営できる形状に裁断されています。トレッキングポールと張り綱で吊り上げ、四隅をペグダウンするためのループが要所に付いています。長辺の中央にもペグダウンするためのループが付いています。成人男性が身体を丸めて横たわるくらいの空間があります。ファスナーが長辺側にあるため出入りしやすい。床がないため、隙間風が吹込み放題です。
  • 頭からかぶるだけの使い方に適している。
    裾全体を身体や荷物の下に巻き込む最小限の生地の面積を確保しています。
  • ポンチョとしても様になる。
    裾全体が同じくらいの長さなので、ポンチョとして使う際も長すぎてぶらぶらすることはありません。
  • 生地に透湿性がある。
    小雨に耐える程度の防水性と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • アライテントの「ビバークツェルト ソロ」と比較すると、生地の面積に余裕があり、ポンチョとして違和感が少なく、透湿性があります。重量はわずかに重い120g。価格は2倍近いですが、機能重視ならコレです。

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ヒルバーグ / ビバノラック

主要なスペック

サイズ 長さ240×幅86cm
重量 575g
素材 防水透湿性リップストップナイロン(防水性 3000mm/30kPa 浸透性 5000g/㎡/24hrs)

レビュー

  • ポンチョとビビィサック、シュラフカバーを兼用する究極モデル
    ポンチョ型は隙間風を防ぐのに苦労しがちですが、この製品は足元をドローコードで絞って密閉できます。
  • 軽量化のために装備を兼用するならコレです。

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半密閉型ツェルトのおすすめ

ライフシステムズ / サバイバルシェルター2

主要なスペック

サイズ 間口45×奥行140×高さ90cm
重量 345g
素材 不詳(ポリウレタンコーティングのナイロンと推定される。耐水圧5,000mm)

レビュー

  • 英国のスタイリッシュなシェルター
  • 底を巾着のように紐で絞ることができ、密閉度を高く維持しやすい。
  • 主要な縫製ラインは目止めされている。
    このタイプのシェルターとしては珍しい。日本の気候に向いていると言えます。
  • スタッフサックが吹き流し式ベンチレーターを兼ねている。
  • 天頂部の両端に銀色の反射テープが貼られている。
  • TPU製の透明な覗き窓がある。
    中にこもっていたら気づかないうちに天候が回復して、行動を再開するのが遅れたなんて事態を避けられます。
  • 価格の安さと必要十分な機能性を求めるならコレです。

別サイズ、別モデル

公式サイトでは軽量モデル(345g→215g)が登場しています。サイズは同じで、生地が20デニールと薄くなり、覗き窓はありません。

4人用(間口90×奥行140×高さ90cm)は2人用のちょうど2倍の容積で、重量は510gです。

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Rab / グループシェルター 2

主要なスペック

サイズ 間口50×奥行145×高さ94cm
重量 320g
素材 リップストップナイロンにシリコンコーティング(耐水圧不明)

レビュー

  • 英国のもう一つのスタイリッシュなシェルター
    ライフシステムズとちがい、底を巾着のように絞ることはできず、縫製ラインは目止めされていません。
  • 天頂部に突き出した「ツノ」にストックを固定して内部空間を広く保つことができる。
  • スタッフサックが吹き流し式ベンチレーターを兼ねている。
  • 天頂部の両端に銀色の反射テープが貼られている。
  • TPU製の透明な覗き窓がある。
    中にこもっていたら気づかないうちに天候が回復して、行動を再開するのが遅れたなんて事態を避けられます。
  • ツノ」に魅力を感じなるならコレです。

別サイズ、別モデル

軽量モデルの「スーパーライトシェルター 2」(間口50×奥行145×高さ94cm)は重量240gです。天頂部のツノ、側面の覗き窓は省略されています。

参考リンク

Juza Field Gear / エム・シェルター1ウルトラライト

主要なスペック

サイズ 間口60×奥行120×高さ90cm
重量 170g
素材 20Dナイロン・リップストップ(国産・特注)防水・透湿(1700mm・7500g/㎡/24h)

レビュー

  • 日本の実力派シェルター
  • 生地に透湿性がある。
    シェルターとしては高めの耐水圧と若干の透湿性を兼ね備えた生地を使用しています。
  • 天頂部の両端に吊り下げ用のループが付いている。
    家型ツェルトのように支柱や樹のあいだに吊り下げて設営できます。頭からかぶるだけの場合よりも、ストレスを軽減できます。
  • 側面の対角2箇所にベンチレーターが付いている。
    顔の横にベンチレーターが来るので、息苦しさを軽減し、外の様子を見やすいです。
  • 尻の下に敷く布地は黒い別素材になっている。
    強風でバタつくなかでは、どこに座るかすぐにわかるだけでもストレスを軽減できます。
  • 軽さと機能性重視ならコレです。

別サイズ、別モデル

2~4人用の「エム・シェルター2」(間口100×奥行140×高さ90cm)は重量245gです。この容積でこの重量は軽い。山岳ガイドの方がこれを携行していると心強いにちがいありません。

参考リンク

アライテント / ビバークツェルト デュオ

主要なスペック

サイズ 間口80×奥行120×高さ90cm
重量 150g
素材 15dnリップストップナイロンPUコーティング

レビュー

  • 日本の伏兵シェルター
    ツェルトとして販売されていますが、足を伸ばして寝転がるサイズではないので、半密閉型シェルターと捉えたほうが良いでしょう。ポンチョ型の「ビバークツェルト ソロ」よりもひと回り大きく(長辺が70cm→120cm)、裾を身体や荷物の下に巻き込みやすいです。日本型ツェルトの元祖らしく家型に設営可能としたために、シェルターとしてはやや密閉度が低いです。半密閉型を追求した「ビバークシェルター」を作ってほしいところです。
  • 軽さと価格重視ならコレです。

参考リンク

関連記事

ツェルトを簡易テントとして検討していたが、やはり居住性の高い普通のテントがいいと思った人はこちらの記事をご参照ください。

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