GENTOSのヘッドライト(ヘッドランプ)VA-04Dを購入しました。
このメーカーのヘッドライトは「山と渓谷」や「PEAKS」の誌面で主役になることは少ないですが、登山向きのラインナップも存在します。公式サイトの紹介ページには岩壁登攀のイメージ写真が掲載されています。
明るさは最大230ルーメン。近年の「トレイルランニングまで想定した高出力タイプ」と比較すると控え目ですが、「ひと昔前のペツルやブラックダイヤモンドの主力商品に匹敵する明るさと機能」を備えています。防塵防水性能はIP67準拠と最高レベル。特徴的なのは使用電池が単4形乾電池×2本であること。携帯ラジオと共用しやすくなっています。
THE・登山用ヘッドライトであるにもかかわらず、定価2,480円(税別)と財布にやさしい。私はAmazonのタイムセールで1,611円で購入しました。2021年9月現在、定常的にお安くなっています。
開封の儀
パッケージ前面
パッケージ背面
パッケージ側面
同梱物
ヘッドライト本体、ヘッドバンド、取扱説明書、単4形アルカリ乾電池が同梱されています。
取扱説明書
公式サイトのPDFファイルそのままです。
前面
背面
ヘッドライト本体
前面
外装はしっとりした風合いの、艶消しされた樹脂製です。地面に落としたり、岩にぶつけたりしても割れたり傷が付いたりしにくそう。耐衝撃性能は「1m落下耐久」とされています。
レンズは向かって左側がメインの高輝度チップタイプ白色LED、右側が高輝度チップタイプ暖色LEDです。
背面
ヘッドバンドの裏側にはシリコンの滑り止めが2本走っています。特にヘルメットに装着したときにズレを防止する効果が高いです。
可動部分
ヘッド部は最大で80°まで角度調整できます。ヒンジの刻み目は5段階です。
電池ボックス
電池ボックスの開閉は固めです。上部のラッチを跳ね上げて開くのも、押し込んで閉じるのも、やや力がいります。フタの内周に埋め込まれた黒いパッキンが高い防塵防水性能(IP67準拠)を主張しています。
ペツルやブラックダイヤモンドの主力製品は単四形電池×3本を採用していますが、本機は単4形電池×2本を採用。この仕様には懐かしさをおぼえずにいられません。昔は単3形電池×2本または4本という偶数が主流でした。乾電池はたいてい偶数のパックで販売されるので、偶数ずつ消費するほうがしっくりきます。電池が消耗して、明るさが弱まったら、携帯ラジオ(こちらは現在も単3または単4形乾電池×2本が主流)に使い回すという運用にピッタリです。
重量や大きさの比較
ブラックダイヤモンドのスポット(初代モデル)と並べてみました。重量は本機が59g、スポットが53g。若干重いですが、使用する電池が1本少ないぶん、頭に装着したときの使用感は軽くなります。
光の広がり方
「可愛いヘッドライト」と比較
本機は最大230ルーメンの「オーバルビーム」。「可愛いヘッドライト」は最大260ルーメンの「ワイドビーム」。近くを照らすと、数字の差以上に「可愛いヘッドライト」のほうが明るく見えます。本機はそれだけ照射角度が広いということです。LEDチップ自体は指向性の強い点発光ですが、レンズ内部の広い反射面やレンズ表面の縦縞で光を広く拡散しています。
室内:Highモード(230ルーメン)
室内で1メートルくらいの距離からHighモード(230ルーメン)で壁を照らしてみました。横長の楕円形で、中心から外周に向かって、ゆるやかに薄くなります。
行く手をフラットに、横長に広く照らすので、樹林帯の不明瞭な分岐や、岩稜帯の入り組んだラインを見誤りにくくなります。
室内:Warmード=暖色LED(5ルーメン)
同様にWarmモード=暖色LED(5ルーメン)で照らしてみました。こちらは正円の光です。
スイッチの操作性
モード切り替え
ボタンを連続して短押しすると、消灯 → Highモード → Midモード → Ecoモード → Warmモード → 消灯と循環します。
スイッチロック機能
消灯時にスイッチを長押しすると、2回パッパッと光り、スイッチ操作ができない状態になります。「ザックに収納して運搬中なにかの拍子に誤ってスイッチが入り、いざ使おうとしたらバッテリーが切れていた」なんてトラブルを防止します。
インスタントオフスイッチ機能
最後にボタンを押してから5秒過ぎると、次の短押しはモード移行ではなく、消灯となります。
スイッチの感度
Amazonのレビューではスイッチの反応が悪いという評判です。内部の接点が小さいのか繊細なのか、たしかにその傾向があります。単発で押す分にはあまり感じませんが、モードを切り替えようとしてたてつづけに押すと反応が悪くなる気がします。気持ち、手前(斜め)に押し込むと感度が良くなると言われています。
「スイッチがすぐ壊れた」「スイッチが操作できなくなった」という報告も見受けられます。もしかすると前記の「インスタントオフスイッチ機能」が意図せず働いた状態かもしれません。
実際の登山で照らし具合を検証してみた
高尾山で照らし具合を検証してみました。
宵闇に家族連れが登ってきて、お母さんが眼下に見える観覧車の明かりを見て「あれ富士急ハイランド?」とおっしゃっていました😅。流石にそれはなくて、「相模湖プレジャーフォレスト」ですね。
さて、本機の仕様は以下の通りです。暗闇を下山しながら、いろいろ試しました。
横方向の光の広がり
本機の特徴は「オーバルビーム」=「横長の楕円形の光」です。可愛いヘッドライト(CP-260R)と照らし具合を比較してみました。
階段下:本機 Highモード(230ルーメン)
階段下:可愛いヘッドライト Highモード(260ルーメン)
場所は稲荷山尾根のフィナーレ。230余段の急な階段の登り口です。左右に道が分岐しています。本機のほうが左右に広く照らしています。特にわかりやすいのが、左側の切り株の照らし具合です。
もうひとつ例を見ましょう。
樹林帯の分岐:本機 Highモード(230ルーメン)
樹林帯の分岐:可愛いヘッドライト Highモード(260ルーメン)
場所は6号路の分岐を過ぎ、広い階段を登って、尾根道がいったん小高く盛り上がるあたり。右に踏みならされた道を行くと、木のベンチが設置されています。あえてそこで休むのでなければ、左上に木の根をまたいで越えていくのがメインストリームとなっています。実際、この写真を撮ろうとしたとき、夜間トレランのグループが登ってきました。ちょっと先で道は合流しますが、これがもし本当の分岐だったらどうでしょうか。
写真では実に微妙な差なのですが、本機のほうが横長にフラットに照らすぶん分岐を見落としにくいと期待できます。「可愛いヘッドライト」もワイドビームをうたっていますが、中心部の明るさが強く、周囲とのコントラストが強いぶん、左右へ注意がゆきとどきにくいかもしれません。
モード毎の明るさの比較
登山口が近づき、旭稲荷の広場から降りていく階段(右上に街明かりが映り込んでいる)でモード毎の明るさを比較しました。
スマホのカメラで特に夜間モードなど使わずに撮影。肉眼では写真よりもっと明るく見えます。
下り階段:Highモード(230ルーメン)
下り階段:Midモード(100ルーメン)
下り階段:Ecoモード(30ルーメン)
下り階段:Warmモード(5ルーメン)
Warmモードは手元を照らすためにあるので、さすがに歩きながら使うのは厳しいです。
総評(まとめ)
本機の評価がいちばん分かれるのは、スイッチの押しやすさです。
雪山で厚いグローブをはめた指では押しにくいでしょう。不用意な点灯を防止するためかもしれませんが、スイッチロック機能を搭載しているのですから、わざわざ押しにくくする必要があるのか疑問です。
最大の明るさ(Lumen=光束)は230ルーメンながら、「可愛いヘッドライト」の260ルーメンと比較すると、数字の差以上に照度(Lux=ルクス)が低いと感じます。光を広く拡散するためにレンズ内部の反射面が広く、レンズ表面に縦縞をもうけているぶん、明るさが減衰している感は否めません。
スイッチを押しやすくし、明るさを300ルーメンくらいに強化し、なおかつ定価を3,000円以内に抑えれば、THE・登山用ヘッドライトのダークホースとして人気が高まるのではないでしょうか。
もちろん現状のままでもコスパ最高な掘り出し物であることは間違いありません。防塵防水性の高さ(IP67)、偶数単位の電池の使い回し、横方向に広い照射角に魅力を感じるなら、検討することをおすすめします。
その他、様々なヘッドライト(ヘッドランプ)についてはこちらの記事をご覧ください。
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