FoxfireのPPウールハーフジップならドライレイヤーが要らない

Foxfireの「PPウールハーフジップ」ならドライレイヤーが要りません。

21世紀になってfinetrackが提唱したドライレイヤーは、すっかり登山・アウトドア業界に定着し、ベースレイヤーの下に薄手メッシュを着こむ人が増えました。

実は、ドライレイヤーの発想は昔から存在しました。ときどき意欲的なメーカーが「ウールやポリエステル製のウェア」の裏地にポリプロピレン製のメッシュを貼った商品を発売してきました。

ポリプロピレンは繊維の公定水分率がゼロ。疎水性はfinetrackのドライレイヤーほど高くないかもしれませんが、表生地と完璧に密着しているので、弾いた水分は速やかに表生地に移動して拡散します。重ね着によるゴロつき感がありません。

2022年現在、登山・アウトドア用品店で手に入りやすく、デザインが優れた商品の一つがFoxfireの「PPウールハーフジップ」です。商品名の「PP」がポリプロピレンを意味します。

FoxfireのPPウールハーフジップの写真

全体像

キャッチフレーズ

肌面には、断熱性に優れ、疎水性を持つポリプロピレン、表面にはモイスチャーコントロール機能により気化熱を調整するウールを採用したジップアップ。身体を暖かくドライに保ち、急激に体温が奪われるのを防ぎます。オーストラリア産18.5ミクロンの超極細メリノウールは天然の抗菌消臭効果も兼備。放電テープを縫いこんだ帯電防止仕様。

諸元

価格 ¥10,780(本体価格¥9,800)
素材 ポリエステル55%・毛30%・ポリプロピレン15%
重量 250g
カラー ポリエステル55%・毛30%・ポリプロピレン15%
サイズ S ・M ・L ・XL

日本製のカットソーは襟が低いことが多いですが、この商品は襟が高めなので寒い時季にはほっこりします。

胸ポケット

胸ポケットにOPPO Reno A(約6.4インチ、約158.4 x 約75.4 x 約7.8mm)を余裕で収納できました。

裏地

裏地は黒色。これがポリプロピレンのメッシュです。表地の赤や向こう側の光が透けて見えます。

素材タグと洗濯タグ

毛30%となかなかの比率。しかもメリノウールらしい。私はウールのチクチクが苦手ですが、肌面がポリプロピレンで覆われているおかげで、まったく気になりません。

FoxfireのPPウールハーフジップのサイズ感、使用感

サイズ感

サイズ感はごく標準的な日本サイズ。ただし、身頃(胴回り)はゆったり目なので、ベースレイヤーとしてはもう少しスリムにしてほしいところです。

Lサイズの重量は実測で212g。カタログ値の250g(サイズ不明)より軽いです。私が買ったのは2016年11月。その後マイナーチェンジされているかもしれません。

高尾山でのレイヤリング

冬場の高尾山で出番が多いです。トレーニングとして速足で登るので、行動中の上半身はFoxfireのPPウールハーフジップだけ。山頂で急激な汗冷えに見舞われます。アクテイブインサレーションを羽織って、汗を吸い上げ、蒸散させます。山頂に長居する場合は、さらにダウンジャケットを羽織ります。

アクティブインサレーション(動的保温着)のおすすめ
停滞時や休憩時に着こむ「静的保温着」と対比して、行動時に積極的に着用することから「動的」と形容します。通気性を重視するため、シェルの防水性は低く、小雨を弾く撥水性や雪を付着させない平滑性にとどまる製品がほとんどです。

 

下り道ではあまり汗をかかないので、PPウールハーフジップとアクテイブインサレーションで歩きます。

既存のミドルレイヤーを駆逐するミレー「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」レビュー
「アクティブインサレーション」のなかで特殊な位置を占めています。素肌に直接羽織って気持ちが良い「フリース」であり、ポケットが豊富で防雪・防風・撥水性能を備えた「ソフトシェル」でもあります。実に汎用性が高く、私は登山に普通の「フリース」を携行しなくなりました。

雪山でのレイヤリング

雪山の樹林帯ではまだ標高が低く風の影響を受けにくいため、シェルを着こむとオーバーヒートしがち。そんなときはベースレイヤーだけになりたい。すると上着のポケットを利用できず、スマホのやり場に困ります。薄手のベースレイヤーに本製品を重ね着すれば、見栄えも良く、スマホを胸ポケットに収納できます。

※ レディースモデルは胸ポケットを備えていません。

登山のベースレイヤー、メリノウール派? 化繊派?
私は化繊派です。メリノウールのベースレイヤーも所有していますが、どうしても馴染めずに化繊に戻ってしまいます。有名な登山家や冒険家の記録を読むと、決して化繊派が少なくないとわかって安心します。メリノウール派の布教に耳をふさぎ、胸を張って化繊派を貫きたい。

まとめ

裏地にポリプロピレン製のメッシュを貼った商品には隠れた流行でもあるのか、ときおり盛り上がっては廃れていきます。2015年頃にはマーモット、2018~2019年頃にはミレーから似た商品が登場したものの、数年で消えました。

Foxfireの「PPウールハーフジップ」は2015年頃から継続しています。定番商品として末永く販売してほしいものです。

コメント

  1. 天野康弘 より:

    はじめまして。
    30年も前の話ですが、PPとウールのブレンドセーターが発火して、販売禁止になったことがあるんですよ。
    日本でも行政指導があり売る事ができなくなりました。

  2. kamiyama kamiyama より:

    天野康弘 様、コメントありがとうございます。
    ポリプロピレンは融解点が低いのでタンブラー乾燥は禁止だとか。行政指導が出るほどのことがあったとは知りませんでした。
    現在、ポリプロピレンとウールを混紡したウェアって、けっこうありますよね。