男心をくすぐる変形合体、BCA「SHAXE TECH AVALANCHE SHOVEL」

男心をくすぐるギアを購入しました。ショベル(スコップ)とアックス(ピッケル)が変形合体する凄いやつ。

シャフト部を共用することにより装備全体の重量と嵩張りを削ることができます。シャフト部の重量は実測で237g。お値段は2万円強。ULウルトラライト界隈で見かけた名言「100g軽量化するために1万円までなら出費する」に準拠しています。

もとはバックカントリースキー向けの雪崩救助用具アバランチギアですが、稜線歩きを主体とする雪山登山なら十分に通用します。

開封の儀

ショベルモード

アックスモード

付属品

ビニールケース(正面)

ビニールケース(背面)

スキー板と組み合わせて救助用ソリを作る方法が図解されています。

蝶ボルト(wing bolt)とアックスのヘッド

最初に商品を開梱したとき、アックスが見当たらないので間違えて購入したのかと思いました。アックスのヘッドはこんな小さなケースの片隅に収まっていました。

蝶ボルトは本製品とスキー板を連結して救助用ソリを作るための部品です。

部品ごとの実測重量

部品ごとの重量は以下の通りです。

  • ブレード: 405g
  • シャフト: 237g
  • グリップ: 63g
  • アックス: 197g

組み立て方

ブレードを抜き差しする

背面の金具を引き起こしながらシャフトを抜きます。逆に、シャフトを差し込むときは金具をさわらなくても押し込むだけでバチッと嵌ります。

グリップを抜く

U字金具を起こす

心棒を引き出してグリップを抜く

心棒はシャフトの内側に突起があり、完全には抜けないようになっています。

アックスモードに差し替える

アックスのヘッドを挿入する

金具の心棒を挿入する

心棒の先端が1mmほど飛び出さないといけないのですが、穴の位置が微妙にずれていて引っかかります。加工精度が低いのかと思いましたが、しばらく弄り回しているうちに正しいやり方がわかりました。

U字金具をシャフト側に倒していく

U字金具をシャフト側に倒していくと、テコの力で心棒の先端が穴に入り込みます。

心棒の頭が飛び出す

心棒の頭が1mmほど飛び出せばOKです。

ラバーを引き上げてU字金具を隠す

ラバーを引き上げてU字金具を隠せば完了です。

取扱説明書

表紙

「SHAXE」という商品名は、「SHOVEL」と「ICE AXE」を合体させた造語だとわかります。

サイズと重量

左ページの重量の表記は「SHAXE SPEED」と「SHAXE TECH」(本品=436g)が逆になっているようです。

組み立て方

組み立て方が図解されています。

強度

右ページには「捩じるような力をかけてはいけない」旨が図示されています。「やはり組み立て式だとかなり強度が劣るのか」と思いきや、この注意事項はアックス全般にあてはまます。

研ぎ方

ピック下面のギザギザよりも手前までしか研いではいけない旨が図示されています。グラインダーで研ぐと熱で変性しやすいので避けてください。

別製品の「SHAXE SPEED」のアックスはアルミ製なので研いではいけません。

応用例

テントを固定するためのアンカー

雪山テント泊において、張り綱ガイラインをがっちり雪面に固定する強力なアンカーとして利用できます。別途、様々なペグ、アンカーを携行するとして、風上側の要所にこれを埋めれば安心感は絶大です。

救助用ソリを作る

ブレードとシャフトを利用して、スキー板(先端と尾に穴のある)を連結した救助用ソリ(rescue sled)を作ることができます。

ブレードで連結

公式YouTube動画より引用

シャフトで連結

公式YouTube動画より引用

このシャフトは別製品の「SHAXE SPEED」のものです。本製品のシャフトはこうした使い方を想定していないようです。

使用例

バックパックに全部収納できた

ショベルやアックスを組み立てた状態だと、かなり大きなバックパックでないと内部に収納するのは困難です。しかし、各部品をバラバラにすると、あら不思議、ちょっとした隙間を利用して簡単に収納できました。外付けしたのはトレッキングポールとワカンだけです。

何と言っても、アックスをヘッド部分だけにしたときのコンパクトさが際立っています。あまりにコンパクト過ぎて行方不明にならないか心配。アックスと同じタイミングで利用することが多いアイゼン(クランポン)ケースに格納することにしました。ついでにグリップも。

いちばん面積が大きいショベルのブレードは、バックパック正面側(奥側)に銀シートではさむようにして格納しました。バックパックにモノが詰まっている状態でもスルリと出し入れできます。バックパックの重心を背中に近づけるためには背面側(手前側)に入れたほうが良いかもしれません。

長物はバックパック背面側の隅に挿入するのがセオリー。私はいつもテントのフレームを右側に差します。シャフトを左側に差して、左右の重量バランスが均衡するようにしました。

他製品との比較

BCA「SHAXE SPEED AVALANCHE SHOVEL」

本製品の姉妹モデル。より軽量化したい人はこちらを選ぶことになります。アックスがアルミニウム製なので強度は劣るものの、稜線歩き主体の雪山なら十分に通用します。

以下の比較表をご参考に選択してください。

SHAXE TECK SHAXE SPEED
ショベルモードでの重量 1.5ポンド/ 706 g 1.4ポンド/ 654 g
アックスモードでの重量 1.0ポンド/ 436 g 0.6ポンド / 290 g
総重量(付属品を除く) 2.0ポンド/ 902 g 1.7 ポンド/ 756 g
ピックの素材 420ステンレス鋼 7075 T6 アルミニウム
ブレードの寸法 9.4 x11.2インチ/ 24 x 28.5 cm 9.4 x 11.2インチ/ 24 x 28.5 cm
シャフトの素材 6061T6アルミニウム 6061T6アルミニウム
ショベルモードの長さ 27インチ/ 68cm 27.5インチ/ 70 cm
アックスモードの長さ 20インチ/ 51cm 20インチ/ 51 cm

エキスパート オブ ジャパン「レッドバット」

手持ちのアックスを活かして、ショベルのブレード部分だけ欲しいなら、これ一択。

Kuri AdventuresさんはCAMPのアックス「コルサナノテク」とこの製品を組み合わせて軽量化しているそうです。

まとめ(総評)

雪山単独行が多い自分にとって、ショベルを携行するかどうかは悩みどころ。テント床の雪面をならなすだけなら、アックス(ピッケル)のブレードで掻きならしたり、ツボ足でせっせと踏み固めればなんとかなります。が、ショベルとアックスのシャフト(実測重量237g)を共有して軽量化できるなら、積極的に持って行こうという気になります。

強力な武器を手に入れたので、久しぶりに雪洞を掘ってみたくなりました。

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