ライズパック(RAIZ PACK)は、アライテント社が製造販売する超軽量バックパックです。
メイン素材として、同社のテント「エアライズ」シリーズのフライシートに使われている30dnリップストップナイロンを採用。
中厚手Tシャツ1枚程度の軽量コンパクトさながら、雪山登山に対応するピッケルホルダーを備え、バンジーコードやストラップを後付け可能なユーティリティループを随所に配しています。
容量と重量は、Sモデルが20ℓで190g、Lモデルが28ℓで210g。Sモデルはピッケルホルダーが1つ、Lモデルは2つ。重量差はわずか20gですので、私は迷うことなくLモデル(オレンジ色)を購入しました。
アライテント社のホームページやカタログでは素っ気なく紹介されているライズパックについて、詳細な写真をお届けします。また、私が試みたカスタマイズ方法を紹介します。
ライズパック、開封の儀
取扱説明書、価格タグ
素材は「30D リップストップナイロン」と記載されていますが、背中側や底の黒い部分には強度が高い210dnナイロンを使用しています。
折りたたまれた外観
大きな弁当箱のような形状です。
重量は実測で203.5gでした。
本体を引き出す
ファスナーを開けて、中身を引き出します。奥に製品ブランド名のタグ「RIPEN」が見えます。
入っていた袋を裏返すと、バックパックの雨蓋に変身します。
本体の各部
正面
衣類を詰め込むと、しっかり自立しました。
背面
背中側はこんな感じ。登攀時に横振れを防止するウエストベルトを備えています。
ショルダーベルトは身体に立体的にフィットするよう緩やかなS字に裁断されています。
チェストストラップはありません。三段のラダーテープ部分に後付け可能です。(後述)
ショルダーベルトは、身体に食い込まない十分な厚みをもち、かつコンパクトに折りたたみやすい、絶妙な厚さのパッドが縫い込まれています。
雨蓋ポケット
雨蓋ポケットのサイズは、縦18cm×横20cm×厚さ5cmくらい。山と高原地図の外箱(長辺:約19.5cm)が縦でも横でも入ります。
1本締めストラップ&バックル
雨蓋をシンプルな1本締めストラップ&バックルで留めるデザインです。
左右の補強テープ上部にはラダーストラップが縫い付けられています。
アライテントのホームページやカタログでは何故か、ラダーストラップがオードリー春日の前髪のようにぴっちり横一文字に固定して撮影されており、何がどうなっているのかわかりにくいです。💦
武骨なバックル
もっとも正統的で、肉抜きされていない武骨な「サイドリリースバックル」が採用されています。
巾着式の出し入れ口
本体の出し入れ口は素朴な巾着式です。
背中側のインナーポケット
「ウレタンやハイドレーションパックも入れられる」と謳われています。薄手の銀マットを折りたたんで収納してみました。大雑把にたたんだツェルトやレインウェアを収納して背当てにしても良さそうです。
ハイドレーション用のチューブを引き出す穴はありません。トレイルランニング用途なら、専用のバックパックを利用するほうが得策です。
ピッケルホルダー
2本のピッケルを外付け可能です。
もちろんトレッキングポールだって付けられます。
- 下部のループに上からスパイク(=スピッツェ、石突き)を挿しこみます。
- 引っくり返します。
- シャフトをラダーストラップで留めます。
ワンドポケット
ワンドポケット(サイドポケット)は浅いです。水筒を差すと、たちまち脱落します。
指を奥まで差し込むと、ボトムの黒い生地部分までつながっており、見た目より深いです。が、なにぶん湾曲しているため、収納できるモノは限られます。背中側の隅に水抜き穴があります。
ライズパックのカスタマイズ
左右に4箇所ずつ付いているユーティリティループを利用すれば、色々なカスタマイズが可能です。
サイドストラップを後付けする
ラダーストラップを装着すれば、トレッキングポール等を外付けできます。このときワンドポケットが役に立ちます。
バンジーコードを後付けする
ユーティリティループを正面側で利用することもできます。
衣類をはさむ
バンジーコードを装着すれば、登高中にジャケット類をはさんでおき、休憩時に素早く羽織ることができます。
ワカンジキをはさむ
嵩張るワカンジキ等を外付けできます。多少重いモノでも、雨蓋の1本締めストラップで押さえ、下部の三角形の生地で支えれば安定します。左右のピッケルホルダーと併用できます。
チェストストラップを後付けする
ショルダーベルトに縫い付けられた三段ラダーテープに装着可能です。
ライズパックのまとめ(総合評価)
「ライズ1」の愛用者として、「ライズ」ブランド?の一角を担う「ライズパック」は気になる存在でした。
ベースキャンプから山頂を往復するアタックザックとして、普段はメインの大型バックパックのストラップを締め込んでスリム化し、背負っています。
背中の厚いパッドやフレームは軽量化から程遠く、だらりと垂れた雨蓋は見栄えが悪いものの、万が一のとき(転倒・転落時など)に首から背中、腰にかけた重要な骨格を保護してくれます。緊急ビバーク時にはマットレス代わりに地面に敷いたり、足を突っ込んで保温したりと役に立ちます。
しかし、きわどい登攀では荷物を極力スリム化することで、重心のブレを抑え、手足の動きを最大限に自由にしたくなるもの。墜ちたときの保護よりも、そもそも墜ちないことが重要です。そんなとき、徹底的に余剰を削ぎ落した「ライズパック」のようなバックパックが本領を発揮します。
また、どうしてもメインのバックパックをデポして、軽い荷物でどこかを往復したくなる場合があります。
- 八ヶ岳全山縦走中に、主稜線をはずれた阿弥陀岳や東天狗岳の山頂を踏んでくる。
- 雷鳥沢にテント泊したあと、室堂のコインロッカーにメインのバックパックを預けて、龍王岳東尾根を登攀してくる。
- 松本駅のコインロッカーにメインのバックパックを預けて、「菊の湯」でさっぱりしてくる。
そんな用途に、バックパックの片隅にしのばせておいても邪魔にならない最右翼と言えるのが「ライズパック」です。
もちろん、ウルトラライト志向のリュックサックとして使用しても良いでしょう。
実際に登山で使用している良い写真が撮れたら追記します。
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