雪山で水を濾過する技術

雪山の稜線をテント泊縦走するとき大量の水を担いでいくわけにはいきません。雪を溶かして水を作ります。雪には土や砂、木っ端が混入している場合があります。それらの不純物をある程度濾過するための漏斗(じょうご、ろうと、ファンネル=funnel)およびフィルターを紹介します。

雪を溶かすためのバーナーとして、もっともおすすめしたいのはクッカーとバーナーが一体化して熱効率が良い「ジェットボイル」です。

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雪を溶かした水を溜めるボトルとして、もっともおすすめしたいのは軽量コンパクトなソフトボトル「プラティパス」です。

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ただし、ジェットボイルは細い水を注ぐのが苦手です。ドリップコーヒーに湯を垂らすときなど、ドボドボと降りそそぎます。細くしようとすると、勢いが足りなくてクッカーの表面をつたってこぼれがちです。

プラティパスにも注ぎにくい。そこで漏斗を使うわけですが、プラティパスの口にぴったりはまらないと、安定させるのに苦労します。なにせプラティパスは自立しないので片手で支える必要があり、もう片方の手はジェットボイルでふさがっています。プラティパスを支える側の手で漏斗のぐらつきを抑えなくてはなりません。(↓)

でも、ご安心ください。プラティパスの口にシンデレラフィットするウルトラライトな漏斗、ここにあります。(↓)

エナジーゼリーのパックを再利用した漏斗です。ハサミでパックの底を切るだけで工作が完了します。

筆者はひと手間加えて、切り口を折り返し、注ぎ口を丸く広く整えるようにしています。

切りっぱなしだと、折り目どおりにすぼまって、注ぎ口が狭くペシャンコなるんですよ。(↓)

エナジーゼリーの口は細いですが、根元の八角形が幅広くなっており、そこがプラティパスの口にぴったり嵌まります。(↓)

ひとくちに「エナジーゼリー」といっても、様々な商品があります。が、この口の形状は統一されているらしく、どれを再利用しても適合するはずです。

このウルトラライトな漏斗は一応ペットボトルにも適合します。

プラティパスとペットボトルのキャップはほぼ互換ですが、口の内径はペットボトルのほうが微妙に小さいです。即席の漏斗をまっすぐ挿しても入りません。

漏斗の口を斜めに挿して、ネジりながら押し込むと入ります。(↓)

この写真、実際にはペットボトルではなく、エバニューのウォーターキャリーです。

エバニューのウォーターキャリーの口はまさしくペットボトル互換だと言えます。ペットボトルのキャップがまったく違和感なく嵌まりますし、プラティパスより内径が小さい点も同じです。

古い登山愛好家にとっては、いわゆる「ポリタン」時代に見慣れた「刻み目付きのオレンジ色のキャップ」が懐かしいはず。

キャップを開閉しやすく、キャップを紛失する心配がなく、耐熱温度はプラティパスと同じ90℃であり、価格は安いと来たもんだ。こちらを選択しない理由がないくらいです。(湯タンポとして利用する場合には、うっかりキャップが回りにくいプラティパスのほうが安心かも……)

おっと、話が脱線しました。

この記事のタイトルは「雪山で水を濾過する技術」でした。

お茶パックをフィルターとして漏斗に重ねましょう。こちらもフチを折り返して、丸く広くととのえます。(↓)

お茶パックといっても商品によってサイズにバラツキがあります。適合することを確認済みの商品(写真のモノ)はコットンラボの「お茶っぱポン 60枚入」です。

重量は漏斗が約4.5g、フィルター1枚が約0.5gです。(このキッチンスケールの最小単位は0.5g)

目に見える土や砂、木っ端を濾過するだけなら、最軽量のシステムだと言えるでしょう。

ただし雪を溶かしただけの水をそのまま飲むとマズいのでご注意ください。

ある年の春山で、ポリ袋に入れた雪をテント内に放置し、山頂を往復してきたら、労せずして2㍑ほどの雪解け水を得ることができました。喉が渇いていたので、ゴクゴク飲んだところ、実にエグい味がしたものです。

お茶パックで目に見えないサイズの不純物を濾過するのは無理です。本格的な濾過には、アウトドア用浄水器をご検討ください。

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