ミレーの「ブリーズバリヤートイアルファダイレクトジャケット」は既存のミドルレイヤーを駆逐します。
2022年秋に登場。前年モデルの「ブリーザー トイ アルファ ダイレクト フーディー」の撥水性を強化して、よりアウターとして着回しやすいアクティブインサレーションに生まれ変わりました。
アクティブインサレーションは通常、保温素材を表生地と裏生地のあいだに封入しますが、この製品には裏生地がなく、保温素材「ポーラテック アルファ ダイレクト」が露出しています。
裏地がないから暖気をダイレクトに溜め込み、裏地がないから蒸れをダイレクトに放出する。
私が所有する他のアクティブインサレーションと比較すると、「暖かくて蒸れにくい」という矛盾の度合いが頭ひとつ抜きん出ていると感じます。
2023年秋冬シーズン、「ポーラテック アルファ ダイレクト」を独自素材「スルーウォーム®」で置き換え、やや保温性重視(354g→392g)に仕様変更しました。商品名から「アルファ ダイレクト」が消えています。
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」の主な特徴
キャッチコピー
商品タグには以下のようなキャッチコピーが記載されています。
保温・撥水・防水・通気性を備えた軽量アクティブインシュレーションフーディ
- 通気性と極めて高い撥水性能を備えた独自素材「ブリーズバリヤー™」を採用。
- 通気・ストレッチ・速乾性に優れるポーラテック® アルファ® ダイレクトを採用。
- 高めに配置されたハンドウォーマーポケットとチェストポケット。
- ダブルスライダーのフロントジッパー
- 季節や天候に合わせて常にドライな重ね着の仕方をカスタマイズできる「インシュレーションペアリング™」に最適。
縫製に撥水糸を使用しているため、通常縫製より縫い目からの雨水の侵入がしづらくなっています。
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」の詳細写真
ポーラテックアルファ ダイレクトが露出している
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」の裏面は毛足の長いフリースのような質感。直接肌の上に羽織っても気持ちが良いです。
両脇ポケットの位置が高めでザックのウェストベルトと干渉しにくい
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」だとまったく邪魔になりません。ザックのウェストベルトを締めたときもポケットにアクセスしやすいです。
胸ポケットの利便性が高い
「山と高原地図」や大ぶりなスマートフォンが余裕で入る大きさです。
フードが大きめで余裕がある
頭のまわりには裏生地があります。個人的にはここも中綿が露出しているほうが嬉しい。顔周りを調整するドローコードの類はありません。
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」ならジャストフィットします。
「バラクラバ型」とされていますが、「目だけ出す」ほど覆うことはできません。なんとか口元まで覆うことができます。
ヘルメットの上にフードをかぶると、全体がずり上がり、鼻先まで覆うことができます。フードの伸縮性が高いので、首が詰まる感じはさほどありません。
ダブルジッパーで温度調節しやすく、腰回りのダブつきを抑える
暑いときは真ん中あたりだけ留めれば、前面を大きくはだけることなく、最大限に換気・放熱できます。
クライミング時には下から開けば、ウェアの裾とビレイループが干渉しにくくなります。
サムホールで手首や手の甲を保温できる
手首の外周を調節するベルクロの類はありません。ゴムの伸縮性で手首にフィットします。
もし手袋を忘れても、サムホールを利用すれば手首や手の甲を保温できます。もちろん手袋の上からかぶせて保温力を増強しても良い。
サイズ感は欧米表記と日本表記を併用
欧米サイズの表記となっているので注意してください。
私は日本サイズでLを着ることが多いです。MとLを着くらべました。
サイズ | 着心地 |
---|---|
欧米サイズのM | ややタイトに感じました。私は肩幅広めで腕が長めなのです。 |
欧米サイズのL | しっくりきました。薄手のウェアを内側に一枚増やせそうなくらい余裕があります。 |
結局、欧米サイズのLを購入しました。
洗濯はやさしく
洗濯表示に従うと、以下のように取り扱う必要があります。
- 液温は30 ℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い処理が出来る
- 塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止
- タンブル乾燥禁止
- 日陰のつり干しがよい
- アイロン仕上げ禁止
- ドライクリーニング禁止
- 非常に弱い操作のウエットクリーニングができる
試着を手伝ってくれた店員さんは「洗濯するときはファスナーを全部閉めて…」といったアドバイスをくれました。手荒に扱って剥き出しの起毛が抜けないように注意が必要です。
失敗例
ファスナーを閉めて、洗濯ネットに入れて、粉タイプの洗剤とともに洗濯機に投入し、「ウール洗い」モードで洗ってみました。すると、溶け切らない洗剤のダマが内側に残りました。
成功例
ファスナーを閉めずに、洗濯ネットに入れて、液体タイプの洗剤で「ウール洗い」することにしました。特に毛抜けも見受けられず、問題なさそうです。
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクト ジャケット」まとめ
「ブリーズバリヤー トイ アルファ ダイレクトジャケット」はアクティブインサレーションのなかで特殊な位置を占めています。
素肌に直接羽織って気持ちが良い「フリース」でもあり、ポケットが豊富で防雪・防風・撥水性能を備えた「ソフトシェル」でもあります。
穏やかな雪稜ではアウターとして。
厳寒時にはミドルレイヤーとして。
もちろん夏には濡れに強い保温着として。
つまり一年中活躍します。
実に汎用性が高く、私は登山に普通の「フリース」を携行しなくなりました。タイトルで「既存のミドルレイヤーを駆逐する」とした所以です。ミドルレイヤーの傑作として、自信をもっておすすめします。
「PEAKS(ピークス)2024年1月号」(80頁)に詳細記事あり。
「アクティブインサレーション」を初めて買う人はこちらの記事もご参照ください。
コメント
レビューありがとうございます。
ライトシェルパーカーもブリーズバリヤートイアルファフーディも魅力的です。
保温性はこの二つでは大きく違いますか?冬の夜のウォーキングや、中国地方の簡単な雪山などで使いたいなと思っています。この記事を読むまではブリーズバリヤートイアルファフーディでは暑いかなと思っていたのですが、この記事を読んだらライトシェルパーカーより魅力的で迷います。
ナハ さん、コメントありがとうございます。
ブリーズ…のほうがややボリュームがあって暖かく、かつ通気性が高い印象です。個人的には、両脇ポケットが高い位置にあり、フードが大きめで口元が深い点がライトシェルパーカより気に入っています。機能面ではブリーズ…押しですが、なにしろライトシェルパーカはお値段が3分の1くらいなので悩ましいですね。
ブリーズ…はおそらく年内に2万2~3千円くらいに値下がりする(昨年のブリーザー トイ…はそうでした)ので、もう少し待つのも手かと思います。
ありがとうございます。アマゾンのアウトレットで約半額になっていたので購入しました!
半額!😮