Foxfireの「PPウールハーフジップ」ならドライレイヤーが要りません。
21世紀になってfinetrackが提唱したドライレイヤーは、すっかり登山・アウトドア業界に定着し、ベースレイヤーの下に薄手メッシュを着こむ人が増えました。
実は、ドライレイヤーの発想は昔から存在しました。ときどき意欲的なメーカーが「ウールやポリエステル製のウェア」の裏地にポリプロピレン製のメッシュを貼った商品を発売してきました。
ポリプロピレンは繊維の公定水分率がゼロ。疎水性はfinetrackのドライレイヤーほど高くないかもしれませんが、表生地と完璧に密着しているので、弾いた水分は速やかに表生地に移動して拡散します。重ね着によるゴロつき感がありません。
2024年現在、登山・アウトドア用品店で手に入りやすく、デザインが優れた商品の一つがFoxfireの「PPウールハーフジップ」です。商品名の「PP」がポリプロピレンを意味します。
FoxfireのPPウールハーフジップの写真
全体像
キャッチフレーズ
肌面には、断熱性に優れ、疎水性を持つポリプロピレン、表面にはモイスチャーコントロール機能により気化熱を調整するウールを採用したジップアップ。身体を暖かくドライに保ち、急激に体温が奪われるのを防ぎます。オーストラリア産18.5ミクロンの超極細メリノウールは天然の抗菌消臭効果も兼備。放電テープを縫いこんだ帯電防止仕様。
諸元
素材 | ポリエステル55%・毛30%・ポリプロピレン15% |
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重量 | 250g |
カラー | グレー/レッド |
サイズ | S ・M ・L ・XL |
襟
日本製のカットソーは襟が低いことが多いですが、この商品は襟が高めなので寒い時季にはほっこりします。
胸ポケット
胸ポケットに大ぶりなスマートフォン(6.4インチ程度)を余裕で収納できました。
裏地
裏地は黒色。これがポリプロピレンのメッシュです。表地の赤や向こう側の光が透けて見えます。
素材タグと洗濯タグ
毛30%となかなかの比率。しかもメリノウールらしい。私はウールのチクチクが苦手ですが、肌面がポリプロピレンで覆われているおかげで、まったく気になりません。
FoxfireのPPウールハーフジップのサイズ感、使用感
サイズ感
サイズ感はごく標準的な日本サイズ。ただし、身頃(胴回り)はゆったり目なので、ベースレイヤーとしてはもう少しスリムにしてほしいところです。
Lサイズの重量は実測で212g。カタログ値の250g(サイズ不明)より軽いです。
私が買ったのは2016年11月。その後マイナーチェンジされているかもしれません。
高尾山でのレイヤリング
冬場の高尾山で出番が多いです。トレーニングとして速足で登るので、行動中の上半身はFoxfireのPPウールハーフジップだけ。山頂で急激な汗冷えに見舞われます。アクテイブインサレーションを羽織って、汗を吸い上げ、蒸散させます。山頂に長居する場合は、さらにダウンジャケットを羽織ります。
下り道ではあまり汗をかかないので、PPウールハーフジップとアクテイブインサレーションで歩きます。
雪山でのレイヤリング
雪山の樹林帯ではまだ標高が低く風の影響を受けにくいため、シェルを着こむとオーバーヒートしがち。そんなときはベースレイヤーだけになりたい。すると上着のポケットを利用できず、スマホのやり場に困ります。薄手のベースレイヤーに本製品を重ね着すれば、見栄えも良く、スマホを胸ポケットに収納できます。
※ レディースモデルは胸ポケットを備えていません。
まとめ
裏地にポリプロピレン製のメッシュを貼った商品には隠れた流行でもあるのか、ときおり盛り上がっては廃れていきます。2015年頃にはマーモット、2018~2019年頃にはミレーから似た商品が登場したものの、数年で消えました。
Foxfireの「PPウールハーフジップ」は2015年頃から継続しています。定番商品として末永く販売してほしいものです。
肌面のポリプロピレンをポリエステルに変更した新製品にも注目です。
コメント
はじめまして。
30年も前の話ですが、PPとウールのブレンドセーターが発火して、販売禁止になったことがあるんですよ。
日本でも行政指導があり売る事ができなくなりました。
天野康弘 様、コメントありがとうございます。
ポリプロピレンは融解点が低いのでタンブラー乾燥は禁止だとか。行政指導が出るほどのことがあったとは知りませんでした。
現在、ポリプロピレンとウールを混紡したウェアって、けっこうありますよね。