雪山で手袋をした手でテントのポールエンドをアイレットに嵌めるのは大変です。素手ならフリクションがあるので力を入れやすいのですが、手袋をしていると滑って力が入りません。おまけに低温下ではテントの生地が伸びにくいため、アイレットに嵌めこむだけの余裕がない。コメカミに青筋を立てようが、鬼顔になろうが、嵌まらないったら嵌まらない。業を煮やして素手になって凍えながら作業したことが何度もあります。
それに懲りた私はテントポールを「末端処理」しました。
材料:自己融着ブチルゴムテープ
このテープをピッケルやアイスアックスの握る部分に巻き付ける人が多いようです。
私は「全身ゴム」の銘品ラプラード・デメゾンを使用しているので今のところピッケルでは未使用です。
施工手順
ひと握り分くらいの位置を太巻きにする
特に難しいテクニックはなく、適当に巻いていくだけです。ひと握り分くらいの位置を太巻きにすると、テント設営時にポールスリーブに押し込みやすいです。
未使用時にブチルゴム同士がくっつかないようにテープの表面に薄い皮膜をつくってある製品の場合、使用時に引き延ばすと皮膜が破れてブチルゴムが表面に出てきます。(参照:Nitto社の「自己融着テープ(1)」ページ)
ガムテープでカバーすると滑るので逆効果
ブチルゴムで末端処理してポールを折りたたむと、ブチルゴムとポールの途中が癒着することがあります。簡単に剥がせるのですが、ちょっと気になります。ガムテープを上から貼ってみたら、ツルツル滑るのでゴムを巻いた意味がなくなりました。あまり気にしないことにして、ブチルゴムだけ巻くことにしました。
収納時にゴム同士がくっつかない位置に調節する
ポール袋に収納すると、ゴム同士がくっつきがちです。
ゴアライトの場合、ポールエンドのフレームが長い側と、短い側とに貼り分けることが可能でした。もちろん同じ側に貼って、収納時に逆の位置にして揃えるという方法でもかまいません。
最後に、デメリットについて触れておきます。貼り直そうと思って剥がしてみたら、ポールのコーティングがまだらに剥がれました。いきなり新品のテントで試すのはおすすめしません。古いテントでもあればそちらで試しましょう。
テントポールを末端処理した既製品がある
モンベルの登山用テントのポールは「滑り止めグリップ」を備えています。こうした細かい気配りはさすがですね。
ポール末端の工夫ではありませんが、アライテントのエアライズにはアイレットが2つ付いており、冬期にテント生地が伸びにくい場合には外側に嵌めることができます。
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