登山ロングスパッツおすすめ~素早く装着する方法

登山ロングスパッツおすすめ~素早く装着する方法

石井スポーツオリジナルのロングスパッツ

1992年頃に購入した石井スポーツオリジナルのロングスパッツ

雪山復帰、第二戦の前夜、ザックに装備を詰めているとき、ロングスパッツの片方の底バンドがないことに気づきました。前回、下山したときには確かに付いていました。歩行中に脱落したのなら、外すときに気が付いたはずです。たぶんザックにしまう途中で地面に落としたのでしょう。もう登山用品店は閉店しています。さいわい底バンドがなくても、スパッツの上から二本締めのアイゼンバンドを付ければ、あまりめくれあがらずにすみます。第二戦はそれでしのぎました。

このロングスパッツはICI石井スポーツのオリジナル製品で、底バンドは独特の平たいゴムです。このゴム、樹脂製のカバーなど付いておらず、正真正銘のゴム。地面に何千回何万回と接触したら、簡単に切れてしまいそうだな、と思いながら、一箇所、大きな裂け目ができてからも長いこと持ちこたえていました。今回紛失したのは裂け目のない方です。スパッツ本体のフックから外れて脱落した模様です。

交換用の底バンドを買ってきてもいいのですが、この際買い替えますか。どうせなら着脱しやすい製品がいい。

素早く装着する方法

従来型の装着方法

インターネットで「ロングスパッツ 装着方法」を検索すると、いろいろ紹介されていますが、ほぼ次の手順です。

(1) フロントのベルクロを締める。
(2) 底バンドを土踏まずから外側に回して、外側で留める。
(3) 甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける。

私もサイドファスナー式でそうしていました。このうち(2)が曲者です。重厚な登山靴を履いていると、その分靴底までの距離があり、手が届きにくい。雪山ウェアで着ぶくれていると、スパッツの外側が死角になりやすい。この不自然に体をねじる苦行は何とかならないものでしょうか。

言うまでもありませんが、底バンドを内側で留めようと、左右逆に履いてはいけません。内側にゴチャゴチャと出っ張ったモノがあると、歩行中にアイゼンで引っ掛ける危険が高まります。

「底バンド事前固定法」

「バックカントリー穂高」さんはyoutube「【商品紹介】 part1 ノースフェイス アルパイン ロングスパッツ BC穂高」でフロントベルクロ式を推奨されています。ノースフェースの「アルパインGTXロングゲイター」という製品のようです。

注目すべきは装着方法です。

(1) 事前に底バンドのバックルを留めておく。

(2) 登山靴を踵から差し込んで、土踏まずに底バンドを嵌め込む。

土踏まずに底バンドを嵌め込む

(3) フロントのベルクロやファスナーを閉める。

フロントのベルクロやファスナーを閉める

(4) 甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける。

甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける

なるほど!! 毎回バンドを締める手間がいりません。一度バックルの位置を決めたら固定したままでよい。

ライトロングスパッツを買ってわかったこと

Berghaus LIGHT GAITER GTX

予習おさおさ怠りなく、好日山荘に出かけました。5000千円以上購入で500円割引のクーポン券を持っていたので店選びは一択でした。そこで魔がさして貧乏性を発症しました。5000円をちょいと超えた金額で、分野的にはライトロングスパッツと呼ばれるグレードの製品に目が止まりました。メーカーはberghausです。

「生地は薄いけど、むしろ軽量化できていいんじゃないの? 内側のアイゼンガードはないに等しいけど、もし爪をひっかけたら、あっさり裂けてくれたほうが転倒せずにすむ」とこじつけました。

買い物ではしばしばあることですが、身銭を切ってに自宅に持ち帰り、いじり倒してみると、しっくりこなかったりするものです。新しい家具が部屋の雰囲気に合わなかったり、ショールームで見た印象とはちがってひどく場所ふさぎだったり。

ベルクロ部が細くて粘着力が今一つ

ガシガシとラッセルすると剥がれそう。こりゃハイキング用だな、というのが実感。一回も登板しないうちから、二軍落ちが確定した雰囲気です。

底バンドの末端の形状が気に入らない。

何故フックに対して非対称で片側だけ掛けるのだろう。同じ形状の底バンドを採用している製品は多いのですが、機能美の観点から疑問をぬぐえません。(これはイチャモンに近い)

ベルクロ方式のデメリット

これも製品特有の欠点とはちがいますが、脛から甲にかけての曲線に逆らわずにベルクロをきちんと貼り合わせるのが難しいと感じました。斜めにくっつきやすかったり、片側がたわんでくっついたり。隙間があると雪が侵入するので、チマチマと修正しなくてはなりません。これってかえって煩わしいのでは……。

昔ながらのサイドファスナー式に応用できないか試した

新品(二軍落ち)のロングスパッツで着脱を試すうちに気づきました。
「あれ? この底バンド事前固定法って、昔ながらのサイドファスナー式でもできるんじゃないの?」
ICI石井スポーツで交換用ゴムを買ってきました。

(1) 底バンドをフックにかけてかしめる(事前作業)
(2) 登山靴を爪先から差し込んで、土踏まずに底バンドを嵌め込む
(3) サイドファスナーを引き上げる
(4) 甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける。

惜しいかな、(3)がやりにくい。底バンドが固定されているので、「ロングスパッツを膝のほうにズリ上げて、近くでファスナーを締めてから、ズリ下げる」という技が使えません。靴の外側でファスナーを噛み合わせるには両手を使う必要があります。反対側の手を靴の外側までまわすため、かなり体をねじらなくてはなりません。これは片手で底バンドのフックをかけるよりも体勢が苦しいです。

じゃあ、こんなやり方はどうだ。

(1) ロングスパッツをふくらはぎに巻いて、底バンドをふくらはぎの後ろで留める
(2) ファスナーを締める
(3) ロングスパッツをズリ下げ、底バンドを引っ張ってずらし、土踏まずに嵌め込む
(4) 甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける。

これも残念、底バンドをずらすのにかなりの力を要します。ゴムを強引に伸ばすので、すぐに切れそうです。

ファスナー方式の根本的な欠陥

ここまで試行錯誤して気づきました。ファスナーを下(手から遠い場所)で噛み合わせて引き上げようとするから難しいのであって、上で噛み合わせて引き下げればいいのではないか。
そんなけったいな製品あるわけないよな。と思ったらありました。

意欲的な製品、イスカの「ゴアテックス ロングゲイター」

イスカの「ゴアテックス ロングゲイター」のフロントファスナーはダブルファスナーなので、下で留めて引き上げることも、上で留めて引き下げることもできます。最初の噛み合わせさえクリアすれば、ベルクロ式よりも素早く正確に締めることができます。

店舗で実物を見たところ、ファスナーが細く、プルタブも小さいので、手袋をした手では扱いづらい印象を受けました。個人的には、ダフルファスナーだと最初の噛み合わせがゴチャゴチャしてやりにくいので、引き下げ専用にしてもらいたいくらいです。

引き下げ専用の製品「World Way」

WORLD WAYの「ゴアテックス ミドルスパッツ」のファスナーは引き下げ専用です。「ゴアテックス ライトスパッツneo」にいたっては底バンドが固定式でフックにかける手間がかからないという念の入れよう。

ICI石井スポーツで見かけました。重量160g前後というスペックからわかるように、ガシガシとラッセルするには物足りない印象です。

2019年1月現在、リンク切れとなっています。

マイベスト、モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」

モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」

あまり奇をてらわず正統派の製品を選択することに決めました。ごく普通のフロントファスナー(もちろん下で噛み合わせて引き上げる)であれば十分に素早く装着できるはずです。

最終的にモンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」に行き着きました。フラップのベルクロは粘着力が強すぎず弱すぎず、万が一ファスナーが壊れた場合には、ベルクロだけでしのぐこともできそうです。購入する段になって初めて気づいたのですが、なんとダブルファスナーです。

ダブルジッパー

下で噛み合せて引き上げたあと、下側だけ開放することができます。取扱説明書(PDF)には従来型の装着方法が記載されていますが、もちろん私は新式の装着方法を採用します。

見逃しがちな細かいチェックポイント

靴紐に引っ掛ける甲部のフックにプルタブがあるか

甲部のフック

すべての製品と装着方法で共通しているのが、最後に甲部のフックを靴紐に引っ掛ける手順です。理想形は、指でつまむプルタブ用の生地が出っ張っており、少し内側にフックが付いていることです。プルタブがないと、フックを直接指でつまむ恰好になり、靴紐にねじこむ際に自分の指が邪魔になります。

モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」は明瞭なプルタブがあるので手袋をした手でも扱いやすいです。

ファスナー(ベルクロ)末端の固定方法はホックかバックルか

ホック式は慣れれば片手で留めることができます。バックル式は両手で留める必要があります。バックル式は固定力と耐久性が高いですが、そこまでのスペックが必要なのか、重量との兼ね合いを考慮したいところです。ベルクロ式の場合、簡便さがウリですから、ベルクロの末端をバンド状あるいは三角形に張り出して粘着する面積を広くすればいい気がします。

モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」はホックで留める方式です。

ふくらはぎの締め加減を調節する方法は平ゴムかショックコードか

やや硬めの平ゴムをコンパクトなバックルで調整する方式

ロングスパッツ選びでいちばん見逃しやすいのはこの点かもしれません。ふくらはぎの締め付けが強すぎると不快で、脚を動かしにくい。弱すぎると雪が侵入しやすくなります。

大別すると、平ゴムの伸縮性にまかせる方式か、ショックコードとコードロックで調節する方式か、平ゴムに調節機構を付けたハイブリッド方式かの三択です。それぞれメリットとデメリットがあります。

平ゴムの伸縮性にまかせる方式

メリット = フィット感がいい
デメリット = 経年劣化して弛んだら、調整の余地がない

冒頭で紹介した古いICI石井スポーツオリジナルは、ゴムの伸縮性にまかせる方式ですが、二十年たっても特段劣化は感じられず、平たいゴムのフィット感は申し分ありません。

ショックコードとコードロックで調節する方式

メリット = 足の太さに最適のフィット感に調整できる
デメリット = フィット感は今一つ

バーグハウス製はショックコードとコードロックで調節する方式ですが、細くて丸いショックコードがふくらはぎに食い込む感触が若干気になります。この方式は多くの製品で採用されています。

平ゴムに調節機構を付けたハイブリッド方式

メリット = 足の太さに最適のフィット感に調整できる
デメリット = フィット感はまずまず

ノースフェースの「アルパインGTXロングゲイター」はバックル式で、ベルクロの末端処理を兼ねています。外周の一部が伸縮性のギャザーになっており、フィット感はまずまずですが、こんなゴツいバックルを付ける必要があるのか疑問です。

モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」はやや硬めの平ゴムをコンパクトなバックルで調整する方式です。フィット感は平ゴムに近く快適です。

もっと素早く装着する方法

ある程度雪山を登りこんだ人にとっては常識だと思いますが、テント泊の翌朝、まさか外に出てから雪の中でロングスパッツを装着したりしていませんか?

ロングスパッツをテント内で靴より先に履く

いちばん面倒くさいファスナーを噛み合せる作業を先に済ませておきます。テント内なら素手で簡単にできます。

(1) 事前に底バンドのバックルを留めておく。

(2) 登山靴を履く前にスパッツを装着し、下側を開放しておく。

登山靴を履く前にスパッツを装着しておく

(3) 登山靴を履く

登山靴を履く

(4) 底バンドを土踏まずにずらし、フロントのファスナーを締め、甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける。

底バンドを土踏まずにずらし、フロントのファスナーを締め、甲部のフックを靴ひもに引っ掛ける

モンベルの「GORE-TEXアルパインスパッツ」のように下側を開放できれば、靴を履きやすいですし、底バントを足踏まずにずらすのも容易です。

さらに言えば、雪山ではテント内で登山靴を履く

雪山では泥汚れもありませんし、テント内で履いてしまいましょう。

凍える朝の出発時、テントの外で履くのはアイゼンだけです。

商品リンク

mont-bell / GORE-TEXアルパインスパッツ

GORE-TEX アルパインスパッツ – mont-bell

THE NORTH FACE / アルパインゲイター

THE NORTH FACE アルパインロングゲイター – GOLDWIN

ISUKA / ゴアテックス ロングゲイター

ゴアテックス ロングゲイタ- – ISUKA

OUTDOOR RESEARCH / クロコダイルゲイター

OUTDOOR RESEARCH メンズ クロコゲイター – A&F

SEA TO SUMMIT / アルパインゲイター

SEA TO SUMMIT アルパイン – LOST ARROW

MAMMUT / ゴアテックス ゲイター

変更履歴

  • 初公開(2017年2月8日)
  • 見出しを整理し、写真を差し替えました。(2019年1月4日)

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