男子たるもの、ときどき火遊びをしたくなります。
アウトドアで使う燃焼器具は、火力の強さや扱いやすさからガスストーブが便利です。そして、その燃焼効率を追求するとジェットボイルに行き着きます。
私はスノーピークの「地」(初期モデル)とジェットボイルSOL-Titaniumを使っています。
しかし、ときどきアナログな「火」と無性にたわむれたくなります。
久しぶりに固形燃料の燃焼器具を手に入れました。
固形燃料の遍歴
なにも今回初めて固形燃料で火遊びしたわけではありません。
円筒の缶に入った固形燃料を予備に携行したことがあります。
スポーツクライミングの岩場にこんなマニアックな燃焼器具を持って行ったことがあります。
はるか昔にさかのぼると、灯油ストーブのプレヒート用に「スイスメタ」(とうの昔に製造中止?)を利用していました。
Amazonで購入
「Esbit(エスビット) クックセット 585ml」と「Esbit(エスビット) 固形燃料スタンダード(4g×20個入) 」をAmazonで購入しました。
クックセットは登山用品店よりもかなり安価でした。
開封の儀
Esbit クックセット 585ml
外箱の正面
外箱の右面、左面
右面と左面は同じ内容でした。
外箱の裏面
各国語で簡単な説明が記載されています。
外箱の蓋の面
外箱の底面
外箱の蓋
取扱説明書(日本語)
輸入販売元の株式会社飯塚カンパニーによる日本語の取扱説明書が同梱されています。
取扱説明書(他国語)
黒いメッシュバッグに収納されている
メッシュバッグから中身を取り出す
さらにプラスチックの袋に入っている
ウインドシールドを取り出す
ポット本体、ポットの蓋、ウインドシールドが個別にプラスチックの袋に入っていました。
585mlポット(側面)
ハードアルマイト加工された鈍い灰色が美しいです。
585mlポット(ハンドルの根元)
ハンドルの開閉は固めです。ついでに言うと、蓋のツマミの開閉も固めです。
585mlポット(注ぎ口)
585mlポット(目盛り)
目盛りは16オンス、400mlあたりまで刻まれています。585mlはすりきり一杯の容量でしょう。
ウインドシールド(側面)
ウインドシールド(上面)
ウインドシールド(底面)
ウインドシールドをポットに収納する
ウインドシールドはポットにすっぽりと収まります。
ポットにカップヌードルのリフィルがぎりぎり入る
ポットにウインドシールドを入れて、さらにカップヌードルのリフィル(+固形燃料)がぎりぎり入ります。
ポットでカップヌードルを食べると、食後のコーヒーのためにお湯を沸かしたとき味が移ってしまうので、専用の容器を別に用意したほうがよいでしょう。
Esbit 固形燃料スタンダード(4g×20個入)
外箱(表面)
外箱(裏面)
固形燃料のタブレット
固形燃料のタブレットには「ESBIT」と刻印されています。独特の匂いがします。無機質な外観ですが、なんだか魚市場にいるような気分になります。
ウインドシールドに固形燃料を置く
ウインドシールドのトレイには4gタブレット2個がぴたりと嵌まります。
必要な個数をチャック付きポリ袋に小分けする
Esbitの固形燃料に揮発性はないですが、吸湿性があり、匂いも強いので、チャック付きポリ袋等に小分けして持ち運ぶほうがよいでしょう。
燃焼実験
夕暮れの高尾山で初回の燃焼実験
夕暮れの高尾山で記念すべき初回の燃焼実験を行いました。実験、と言うよりは本番運用です。
あえてタブレット1個で300gのお湯を沸かしてみました。もちろん沸騰しません。ぬるいコーヒーを淹れて、そそくさと喉に流し込みました。取扱説明書には「14gタブレット1個で400-500ccの水が沸き、食物を温めることが出来ます」と記載されています。
こうした固形燃料は傍から見ておおげさでないところがいい。ガスバーナーをカチャカチャ組み立てるよりも、さりげなくて静かです。火力が弱く、世話が焼けますが、その行為自体を楽しむものでしょう。
雪山でも使える?
加藤文太郎は『単独行』の中で書いています。(正確には、藤木九三が序文で引用した文)
雪の山で小屋場に着いた時など、そして蒔や炭が得られない場合、メタなりアルコールなりを燃やして暖かいものを摂ることの有利なのは解り切っているが、吹雪のはなはだしい夜などチロリチロリと燃える焔を見詰めているだけでもどれだけ気が引き立つか知れない。そして僅かな暖かみを利用して濡れた手袋でも乾かそうと努力することによって、常に生気を取り戻すことができる。
厳冬期の高山でメタ(固形燃料)をメインの火力とするには相当な研究と胆力が必要です。
私はひとまず無雪期の登山やハイキングで、こうしたアナログな燃焼器具をもっと積極的に利用しようと考えています。
一回使用後の煤の付き具合
帰宅後、煤の付き具合を確認しました。たった1回、4gのタブレットを燃やしただけで、ウインドシールドのトレイやポットの底にしっかり煤が付きました。
カップ型の固形燃料も使える
カップ型の固形燃料なら、煤がほぼ発生しませんし、コストパフォーマンスが良いです。メタノール(アルコールの一種)を脂肪酸やアルカリ分などで凝固させた燃料で、固形燃料の扱いやすさとアルコール燃料のクリーンさを兼ね備えています。100均で3~5個に小分けしたパックが販売されています。プラスチックの包装が混じった燃えカスが燃焼台に残りますが、簡単にこそぎ落とすことができます。気になるなら、アルミ箔の土台が付いたモノを選びましょう。
チタン製品との比較
エスビットのクックセットをチタンで作って軽量化してほしくなりました。
重量や使い勝手を手持ちのエバニューのチタンティーポット500と比較してみました。
重量
Esbit クックセット 585ml
クックセットの重量は実測で202gです。
インターネットの販売サイトのいくつかで300gと誤記されているのを見かけました。
525mlポット単体
585mlポット単体の重量は実測で146gです。
ウインドシールド単体
ウインドシールド単体の重量は実測で56gです。
エバニューのチタンティーポット500
エバニューのチタンティーポット500の重量は実測で105gです。約3分の2の重量です。
蓋
Esbitの585mlポットの蓋は横倒しにすると簡単にはずれます。エバニューのチタンティーポット500の蓋は少しきつめで、そっと横倒しにすればはずれません。このあたりは日本製品の匠の技といったところでしょうか。
注ぎ口
Esbitの585mlポットは蓋をはずさないと中身を注げません。エバニューのチタンティーポット500は蓋をしたままで注ぐことができます。
日本と海外の設計思想のちがいをこんなところに見ることができます。
エバニューのチタンティーポットにウインドシールドがぴったり入る
エバニューのポットにウインドシールドがぴったり入ります。ポットをウインドシールドに乗せると、オリジナルのポットのようにカチリと嵌らない(乗せただけ)ですが、安定感は申し分ありません。これで41g軽量化できます。
次なる着想
やはりチタン製は軽いし、日本製品は痒い所に手が届く設計だと感じます。エバニューのアルコールストーブスタンドDXセット(固形燃料も利用可能)が気になり始めました。
できることなら熱効率を高めるためポット側にヒートエクスチェンジャーを搭載してほしい。実際、Esbitにはヒートエクスチェンジャー搭載モデルが存在しますが、ポットの容量が大きすぎるのが残念です。
ここまで思考を進めたとき、ある着想が浮かびました。
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