誰も言わない登山用ザックの問題点と簡単な解決方法

縦走登山の長い一日、たとえば中房温泉から合戦尾根を登り、燕岳を往復して、大天井岳まで歩くとしたら、途中で何回くらいザックの雨蓋を外して、中身にアクセスするでしょうか。

私は10回くらいです。サイドポケットの類がないオーソドックスなザックを使っているので、水筒(ペットボトル)を本体に入れます。そのため休憩のたびにザックの本体にアクセスします。

私が水筒や魔法瓶をザックの本体に入れる理由

ザックの本体に頻繁にアクセスしたくないなら雨蓋に入れれば良いのでしょうが、次のようなデメリットがあります。

  • 雨蓋のなかで重い水筒が暴れて重心がぐらつく。
  • 雪山では水が凍りやすい。あるいは魔法瓶の熱い飲み物が冷めやすい。
  • 魔法瓶を横倒しにすると保温性の低下が懸念される。
    THERMOS社のページには保温効力について「縦置きにした状態」という但し書きがあります。

背中のパネル部付近に「内部へアクセス可能なジッパー」が欲しい

たとえばU字型のダブルファスナーを付ければ、そこに水筒や魔法瓶を縦に収納することができますし、ハイドレーションシステム用のチューブを引き出すこともできます。ザックの背中付近は体温で温まるので凍結を防止するには好都合です。

凍結について、無雪期はあまり気にする必要はありませんが、重いモノをできるだけ背中側上部に格納したい(ザックの重心を背中側に引き寄せるため)という願いは同じでしょう。大休止のときコッフェルやストーブをさっと取り出すことができれば便利です。

背中のパネル側に「内部へアクセス可能なジッパー」がある既製モデル

マムート / トリオン プロ 50+7L

背中のパネルがべろんと開きます。

モンベル / リッジラインパック

2017年にモンベルが出した「リッジライン パック」は雨蓋+巾着+バックル方式を廃して、ファスナーのみです。

最近は大型のアルパイン用ザックであっても、トレイルランニング用のようなハイドレーションシステムを備えている製品が多くなりました。背中の内側にタンク用のポケットがあり、チューブを引き出すためのスリットが設けられています。雪山では背中の熱で水が凍りにくくて好都合ですが、残念ながらチューブや飲み口が凍結すると言われています。

バックル落下問題

さて、ここからが本題です。

ザックの本体に頻繁にアクセスするとき、毎度ちょっとだけイライラすることがあります。

モンベルのザック「スーパーエクスペディションパック110」を例に説明しましょう。

雨蓋のバックルを外すと、本体側のバックルとストラップが地面に落ちてしまう

地面がぬかるんでいたら、バックルに泥汚れが付着します。

バックルを締めるには、地面まで腰をかがめて拾い上げなくてはならない

この不便さをちょっとした工夫で解消しましょう。

簡単な解決方法

ピッケルホルダーを緩めてサイド側にループを引き出します。

ピッケルホルダーに本体側のバックルを通す

これで完成

バックルを外しても地面まで落ちない

ゴム紐を利用した応用

ピッケルホルダーを占有しないよう、ゴム紐を利用してバックルの落下を防止する方法もあります。

デイジーチェーンを利用する

ピッケルホルダー以外にデイジーチェーンが縫い付けられていたら、それを利用します。

ゴム紐でループ作る

ゴム紐のループをデイジーチェーンに通す

ゴム紐のループにバックルを通す

以下、同文。

何かしら引っかけるものを利用する

登攀を想定していないザックにはピッケルホルダーもデイジーチェーンも付いていないことがあります。その場合、何かしら引っかけるものを見つけましょう。

ファスナー末端のタブを利用する

このザックの場合、フロントポケットのファスナーの末端に付いているタブを利用できます。

ゴム紐のループをタブに通す

以下、同文。

メーカー側は意図的にこう設計しているのか?

登山用品店でいろいろなメーカーのザックを眺めると、バックル式ザックの99㌫が「バックル落下問題」を抱えています。そして、そのうち80㌫がピッケルホルダーを「バックル落下防止」に流用できます。15㌫はゴム紐のループを何かしら近くの部品に引っかけることができます。

「もしかすると、自分が知らなかっただけで、メーカー側はバックルの落下防止に流用できるように意図的にこう設計しているのか?」と思うくらいです。

モンベルあたり、バックル落下防止用のテープを縫い付けてくれませんかね。

Youtube動画にしてみました

この記事の写真は動画をキャプチャしたものです。

登山用品

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