モンベルのリゾッタが僕の記憶を揺らす

モンベルの「リゾッタ」シリーズが2017年に登場し、登山の食糧としてすっかり定着した感があります。

モンベルは「Zライト ソル」をスペックダウン(薄く)して安価にした「フォームパッド」とか、モンベルロゴが付いただけで値段も機能も変わらないビクトリノックスとか、何の変哲もないピッケルとか、アウトドアギアの全分野を自社ブランドで塗りつぶすかのように商品を展開しています。

この「リゾッタ」シリーズもその一環かと思っていました。実際には、かなり革新的な商品です。

アルファ米とのちがい

「お湯を注いで3分」で出来上がる

脱酸素剤を取り出すのを忘れずに

スプーンは同梱されていないので忘れずに

尾西食品に代表されるアルファ米シリーズと決定的にちがうのは「お湯を注いで3分」で出来上がることです。

アルファ米だと15分待たなくてはなりませんでした。雪山では冷めてしまいそうです。スープやみそ汁を作るなら、アルファ米が出来上がる頃合いを見計らってお湯を沸かし直す必要がありました。待つ時間の手持ち無沙汰よ。

「そのままでも食べられる」

食べてみました。そこそこいけます。ちょっとしたフルグラ感覚ですね。積極的にそのまま食べようとは思いませんが、非常時に強い味方になるでしょう。

スペックダウン(少量化)はしていない

スペックダウン(少量化)はしていない。

「リゾッタ」シリーズは内容量が85gです。一方、尾西食品の「五目ごはん」は内容量が100g。「さてはスペックダウン?」と思いきや、フリーズドライなのでアルファ米よりも水分の含有量が少ない(理論上はゼロ)ため軽量になっているというのが真相です。

パッケージに記載されているお湯の必要量は、モンベルの「リゾッタ」が175ml、「尾西の五目ごはん」が160ml、つまり出来上がりは同じ260gです。きっちりスペックを合わせていますね。

モンベル「リゾッタ」シリーズのベストパートナー

「3分で調理可能」と言いながら、雪山など寒冷地ではその間にどんどん冷めていきます。

ぜひ導入したいのが同社の「フードコジー」。リゾッタにお湯を注いだら、この中に入れて、さらにウェアの内側に抱え込みます。ほんのりと熱が漏れ出てくるのがわかります。もし外に晒したままだと、熱の放出は相当なものだろうと思い知らされます。

もちろん尾西食品など他社のアルファ米製品にも適合します。いや15分待つアルファ米にこそ利用して、米の芯まで加熱したい。

両脇のループに自分でストラップを付ければ、サコッシュとして利用可能保温性クッション性があるので、寒冷地でスマホやカメラなど撮影機器を収納する用途にも適しています。

昔の自己流リゾッタ=オートミール+永谷園

リゾッタで思い出したこと。

二十代の頃、アルファ米を買う余裕がなかった時期、利用したのがオートミールでした。軽く煮て、粥状にすれば、米食の代わりになります。全粒穀物なので、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富です。

味付けとして、永谷園のお茶づけお吸いものを利用しました。

奇しくも、モンベルの「リゾッタ」シリーズの製造元は永谷園ではありませんか。

風雪のなか、苦労してムーンライトテント1型を設営し、角形コッフェルでオートミールをコトコト煮ました。EPIのガスコンロのつまみは三角錐の旧型で、オートイグナイターは付いておらず、フリント式の使い捨てライターで着火します。電子式のライターとは縁がなく、それが高所や寒冷地では着火しづらいことなど知る由もない時代でした。

いや、こうして書いてみると、このオートミールというアナログな食糧をもっと見直すべきではないかと思えてきました。

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