ハンディファンで風を持ち運ぶ~クライミングやボルダリングにもおすすめ

街角でハンディファン(携帯扇風機)を使う人を見かけると、「そこまでする必要があるのか😅」と苦笑したり、「自分さえ良ければいいのか😩」と見当ちがいな批判の目を向けたりしていました。

いざ自分が使い始めてみると、東京ヒートアイランドの住民にとって生活の質を一変させる文明の利器ではないか、とコロリと意見が変わりました。

夏の炎天下に外を出歩いて、やっとクーラーが効いたオフィスやレストランや電車に落ち着いたあと、汗が引くまでの、あの何ともいえない居心地の悪い時間をハンディファンが短くしてくれます。クーラーで冷やされた空気を首筋に吹き当てると、速やかに身体の火照りを冷ますことができます。

クライマーやボルダラーにとっては日常生活のみならず、ジムで過熱オーバーヒートした身体を冷やし、汗ばんだ指先を乾かす目的に流用できます。外岩で湿ったホールドを乾かす目的にだって使えるかもしれません。

夏はジムの季節。指先のわずかな汗や、岩のヌメリが高難度課題の完登をはばむ時期、賢明なクライマーはジムでのトレーニングに軸足を移します。たまに標高が高い岩場(小川山とか瑞牆山とか)に出かけるとしても、それは成果を求めてというより、自然のなかで癒されるためです。

ジムの経営者にひと言いいたい。

クーラーはガンガンに効かせること!

たいていのジムが電気代を節約するために控え目な温度に設定しがちです。スタッフが快適に過ごせる温度じゃダメ。運動している客はその温度だと暑いんです。やや気温が下がったとみるや、クーラーを止めて窓を開放する、なんてもってのほかです。

ちょっと考えてみてください。惜しげもなくジムを涼しくすれば、「あのジムだと快適に登れる」ってんで、お客が増えます。その利用料金で電気代なんて簡単に取り返せるはずです。固定費を削るのではなく、固定客を増やすという発想がないジムは早晩立ち行かなくなるでしょう。

さて、課題をトライした直後にはジム備え付けの扇風機をかかえこむようにして身体を冷やしたくなるのが人情です。しかし、あまり長時間、露骨に独占するわけにはいきません。

そこで活躍するのが、「ハンディファン」です。風力は限定的ながら、休憩しているあいだ、ずっと胸や首に当て続けても文句を言われる心配はありません。

実際にジムに持ち込んでみると、クーラーの効きが弱いジムで涼しく過ごすのに役立つだけでなく、チョークを節約できるという副次的な効果に気づきます。

ハンディファンで指先の熱を冷まし汗を飛ばせば、白い手袋のようにチョークアップする必要はなくなります。チョークの使用量が減れば、飛散した白い粉がウエアに付着したり、粉塵として口や鼻から吸い込んだりする度合いが減ります。

チョークは指先の汗を吸い取ってくれますが、チョーク自体に滑り止めの機能があるわけではありません。チョークが付き過ぎれば、ホールド表面の摩擦を感じられなくなくなります。

かつて渡部昇一氏はクーラーについて「神代以来の日本の建築を根本から変えることを可能にした」「クーラー以前は知的生活にとって不毛の砂漠だったのに、クーラー以後は緑の沃野になった」と礼賛しました。(「知的生活の方法 (講談社現代新書) 」)

たしかに現代日本では全国あまねくクーラー(エアコン)が普及しています。一方、クーラーが普及すればするほど、ヒートアイランド現象が猛威をふるい、砂漠とオアシスのギャップは広がり、そこを往来する人間の体調を狂わせるようになりました。

ハンディファンはそのギャップを埋めてくれる「風を持ち運ぶ」道具です。


ひとまずダイソーの安価な商品を買い求めたものの、すぐに不満を感じて買い直しました。

リズムのハンディファン「Silky Wind Mobile 3.1」レビュー
女もすなるハンディファンといふものを、男もしてみむとてするなり。 ひとまずダイソーの安価な商品を買い求めたものの、すぐに不満を感じました。 ファン(風の吹き出し口)の角度を調整できないと不便! Amazonでポチったのがこちら。真面目な日本...
四方山話

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