登山家の腕時計、アナログ派?デジタル派?

私個人はデジタル派で、さらに言えば24時間表示派です。

名の知れた登山家や冒険家はアナログ時計を称賛することが多い。

その理由は、

  • 時間の経過が直感的にわかりやすい。
  • 太陽の方角と時針を利用すればコンパスの代わりになる。

といったところです。

私はこうした硬派な意見に感化されやすいのですが、過去の登山経験を振り返ると独自路線に傾く必然がありました。

デジタル派に転向した決定的な出来事

学生時代、とある山頂近くの無人小屋に寝泊まりしたとのこと。当時の山日記を引用します。

まだ明るいうち、4時半頃シュラフにもぐりこみ、目が覚めて、ラジオをつけると6時50分。ほんとに? よく眠ったような眠っていないような……。東の空を見るとほの明るい。寝過ごした!? あわててラーメンに切りモチを放り込んでたべる。ところがラジオをよくきくと夜の7時らしい。東の空が明るく見えたのは残照か。6~7時というと、夜でも朝でも通じそうな時間帯だ。ちょうどまずい時に目が覚めたものだ。明日の朝食もたべてしまった。どうしよう。

このときはアナログの腕時計でした。日付の表示がなく、時針と分針と秒針だけの素朴なタイプです。午前6時50分なのか午後6時50分なのか区別がつきません。11月末でしたが標高が高いので遅くまで空が明るく、地平線が赤っぽいような黄色っぽいような色に染まっていました。その方角が東か西かで判定できそうなものですが、垂れこめた雲とガスで拡散し乱反射して、地平線全体が染まっていました。いくつかの偶然が重なり、錯誤を引き起こしました。

この事件でアナログ時計に限界を感じ、デジタル派に転向しました。

デジタル時計では24時間表示が合理的である

1日は24時間なのに、アナログ時計の目盛りは12時間表示になっています。

それは何故か。私が考えるに、ヒトが日常生活を送るうえで便利だからです。朝6時から夕方6時までの短針の動きは、太陽が東から登って西に沈む自然現象(北半球限定)と似ており、日中の活動の進捗をはかるうえで感覚的にしっくりきます。

しかし、デジタル時計に12時間表示をもちこむと、「午前と午後を取り違える」「12時台の表記が混乱する」問題が発生します。

午前と午後を取り違える

アラームを「午前6:00」にセットしたつもりが、「午後6:00」にセットしたら目も当てられません。一度ならずこれで失敗しました。24時間表示なら、「6:00」と「18:00」で間違えようがありません。

12時台の表記が混乱する

メーカーや機種によってちがいますが、

  • 12時間表示の「午前12:15」=24時間表示の「0:15」
  • 12時間表示の「午後12:15」=24時間表示の「12:15」

です。

あれ? 「午前12:15」って、もう「午後」じゃないの? 「午後12:15」って真夜中じゃないの?

どうもしっくりきません。気持ちが悪い。24時間表示ならこの問題は発生しません。

12時間制と24時間制の問題については「午前と午後 – wikipedia」で詳細に考察されています。

個人的にはデジタル時計では24時間表示一択

個人的には、デジタル時計では24時間表示一択だと考えています。12時間表示はアナログ時代の遺物であり、デジタル時計では混乱を招く元でしかありません。

アナログ時計とデジタル時計のはざまにいた世代なので、当初は頭の中で「16時から12を引いて4時だ」と換算する必要がありましたが、数十年もたつと「16:00」を見た瞬間、《太陽が西に傾いて、小学校帰りの子供たちの歓声が響くころ》と感じるようになります。

アナログ時計の余談

時間の経過が直感的にわかりやすい?

目覚まし時計で目覚めたあと、壁掛けのアナログ時計を見ながら、「長針があのへんに来るまでは大丈夫」と惰眠をむさぼることがあります。枕のうえで顔が横倒しになっているので、角度がちがって見えます。長針は目盛りの数字を突き刺すような位置にあるため読み違えることはないのですが……。

あるときハッと気づきます。

「短針が1時間進んでる!!」

ガーン。うつらうつらしている間に1時間が過ぎて、長針が1周していたのです。「直感」は思わぬ錯誤を誘うものです。

太陽の方角と時針を利用すればコンパスの代わりになる?

デジタル時計を利用している人であっても、太陽とアナログ時計で「南」の位置を知る方法を心得ておきましょう。現在時刻を短針位置に換算して、それを太陽の方角に向ければアナログ時計と同じことができます。

昨今アウトドア仕様をうたう腕時計はたいていコンパス(方位磁石)機能を搭載していますから、ボタン一発でわかるだろうと言われるかもしれません。しかし、「磁気センサーが狂っているのではないか」と一抹の疑念を抱いたときにアナログ方式で答え合わせをできれば心強いでしょう。

まぁ、そんな複雑な「換算」をしなくても、「時計が示す時刻」と「太陽の高度・方角」によって、どっちが南かくらい本能的にわかりますけどね。

なお、北極や南極など高緯度地域で活動する場合、24時間目盛りのアナログ時計がしっくりきます。白夜には太陽は沈まず、水平線近くを360度ぐるりと一周します。大場満朗さんは「南極大陸単独横断行」のなかで、北極では24時間目盛りのアナログ時計を特注し、南極ではさらに太陽の動きに合わせて時針が逆に回る腕時計を特注したと書かれています。

プロトレックからスマートウォッチへ

長年「プロトレック」を愛用していました。

20世紀の頃、トリプルセンサー(磁気、圧力、温度)を搭載したDPX-500を購入しました。2007年には「電波ソーラー」搭載したPRW-1300TJに買い換えました。

スーツ着用のオフィスでも、クライミングの岩場でも、汗だくのジョギングでも左の手首に巻き続けてきました。電池切れを気にする必要がなく、日時合わせをしなくても1秒と狂わない便利さを享受してきました。

2017年12月に西穂高岳に登って数日後、液晶画面に「LOW」と表示されるようになりました。一瞬、寒冷地でイカれたのかと思いましたが、寒冷地が初めてではありません。充電不足かと思い、意識的に日光浴させたものの、「LOW」表示が消えてくれません。

どうやらソーラーパワーを蓄える二次電池についに寿命が訪れたらしい。「結局10年くらいで電池が劣化して交換するんだったら、普通の電池でいいんじゃないの?」という素朴な疑問を抱きつつ、家電量販店で電池交換を依頼しました。所要期間は2~3週間と言われましたが、10日ほどで戻ってきました。料金は3,000円+税でした。

2020年頃、スマートウォッチを試しに使い始めました。中華製で1万~1万5千円あたりの製品がコスパ最高です。バッテリーもちは10日~14日くらいで申し分ありません。プロトレックのようにノーメンテナンスとはいきませんが、週に1回充電するだけなので手間は最小限です。

ジョギングや、トレーニング山行のコースやタイムを記録し、スマホとデータ連携できるのが至極便利です。アラームの設定をタッチパネルから直感的に素早く設定できるのも良し(プロトレックだとボタンを何回も押すのが面倒)。

ウォッチフェイスをアナログにすることも可能。やはり秒針が欲しいよね。

スマートウォッチの最高峰といえばガーミンのfenixシリーズ。ずっと横目で眺めてはいますが、気軽に手を出せるお値段ではありません。しかも「至れり尽くせりのガーミンに依存すると、いずれバッテリー交換などで数日手元を離れたとき、代替手段をどうするのか」などと考えだすと踏ん切りがつきません。

その点、安価なスマートウォッチなら、バッテリーがへたったときが買い替え時だと割り切れます。

いま手首にはめているAmazfit GTSは1万1千円で購入。2021年12月~2024年10月(現在)の期間、約3年使い倒して(入浴時とジムトレ時以外は寝るときも装着)、まだバッテリーが劣化した感覚はありません。1週間に1回くらいの頻度で充電するので、これまでに150回くらい充電した計算になります。リチウムイオン電池の充放電回数は一般的には300~500回程度と言われますから、まだ余裕があります。

と言いながら、次の候補に目を光らせています。

現在と同じAmazfitなら、こちら。

Xiaomi系ならこちら。

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