
山において、後悔は常に『あの時、一枚着ておけばよかった』という震えと共にやってきます。
雪山の行動中、下半身のレイヤリング変更は苦行に近いものです。アイゼンを脱ぎ、靴を脱ぎ、凍える指先でパンツを履き替える……その手間を惜しんだ代償は、体温の低下という形で容赦なく徴収されます。
しかし、もし「靴を履いたまま」で中間着をブーストできるとしたら? 今回は、軍隊の知恵が詰まったUS(米軍放出品)フリースオーバーオールを、現代のフィールドに呼び戻しました。
静寂の守護者:サイドフルオープンという唯一無二の機能

米軍フリースオーバーオール サイドファスナー
優れた道具は、使い手に『立ち止まる理由』を与えません。
このフリース最大の存在意義は、腰から裾まで一気に駆け抜けるサイドフルオープンファスナーにあります。
- 登山では: トレッキングパンツの上から、靴を脱がずに数秒で換装可能。
- 冬キャンプでは: シュラフから出た瞬間の冷気を、即座に遮断する。
- バイクでは: オーバーパンツのインナーとして、防寒の最後の砦となる。
七分丈(ショート丈)であることも見逃せません。厚手の登山靴やスキーブーツに干渉せず、足首周りの機動性を損なわない設計です。
ポーラテック・クラシック200:古くて新しい最適解

最新の素材が最善とは限りません。歴史が証明した厚みこそが、信頼の証です。
最近の登山ウェアは「軽量・薄手」に傾倒しすぎるキライがあります。しかし、このオーバーオールが採用するのは、肉厚なPOLARTEC Classic 200です。
現代のグリッドフリースのような通気性はない。だが、そこがいい。 ひとたび身に纏えば、そこには確かな「空気の層」が生まれる。動かない時間、すなわちテントでの停滞や、極寒の稜線での待機において、この厚みこそが生死を分ける暖かさを提供します。
ディテールに見る「軍用」の矜持
装飾を削ぎ落とした先に、機能という美が宿ります。
実測462g。決して軽くはありませんが、その重さは「安心の重さ」でもあります。
- サスペンダー: 堅牢すぎるバックルは、グローブをしたままでも確実に動作します。

サスペンダー
- ダブルスライダー: フロントもサイドも双方向から開閉可能。小用を足す際も、全脱ぎする必要はありません。

前開きとサイドファスナー上部

サイドファスナー下部
- MEDIUM-SHORT/REG: 日本人の体型には、この「ショート丈」こそがジャストサイズ。もたつく裾に別れを告げましょう。

背中のタグ
90年代の名作へのオマージュ

失って初めて、その道具が身体の一部であったことに気づきます。
1990年代初頭ノースフェイスが販売していたサイドフルオープン可能なフリースパンツを覚えていますか?
たしか商品名は「デナリ」。厚さはPOLARTEC 200くらいで、尻と膝には補強生地が当たっていました。着脱しやすい中間着として重宝したものです。
フリークライミングに傾倒し、雪山から長期離脱するあいだに断捨離したことが悔やまれます。
その「手軽な温もり」が、いま軍の放出品として現代に蘇りました。
結論:準備を怠る者に、冬の女神は微笑まない

雪山でのベースキャンプ、頂上往復の予備着、あるいは冬キャンプの最強の寝巻きとして。 このオーバーオールをザックに忍ばせる。それは単なる装備の追加ではなく、「いかなる寒さにも屈しない」という決意を携行することです。
「備えよ。冬は、準備をしていない者から順に、その熱を奪っていくのだから。」
ECWCS GEN II (第2世代)フリースライナーパンツ、胸付近までのオーバーオールデザイン、ゴアテックス等の透湿性防水生地のパンツとの組み合わせが前提とされたアンダーパンツです、適度な厚みと重量で柔軟性と弾力性もあります。
高さ調整が可能なサスペンダー式で、ユニークなバックルで簡単に着脱が可能。
フロントはダブルスライダー式、トイレの際は下からも開閉出来ます、サイドはフルオープンのジッパーで前後2つに分かれるため、靴を履いたままの着用に便利で、ライナーとしてだけではなく単体での防寒オーバーパンツとしてもおすすめです。・素材:ポリエステル100%
・コンディション:新品
・カラー:ブラック
・原産国:アメリカ製

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