時は昭和。大学ワンダーフォーゲル部の先輩がこのコンパス(方位磁石)持っていました。
この先輩、地方の時代錯誤的なワンダーフォーゲル部にコンパクトなガスランタンをもちこんで驚かせた人物です。

筆者は勝手に「貧乏学生がちょっと奮発して良いモノをもちたいときに選ぶアイテム」と位置付けていました。
国内メーカー「YCMコーポレーション」が製造するオイルコンパスで、ベースプレート型のコンパスからプレート部分だけ取り除いた外観です。
「磁針の精度は高そうだし、コンパクトでいいじゃないか」
と思いがちですが、実は似て非なるモノなんです。
ベースプレート型をきちんと使えない人が手にすると、混乱すること間違いなしです。
回転盤矢印と進行線が逆転している
YCMマップコンパス(左)とベースプレート型コンパス(右)を並べてみました。
注目すべきは回転盤内の矢印がさしている方位です。ベースプレート型のコンパスでは回転盤矢印は「N」に固定されており、「観念上の磁北を記憶するマーカー」として機能します。
いっぽうYCMマップコンパスでは、回転盤矢印がおさまっている透明なカプセルが空回りし、目盛りのどこでも360度さすことができます。
ベースプレート型コンパスを使い慣れた人は、アクセルとブレーキが反対になったクルマを運転するような戸惑いをおぼえることでしょう。
こう考えてください。
- YCMマップコンパスの「回転盤矢印」は、ベースプレート型のコンパスにおける進行線として機能する。
- YCMマップコンパスの「S」から「N」に向かう見えない矢印が、ベースプレート型のコンパスにおける回転盤矢印として機能する。
つまり、回転盤矢印と進行線が逆です。
YCMマップコンパスで山座同定する
ベースプレート型コンパスの使い方について別記事にまとめました。

この記事を踏まえて、YCMマップコンパスで「山座同定」する操作方法を説明します。
場所は同じ小梨平キャンプ場です。梓川のほとりに立ち、下流に目をうつすと、こんもりした独立峰があります。あの山の名前は?
- 体の正面でコンパスをかまえ、「回転盤矢印」を目標の山に向ける。
- 「外枠のN」を「磁北(磁針の赤い先端)」と重なるまで回転させる。
これで「回転盤矢印」と「磁北」の角度を記憶できました。以後、「現実の景色」と「磁針」のことは忘れてください。
- 地図にコンパスをのせ、「回転盤矢印」の手前を現在地に当てる。
- 現在地を支点として、「外枠のNとSをつなぐ線」が「…地図の磁北線…」と平行になるまでコンパス全体を回転させる。
※磁針の向きは無視する。
すると、「回転盤矢印」の先に目標の山の名前があるはずです。あの山は「焼岳」だと思われます。
まとめ(YCMマップコンパスを買うべき人)
こんな人にYCMマップコンパスをおすすめします。
- コンパクトで、磁針の精度が高いオイルコンパスが欲しい。
- ベースプレート型コンパスと同じような使い方をしたい。
蓄光型か、レンズ付きかで4種類のなかから選択できます。
標準型
レンズ付き
蓄光型
蓄光型+レンズ付き
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