ミレーのデイパック「クーラ30(KULA 30)」のキャッチフレーズは「通勤から街歩き、アウトドアまで。あらゆるシーンで頼れる相棒バックパック」です。
筆者は「収納力モンスター」と呼びたい。豊富なポケットを駆使して、変幻自在な収納が可能です。
登山とクライミングを愛好する者の視点で、この定番製品をレビューします。
旅行用パックとしての使いやすさと、アウトドアにも耐えうる快適性を両立した多用途バックパック。すっきりとしたクリーンな外観、錠をつけることができるジッパー、取り外し可能なウェストベルトなど、旅行先での街歩きでも違和感のないデザインや便利な機能が備わっています。さらに耐久性十分な生地、安定性と快適性を備えた背面パネルとショルダーストラップ、サイドポケットやポールホルダーといったアウトドアでも十分利用可能。未知の世界を旅する人に必要な特徴が揃っています。
ミレー「クーラ30(KULA 30)」概要
全体像
「クーラ30(KULA 30)」は、オフィスカジュアルの仕事場に持ち込んでも違和感がない落ち着いたデザインです。
正面
背面
サイズ、重量、容量
「クーラ30(KULA 30)」のサイズは幅29×高さ51×厚さ19cm。重量は860gとされています。容量は商品名のとおり30ℓです。
15インチのノートPCを入れてみた
HP Probook 450(サイズがおおよそ幅35×奥行き25×厚さ2cm)を余裕しゃくしゃくで入れることができます。いちばん背中側のスリーブ(仕切り)には入りませんでした。
公式サイトには《ノートPC16インチが入るサイズ感です》と記載されています。
13インチのノートPCを入れてみた
Mackbook air 13(サイズがおおよそ幅30×奥行き19.2×厚さ1.7cm)は背中側のスリーブ(仕切り)にちょうど入りました。
2㍑のペットボトルを入れてみた
2㍑のペットボトル3本が楽々と入り、上部に余裕があります。
ミレー「クーラ30(KULA 30)」詳細
錠をつけることができるジッパー
「クーラ30(KULA 30)」のキャッチコピーにある「旅行用パック」を体現しているのが、メイン収納部のジッパーです。スライダーの根元に大きな穴を備えており、錠前を取り付けることが可能です。旅先での盗難に対して一定の防犯効果を期待できます。
サイドコンプレッションストラップ
特に、荷物が少ないとき、モノが下部に集まって膨らむと、見た目がだらしなく、重心が振られやすくなります。サイドコンプレッションストラップを締めると、パックの厚みを抑えて、重心を背中に近づけることができます。
サイドポケット(ワンドポケット)との位置関係にも注目。バックパックを背負ったままモノを入れる際、ストラップがポケットに近く紛らわしい位置にあると、ポケットと勘違いして手を放し、モノを落とす事故がたまに発生します。(筆者だけ?)
かと言って、あまり高い位置にあると、メイン収納部のファスナーを大きく開いた際、スライダーがストラップより下まで落ちてしまい、閉じるときひと手間増えます。
「クーラ30(KULA 30)」の場合、適正な位置にあります。
上部ジップ小物ポケット
「クーラ30(KULA 30)」の実物を手にしてから初めて気づいた便利な収納がコレ。パックの上面、フラップの下に一直線のファスナーが隠れています。
素早く出し入れしたい小物を収納するのに適しています。日帰り登山では、財布やヘッドランプ、行動食の指定席です。
内側から見ると、メインの収納部にぶら下がっており、深さは約20cmです。
2つのフロントジッパーポケット
公式サイトの「クーラ30(KULA 30)」紹介ページでは単に「2つのフロントジッパーポケット」と呼ばれています。この記事では「オーガナイザーポケット」と「縦ファスナーポケット」と呼ぶことにします。
オーガナイザーポケット
内部に仕切りポケットを備えています。
サイズ感がわかりやすいように、カロリーメイト(高さ10×幅10.6×厚さ2cm)や山と高原地図(高さ19×幅10.5×厚さ0.75cm)を収納してみました。ペンホルダーが2つあります。
ポケット全体ではA4サイズの薄手クリアファイルが入るくらいの広さがあります。
縦ファスナーポケット
サイズが大きいモノを出し入れしやすいポケットです。筆者は、折り畳み傘やエコバッグ(使い回しのレジ袋)の指定席にしています。
筆者は晴れの日でも折り畳み傘を持ち歩きます。天気予報ではわからない局所的な驟雨に出会ったときにこそ折り畳み傘が役に立ちます。
折り畳み傘をサイドポケットに挿す人が多いですが、筆者はバックパックの外側にモノをぶら下げたり、露出させたりするのを好みません。
雨がやんだら、バサバサと水滴を払って、この縦ファスナーポケットに放りこみます。折り畳み傘に付属する傘袋は使いません。いちいち傘袋に出し入れするのが面倒くさい。このポケット自体が傘袋のようなものです。内部空間が広いぶん、水滴が周囲の生地に拡散しやすく、乾きやすいです。
住居にたとえるなら土間。スマホや財布などの貴重品は入れません。コンビニコーヒーを飲んだあと、ゴミ箱が見当たらなければ、殻を一時保管します。なので、いつもコーヒーの残り香がします。
レインカバー
「クーラ30(KULA 30)」底部にはレインカバーが収納されています。ファスナーを開いて引き出すと、そのままスッポリとバックパック全体に被せることができます。
レインカバーは収納部と連結されていますが、ラダーパーツからストラップを引き抜けば分離できます。
強風にあおられないように背中側で留めるバックルが付いています。
サイドポケット
正確にはワンドポケット。サイドコンプレッションストラップを併用してトレッキングポール等の長物を下支えします。「クーラ30(KULA 30)」の場合、トレッキングポール用のバンジーコードを別途装備しています。(後述)
マチ付きでカロリーメイト(高さ10×幅10.6×厚さ2cm)がスッポリ入ります。ただし、メイン収納部にパンパンに荷物を詰めると、カロリーメイトは潰れそうです。
ここにスマートフォン等入れる場合は、脱落防止にネックストラップをお忘れなく。
ハンドレスト
ミレーのバックパックが伝統的に装備するハンドレスト。
ショルダーストラップの前面に付いている輪っか状のテープで、行動中指をここに掛けて歩くと、肩にかかっていた腕の重さを分散させることができ、腕の重みによる肩周りの疲労が軽減され、全体として疲れにくくなるという仕組みです。
☞ ミレー Facebookより引用
「クーラ30(KULA 30)」くらいの容量だとあまり恩恵を感じないかもしれません。
重い荷物を背負ったときは、バックパックの重心を身体に引き寄せ、ショルダーハーネスが肩へ食い込む苦痛を軽減する効果を期待できます。
ロードリフターストラップ
「クーラ30(KULA 30)」のショルダーハーネスの上部には、重心を背中側に引き寄せるための「ロードリフターストラップ」を備えています。山岳用のバックパックでは当たり前の装備ですが、デイパックでは珍しいです。
取り外し可能なウエストストラップ
ウエストストラップは、トレイルランニングや岩稜帯の縦走で大きな動きをするとき、バックパックが背中で暴れないように固定する役割があります。
日帰り登山くらいの荷物だと、ウエストストラップで荷重分散する効果はあまり感じられないかもしれません。ましてや街中でしか使わない人にとっては邪魔なだけです
「クーラ30(KULA 30)」のウエストストラップは取り外すことができます。
収納式チェストポケット
「クーラ30(KULA 30)」の左側のショルダーストラップには折り畳み式のチェストポケットが収納されています。
6.4インチサイズのスマートフォン(縦159.7㎜×横73.4㎜×厚さ7.6㎜)をギリギリ収納できます。出し入れするとき電源ボタンが動作してしまうので、もう少し小さいスマートフォンでないと実用的ではない印象です。
ポールホルダー
「クーラ30(KULA 30)」の正面右寄り、上下2箇所にバンジーコードとコードロックが設置されています。
折りたたんだトレッキングポールやピッケルを括り付けることができます。
背面パネル
「クーラ30(KULA 30)」の背面パネルは、通気性の高いメッシュのクッションになっています。ショルダーハーネスの内側も同じ素材です。身体への当たりが柔らかく、汗を速やかに拡散してくれます。いいことずくめのようですが、実はデメリットもありまして……(後述)。
ハイドレーションポケット
公式サイトの「クーラ30(KULA 30)」紹介ページではフューチャーされていませんが、メイン収納部の背中側スリーブにプラティパス等ソフトボトルを入れて、ハイドレーションポケットとして利用できます。
チューブを引き出すスリットが右のショルダーストラップ近くに隠れています。
ミレー「クーラ30(KULA 30)」の気になるところ
背面パッドのメッシュにゴミが詰まる
メッシュのクッションはまことに心地良いのですが、草地などに置いたとき細かいゴミがつまりやすいです。強力な真空掃除機で吸い取ってやるしかありません。
雪山では雪が詰まることがあります。
メインファスナーの滑りがいま一つ
メイン収納部のファスナーの滑りがあまりよろしくありません。
原因は2つ。
- ファスナーのラインが背面パネルと密着しており、抵抗を受けやすい。
- 引き手の付け根が開く方向にやや片寄っており、閉じる方向には力が伝わりにくい。
ファスナーにシリコンスプレーを吹き付けて滑りをよくすると、いくぶん開閉しやすくなります。
ひと回り大きい「クーラ40(KULA 40)」はファスナーのラインが背面パネルから離れており、干渉しません。
まとめ
筆者は現在、「クーラ30(KULA 30)」をワンデイハイク専用のバックパックとして利用しています。前泊日帰りでもOK。着替えと、暇つぶし用にノートPCを詰めたりしましたよ。
街歩きや通勤用では別のデイパックを利用しています。
その他、筆者のデイパック遍歴はこちらです。
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