ブラックダイヤモンドの「スポット」はLEDヘッドランプのロングセラーです。
21世紀初頭に登場して以来、業界のトレンドを取り入れて進化しつづけ、2022年シーズンの「スポット400」をもって一つの完成形に到達したように見えます。
最大400ルーメンの高照度、無段階調光、照度メモリ、電源ロック、スポット光/ワイド光/赤色光の切り替え、最強レベルの防水性(IPX8)、「単四電池×3本」または「リチャージャブルバッテリ」を使い分け可能なデュアルフューエル仕様……とほぼ全部入り。「初心者から熟練者まで、これを買っておけばまず後悔することはない」と自信をもってオススメできる製品の一つです。
開封の儀
ヘッドランプ本体
外箱
同梱物
ヘッドランプ本体のほかに、多国語記載の取扱説明書と、DURASELLの単四形アルカリ乾電池×3本が同梱されています。
BD1500バッテリー(別売)
外箱
同梱物
バッテリー本体
USBケーブル
Micro-USB TypeB端子となっています。電子機器で主流になりつつあるUSB Type-Cにそろそろ変更してほしいところです。
チャージャーのメーター
充電中は青、充電完了すると緑に点灯します。バッテリーが嵌っていないと赤く点灯します。
使い方、コツ、操作方法
主要なボタン、パーツ
上部に、
- 電源ボタン
- モード切替ボタン
を搭載しています。
前面に、
- スポット光のLED(遠くを集中的に照らす)
- ワイド光のLED(近くを広くフラットに照らす)
- 赤色光のLED
を搭載しています。
右側面に、
- パワータップ(後述)のアイコン
- バッテリーメーター
- 電池ボックス開閉用のクラッチ
を搭載しています。
バッテリーメーターは点灯直後または消灯直後の6秒間、点灯、点滅の組み合わせで残量を示します。
バッテリの使い回し
近年流行のハイブリッド仕様です。ブラックダイヤモンド社はデュアルフューエルモデルと呼びます。「単四電池×3本」または「リチャージャブルバッテリ」を使い分けることができます。
BD1500に直接USBコードを挿して充電することはできません。
長期登山中にモバイルバッテリーから充電したいならチャージャーを携行する必要があります。重量、充電のわずらわしさや電気的ロス(60~70%に減衰)を考慮すると、必要なだけ乾電池もしくはBD1500の予備を携行する方が得策かもしれません。
電源ボタン長押しで照度を無段階に調整する
電源ボタンを押下しつづけると、照度を無段階に調整(最弱…最強…最弱…最強…と往復)することができます。
ここで調整した照度は「照度メモリー」機能により、次に再点灯したときに再現します。
モード切替ボタンでスポット光、ワイド光、赤色光を切り替える
モード切替ボタンを1回クリックするたびに「スポット光」→「ワイド光」→「赤色光」がぐるぐると切り替わります。
各モードごとに前項の照度調整が機能します。スポット光の場合には、最大の明るさを得るために同時にワイド光が点灯します。
ここで調整したモードは「照度メモリー」機能により、次に再点灯したときに再現します。
電源ボタンを1秒長押しで照度を最大にする
電源ボタンを1秒長押しすると、一瞬で「最大照度」に切り替えることができます。
この切り替えは各モード(スポット光/ワイド光/赤色光)ごとに機能します。
- スポット光の場合には、最大の明るさを得るために同時にワイド光が点灯します。
- ワイド光の場合には、ワイド光のみで無段階調整します。
- 赤色光の場合には、赤色光のみで無段階調整します。
「1秒長押し」には繊細な感覚を要求されます。「1回クリック」(電源ON/OFF)になったり「長押し」(無段階調光)になったりしがちです。次項の「パワータップ」のほうが操作しやすいかもしれません。
パワータップで一瞬で現在の照度と最大照度を切り替える
右側面の「パワータップ」アイコンをタップすると、「現在調整済みの照度」と「最大照度」を交互に切り替えることができます。
この切り替えは各モード(スポット光/ワイド光/赤色光)ごとに機能します。
- スポット光の場合には、最大の明るさを得るために同時にワイド光が点灯します。
- ワイド光の場合には、最大の明るさを得るために同時にスポット光が点灯します。
- 赤色光の場合には、赤色光のみで最大の明るさになります。
動画で見るように、スイートスポットを的確にタップすることは難しく、しばしば2~3回タップするはめになります。
暗闇を歩くときはワイド光で周囲を広くフラットに照らし、遠くものを見たいときに一時的にパワータップでスポット光を加える、という使い分けが良さそうです。
電源ボタンをダブルクリックしてストロボにする
消灯時または点灯時に電源ボタンをダブルクリックすると、ストロボ(点滅)に切り替わります。
このストロボは各モード(スポット光/ワイド光/赤色光)ごとに機能します。
ダブルクリック動作とストロボの明滅のイメージがぴったりなので憶えやすいです。
ストロボの明滅時にさらに「パワータップ」すると、SOS信号(・・・― ― ― ・・・とはちがう独特な明滅)に切り替わります。
両ボタンを同時に2秒長押しで電源スイッチをロック/解除する
バックパックにギュウ詰めした結果、知らないうち電源が入ってバッテリーが消耗し、いざ使おうとしたら点灯しなかった、なんてトラブルを避けたいなら、電源スイッチをロックしておきましょう。
ヘッドバンド調整
ヘッドランプのレビューであまり触れられないヘッドバンドの調整方法について言及します。
暗闇で手間取らないように、あらかじめ練習しておきましょう。
日の字型の樹脂製パーツ2個で締め具合を調整します。左右のバンド末端が互いに固定されています。
- 締めるときは樹脂製パーツを左右に引き離すだけでスライドします。バンドを指で引っ張る必要はありません。
- 緩めるときは片方の樹脂製パーツをつまんでバンドを引っ張ります。これを左右均等におこないます。
実践例
高尾山でスマホを落とし、暗闇を探索した
自宅でろくにテストせずに高尾山に持ち出しました。わざと夕闇の時間帯を狙って出かけたのですが、なんと登高中にスマホを落としてしまいました。幸か不幸か、ヘッドランプの良いテストになりました。
暗闇なう。購入したばかりのヘッドランプをテストするため、高尾山・稲荷山尾根を薄暗くなり始めてから登りました。山頂でサイドポケットにあるはずのスマホがないことに気づいて愕然。最強の明かりでキョロキョロ探しながら下りたら5分くらいの場所で路傍に黒い物体を発見しました。 pic.twitter.com/2r7wzzGwo4
— 神山オンライン (@kamiyama_online) May 22, 2022
まとめ
「スポット」の近年の進化は以下のとおりです。
- 2019年シーズン、「スポット」が「スポット 325」(最大照度325lm)と「スポット160」(最大照度160lm)に分かれました。
- 2020年シーズン「スポット350」にパワーアップし、モードセレクト用のセカンドスイッチ搭載によって操作性を整理しました。
- 2022年シーズン「スポット400」にパワーアップし、専用リチウムイオン充電池に対応しました。
特に今回、ブラックダイヤモンドが販売するヘッドランプのラインナップ全体(「ストーム」「スポット」「コズモ」「アストロ」)に「充電専用モデル」と「デュアルフューエルモデル」の両方が用意されました。価格差が「別売のBD1500ぶんピッタリ」という粋な配慮がなされており、純粋に機能の要不要で選べます。
「スポット400」をさらに強化するとしたら、
- 自動調光(オートディミング)機能
- 光学的絞り機能
あたりの搭載でしょうか。
前者はあり得ます。点灯中にモード切替ボタンを長押しすると、自動調光モードをON/OFFできる……なんてね。ブラックダイヤモンドさん、いかがでしょうか。
後者は、現在の「スポット光とワイド光を切り替える」仕様と相いれません。もし実現するとしたら、別の名前を冠した製品になるでしょう。
あとは明るさを徐々に強化するしかなさそうです。
その意味で「スポット400」は王道の完成形だと言えます。
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