ワンゲル野郎がゆく~表銀座ゴールデン【槍ヶ岳編】

前の記事から続きます。

ワンゲル野郎がゆく~表銀座ゴールデン【燕岳編】
前の記事から続きます。 欲張りな計画 天気さえもてば、表銀座から東鎌尾根を経由して槍ヶ岳に登り、大キレットを越えて西穂高まで、北アルプス南部の岩稜コースを一気に踏破しようという欲張りな計画です。体調不良や天候悪化の際にエスケープするルートは...

2017年10月1日、東鎌尾根から槍ヶ岳へ

大天荘のテント場

一晩寝ると、思ったより体力が回復しました。最悪、水俣乗越あたりからエスケープするなんて案が頭をよぎっていたので、少し安心しました。


大天荘のテント場から槍穂高を望む。


大天井岳南面のガレ場をトラバースして高度を下げていきます。


ところどころに梯子があらわれます。奥に見えるのは牛首の展望台。山腹を巻く縦走路が見えます。

大天井ヒュッテ


奥の梯子は牛首の展望台へ。縦走路は左へ巻きます。

ビックリ平


牛首岳を巻き切ると、ビックリ平に到着。顕著な三角錐のピークが2643㍍のピークだと思われます。赤岩岳まで小ピークをいくつか超えていきます。


砂礫のなだらかな道が気持ちいい。


大天井岳を振り返ります。大天井岳の巻き道、牛首岳の巻き道が確認できます。

赤岩岳


赤岩岳が近づいてきました。夏道は山腹を巻きます。積雪期は尾根通しに行き、中央の痩せた岩峰付近は直下の雪壁をトラバースしました。


西岳が近づいてきました。手前にケルンが山盛りになったピーク(というか稜線の盛り上がり)があり、絶好の展望台になっています。東に常念山脈、西に東鎌尾根から突き上げる槍ヶ岳、南に穂高連峰、北に剣・立山、後立山連峰と、北アルプスの峰々をやや低い位置から見渡すことができます。多くの人がここで足を止めて写真撮影していました。西岳ヒュッテに泊まる人は西岳の山頂が展望台となります。

西岳ヒュッテ


西岳ヒュッテに到着しました。南に伸びる平坦な尾根がテント場になっています。


西岳の南面を巻きながら下っていきます。ハシゴやクサリがあらわれます。


急峻な谷筋をトラバースする箇所があります。


鉄のハシゴを2つ降ります。


降り切ったコルは右側が急峻な砂礫の斜面になっています。私が休憩しているあいだにもカラカラと落石が発生していました。


コルから少し登った場所から振り返りました。


視線を上部に移して、西岳を含めた全景です。水平の尾根に西岳ヒュッテの四角い影が見えます。西岳山腹の右側の谷筋にトラバース道が見えます。


こんな橋があらわれます。奥は南岳、中岳の稜線です。


水俣乗越に降り着く直前のハシゴ。下端が地面に届いていないので要注意です。

水俣乗越


水俣乗越から行く手の岩稜を見上げました。


ひと登りすると(第1展望台付近?)、行く手の岩稜を見渡すことができます。おりしもハシゴ連続地帯を大勢が降りてくるところが見えました。

「第1展望台」「第2展望台」といった名称はヤマケイオンラインの地図に記載されています。


大勢とすれちがったあと、西岳を振り返りました。


このハシゴ連続地帯はさして急峻ではなく、ハシゴというより階段に近いです。


登りきった2595mピークから行く手の稜線を見渡しました。左上のピークが「第3展望台」と思われます。

東鎌尾根最大の難所

2595mピークから、東鎌尾根最大の難所と言ってもいい、長い鉄バシゴを降ります。


鉄バシゴを振り返りました。


すこし登った場所(第2展望台付近?)から振り返りました。中段の右端が2595mピークです。


東鎌尾根はまだまだ長い。小さな双耳峰のあたりに大槍ヒュッテがあるはずです。


「カブリ岩」を通り過ぎると大槍ヒュッテが近いです。


双耳峰が近くなりました。もうひと息。

大槍ヒュッテ


着いた〜。と言っても、本日の終着点ではありません。ここで「登山天気」を確認し、天候悪化が早まるようなら、槍の肩を避けて、殺生ヒュッテ(奥に小さく見えている)に向かうプランも考えていました。

ここまで来たら、東鎌尾根を歩き通します。


大槍ヒュッテを過ぎると、殺生ヒュッテへトラバースする道と、東鎌尾根を登り詰める道が分かれます。


大槍ヒュッテを振り返りました。


東鎌尾根の大詰め。槍ヶ岳南面の岩場をトラバースして、橋やハシゴがあらわれます。


岩場がガレ場に変わると、槍の肩が近いです。

槍の肩


槍の肩に到着しました。昨日より余裕があります。ただし、これから槍ヶ岳の山頂を往復します。


槍の肩は風が吹き抜ける場所です。早く着いた人は稜線の風下側、岩の陰にテントを設営しています。


私は南岳寄りの開けた場所に設営しました。昔泊まった時には、設営場所を指定されましたが、今回は「好きなところに設営していただいて、状況把握のためあとでお知らせください。そのときに札をお渡しします」と言われました。


山頂でのコーヒーセットを準備しました。

槍ヶ岳


いざ、槍ヶ岳山頂へ。


登路の途中で振り返りました。登りルートと下りルートが分かれています。


山頂。登りのハシゴのてっぺん。そして穂高連峰を見渡しました。


山頂の祠。右下が北鎌尾根の下り口ですが、昔あった「キタカマ」と書かれた岩が見当たりませんでした。

2017年10月2日、槍沢から上高地へ


盛大にガスっています。


スタコラ下山するだけ。とは言っても、調子に乗って駆け下ると、数日間筋肉痛で苦しむことになります。速筋を使わないように、ゆっくりゆっくり下ります。


天狗原分岐。ポツリポツリと降り始めたので、ここでレインウェアを着る人が多かったです。私はもう少し我慢して、樹林帯に入って風の心配がなくなってから、折りたたみ傘でしのぎました。蒸れることもなく快適でした。


馬場平のテント場。雨で濡れそぼるテントたち。


槍沢ロッヂのお品書き。「セルフコーヒー1杯100えん」にはグイッと心を掴まれました。我慢我慢。

行動食としてビスケット半袋を雨蓋に入れておいたのですが、ここで食べ尽くしました。予備の食糧をザックの奥から出すのが面倒くさくて、あとは上高地まで水分をとるだけで過ごしました。


横尾に着くとひと安心。テルモスのお湯でインスタントコーヒーを淹れたのですが、お湯がぬるくなっていてイマイチでした。


徳沢で傘をいっとき地面に置いて、持ち直すと骨の先端に枯葉がくっついてきました。


お猿さんの家族がふつうに道を歩いていました。子供連れでしたが、気が立っている様子はなく、ヒトを外敵とはみなしていないようです。


河童橋は雨の中。


上高地からバスに乗り、新島々へ。大部分の登山者がすぐに改札の列に並び、30分ほど待っていました。私はずっとそのへんをぶらぶらしていました。いざ電車が着いて乗り込んでみると、余裕をもってすわれました。なぜか2両編成のうち1両に人が集中。もう1両はスカスカでした。


松本駅の駅ビルでがっつり野菜炒め定食。この3日間ほど、インスタント食品ばかりでした。肉も食べたいけれど、野菜を食べたい。

あとは駅ビルの改造社書店で山の本を買って、東京に向かう電車に乗り込むだけです。


駅ビルのNEW DAYSにはエキナカフェあり。テルモスに移し、電車のなかで味わいます。完璧な締めくくりでした。


重いザックを背負って、3日間歩き通すことができました。下山翌日、疲れてはいましたが、自重したおかげでひどい筋肉痛に見舞われることもありませんでした。まだまだ縦走筋(?)が復活したとは言えませんが、ちょっとだけ自信がつきました。

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