山幸のオリジナル軽登山靴で高尾山に登る

山幸オリジナル軽登山靴で高尾山に登る

山幸オリジナル軽登山靴で高尾山に登る

ただ郷愁のためでなく

在りし日の「アイガー」と二重のソックス

在りし日の「アイガー」と二重のソックス

学生時代に履いた「アイガー」がブランド名を変えて、現在も製造、販売されていると知りました。寝ても覚めてもこの靴のことを考えてしまいます。合理的な購買理由などありません。ただ郷愁を癒したいだけかもしれません。一度も保革油を塗るような手入れをすることなく履き倒し、どこにいってしまったかわからない(たぶんワンダーフォーゲル部の部室へ置き土産にした)あの靴への供養の気持ちがあるのかもしれません。

矢も楯もたまらず吉祥寺の「山幸」に赴く

創業50年を超える老舗「山幸」の名前は、昔から「山と渓谷」の広告で名前を目にしていました。(ずっと「やまさち」と読んでいたのは秘密です)

店主にオリジナル軽登山靴を履いてみたい旨を伝えると、両足をいっぺんに測定できる木製の器具を出してくれます。26.5cm。自分の認識どおりです。27.5cmをすすめられました。登山靴は指先に1cm程度の空間を残したサイズを履くのがセオリーです。試し履き用にSmart Woolのソックスを貸してくれます。その場では検討中ということで店をあとにしました。

登山靴の棚にはLOWAのマウンテンプロやタホーが展示されていました。サイズは揃っていませんでしたが、ここに来れば実物を見ることができたのかと後悔しました。店主は「うちらは代理店が卸してくれれば置けるから」なんてことを仰っていました。個人経営に近い小規模な店舗だと、輸入代理店とのしがらみがあまりないということでしょうか。

サイズ選びで思わぬ体験をした

私のサイズは27.5cmでした。

私のサイズは27.5cmでした。

三日、考えました。よし買おう。店に行くと、店主はなんとなく憶えていてくれました。ここでちょっとした記憶違いから、サイズ選びで思わぬ体験をしました。「足のサイズは25.5cmでしたよね」と26.5cmを出してくれます。足の実寸のことか靴のサイズのことかよくわからなかったので、ひとまず履いてみました。おっ、ちょうどいいみたい。爪先を靴の先端にピッタリあてた状態で、店主が踵に手を差し込みます。あれれ? と首をかしげる店主。測定器で足のサイズを再確認しました。「あぁ、26.5cmですね」と27.5cmを出してくれました。前回と同じ見立てです。

その道のプロの意見に素直に耳を傾けること

26.5cmでもちょうどいいと思ったくらいですから、自分の感覚だけを頼りにしたら、そのまま買ってしまったかもしれません。実際、数年前にモンベルショップで26.5cmのトレッキングシューズを購入した際、店員さんに「指先に余裕が必要ですよね」と聞いたら、「いやぁ、この靴では特に必要ないですよ」という反応でした。踵に指を入れて確認したりすることもなく、本人の感覚にまかせているようでした。その靴をハイキングで履くたび、下りで指先が若干気になっていたのです。体重を思い切りかけないよう、無意識のうちに指先を浮かせる感じです。きついクライミングシューズを履きなれているおかげか、爪が黒くなったりすることもないのですが、サイズ選びを間違ったとしか思えません。

いつだったかL-BREATHでご年配の方がトレッキングシューズのフィッティングをしているのを見かけたことがあります。店員さんは、下りで指先を痛めないように大きめのサイズをすすめるのですが、その方はどうしても納得がいかないようでした。私は「年をとると頑固になるものだ。その道のプロの意見に素直に耳を傾けることは大切だ」と上から目線で思ったのですが、何のことはない、自分も理論は知っていたけれど、正しく実践できていませんでした。

開封の儀

意気揚々と持ち帰りました。シンプルな白い箱に入っています。

シンプルな白い箱に入っています。

シンプルな白い箱に入っています。

オリジナル軽登山靴の取扱説明書

山幸オリジナル軽登山靴の取扱説明書

山幸オリジナル軽登山靴の取扱説明書

おまけの靴ベラ

余った革で作った靴ベラがおまけに付いています。「この靴ベラに名前を書いて、山小屋の靴置き場などでは靴に付けておくとよいですよ」とのこと。

余った革で作った靴ベラ

余った革で作った靴ベラ

インソール(スペンコ RX コンフォート)

SPENCO RX コンフォート

SPENCO RX コンフォート

私は自分の足は幅広だと思い込んでいました。どこかの店員さんにも言われたことがあります。今回、器具ではかってみたところ、ごく平均的な日本人の足らしい。山幸の店主からは一度も「幅広」という言葉は出てきませんでした。幅広甲高にふられたオリジナル軽登山靴にフィットさせるため、インソールを同時購入しました。

よく登山用品店にはスーパーフィートなど高性能をうたう製品が並んでいますが、「これって滑りやすそうだな。固そうだな」と思うことが多い。しかもなかなかのお値段です。いや実際に履いていないのでわかりませんが、見た目がいかにもギミック満載なので警戒します。

「バックカントリー穂高」さんは、ゆっくり歩く登山においては、ことさら足のパフォーマンスを引き出そうとするようなインソールは不要と主張されています。


私もできることならLOWAの登山靴に入っているようなシンプルなポリウレタン層とフェルト層で構成されたインソールが欲しい。欲しいけれど、どこにも売っていません。

山幸の店主にすすめられたのは「スペンコ RX コンフォート」です。低価格ながら評価が高いようです。色がグリーンしか選べないことだけが残念。ベージュとかライトブラウンとか革製の登山靴にマッチする色が欲しい。

インソールを入れてみました。

インソールを入れてみました。

リキシームとナノクリーム

リキシームナノクリームを同時購入しました。取扱説明書にしたがい最初のお手入れをしました。

リキシームを1時間のインターバルで3回塗る

コバに縫い目が出ている靴を買ったら、まず最初にしなければならないのは目止めです。これを怠ると、泥水のような有機物が縫い糸に染み込んで、土台が傷みやすくなります。土台が傷むと、最悪ビブラムソールの貼り替えができなくなります。

山幸の店主は、リキシームのチューブの半分くらいを指さして「これくらい塗ってください」と仰いました。やってみると、縫い糸を覆うだけでなく、靴本体とコバのV字渓谷がこんもり埋まるくらいになりました。こんなに多くていいのかな。

ノルディカ2542で同じ作業をしたときの記憶がよみがえりました。目止めを分厚く塗りすぎると、靴本体のたわみに追従しにくくなります。靴を履き込むにつれて目止め液の塊が浮いてきて、ちょうど歯周ポケットに食べ物のカスがたまるように、泥や砂がたまりやすくなります。気になる箇所をペリペリと剥がして、目止め液を塗り直したものです。

ちょっと工夫したのは、目止め液が垂れないように、靴を斜めに立てかけて、内側半分と外側半分を分けて塗ったことです。片側が生乾きになって垂れなくなるまで20~30分置きました。靴を購入した当日は、靴の全周を2回分塗ったところで時間切れとなり、翌朝に1回分を塗りました。

靴を斜めに立てかけてリキシームを塗りました。

靴を斜めに立てかけてリキシームを塗りました。

本当は「乾ききらないうちに塗り足すことによって、縫い糸の奥の奥まで染み込ませる」のが3回塗りの意図するところかもしれません。失敗したかな。でも分量的には最初の2回でかなり塗ったし、靴を斜めに立てかけたことによって、よく染み込んだにちがいないと自分に言い聞かせました。

コバのV字渓谷にリキシームをなじませました。

コバのV字渓谷にリキシームをなじませました。

余ったリキシームは冷蔵庫で保存します。テントやハードシェルのケアにも使えます。

余ったリキシームを冷蔵庫で保存する。

余ったリキシームを冷蔵庫で保存する。

ノルディカ2542では、縫い糸に亜麻仁油を染み込ませたあと、目止め液を塗った記憶があります。リキシームは皮革とよく癒着するようで、かなり履き込んでも「歯周ポケット」ができないことが後日わかりました。

ナノクリームを2回塗る

諸般の事情により、1回しか塗りませんでした。2回目を塗ると、週末のハイキングまでに十分に乾きそうもありませんでした。ブラッシングして艶を出したのは、玄関で履き下ろす直前です。

※ 金曜日の夜に靴を買って、日曜日の昼下がりに高尾山に出かけました。

赤い靴紐とコロニルのブラシ

赤い靴紐とコロニルのブラシ

赤い靴紐とコロニルのブラシ

買ったときに付属している靴紐は茶色の平紐です。幅が広めなので締めにくい代わりに緩みにくい。昔懐かしい赤い靴紐を買ってきました。長さは160cm。ほどほどに締めやすく、ほどほどに緩みにくいオーバル型です。定評のある磨きブラシも買ってきました。

山幸オリジナル軽登山靴

山幸オリジナル軽登山靴

赤い靴紐に交換しました。

赤い靴紐に交換しました。

軽登山靴なのにアルパインシューズより重い

山幸のオリジナル軽登山靴は1000g近くあります。

山幸のオリジナル軽登山靴は1000g近くあります。

LOWAのチェベダーレ(ライトアルパインシューズ)は片足で800g程度です。山幸のオリジナル軽登山靴は1000g近くあります。やはり革製は重い。見た目のコンパクトさとは裏腹に、厳冬期向けの本格派アルパインシューズと同等です。

「夏向きの軽めの靴が欲しくて」と山幸の店主に言ったら、怪訝な顔をされたことを思い出しました。むしろ重たい靴ですからね。

「高尾山に向けてデッパツ!」

中央線の電車を待つホームで

中央線の電車を待つホームで

そんな軽口が出るくらいウキウキです。中央線の電車を待つホームで登山靴を履いた自分の足を見るのがうれしい。久しぶりにオールレザーの登山靴を履きましたが、愛着感が半端ないです。

高尾山でぬかるみの洗礼を受ける

高尾山口で

高尾山口で

チェベダーレも高尾山で履き馴らしました。すでに「ハイキングから雪山までどこにでも履いていける靴」に仕上がっています。が、ライムグリーンの先鋭的な見た目がどうも低山に似合わない。これから夏にかけてはいっそう暑苦しい。特に高尾山あたりは女性がスカート姿でパンプスやサンダルを履いて登ってくるような場所です。山幸のオリジナル軽登山靴なら、どんなトレッキングシューズよりも低山に馴染みます。

稲荷山尾根から登って、薬王院の表参道を下りてくるのが一番のお気に入りコースです。前日の雨で尾根はところどころぬかるんでいました。真新しい靴をいきなり汚すのは忍びないですが、いつかは受けるべき洗礼です。泥をかぶっても可愛いやつ。無雪期中心に履き倒していこうと思います。

泥濘の洗礼を受けました。

泥濘の洗礼を受けました。

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