防寒テムレスを雪山グローブとして実戦投入する

防寒テムレスを雪山グローブとして実戦投入する

雪山の達人たちのあいだで好評な防寒テムレスを実戦投入してみました。

防寒テムレス紹介動画

防寒テムレスって何? という方は、まずこちらの動画からどうぞ。

本家:ショーワグローブさん

ショーワグローブ 防寒テムレス

バックカントリー穂高さん

冬山登山用 -60℃対応 防寒グローブ

こちらの動画で紹介されているのは「防寒テムレス」ではなく「ダイローブ」です。

山のまこちゃん さん

登山で使える激安レイングローブ 冬山にも使えるグローブ 防水透湿手袋 テムレスの紹介

Kuri Adventuresさん

テムレスのマークを消す方法|Kuri Adventures

防寒テムレスをAmazonで購入

Amazonの箱と防寒テムレス

Amazonの箱と防寒テムレス

Amazonで購入し、コンビニで受け取りました。毎度のことながら、大きめのダンボール箱に小さな商品が入っているのを見ると申し訳ない気がします。

防寒テムレスのパッケージ

防寒テムレスのパッケージ

防寒テムレスのサイズ

防寒テムレスのサイズチャート

ウェアのサイズではなく、手指の長さを測ってから選択しましょう。

私は最初、LサイズとLLサイズを購入しました。

素手でLサイズ、インナーグローブをしてLLサイズ、という思惑です。 しかし、商品が届いて素手ではめてみたら、Lサイズは明らかに小さい。指の根元に「水かき」ができてしまいます。LLサイズでさえ、やや窮屈。私は手指が長いのです。

中指の長さを計測する

私の中指の長さは9cmくらいです。

サイズ カラー 製品寸法
本体 全長 手のひら
まわり
中指長さ
M ブルー レッド 27.0 cm 21.5 cm 7.8 cm
L ブルー グリーン 27.5 cm 24.5 cm 7.8 cm
LL ブルー ブラウン 28.0 cm 26.5 cm 8.3 cm
3L ブルー レッド 30.0 cm 28.0 cm 9.0 cm

ショーワグローブのホームページより引用

3Lサイズを購入したら、ピッタリでした。インナーグローブをするのは厳しい。素手専用としましょう。

私より手が大きい人なんてゴマンといるはずなので、もっと大きいサイズを製造してほしいところです。

防寒テムレスお大尽になってしまいました。

防寒テムレス L, LL, 3L

左からL、LL、3Lです。手首のフチの色が異なります。

防寒テムレスの防水性・防風性

防寒テムレス内側のボア

これは完璧。湿雪を掴んでも保水しません。風はまったく通しません。

防寒テムレスの保温性

防寒テムレス指先のボア

指先のボアは決して厚くありません。が、防水性・防風性が完璧なので、見た目以上に暖かいです。表面が保水しないので、グローブ自体が冷却されにくいと考えられます。

私は、気温マイナス10℃、風速10mまではこれでいけます。

防寒テムレスの蒸れ感

5~6時間の行動ではまったく気になりませんでした。

私はあまり手汗をかかないほうです。

防寒テムレスのグリップ力

防寒テムレスとピッケルのリーシュコード

ピッケルのリーシュに手首をスムーズに出し入れしにくいほど表面のグリップ力が強いです。

ザックを担いだりおろしたりする際、不意に着衣に触れると、まとわりついて煩わしいほどでした。

防寒テムレスの指先のフィット感、操作性

内側のボアはシェルに接着(パンチング?)されており、無駄なたわみがないため、指先の動きを忠実に伝えてくれます。

コンパクトデジタルカメラの小さめのシャッターボタンを押す操作は問題なし。指先が太いので、近接した上下ボタンや十字ボタンを押す操作はある程度の慣れ(見た目とどれくらいズラせばよいか学習)が必要ですが、可能でした。

防寒テムレスの匂い

いわゆる「ゴム臭い」です。素材はゴムではなく、ポリウレタンなんですけどね。寒冷地では匂いが発散しにくいので気になりませんが、自宅で収納棚をあけた瞬間などは気になります。

防寒テムレスの色

青はやはり悪目立ち(笑)します。ダイヤゴム株式会社が防寒テムレスと似た「防寒用手袋 ダイローブ102」という商品を販売しており、黄色と黒を選ぶことができます。黒なら違和感がなさそうです。防寒テムレスより高価格になりますが、登山用のン万円のグローブと比較するとコストパフォーマンスが高いです。

防寒テムレスから派生したアウトドア向け製品

防寒テムレスの優秀さをみとめると、誰しも「登山用品メーカーがこんなグローブを作ってくれればいいのに」と考えます。アウトドア向けに設計された製品が存在します。

ラボラトリズム VBLグローブ ver.2 (2011モデル)

新井裕己とダイヤゴム株式会社との数年に渡る協同開発により生まれたトリガーミトングローブ。

VBL

3本指で保温性の高いデザインとなっています。残念ながら最大のLサイズで人差し指の長さが70mmなので私には小さいです。

BEST BUY GEARさんが詳細なレビューを投稿されています。

スプリンゲン トリガーミトン

『スプリンゲン』は工業用特殊手袋『ダイローブ』の製造ノウハウとオールコート手袋の長所<防水性・防寒性・丈夫さ>を活かし、開発されたアウトドアグローブのブランドです。キッズサイズから大人サイズまで幅広いラインナップを取り揃えています。

「ラボラトリズム VBLグローブ」にそっくりですが、表面の質感がちがうように見えます。

同じページに「ラボラトリズム VBLグローブ」も掲載されています。同じ製造元によるOEMなのでしょうか。

防寒テムレスでVBLシステムを実践する

冬山装備 (槍ヶ岳 硫黄尾根 正月)③ ウェア編

「山岳冒険倶楽部星と焚火」さんは、防寒テムレスと手術用の極薄の手袋を組み合わせて、VBL(Vapor Barrier Liner)システムを実践されています。手首を絞る改造も施されています。

防寒テムレスはプロフェッショナルな現場で使われている

中央アルプス宝剣岳における道迷い遭難

Youtubeの長野県警察公式チャンネルで救助活動の動画「中央アルプス宝剣岳における道迷い遭難」が公開されています。 救助隊員が防寒テムレスをはめているのを確認できます。

ジャージテムレスと、普通のテムレスも購入してみた

サイズ感

どちらも最大サイズはLLです。サイズ感は防寒テムレスと同じでした。私にはやや小さいです。インナーグローブと組み合わせて使えないかと思って購入したのですが、無駄になりました。

ジャージテムレスの外観

ジャージテムレスの全体像と内側

手首を伸縮性のあるジャージで絞ることができます。

テムレスの外観

テムレスの全体像と内側

手首は切りっぱなしです。

どちらも内側にボアはありませんが、細かい畝のような加工がなされているため、手にぴったり貼り付くようなことはありません。

無雪期の雨天時に防水手袋として使えそうです。岩稜ではグリップ力の高さがモノを言うでしょう。

手が小さい人なら、お好みのインナーグローブと組み合わせて使えますので、まずはLLサイズを試してみてはどうでしょうか。

防寒テムレスでスマホをタッチ操作できるか

防寒テムレスでスマホを操作する

特筆すべきは、テムレスにはわずかながら導電性があることです。

ジャージテムレスとテムレスはスマホをタッチ操作可能です。強めに押して、指先とテムレスを密着させるのがコツです。なにぶん指先が太いので、細かいリンクなどを正確にクリックするのは困難ですが、大きなボタンであればクリックできます。スワイプもできます。ただし、本人の体質や周囲の環境、スマホの機種によって感度が違うため、安定した操作は難しいかもしれません。

残念ながら、防寒テムレスはボアで隔てられているので、まったくもってタッチ操作できません。

ただし防寒テムレスを長時間着用して、ボアが湿っているとき限定ではありますが、導電性が高まるらしく、タッチ操作ができることがありました。YAMAPの地図をフリックしたり拡大縮小したりするには十分です。

スマホ側の設定でタッチパネルの感度を上げる必要があります。私が所有するZenfone2では「手袋モード」と呼ばれています。

スマホの手袋モードを設定する

最近のスマホはこれと同等の機能をたいてい備えています。富士通のarrowsシリーズでは「手袋タッチ」、Xperiaシリーズでは「手ぶくろモード」、Huaweiでは「グローブモード」という名称になっています。お試しください。

防寒テムレスをビレイで使用するのは要注意

アイスキャンディでビレイを行う際のテムレスグローブ使用を禁止

八ヶ岳山荘(赤岳鉱泉や行者小屋の登山口)で、登山用の食料やガスカートリッジといっしょに防寒テムレスが販売されているのを見かけました。雪山での浸透ぶりがうかがえます。

ところが、ほかでもない赤岳鉱泉のアイスキャンディでは、テムレスグローブを用いたビレイ行為が禁止されています。

☞ 鉱泉日誌 – 「今冬からアイスキャンディでのテムレスグローブを用いたビレイ行為を禁止します。

この冬からアイスキャンディでビレイを行う際のテムレスグローブ使用を禁止します!

テムレスグローブを使用してのビレイを行う危険性については、

  • 滑り止めの為に樹脂をコーティングしていて、ビレイデバイス内に指を引き込まれる可能性があること。
  • 高い滑り止め効果によって、円滑なロープ操作を行うことが困難であること。

SHOWAが発表するテムレスの使用上注意には、「回転体を伴う作業には使用しないでください。手が巻き込まれるおそれがあります。」と記載があります。

ビレイデバイスにロープが入ることも同様に解釈すべきと考えます。

これらはあくまでもビレイヤー(安全確保者)の話です。クライマー(登攀者)は使用してもかまわないと付記されています。

ビレイを行う方のテムレスグローブ使用は禁止しますが、登攀する方は使用していただいても構いません。

テムレスのグリップ性能は、アイスクライミング競技ではクライマーの強い味方になるでしょう。

では、本番の登攀では? クライマーとビレイヤーはその役割を交代しながら登攀することが多い。そのたびに登山用のグローブと防寒テムレスを交換するなんてやっていられません。各人が道具の長所と短所をわきまえたうえで使いこなすしかないでしょう。

この話を聞いたとき、私が最初に思い出したのは、ある有名なクライミングジムでグリグリ(ペツルの確保器具)の使用が禁止された事案です。ジムでは禁止されているけれど、併設ショップでは販売されていました。このダブルスタンダードには考え込まされました。

防寒テムレスを100均の腕カバーでお手軽に改造する

100均の薄い腕カバー

防寒テムレスの弱点は、手首が大きく開いているところです。愛用者の皆さんは、手首に布地を縫い合わせたり、ベルクロテープで絞れるように改造したりされています。

お役所で事務員さんがはめているような腕カバーをかぶせれば深雪のラッセルにも対応できます。100均のペラペラの品でも十分に役に立ちます。

前腕をカバーする

このまま使い続けることも可能ですが、手首側を防寒テムレスに縫い付ければ万全です。

本家・防寒テムレスからブラック(黒)が発売

2018年12月に発売された黒テムレス

2018年12月、防寒テムレスのブラックが発売されました。残念ながら3Lサイズはありません。

TEMRES 282-01 – SHOWA

関連記事

普通のグローブを検討中の方はこちらの記事をどうぞ。

変更履歴

  • 初公開(2018年1月18日)
  • 「アウトドア向け製品」を追加しました。(2018年2月13日)
  • 「プロフェッショナルな現場で使われている」「ビレイでの使用は要注意」「100均の腕カバーでお手軽に改造する」を追加し、「スマホのタッチ操作が可能」に手袋モードについての記載を追加しました。(2018年4月9日)
  • 「本家・防寒テムレスからブラックが発売」を追加しました。(2018年12月15日)
  • 写真を差し替え、追加、統合しました。(2019年3月10日)
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