ぐうたら登山隊と風雪のビバーク

残雪の白馬岳に再挑戦

1994年3月、「ぐうたら登山隊」を自称していたセンパイとパーティーを組んで、残雪の白馬岳を目指しました。私にとっては再挑戦です。

残雪の白馬岳、1985年4月、白い嵐をついて
昔、仲間内の登山記録集に書いた文章をほぼそのまま引用します。 若気の至りが満載です。 ここはもう乗鞍岳だろうか? 栂池山荘前のベースキャンプから一時間ばかり登って、岩塊に着いた。祠がある。夏に白馬大池から往...

前回と同様、ゴンドラリフト《イブ》で入山しました。林道から望む白馬岳方面はこんもりと雪をかぶっています。昨今と比較するとやはり積雪量が多いようです。

栂池山荘(背後に赤い屋根が写り込んでいる)の近くにベースキャンプを設営しました。ぐうたら登山隊の常宿は、センパイが所有していたダンロップ社製のたしか3〜4人用テントです。前室用のフレームは軒先から地面までフルカバーする旧型で、快適な土間を提供してくれました。

「ぐうたら登山隊」の「ぐうたら登山隊」たる所以

次の日、栂池から白馬岳へ長駆アタックをかけました。このコースで白馬岳を往復する場合、普通は白馬大池にベースキャンプを設営します。コースタイムにして3時間分も下からアタックするのはなかなかムチャな話です。せめて夜明け前に出発して、乗鞍岳で御来光を迎えるくらいの意気込みが欲しいところですが、そこが「ぐうたら登山隊」の「ぐうたら登山隊」たる所以でした。

当時、白馬大池で風雪にとじこめられる遭難騒ぎが報道されたと記憶しています。私自身、乗鞍岳の稜線に出たとたんに猛烈な風に見舞われた過去があります。それよりは「安全圏」でゆったり過ごし、好天をとらえて一気に頂上を往復するほうが良いと考えました。「速攻登山スタイル」を採用したと言えばカッコいいですが、実力がともなっていたかどうかは疑問です。

上の写真は、天狗原から乗鞍岳に登る大斜面で撮影したものです。すっかり明るいではありませんか。しかもセンパイは「調子が悪い」と言って、ベースキャンプに戻ってしまいました(笑)。

単身、山頂を目指す

私は乗鞍岳、白馬大池、船越ノ頭、小蓮華山と登り続けました。

風はあまり強くありませんが、次第にホワイトアウトしてきました。どこが稜線なのやら、登っているのやら下っているのやら、わからなくなってきました。信州側に寄りすぎると雪庇を踏み抜く危険があります。

時刻はすでに午後一時。進むべきか、戻るべきか、しばし考えました。

風雪のビバーク

引き返すことにしました。たぶん三国境の近くまで到達していました。

稜線を忠実にたどって戻ります。船越ノ頭付近で少し迷いました。現在は「船越ノ頭」と書かれた明確な標識が立っていますが、当時はそんなものはありませんでした。距離感や地形の記憶から、ここで左折するべきだと判断しました。

雷鳥坂をなかば下ったあたりで薄暗くなりました。白馬大池を横断してショートカットしようと考えました。が、お鉢に向かって下りていく雪面は急傾斜で深くもぐります。なんだか蟻地獄にみずから飛び込んでいく心地がしました。やばい。逃げるように這い上がりました。

白馬大池小屋は近いはずです。もちろん雪の下なので入ることはできませんが、確実に自分の現在位置を確認できる場所を目指しました。

すっかり暗くなりました。これ以上動き回るのは危険です。吹きさらしの稜線で、ケルンに腰掛けて、ツェルトをかぶりました。雪面に刺したピッケルと、自分の頭で「棟」を作り、足元の空間にEPIのガスカートリッジを置いて、お湯を沸かしました。山頂で食べるつもりだったカップ麺を作ります。生麺タイプのエビ天のうどん。麺も天ぷらも半分だけ使って作りました。あと半分は、もう一泊する羽目になったときのために残しました。

「風雪にとじこめられても、二泊はもつだろう。でも、三泊目はないかな」なんて考えました。

このときの経験から日本式のツェルトはこの手のビバークには使いづらいと感じました。雪山に復帰して、非常用のシェルターとして選択したのはライフシステムの「サバイバルシェルター2」です。

さいわい翌朝は好天。六時頃に行動を開始しました。ベースキャンプに戻り着いたのは八時頃でした。センパイには一晩ご心配をかけました。

24年前の宿題

2016年末に雪山に復帰しました。

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白馬岳のことはずっと気になって見ていました。冬場はE固定と言ってもいいくらいです。なにせ日本海の近くで季節風の影響をまともに受ける山域ですから。

3月下旬になって、ABが連続する週があらわれました。

 

土日も良かったのですが、週明けにAが三連発です。

これは行くしかない。四半世紀前の宿題を片付けるために。

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